こんにちは。
ユーム永野です。
今回はニックネーム「ユピーさん」からの質問です。
ユピーさんからのご質問
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ファイナンシャルプランナーさんから、
「アメリカの住宅ローンの金利が上昇しているから、日本もそうなる可能性がある。
と言われました。
本当に日本の金利も上がるのでしょうか?
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ユピーさんの質問を簡単にまとめるとコチラですね。
質問
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米国の住宅ローン金利が上がれば、日本も上がる?
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最近このご相談は多いですね。
「金利が上がるから早いうちに土地を購入したり、家を建てたほうが良い」
と言っているハウスメーカーの営業やハウスメーカー紹介のファイナンシャルプランナ−が散見されます。
金利が上がると、利息が増えて月々の負担が大きくなるので、みなさん気になるところですよね。
先に結論をお伝えすると、
必ずしもアメリカと日本の金利は連動しない
日本は直近で金利上昇する可能性が低い
だから
今スグ慌てない方が良い
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です。
ではなぜそのように言えるのか。
今からその理由が具体的にわかります。
後半では金利が上がるとどれだけ支払い額に影響するのか、具体的な数字もお伝えします。
また最後には、矛盾しているようですが、とは言え少しでも早くマイホーム取得をすべき理由もわかります。
それでは本題に入ります。
改めて質問の要点です。
米国の住宅ローン金利が上がれば、日本も上がる?
結論は、
必ずしもアメリカと日本の金利は連動しない
日本は直近で金利上昇する可能性が低い
だから
今スグ慌てない方が良い
|
です。
では、何故このように言えるのか。
理由は3つです。
・日本とアメリカの金利が必ずしも連動していない
・日本とアメリカの人口分布に大きな違いがある
・新型コロナによる景気の不透明感と金融緩和政策が続いている
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では順を追ってみていきましょう。
まずは、日本とアメリカの金利が必ずしも連動していない、です。
日本とアメリカの金利が必ずしも連動していない
下画像をご覧ください。
コチラは2021年1~4月にかけての30年固定の金利推移を表しています。
※画像出典:Freddie Mac「30-Year Fixed Rate Mortgage Average in the United States」
※画像外はユーム参考情報
これを見ると、ユピーさんがファイナンシャルプランナーに言われたとおり、金利上昇しているのがわかりますよね。
アメリカが世界経済の中心的存在とも言えるので、たしかにこれだけ見ると日本にも影響がありそう、と感じる方が多いと思います。
では日本の金利との関連性はどうなのか。
過去10年ほど遡って比較してみましょう。
コチラの図をご覧ください。
アメリカで、比較的大きな金利上昇があった時期を3つピックアップしました。
※画像出典:Freddie Mac「30-Year Fixed Rate Mortgage Average in the United States」
※画像外はユーム参考情報
1つ目は、先程お伝えした2021年1月から4月です。
2021年1月に約2.7%だった金利が、4月には+0.5%の約3.2%になっています。
この要因は、新型コロナにおける金融緩和による住宅ブームと言われています。
2つ目は、2018〜2019年です。
約4%から5%に上昇していることがわかります。
この要因は、2018年のトランプ政権による歳出拡大や税制改革といった財政刺激策などにより実質GDP成長率が2.9%と、予想を上回る経済成長があったためとされています。
3つ目は2013~2014年です。
約3.5%から4.55%に上昇していることがわかります。
2018~2019年や2013~2014年の住宅ローン金利の上がり幅は、2021年1~4月以上です。
一方で日本はというと、フラット35の長期固定金利(下グラフの青線)は、2018年当初から今現在までで約1.4%前後を推移しています。
※画像出典:ARUHI HP ※画像外はユーム参考情報
2013~2014年は、米国が金利上昇している一方で日本は下がっています。
この時点で金利の推移が大きく違うことがわかりますよね。
さらに言うと、そもそも2008年以降の全体の推移も違いますよね。
