こんにちは。
ユーム永野です。
早速、ニックネーム「マイマイさん」の質問です。
マイマイさんからのご質問
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ハウスメーカーの営業さんから、
「住宅ローン減税が今年の9月末で控除額が縮小して、2022年から無くなるかもしれない」
と言われました。
本当でしょうか?
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結論をお伝えすると
注文住宅において 最大600万円の住宅ローン控除は
2022年以降の住宅ローン減税は 無くなるか控除額が縮小となる
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です。
今回はその理由2つがわかります。
9月末までの契約と10月以降での損得がどれだけ変わるのかもわかります。
後半には、来年以降の住宅ローン減税や支援策はどうなるのか?や住まい給付金の期限が迫っていることもお伝えします。
それでは本題に入ります。
改めてこちらが今回の質問の要点です。
住宅ローン減税は 今年9月末で控除額が縮小して、2022年から無くなる?
結論はこちらです。
注文住宅において 最大600万円の住宅ローン控除は
2022年以降の住宅ローン減税は 無くなるか控除額が縮小となる
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です。
こちらを少し掘り下げていきます。
住宅ローン減税は9月末契約まで
結論は、9月に縮小ではなく、9月末までに契約して、2022年の12月31日までに新築住宅に住み始めないと現行の住宅ローン控除は受けられません。
「そもそも住宅ローン減税ってなに?」
という方もいるかと思いますので、それと合わせて期限を確認しておきましょう。
住宅ローン減税とは?
簡単に言うと、住宅ローンの金利分が、ある程度戻ってくる制度です。
もう少し具体的にお伝えすると、
最長13年間、年末調整に合わせて所得税・住民税から控除される(お金が戻ってくる)
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という制度です。
住宅ローン減税のポイントはその控除額ですよね。
最大控除額は、
一般住宅で約480万円
長期優良住宅などで約600万
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です。
13年かけてこの金額が戻ってくるのは非常に大きいですよね。
いろいろと諸条件がありますので、詳しくは注文住宅で新築する時の補助金・減税・優遇制度を全解説に具体的な計算例も掲載していますので、ぜひチェックしてみてください。
住宅ローン控除の期限
ただし住宅ローン減税を受けるには以下の期限があります。
住宅ローン減税の期限
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注文住宅の場合
2021年9月30日 までの契約
分譲住宅
2021年11月30日 までの契約
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上記期限以降の住宅ローン控除額は未定です。
マイマイさんが、ハウスメーカーの営業に、
「住宅ローン減税が今年の9月末で控除額が縮小して、2022年から無くなるかもしれない」
と言われたのも、このことからだと思います。
つまり、
今年の10月以降の契約の場合は、現行で最大600万円の住宅ローン控除が受けられない
のが現状だということです。
次に、今後住宅ローン減税が無くなるか控除額が縮小となると思っていたほうが良い2つの理由をおさえておきましょう。
2022年以降は 住宅ローン減税が縮小又は無くなる と思っておいた方が良い2つの理由
今後の住宅ローン減税はどうなるのか?
それは縮小するか無くなると思っておいた方が良いです。
その理由は2つです。
政府の財政状況が厳しい
一つ目の理由として、実は2019年から2020年後半まで縮小方向や撤廃の議論が関連省庁で根強かったことがあります。
これは結構重要な事実です。
大手ハウスメーカーの上層部も強い危機感をもっていたぐらいです。
なぜ縮小や撤廃の声が強かったかと言うと、国の財政状況が厳しいからというのは、わかる人が多いのではないでしょうか。
2021年度の社会保障や公共事業など行政サービスを提供するための経費(プライマリーバランス)は、約20.4兆円の赤字となっています。
これを国債、つまり借金をして賄っているのが現状です。
それを改善すべく現状の歳出部分を見直す動きが加速しています。
そのひとつとして、
2021年度与党税制改正大綱は「控除額や控除率のあり方を22年度改正で見直す」
としています。
縮小か、撤廃の可能性も現時点ではあり得ます。
そして見直しのきっかけとなったのが、もう一つの理由です。
住宅ローン減税を利用すると「逆ざや」となる人が多い
逆ざやとは、例をあげると
住宅ローンが金利0.5%の場合、 住宅ローン控除額(その年の残高の1%)の方が大きく、得をする
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ということです。
住宅ローン減税の本来の目的は、金利負担を減らすことにあります。
それにも関わらず、現状、控除期間は多くの方が得をしている状態になっています。
ただでさえ財政が厳しい中で、国としては
超低金利で住宅ローンを組める今、
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という風になりますよね。
以上の2つの理由から、来年からは住宅ローン減税は縮小又は無くなると思っておいた方が良いと言えます。
2022年以降はどうなるのか?
