パナソニックホームズとトヨタホームの11の違いを徹底比較|ハウスメーカー選び

鉄骨住宅大手メーカーのパナソニックホームズとトヨタホームの違いを徹底比較します。

 

同じ鉄骨住宅でも両社の特徴は大きく違います。

 

今回は11つに分けて両社の特徴を紹介、徹底比較します。

 

パナソニックホームズとトヨタホームの違いがよくわかります。




■この記事でわかること


パナソニックホームズとトヨタホームそれぞれの特徴が簡潔にわかります。


・パナソニックホームズは業界トップレベルの空気質を提案できる住宅メーカー

設計自由度が高く、耐震性能へのこだわりも高い


・トヨタホームはユニット工法による品質の高い住まいを提供する住宅メーカー

手厚い保証と全館空調の実績が高い

 

 

 

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土地探しの3つの落とし穴とは?

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目次

1.建物価格「坪単価」を比較

 1−1.パナソニックホームズの坪単価:60~100万円

 1−2.トヨタホームの坪単価:40~100万円

2.会社概要を比較

 2−1.パナソニックホームズ・概要

 2−2.トヨタホーム・概要

3.建物構造を比較

 3−1..パナソニックホームズの建物構造

 3−2.トヨタホームの建物構造

4.耐震・制震性能を比較

 4−1.過去の震災での被害状況

 4−2.実大実験での比較|過去の地震波を再現した実験

 4−3.実大実験での比較|建物の余力を測る実大実験

 4−4.揺れの抑制(制震)性能の比較

 4−5.基礎の比較

5.防火性を比較

 5−1.パナソニックホームズの防火性能

 5−2.トヨタホームの防火性性能

6.耐久性を比較

 6−1.基礎の耐久性

 6−2.構造躯体の耐久性

 6−3.外壁の耐久性

 6−4.防水性能

 6−5.防蟻対策

7.省エネ・断熱性の違い

 7−1.パナソニックホームズの省エネ・断熱性能

 7−2.トヨタホームの省エネ・断熱性能

8.空調・換気を比較

 8−1.パナソニックホームズの空調・換気

 8−2.トヨタホームの空調・換気

9.保証・アフターメンテナンスを比較

 9−1.パナソニックホームズの保証制度

 9−2.パナソニックホームズの地震保証

 9−3.パナソニックホームズのアフターメンテナンス

 9−4.トヨタホームの保証制度

 9−5.トヨタホームのアフターメンテナンス

10.設計・デザイン力を比較

 10−1.パナソニックホームズの設計・デザイン力

 10−2.トヨタホームの設計・デザイン力

11.会社状況を比較

 

1.建物価格「坪単価」を比較

 

ハウスメーカーを選ぶ上で、価格は重要ですよね。

 

では、パナソニックホームズとトヨタホームの坪単価をさっそくみていきましょう。

 

 

 

建物坪単価は、パナソニックホームズよりトヨタホームの方がお得

 

両社とも坪単価を抑えた企画型商品もある

ただし建物構造や設計ルールなど、自由設計と異なる部分があるので注意が必要

 

 

 

両社の坪単価はコチラです。

 

 

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

自由設計

75~85万円

60~70万円

企画型

※一部間取りプラン変更可

60~65万円

40万円〜

※上記価格は税抜です。

 

 

この坪単価とは、建物本体工事のみの価格です。

 

両社とも自由設計(フルオーダー)から企画型まであり、坪単価の幅が広いです。

 

比較するとトヨタホームよりもパナソニックホームズの方が平均単価が高いです。

 

 

どうして坪単価に違いがあるのかは、2章から詳しくわかります。

 

 

次節から各社の具体的な金額、自由設計と企画型違い、を詳しくみていきましょう。

 

 

1−1.パナソニックホームズの坪単価:60~100万円

 

こちらではパナソニックホームズの価格をもう少し詳しくみていきましょう。

 

 

 

主力商品は自由設計のCASART(カサート)。建物坪単価は、大手他社の中で中間の価格帯

 

自由設計と企画型は価格だけでなく、建物構法も異なるので注意

 

 

 

具体的な価格はコチラです。

 

 

 

■建物平均坪単価(税別)

自由設計:75~85万円

企画型:60~65万円

 

自由設計+延床面積30坪(約100㎡)で建物本体価格2,250〜2,550万円(税別)

 

自由設計と企画型で建物構造が異なる

 

坪単価90〜100万ほどの高額受注もある

 

 

 

パナソニックホームズの建物坪単価は60~100万円(税別)と幅が広いです。

 

