今まで1分一秒を争う一流レストランなどの厨房の動線設計を5年、トータルで80億円以上の注文住宅のお手伝いをしてきたU-hm ユーム 永野です。
積水ハウスとダイワハウスのモデルハウスで比較する際に、知っておきたいポイントがあります。
項目はいくつかありますが、一つ一つはシンプルに短くまとめております。
今回は、住宅展示場を見学する際のポイントについて、ご案内のすぐあとお伝えします。
構造に関しては、次の評価ランクが他にはない比較をしておりますのでどうぞ。
積水ハウスと大和ハウスの比較は、まずは住宅展示場ならではの体感をする事がポイント! |
それでは、モデルハウスの外と中とに分けて、比較するポイントをお伝えします。
特に中に関しては、比較する際の注意事項もおさえておきましょう。
|モデルハウスに入る前にここを比較
住宅展示場に着き、積水ハウスとダイワハウスのモデルハウスに向かった際に、まずは遠くから外観を見ると思います。
または玄関前が賑やかにお子様向けのプレゼントが飾られたりして、そちらに目が行く事も多いと思います。
折角、住宅展示場にお越しになられたので、まずは、玄関から2m~6m程の近さで足を止めて頂き、外観をじっくりと見てみましょう。
余程開けた土地で無い限り、遠くから外観を見る事が無いので、一般的な前面道路幅4~6m程から見る事をお薦め致します。
そしてもう一つ。
積水ハウスとダイワハウスに関しては、構造も金額もそんなに変わらない提案だったけれど、最後は外壁材で選んだという方も一人や二人ではなありません。
特に外壁に集中して見比べる事をお薦め致します。
両社とも同じ様な外観デザイン(形状)ができるのですが、外壁材が違うからです。
こっちがいい。とか両方共問題無い。など。最初の印象を覚えておきましょう。
特に外観もこだわりたい方は近づいて見たり、外壁に触って頂いても良いかと思います。
小さな外壁サンプルよりも折角住宅展示場に来たので、実際の建物を感じておきたいものです。
それではモデルハウスの中に入って行きましょう。
|モデルハウスの中ではここを比較確認
初めてのモデルハウス見学の方には、リラックスして空間を楽しんで頂きたいものです。
ただし、間取りやインテリアは積水ハウスとダイワハウスの鉄骨では大きく変わる事が無く、同じような設計が可能です。
それ故に、両社を比較する際のポイントを以下に絞っております。
■天井の高さの印象と実際の数字の確認
■折り上げ天井の注意点をモデルハウスで確認
■リビングの掘り下げに関してはここを比較
■コーナー窓など開放設計の比較と注意点
■バルコニーや軒の出(深さ)の比較
それでは、他では伝えられていない注意事項も含めてご説明します。
■天井の高さの印象と実際の数字の確認
ダイワハウスの「ジーヴォΣ(シグマ)」は1階の天井高2m72㎝を標準にした高天井が特徴でした。
今は、積水ハウスも鉄骨住宅の上級ライン「イズ・ステージ」にて天井高を最大で2m74cmの設計が可能となっています。
積水ハウスの木造建築「シャーウッド」では、最大で天井高を3m70㎝にして、その上にも部屋を設ける事が出来るなど、より自由な空間設計が可能です。
因みに他社ハウスメーカーを含めて天井高は、2m40㎝、2m50㎝、2m60cmと色々あります。
一般的に20㎝違うと大きく体感が違うと言われていますが、人によっては数センチでも高くしたいという方もいますので、モデルハウス体験で確かめ、好きな高さの数値を覚えておきたいですね。
ここで注意事項は、全ての商品の天井高が同じではないという事です。
モデルハウスに入ったら、天井の方さをどう感じるかと同時に、それがどの商品で可能なのか? その商品別の坪単価や価格の最新情報を聞いて比較しましょう。
■折り上げ天井の注意点をモデルハウスで確認
ダイワハウスの「グランリビング」は2m72㎝の天井高と「折上天井」2m80㎝と2つの天井高を選ぶ事ができます。
※フラット天井タイプ
※プランにより壁際に梁型がでる場合があります。
※部分折上天井タイプ
折り上げ天井とは、周囲の天井は通常の高さのままにして、中央を含めたその他の多くの天井の厚みを薄くする事により、天井を高くする方法です。
インテリアデザインとしても有効な場合もあります。
ただし注意点があります。