米国の住宅ローン金利は比較的に上昇下降を繰り返しています。
日本については、下降し続けて、今は一定の推移を保っています。
いくつかアメリカと日本の金利推移もピックアップしましたが、過去10年以上を通して必ずしも連動していないことがわかりますよね。
この点から、アメリカの金利が上昇したから日本の金利も上昇するかも、とすぐに判断をしない方が良いです。
ちなみに先程お伝えしたとおり、2021年のアメリカの金利が上昇した要因は、住宅ブームと言われています。
これはコロナ渦における金融緩和がきっかけとなりました。
一時超低金利となったことにより、住宅ブームとなり、住宅ローンの金利が上昇したとされています。
ここで、
「同じく超低金利である日本は、何故アメリカと同じように金利上昇をしていないの?」
と思った方もいるかもしれません。
それは日本とアメリカの人口分布に大きな違いがあるからです。
これが日本の金利が直近で上昇しにくい理由の2つ目です。
日本とアメリカの人口分布に大きな違いがある
そもそも論ですが、アメリカと日本では人口の推移が違います。
画像出典:世界経済のネタ帳
アメリカの人口は年々増えている一方で、日本はやや減少傾向です。
特に、家を建てる方が多い30・40代以下の年齢層が日本の場合は少なくなっています。
画像出典:世界の統計 2018 総務省統計局
だから、同じ低金利でもアメリカは住宅ブームになり、日本ではそうなっていないわけです。
金利はあくまでも需要と供給で決まりますよね。
アメリカのように買い手が多ければ、住宅ローンの需要も高くなり、自ずと金利も上がりがちです。
しかし日本の場合は、住宅需要が高まる要素がなかなかないので、住宅ローン金利が上がりずらいと言えます。
金利が上がりづらい要因はいろいろありますが、今回はもう一つおさえておきましょう。
それは新型コロナによる景気の不透明感と金融緩和政策が続いているからです。
新型コロナによる景気の不透明感と金融緩和政策が続いている
新型コロナによる景気の不透明感はわかりますよね。
今の状況下で積極的にお金を使おうと考える人は少ないと思います。
ましてやアメリカと違って、日本は新型コロナ以前から超低金利が続いています。
新型コロナ以前から金利がほとんど変わらない状況下で、今買うメリットを感じる方は少ないのではないでしょうか。
そうなれば需要は上がらず、金利は上がりづらくなりますよね。
また2021年7月16日に、日銀が現在の金融緩和政策を維持すると発表しています。
さらに新型コロナウイルスの影響が続いているため、必要があれば追加の金融緩和に踏み切るともしています。
この日銀の動きもすぐに住宅ローン金利が上がりづらい要因になると言えます。
以上3つの点から、「米国の住宅ローン金利が上がったから、次は日本も上がるかも」と慌てないほうが良いです。
今回は以上になりますが、最後に、今までと矛盾することをお伝えします。
それは、「とはいえ、少しでも早くマイホームを検討すべき」ということです。
一日でも早くマイホームを検討すべき理由
理由は3つあります。
それは、
・新型コロナワクチン普及による景気回復
・2025年前後の大阪万博による景気見込
・震災リスク対策
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です。
1つ目は、新型コロナワクチン普及による景気回復の可能性です。
現在もワクチン接種の普及は続いていますが、塩野義製薬など国内生産のワクチンが2021年度末に普及する動きが出ています。
海外ワクチンによる副作用が懸念視されている中で、国内産ワクチンの普及は、日本の新型コロナの脱却に大きな進展が出るかもしれません。
つまり新型コロナの影響が減っていけば、景気が一気に回復、良くなっていく可能性もあります。
金利上昇のきっかけになるかもしれません。
ちなみに2021年8月8日時点で、日本のワクチン接種率は、1回目摂取が約45.7%、2回目摂取が約32.7%です。
世界各国と比較すると決して普及率が高いとは言えません。
そういった中で注目されているのは、イスラエルおよび欧米の動きです。
イスラエルは、既に16歳以上の2回目のワクチン接種率が8割、7月27日の同国保険省の発表で全国民の約6割を超えています。
ただし、感染者はまた増えているのはご存知の方も多いのではないでしょうか?」
7月22日付の同国保健省の発表では、ファイザー製ワクチンによる新型コロナウイルスの感染防止効果は39%、軽症に抑える効果は41%と発表しています。
つまり、2回ワクチンを接種しても、感染する可能性は60%前後あるということです。
これは不安材料ですよね。
一方で、同省は、入院を要する程度の症状を抑止する有効性は88%、重症化を防ぐ効果は91%としています。
重症化には大きな効果があるとしていることが一つの安心材料ですよね。
