はい。ユーム永野です。
今までトータルで約80億円以上の注文住宅のお手伝いをしてきました。
その中で、リフォームにするか建替えにするのか、迷われていた方も少なくありませんでした。
今回は具体的なデータなどを基にどちらが良いか?が分かります。
また最後のまとめでは、リフォームか建替えか迷っている方に、失敗しない選択のコツをお伝えします。
それだけを知りたい方は、最後のまとめにスキップして頂いても大丈夫です。
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では最初に結論です。
建替えかリフォームか、判断するためにおすすめの基準は4点です。
■建て替えかリフォームか?おすすめの判断基準
➀耐震等級3の建物
2000年以降に建築
先ずリフォームを検討した方がお得でしょう。
②耐震等級1,2
2000年以降に建築
先ずリフォームの検討で良いと思いますが、設備や間取だけではなく、耐震補強をした方が良いです。
➂1981以降に建築して、耐震等級の評価は無いが
新耐震基準の建物です。
建替えた方が良い。
どうしても金額的に無理であれば、基礎を含む大規模な耐震補強&設備・間取り等の大規模リフォームを検討
➃新耐震基準以前
1981年以前に建築
建替えた方が良い。(文化的遺産などは特殊リフォーム)
それでは、順番にその根拠を解説します。
➀今のお住まいが、2000年以降に制定された耐震等級3に適合する場合は、先ずリフォームを検討した方がお得と言えます。
リフォームが良いと言っているのではなく、お得だろうということです。
耐震等級は2000年に品確法にて制定されたもので、
等級には1,2,3があり、1が最低、3が最高等級です。
2000年当時の最高等級と言っても、それ以上の等級を設けていなかったので、その基準をクリアすることは、そんなに難しいとは言えません。
多くの会社でクリアできます。
ですので、同じ等級3でも実際の耐震性などは千差万別と考えておいた方が良いです。
つまり、耐震等級が最高等級3だから大丈夫だと思わないことです。
リフォーム会社の営業マンがこのように言ってくる場合があります。
「耐震等級の最高等級3とは、阪神淡路大震災の1.5倍の地震に耐えられるので、リフォームすれば大丈夫です。」
でもその言葉を鵜呑みにして大丈夫だと思わない方が良いです。
その理由をお伝えします。
それは、その基準が古いからです。
つまり、言い換えると基準が低いからです。
この耐震等級の基準を検討して内容が定まったのは、今から20年近く前のことです。
前代未聞の震度7が連続で襲ってきた熊本地震が2016年ですから、そのかなり前に定められた基準です。
耐震等級には、主に「倒壊防止」と「損傷防止」の2つ判断基準があります。
まず、倒れないかどうかの基準ですが、阪神淡路大震災時の神戸で観測された地震の揺れを想定しています。
耐震等級1ではその地震が来ても倒壊しない、耐震等級2はその1.25倍がきても倒壊しない、耐震等級3は1.5倍の揺れがきても倒壊しないということです。
阪神淡路大震災の神戸の1.5倍の揺れでも大丈夫と言われると、すごそうですよね。
その阪神淡路大震災時、神戸の地震波による建物建物全壊率は約2.5%です。
防災科学技術研究所の調査によると、熊本地震での益城町の建物全壊率はその12倍以上となる約30.3%です。
同じような震度でも、地震波の違いにより建物の被害が非常に大きく変わるということが分かってきています。ですが、約20年前に検討された耐震等級の基準はそれを反映していないのです。
こういうと、熊本地震では耐震等級3の家は倒れなかったという方がいます。
確かに国土交通省の調査では、その耐震等級3の家の倒壊は無かったと報告されています。
ただし、該当した調査対象は16件のみです。
調査した家の数の0.8%ほどなので、それで大丈夫だと言うには、調査数が少なすぎます。
また国土交通省によるその調査は、益城町役場をほぼ中心としていて、その上半分と下半分の地域では被害状況が大きく異なっています。
その16棟がどこにあったのか?被害が多い地域にあったのか?そうではなかったのか?が分からない事からも、耐震等級3だから大丈夫だとは言い切れないのではないでしょうか?