□上下階の音の浸透が増える可能性が高い。
天井の構造が薄くなる訳ですので、上階の音が下に聞こえ易くなりがちです。
実際に住宅展示場で体感して比べてみましょう。
通常の天井高と折り上げ天井高の場所で、1人がその上階で足踏みして、他の方が階下で聞いて比べてみると良くわかります。(他のお客様がいない時など、ハウスメーカーの営業マンに了承を得てからにしましょう。)
その比較をする場合は、通常天井側にダウンライト(天井埋め込み照明)がない場所で比較してください。
ダウンライトの数が多ければ多い程、特別な加工をしていない限り、上階の音が下に漏れやすい為です。
□断熱性に違いがでやすい。
天井を薄くする訳ですので、断熱効果もある空気層が減る事になります。
これは、体感による比較は難しく、温度差の実験結果も公表されていないようです。
特に真夏や真冬に冷暖房を入れてない時に影響する可能性はありますが、住宅展示場では1階も2階もなるべく同じような温度にエアコン調整されていますので、モデルハウスではその温度差はわからないと言えます。
少しオーバーなイメージかもしれませんが、もし外壁が8㎝程薄くなったらと想像してみると、通常天井と折り上げた薄い天井とでは、断熱性や遮音性の違いが生じると事がわかって頂けるのではないでしょうか?
1階の天井は室内ですので、外壁の様に劇的に差がでる事はないと思いますが、折り上げる天井を採用される場合は、上記の事を承知しておいた方が良いかと思います。
□インテリア性の注意点
周囲の天井高と折り上げた天井の段差が約8㎝程しか無い場合は、段差を20から30㎝程つける折り上げ天井と比べると、デザイン性が薄まる事が多いです。
失敗すると、安っぽくなりますのでご注意下さい。
こちらも実際のモデルハウスで確認して、自分達の好みに合うか確認しておきたい所です。
□照明器具の制約
天井の厚みが薄くなるので、ダウンライト等の埋め込み型の照明が折り上げた部分には付かない場合が多いので、最新情報を確認しましょう。
ダイワハウスは天井高が2m80㎝も選べるというのは利点です。
上記の事を知った上で、モデルハウスを見学して取捨選択していきましょう。
■リビングの掘り下げに関してはここを比較
最近のモデルハウスの傾向として、主にリビングの床を通常よりも下げている所も多いです。
積水ハウスが「ダウンフロアリビング」と称したり、ダイワハウスが「グランリビングモア」やローリビングと称しているのがそれです。
ダイワハウスのグランリビングモアは、1階の床高が36㎝下がりますので天井高が3m8㎝(天井高2m72㎝時)と3m16㎝(折り上げ天井2m80㎝時)となります。
※大和ハウスHPより
積水ハウスは都度確認して、比較してみましょう。
モデルハウスの中を歩きながら見学する方が多いのですが、出来れば通常の生活シーンと同じ様に座ったりしてみる事をお薦め致します。
まずはソファーに座ってみましょう。
リビングを掘り下げている場合と、通常の1階床高さのリビングとどちらが自分の好みに合うのかを体感すると良いです。
これは本当に人によって違います。
私のお客様で身長190㎝もある方は、天井が高いと落ち着かないとの事で普通天井にされた方もいらっしゃいます。
余談ですが、その方のお車はミニクーパーでした。
話は戻りまして、次にソファーから降りて、床に座ってみたり、床や掘り下げた側面の壁を手で触ってみて下さい。
この時に通常の1階床や壁と、掘り下げたそれらの部分とで、手に伝わる温度の違いがあるかどうかを確認してみる事をお薦め致します。
勿論、その時の気温や、床暖房の有無、エアコンを作動させてどれだけの時間が経っていたのかにより、体感温度は違うのだと思います。
私や私のお客様の実体験としては、そういう床を掘り下げた空間では、通常の1階よりも体感温度は特に冬には冷たく感じるケースが多かったと言えます。
そういうリビングでは、掘り下げ部分や側面に断熱材を入れているハウスメーカーが多いと思いますが、それでも基礎のコンクリート部分の冷たさが床や側面から伝わってくるので、通常の1階部分よりも寒く感じるケースがあるという事は覚えておいてください。
勿論その注意点をお伝えさせて頂いた上で、掘り下げたリビングの魅力を採用されるのであれば、後で後悔するという事も少なくなると思いますので紹介をさせて頂きました。