とはいえ、イスラエルに限らずイギリスなどで、デルタ株などで感染者が増えていることもあり、3回目の接種の必要性の声が高まっています。
イスラエルでは8月から世界に先駆けて3回目の摂取を開始しています。
アメリカやイギリスにおいても3回目の接種を検討しているとのニュースもあります。
一方でWHOは、世界でまだワクチンが普及されていない国があり、全ての国で人口の10%摂取を終えるようにするため、9月末までは3回目の追加接種をしないよう呼びかけています。
すでに発展途上国にワクチンを提供しているということで、自国の3回目の摂取を優先するか、低所得層の国々を優先するのかは非常に難しい問題ではあります。
とはいえアメリカやイギリスなど世界経済の中心である国が、3回目のワクチン接種を開始し、さらに効果が出れば、世界各国の急速なワクチン普及と経済回復への目処が立つかもしれません。
そういった中で、日本製ワクチンが普及すれば、日本にも世界的にも良い影響を与えてくれる可能性が高いと言えます。
それにより、景気回復し、金利上昇の可能性もあるということです。
次に、一日でも早くマイホームを検討すべき2つ目のポイントです。
それは、2025年の大阪万博が控えているということです。
東京オリンピックこそ大きな経済効果は少なかったですが、新型コロナが落ち着き、インバウンド需要が見込めれば、2025年の大阪万博の前後が景気回復のきっかけになるかもしれません。
再び不動産需要も高まり、 金利上昇の要因となる可能性があります。
ここで、金利が上がったらどの程度家づくりに影響するのか?
ユピーさんだけでなく、家を購入しようとしている皆さん気になりますよね。
一般的には最長35年の住宅ローンを組む方が多いので、その前提で代表例をお伝えするとコチラになります。
■借入4,000万円・35年固定ローン
金利上昇 ※基準金利1.0%との差 | 総返済差額 |
+0.2% | +約158万円 |
+0.5% | +約401万円 |
+1.0% | +約822万円 |
■借入3,000万円・35年固定ローン
金利上昇 ※基準金利1.0%との差 | 総返済差額 |
+0.2% | +約119万円 |
+0.5% | +約301万円 |
+1.0% | +約617万円 |
例えば、4,000万円の住宅ローンを借りた場合、金利1%から1.5%に上昇するだけで、約401万円の支払い額が増えます。
401万円もあれば、新車を買えますよね。
注文住宅でもこれだけのお金があれば、全体で16帖ほど家を大きくできたりします。
お風呂を本格的なジャグジーにできたり、インテリアにお金をかけたり、結構豪華な仕様にもできます。
人それぞれタイミングがあるので、今すぐ住宅ローンを組むべきというわけではないです。
ただ、単純に利息金額だけ見ると、ものすごく勿体ないですよね。
この点から、これから将来的に家を建てたり、住宅購入の可能性がある方は、本格的な検討だけでも早めにしても良いかもしれません。
そして最後に3つ目のポイント、震災リスク対策です。
ご存知のとおり、日本は地震大国です。
今度30年以内に高い確率で発生すると言われる大地震がいくつもあります。
例えば、内閣府の試算では首都直下型地震での避難者は約720万人としています。
南海トラフ地震は約950万人です。
震災後も避難所に入らず生活を続けられる家。
1人でも多く
1日でも早く
本当に地震に強い家に住んでほしい
震災時にフォローできる ハウスメーカーで建ててほしい
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そしてアフターフォローできる体制の整ったハウスメーカーで、安心・安全な暮らしをしていただきたいです。
これはマイホームを検討されている方へのユームの想いであり、一番重要だと考えていることです。
とはいえ皆さんが今スグに家を建てられるわけではありません。
まずは今のお住いや通勤中や勤務先で可能な防災対策をしていただきたいです。
それでは最後に簡単にまとめます。
今回の質問は、
質問
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米国の住宅ローン金利が上がれば、日本も上がる?
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でした。
これを踏まえて、あくまでもユームの見解ですが、
必ずしもアメリカと日本の金利は連動しない
日本は直近で金利上昇する可能性が低い
だから
今スグ慌てない方が良い
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ということです。
とはいえ、先行するイスラエルや欧米の3回目のワクチンの効果や、日本製ワクチンの普及によっては、景気回復し金利上昇する可能性もあり、震災リスクを考えれば、まずは慌てずに、家づくりを検討だけでも進めていただければと思います。