熊本地震や東日本大震災、阪神淡路大震災などの過去の震災時の被害はどうだったのか、気にされる方がとても多いのではないでしょうか。
実際にはほとんどのハウスメーカーの住宅の倒壊はありませんでした。
ただし、HPやカタログ、営業トークなどで「熊本地震では倒壊無しでした」「全壊・半壊無しでした」「ほぼ被害がなかった」など各社それぞれの表現でPRしています。
しかし各社いろいろな表現でPRしているため、よくわからないという声も多いです。
そこで、
今回は、主要ハウスメーカー12社の過去の震災(以下)においての地震の揺れによる被害状況を一覧表にまとめたので、よくわかります。
(比較する震災)
・兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)
・新潟県中越地震
・東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)
・熊本地震
では、さっそく主要ハウスメーカー12社の過去の地震の揺れによる被害状況をみていきましょう。
主要ハウスメーカー12社地震による建物被害一覧表過去の震災における建物被害過去の地震の揺れによる建物被害状況の一覧です。 今回はわかりやすく、◎や△などの被害状況を示しています。 その評価基準は以下のとおりです。 ※各社の公表により。 ◎:全壊・半壊ゼロ+該当エリアでの自社物件数などの明示 ◯:全壊・半壊ゼロ、詳細の公表無し △:倒壊ゼロ(半壊ゼロの明示無し)+該当エリアでの自社物件数などの明示 ▽:倒壊ゼロ(半壊ゼロの明示無し)、詳細の公表無し ▲:倒壊有り ー:全壊・半壊などの公表無し ※災害対策基本法第90条の2に基づく罹災証明書の基準や日本建築学会の被災判定基準かは不明です。 u-hm調べ2021.03 ※耐震実験等の評価ランクの詳細は下のメーカー名をクリック ※枠内棟数は震災エリア内の各社の該当建物数 ※順不同 | ||||
兵庫県南部地震 | 新潟県中越地震 | 東北地方 太平洋沖地震 | 熊本地震 | |
◎ 全壊・半壊ゼロ 29,692棟 | ー 公表無し 6,996棟 | ◎ 全壊・半壊ゼロ 177,488棟 | ◎ 全壊・半壊ゼロ 10,246棟 | |
◯ 全壊・倒壊・半壊ゼロ | ー 周辺に事業所無し | ◎ 全壊・半壊ゼロ 5,763棟 | ◯注1 全壊・半壊ゼロ | |
◎ 全壊・半壊ゼロ 28,801棟 | ◯ 全壊・半壊ゼロ | ◯ 全壊・半壊ゼロ | ▲ 2棟倒壊 | |
△ 倒壊ゼロ 14,941棟 | ー 公表無し | △ 倒壊ゼロ 158,290棟 | △ 倒壊ゼロ 3,946棟 | |
△ 倒壊ゼロ 約7,700棟 ※自社基準にて公表注2 | △ 倒壊ゼロ ※自社評価を公表 | △ 倒壊ゼロ 約178,000棟 ※自社評価を公表 | △ 倒壊ゼロ 約15,000棟 ※自社評価を公表 | |
ー 公表無し | ー 公表無し | ー 公表無し | ー 公表無し | |
ー 公表無し ※構造躯体の損傷はほとんど無く、家具等の転倒も少ない ※詳細な調査報告書を関係省庁へ提出済 一般公開もしているため、全半壊ゼロの公表があれば◎ 3,568棟 | ー 公表無し 構造躯体の損傷はほとんど無く、家具等の転倒も少ない ※詳細な調査報告書を関係省庁へ提出済 一般公開もしているため、全半壊ゼロの公表があれば ◯ | ー 公表無し 構造躯体の損傷はほとんど無く、家具等の転倒も少ない ※詳細な調査報告書を関係省庁へ提出済 一般公開もしているいるため、全半壊ゼロの公表があれば◎ 12,696棟 | ー 公表無し 構造躯体の損傷はほとんど無く、家具等の転倒も少ない ※詳細な調査報告書を関係省庁へ提出済 一般公開もしているいるため、全半壊ゼロの公表があれば◎ 1,263棟 | |
▽ 倒壊ゼロ | ▽ 倒壊ゼロ | ▽ 倒壊ゼロ | ▽ 倒壊ゼロ | |
ー 公表無し | ー 公表無し | ー 公表無し | ー 公表無し | |
◎ 全壊・半壊ゼロ 1,288棟 | ー 公表無し | ー 公表無し | ー 公表無し | |
◯ 全壊・半壊ゼロ ※建物件数が少ないため「◯」 (激震地区に)17棟注3 | ー 公表無し | ー 公表無し | ー 公表無し | |
◯ 全壊・半壊ゼロ | ▽ 倒壊ゼロ | ◯ 全壊・半壊ゼロ | ▽ 倒壊ゼロ |