掘り下げリビングは、赤ちゃんの行動範囲をそこに制限できるので良いというユーザーさんもいらっしゃいました。
もし少しでも掘り下げたリビングも良さそうと思うのであれば、まずは自分の手で、温度差を体感し、次に積水ハウスとダイワハウスの断熱施行の仕方を聞いて比較しましょう。
■コーナー窓など開放設計の比較と注意点
これも多くのモデルハウスで採用されてます。
ユームの無料サービスのユーザーさんも、積水ハウスにてこのコーナー窓を採用されました。(因みに先日上棟した他のユーザーさんは、積水さんと比較した結果、パナソニックホームズで開放的なコーナー窓を採用されています。)
リビングやダイニングの部屋の角に構造上の太い柱が無いか、または1本だけで、角の両サイドが窓となっていますのでとても開放的です。
そのコーナー窓のある部屋の外側に、建物を支える構造柱か壁が必要となる場合もあります。
こちらも積水ハウスとダイワハウスの最新の構造設計基準を確認しておきましょう。
積水ハウス及びダイワハウス共に木造建築も扱っております。
特に積水ハウスの木造建築「シャーウッド」は年間4千棟もの施行実績があり、大手木造ハウスメーカーとも言える程の実績があります。
「シャーウッド」の設計の自由度は高いので、自分達が望む空間はどういうものなのか?その空間にふさわしい構造はどれかを選ぶという順番でも良いかと思います。
皆さまには知っておいて頂きたい事は、同じハウスメーカーでも間取りによって構造強度が違ってくるという事です。
当然ですが、同じハウスメーカーでも構造上重要な柱や壁、床、天井などの骨組みが多いのと、とても開放的な空間でそれらが少ないのであれば、耐震性の余力が違ってきます。
ハウスメーカーの営業マンは大空間でも問題無いですよと言うかもしれません。
細長い様な建物でなければ、開放的な空間でも耐震等級3相当の構造基準となるかと思います。
耐震等級3というのは2000年に運用開始された住宅性能表示上のもので、現時点では最高等級であり、震度6強から7相当の地震の1.5倍において倒壊・崩壊等しない程度というものです。
その震度6強から7の地震と言っても、実際の建物全壊率がほとんどない地震動も多ければ、全壊率がとても高い地震動もある訳ですが、その違いは考慮されていません。
また実際の地震動は建物全体に複雑に力が加わりますが、この耐震等級の計算上は、あくまでも建物の重さと建物の各階床への水平方向に加わる力にて計算されたものになります。
要するに耐震等級最高等級の3であるから安心ですとはとても言えないという事だけは知っておいて頂きたいです。
ご興味ある方はこちらをご参照ください。
耐震等級3を超えてどれだけ余力があるのかが大切となり、開放的な空間をご希望の際にはどれだけ余力が保てるのか?その工夫の仕方等を、ハウスメーカーの設計技術者に個別に確認される事をお薦め致します。
■バルコニーや軒の出(深さ)の比較
モデルハウスを見学すると、建物外壁からバルコニーや屋根が外側にかなり出ていたりします。
「バルコニーの出幅が大きい」、「屋根の軒(のき)が深い」、「軒(のき)が浅い」ところと色々あります。
積水ハウス、ダイワハウス共に、軽量鉄骨、重量鉄骨、木造と商品展開をしていますので、それぞれ可能なバルコニーや軒の出幅(深さ)を各構造別(商品別)に整理して把握しておきましょう。
勿論、柱をつければバルコニーや庇は深く(大きく)出せますが、柱や壁で囲まれますと建築面積に算入され、建蔽率オーバーとなる場合もあります。
その柱などが無ければ、出幅1mを超える軒、庇、バルコニーなどは「建ぺい率」にその先端から1mを超える部分のみが参入となり、2mの出幅を超えるバルコニーはその超えた部分のみ容積率に参入(その他諸条件あり)されますので注意が必要です。
その他スキップフロア(1.5階や2.5階など)は軽量鉄骨ではできない等(昨年末の段階)もあり、そうなると坪単価は高くなります。
構造別に間取りのできる範囲も最新情報を確認し整理しておきましょう。
以上、外観や間取りに関して、住宅展示場で抑えておきたいポイントでした。
積水ハウス・大和ハウスの耐震性や坪単価の比較は次の記事でわかります。