もう一つの理由は
構造躯体の「損傷防止」における耐震等級3が想定している地震の揺れが強いとは言えないからです。
東京の想定は、震度5強です。
政府の地震調査委員会の最近の発表では、東京都庁付近で震度6弱以上の地震が30年間で来る確率は48%、横浜で82%、大阪55%、大分54%、北海道釧路で69%です。
2016年の熊本地震の前に、震度6弱以上の地震が熊本に来る確率が7%台であったことから考えると、20年近く前に設定した震度5強という基準自体が古いと言わざるを得ません。
ですので、どの建築会社でどういう構造で施工したのかによっては、建替えた方が良い場合もあります。
耐震等級3の基準をどれだけの余力でクリアしているのか? 建物の揺れ幅を抑えられる制震システムがあるのか? などを確認するべきです。
そして、その耐震基準は新築時のものですので、その耐震性が劣化していないのか? 今後も大丈夫かを何よりも確認することが大切です。
②今のお住まいが、耐震等級1,2の場合は、耐震強化と合わせて、間取りなどのリフォームを検討すると良いと思います。
耐震等級1は最低基準ですが、2は阪神淡路大震災の1.25倍の地震でも倒壊しないから大丈夫です。というリフォーム会社の営業マンもいるようです。
では何故、設備や間取りのリフォームだけでなく、耐震強化も必要なのか? この根拠をお伝えします。
2016年の熊本地震でも、耐震等級1と2の倒壊・大破率は約6%もあったからです。
6%なら少ないと思われるかもしれませんが、大破まで行かなくても中破と小破を入れると、もっと多くの被害が出ています。
そういう被害が原因で、亡くなった方や大きなケガを負った方も少なくありません。
新築時の耐震性が劣化していくことを考えると、やはり耐震補強はしておいた方が良いです。
お金の面で余力がある方は、最新の技術で建替えた方が良いレベルです。
➂今のお住まいが、2000年以前に建築され、1981年以降の新耐震基準で建てられた場合、建替えを検討した方が良いです。
どうしても金額的に難しい場合は、リフォームとなりますが、設備や間取りだけではなく、基礎を含む大幅な耐震補強はした方が良いです。
次の➃と合わせて、この根拠をお伝えします。
➃今のお住まいが、1981年の新耐震基準以前に建てられた建物の場合、建替えた方が良いです。
この➂と➃の根拠を解説します。
2016年の熊本地震では、1981年以降の新耐震基準の家の倒壊と大破率は20.52%でした。
一部損壊はもっと高い数字です。
また、内閣府がまとめた資料では、昭和57年以降の新耐震住宅でも、震度7では全壊率50%前後!となっています。
■内閣府発表「木造建築物全壊率」
これは内閣府の発表数字です。
少し分かりにくいので、ポイントをお伝えすると、
昭和57年以降の新耐震住宅(木造)でも、震度7では全壊率50%前後!となっています。
この発表データでは昭和57年以降の新耐震基準で建てられた木造建物の全壊率は50%だから、
「ウチの家はもっと新しいから安心」「鉄骨だから大丈夫」と思われる方もいらっしゃるようです。
但し、この内閣府発表のデータは「H22 年版 防災白書」の中で、阪神・淡路大震災の西宮市等の震災データを使用した分析です。
2016年の熊本地震の益城町の地震波で解析した場合は、もっと甚大な建物被害になる可能性が高くなるとも言われています。
実際に熊本では、築10年未満、2000年以降の一部改正された新耐震基準の建物でも全壊したという事例があり、築年数よりも、いかに耐震性の強い建物であるかどうかが肝要だと言えます。
リフォームでどこまで最新の耐震対策がとれるのか? それを実証する事は難しいのが現状です。
ですので、2000年以前の耐震等級が無い建物の場合、新耐震基準でもそうでなくても、基本的にはリフォームより建替えた方が安全です。
もちろん。今のお住まいに思い入れが強い方も多いと思います。
建替えでも、前の家の柱や欄間(らんま)などをうまく新築に取り入れ、大切な思い出を残すことも可能です。
例え金額的に難しくても、私が自分の家族に薦めるという気持ちでお話をさせて頂くと、例えご要望よりかなり小さな家になったとしても、リフォームより建替えを心からお薦め致します。
まとめ
建て替えかリフォームか? おすすめの判断基準は4つです。
➀2000年以降に建築された耐震等級3の建物
先ずはリフォームを検討で良いと思います。
②2000年以降に建築耐震等級1,2の建物
状態が良ければリフォームでも良いのですが、設備・間取りだけではなく、基礎を含めた大規模な耐震補強をした方が良いです。
➂1981以降に建築された耐震等級無しだが新耐震基準
建替えた方が良い。どうしても金額的に無理であれば基礎を含む大規模な耐震補強&設備・間取り等の大規模リフォームを検討
➃1981年以前に建築
建替えた方が良い。(文化的遺産などは特殊リフォーム)
最後に、それでもリフォームか建替えかを迷った場合に、どうすれば良いかについてです。
その場合の、両方の提案と見積をもらい、比較するコツです。
リフォームの担当者は、今のお住まいでも大丈夫、と言うことが多いです。
建替え・新築の担当者は、今のお住まいだと心配だと言うことが多いです。
両方の根拠を聞き、今のお住まいの調査内容も含めて、提案と見積を比較すれば、この家を基にリフォームして大丈夫なのか? 建替えた方が良いのかがより分かります。
その時の比較ポイントは次の通りです。
・今お住まいの建築会社にもリフォームと建替え両方の提案をもらう。
なぜなら、建てた会社が今の家の構造を一番よく分かっているからです。
・リフォームした場合と建替えた場合の将来のメンテナンス費用も確認し、比較する。
これは、せっかくリフォームしても、すぐに大きな補修費用が必要となることも少なくないからです。
それではまた
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ユーム
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