では2022年以降はどうなるのか?
住宅ローン減税の今後を具体的に見ておきましょう。
またその他にもおさえておいたほうが良い支援策もありますのでお伝えします。
住宅ローン控除額は撤廃ではなく縮小?
あくまでも期待を籠めての話ですが、すぐに撤廃はなくても、縮小してくのでは、と予測しています。
その理由は、2つです。
GDPにおける住宅関連業界の重要性
一つは、GDPにおける住宅投資の比率が3%前後あり、雇用含む経済の支えとして、住宅業界が重要であることです。
■住宅投資及びGDP比(実質)の推移
画像出典:「国民経済計算年報」(内閣府) 画像内:ユーム参考情報
つまり、毎年約15兆円前後投資されているこの住宅業界に、今までの住宅ローン減税などの支援策が急に無くなるとは考えにくいと言えます。
とはいえ、年々新設着工数が減っていくのは確実視されているのも事実です。
画像出典:株式会社野村総合研究所ニュースリリース 画像内:ユーム参考情報
2021年6月8日の野村総合研究所の発表によると、昨年度81万戸の新設着工数が2030年には65万戸、2040年には46万戸に減少する予想となっています。
つまり、財政上どの業界を重視し支援していくのか?という観点からは、住宅ローンなどの支援策が減少していくのも自然な流れと言えます。
住宅ローン減税ありきの見直し?
もう一つは、そもそも住宅ローン減税は継続ありきで縮小するという議論も続いている点です。
それは、2021年度与党税制改正大綱から読み取れます。
こちらをご覧ください。
住宅ローン年末残高の1%を控除する仕組みについて、1%を上限に支払利息額を考慮して控除額を設定するなど、控除額や控除率のあり方を令和4年度(2022年度)税制改正において見直すものとする。
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つまり、ここだけを見た場合ですが、撤廃ではなくまずは、実際の金利分・利息額分は控除して、その上限が1%とすることを検討すると読み取れます。
おそらく今回取り上げられた逆ザヤを考慮すると、少なくても
年間の支払利息額までを控除
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とする可能性が高いと言えます。
例えば、4,000万の借入を金利0.5%・35年ローンで組んだ場合の初年度の利息額は約19.8万円です。
画像出典:ユーム独自作成
従来の年間のローン残高1%までを所得税や住民税から控除できた場合は、最大約39万円控除されます。
しかし2022年以降は、少し期待を籠めての話ですが、19.8万円分までは控除される可能性があります。
とはいえ、住宅ローン控除撤廃の声が、関係省庁にはあるということはお伝えしておきます。
省エネルギー住宅の支援は継続且つ強化?
一方で住宅ローン減税とは違い、省エネルギー住宅を支援する優遇策は残る可能性があります。
拡大する可能性もあります。
理由は2つあります。
それは
・世界的省エネ化への潮流
・住宅業界に省エネが期待されている
です。
世界的省エネ化への潮流
1つ目は、世界的に省エネ化への潮流があることです。
これはわかりますよね。
日本だけでなく世界的にも地球温暖化への対策が必要とされていますよね。
カーボンニュートラルやCO2大量削減は世界各国でも求められている内容です。
その中で、日本の省エネ住宅は世界と比較すると決して断熱性が高いとは言えません。
今後世界基準に合わせた断熱性能を日本でも推奨していくと、まずはそういった省エネ住宅を普及するための支援策が打ち出される可能性が高いと言えます。
住宅業界に省エネ化が期待されている
次に、住宅業界に省エネ化が期待されている、についてです。
そもそも日本の住宅は、家庭用エネルギーの消費が増えていると言われています。
例えばわかりやすいのは冷暖房費などです。
実際に1973年から2018年度までの間に約2倍増加しています。
※画像出典:経済産業省 資源エネルギー庁
このエネルギー消費量の増加は、地球温暖化といった環境問題への大きな課題にもなっていますよね。
その中で、家庭用のエネルギー消費の削減は、環境問題への取り組みに繋がり、経済効果が高いとされています。
新設着工戸数が減り続けていくとはいえ、今後も70万戸〜60万戸台の新設となる見込です。
リフォームの件数も、年間80万件前後は見込めます。
つまり、省エネ化に投資し難い事業系施設よりも、住宅の方が新設やリフォーム時に省エネ化が確実にしやすいわけです。
国としてもZEHといったエネルギー消費を抑えた省エネ住宅に補助金が出る制度を設けて、積極的な普及を推進しています。
2020年には、政府から「2050年カーボンニュートラル宣言」も発表されているので、今後も省エネ住宅に対する支援策は続くことが予想されます。
今回は以上となりますが、もう1点だけ、同時期に期限が迫っている住まい給付金についても補足でお伝えします。
こちらは期限が過ぎて以降は、ほぼ撤廃されることが有力視されているので、ぜひおさえておきましょう。
先に結論をお伝えすると、
すまい給付金は
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と言えます。
こちらをもう少しだけ掘り下げてお伝えしていきます。
「そもそもすまい給付金ってなに?」
という方もいるかと思いますので、それと合わせて期限を確認しておきましょう。
すまい給付金とは?