注1全壊・半壊ゼロでも「◯」としているのは、被災地エリアの棟数を明示していないためです。各社の棟数によっては公平でない可能性があるので、具体的な棟数を明示している場合は「◎」としています。
※上記表の震災被害状況の参照元は、記事最後に列記しています。
ハウスメーカーや工務店が建物の全半壊ゼロや倒壊ゼロと表現する場合、あくまでも地震の揺れに対する被害を対象としているケースがほとんどです。
地震による液状化や地盤の傾きや崩れ、津波や火災などは対象外となっていますのでご注意下さい。
そして抑えていただきたい重要点が3つあります。
1つ目は「 倒壊ゼロ 」は大破・半壊している可能性があるということです。
「倒壊」には損傷具合の定義が明確になっていません。
因みに現行の建築基準法では、「震度6強~震度7程度で倒壊・崩壊しないこと」とされています。
つまり悪い見方をすると、大破や半壊という大きな被害はあるが倒壊はしていなければ「倒壊なし」とも言えてしまうということです。
例えばセキスイハイムを見ると、
注2倒壊ゼロとは構造体ユニットのボックス形状が保たれている状態、もしくは補修によりユニットの耐震性能が回復できる状態
と定義をしています。
セキスイハイムの場合、大きな損傷があっても構造躯体であるユニットを補修できれば「倒壊ゼロ」ということです。
仮に家が傾いていても、自社で補修できると判断されれば、それは倒壊ゼロになるということです。
2つ目は「全壊・半壊ゼロ」でも住み続けられない可能性があるということです。
「全壊・半壊ゼロ」でも一部損壊の可能性があります。
災害対策基本法第90条の2に基づく罹災証明の基準に基づく「半壊」の定義をお伝えすると、
・損壊部分がその住家の延床面積の 20%以上 70%未満のもの
・または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が 20%以上50%未満のもの
としています。
つまり仮に建物全体の19%の部位が損壊し、偶々そこにご家族がいて被害に遭ってしまっても、一部損壊という事になります。
内容によっては、余震が襲ってくる中、そこに住み続けられなくなる可能性もあります。
3つ目は「 熊本地震などで全壊・半壊無しだから大丈夫 」と言われても鵜呑みにしないほうが良いということです。
注3スウェーデンハウスと積水ハウスの阪神淡路大震災の物件数を比較するととてもわかりやすいです。
積水ハウスが29,692棟に対してスウェーデンハウスは(激震地区に)17棟という明示です。
これだけ数が違うと、どちらが説得力があるかは明確ですよね。
しかし同じ全壊・半壊ゼロであることは間違いではありません。
よく熊本地震で「全半壊ゼロでした」「倒壊ゼロでした」とPRしているハウスメーカーが多いですが、該当エリアにどれだけの建物が建っていたかで説得力が大きく違います。
そのため、全壊率が高いエリアにどれだけそのメーカーの建物が建っていたかが重要なのです。
これらを踏まえてユームでは、「今まで全半壊していなければ大丈夫」という事ではなく、そのハウスメーカーや工務店の建物が「より耐震性の余力がある建物」を提供しているか、が重要であると考えています。
特に熊本地震では、前震と本震で2回震度7を観測しました。
その中で1回目は倒壊せず、2回目の本震で建物が倒壊したケースも散見されています。
今後熊本地震以上の地震が複数回発生する可能性がありますので、より耐震性の余力がある建物かどうか、また実大実験を行っているかどうかを見てハウスメーカー選びをしていただきです。
今回は以上です。
こちらでより、地震に強いハウスメーカーがわかります。
まだチェックされていない方はどうぞ。
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なお、上記表の震災被害状況は、以下のHPなどから抽出しています。
<積水ハウス>
<旭化成ホームズ>
<ダイワハウス>
<パナソニックホームズ>
20200702_パナソニックホームズ ニューリリース PR TIMES
<セキスイハイム>
カタログ「heimism|性能カタログ」
<三井ホーム>
<ミサワホーム>
カタログ「ミサワホームテクノロジー」
<一条工務店>
カタログ「夢の家 省エネ3冠王 テクノロジーガイド」
<スウェーデンハウス>
<ヤマダホームズ>
以上