すまい給付金について簡単な概要をお伝えすると、
消費税率引上げによる負担を
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です。
具体的な給付金額は、簡単に言うと、年収によって違います。
※画像出典:国土交通省 すまい給付金HP ※画像外はユーム参考情報
ちなみに補足で、ご夫婦で住宅ローンを組んだ場合、ご夫婦ともに対象となります。
ただしこの場合は、建物の持分割合で按分されます。
例えば、年収550万円のご主人と年収500万円の奥様が1/2ずつ持ち分をもった場合、
ご主人:最大控除30万円×1/2=最大控除15万円
奥様:最大控除40万円×1/2=最大控除20万円
合計35万円となります。
他にも諸条件がありますので、詳しくは注文住宅で新築する時の補助金・減税・優遇制度を全解説に具体的な計算例も掲載していますので、ぜひチェックしてみてください。
続いて重要なポイントである期限をみていきましょう。
すまい給付金の期限
期限は以下のとおりです。
すまい給付金の期限
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注文住宅の場合
2021年9月30日 までの契約
分譲住宅
2021年11月30日 までの契約
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気づいた方が多いかと思いますが、住宅ローン減税と期限が一緒です。
ここでおさえていただきたいのは、
すまい給付金は
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ということです。
住宅ローン減税と違い、ここは注意が必要です。
何故このように言えるのかというとそもそもの制度の目的にあります。
すまい給付金は消費税増税による負担分を緩和することが目的でした。
つまり増税直後の一時的な期間限定の支援制度となります。
そのため、増税をして間もなく2年ほど経ちます。
時期としては今回で打ち切りとなる可能性が高いことが予想されます。
それでは最後にまとめです。
今回の質問は、
質問
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住宅ローン減税は今年9月末で控除額が縮小して、2022年から無くなる?
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でした。
これを踏まえて、みなさんに覚えていただきたいのは、
注文住宅において 最大600万円の住宅ローン控除は
2022年以降の住宅ローン減税は 無くなるか控除額が縮小となる
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ということです。
住宅ローン減税が縮小されるだけの可能性もあるので、まずは慌てずに家づくりを進めましょう。
とはいえ、すまい給付金といった他の支援策も同時期になくなり、かつ2022年以降の住宅ローン減税の状況は不透明です。
その点で今の方が、ローン控除額やすまい給付金がはっきりわかっているので安心とも言えます。
今現在検討中の方、これから検討される方は、住宅ローン減税の期限を目安に、一度真剣に検討しても良いかもしれません。
そしてもう一つお伝えしたいことがあります。
これはマイホームを検討されている方へのユームの想いであり、一番重要だと考えていることです。
それは
1人でも多く
1日でも早く
本当に地震に強い家に住んでほしい
震災時にフォローできる ハウスメーカーで建ててほしい
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ということです。
ご存知のとおり日本は地震大国です。
今度30年以内高い確率で発生すると言われる大地震がいくつもあります。
例えば、内閣府の試算では首都直下型地震での避難者は約720万人としています。
南海トラフ地震は約950万人です。
震災後も避難所に入らず生活を続けられる家。
そしてアフターフォローできる体制の整ったハウスメーカーで、安心・安全な暮らしをしていただきたいです。
とはいえ皆さんが今スグに家を建てられるわけではありません。
まずは今のお住いや通勤中や勤務先で可能な防災対策をしていただきたいです。