中でも主力商品「CASART(カサート)」で75~85万円で提案される事例が多いです。

 

 

3LDK+畳コーナーの間取り、延床面積30坪(約100㎡)の建物価格の事例は以下のとおりです。

 

 

商品体系

間取り

建物本体価格例(税別)

自由設計

※CASART(カサート)

※坪単価70〜80万円(税別)

3LDK+畳コーナー

延床面積30坪(約100㎡)

2,250〜2,550万円

企画型

※Vesse(ヴェッセ)

※坪単価60〜65万円(税別)

 

1,800〜1,950万円

 

 

ここで注意点があります。

 

それは商品体系や構法、自由設計・企画型によって建物価格が変わることです。

 

例えば商品体系の場合、CASARTよりもワンランク上のCASART PREMIUMやCASART URBANがあります。

 

これらは坪単価90万円以上という事例もあります。

 

 

構法の場合、CASART(カサート)は軽量鉄骨造(HS構法)、Vieuno(ビューノ)は重量鉄骨造(NS構法)となります。

 

Vieunoでも坪単価90万円以上という事例もあります。

 

 

自由設計・企画型の場合、価格が変わることはみなさんイメージしやすいのではないでしょうか。

 

パナソニックホームズの企画型はVesse(ヴェッセ)という商品です。

 

ここで抑えておくべきは、VesseはCASARTと違う建物構法、ということです。

 

Vesseは、大型パネル構造(F構法)になります(建物構造は2章で詳しく紹介)。

 

 

Vesseについてはもうひとつ注意点があります。

 

それは29~40坪限定ということです。

 

この大きさ以外を希望の方は選択することができません。

 

Vesseは、基本的にオンライン上で、自分たちで間取りプランや設備を選択します。

 

ただし間取りプランの変更も一部可能のようですが、設計や仕様設備にルールが設けられていることが多いです。

 

事前に営業担当者に相談してから検討することをおすすめします。

 

北海道や近畿、四国、九州エリアでは販売していないところもあります。

 

詳しくはHPから事前に確認をしてください。

 

参照:Vesse(ヴェッセ) パナソニックホームズHP

 

 

とはいえ大手ハウスメーカーでこの価格は手の届きやすい範囲と言えます。

 

 

 

1−2.トヨタホームの坪単価:40~100万円

 

続いてトヨタホームの価格をもう少し詳しくみていきましょう。

 

 

 

主力商品は自由設計のSINCE(シンセ)。建物坪単価は、大手他社の中でお得な価格帯

 

自由設計と企画型は同じ鉄骨ラーメンユニット工法

 

 

 

具体的な価格はコチラです。

 

 

 

■建物平均坪単価(税別)

自由設計:60~70万円

企画型:40万円~

 

自由設計+延床面積30坪(約100㎡)で建物本体価格1,800〜2,100万円(税別)

 

坪単価90〜100万ほどの高額受注もある

 

 

 

トヨタホームの建物坪単価は40~100万円(税別)とパナソニックホームズ以上に幅が広いです。

 

中でも主力商品「SICE(シンセ)」で60~70万円で提案される事例が多いです。

 

 

3LDK+畳コーナーの間取り、延床面積30坪(約100㎡)の建物価格の事例は以下のとおりです。

 

 

商品体系

間取り

建物本体価格例(税別)

自由設計

※SINCE(シンセ)

※坪単価60〜70万円(税別)

3LDK+畳コーナー

延床面積30坪(約100㎡)


 

1,800〜2,100万円

企画型

※LQ(エルキュー)

※坪単価40万円~(税別)

1,200〜万円

 

 

トヨタホームも商品体系や構法によって建物価格が変わるで注意が必要です。

 

例えば、商品体系ですとシンセよりもワンランク上の商品であるESPACIO(エスパシオ)では坪単価90万前後という事例もあります。

 

ESPACIOは工法も変わります。

 

SINCEは鉄骨ラーメンユニット工法です。

 

ESPACIO(エスパシオ)は独自の鉄骨軸組工法「ET工法」を採用しています。

 

 

LQ(エルキュー)は企画型商品です。

 

LQの場合、パナソニックホームズのように建物構法は変わりません。

 

鉄骨ラーメンユニット工法です。

 

ただし35~38坪の30種類と、パナソニックホームズよりも選択肢が少ないので注意してください。

 

LQも間取りプランの一部変更が可能のようですが、設計や仕様設備にルールが設けられていますので、事前に営業担当者に確認することをおすすめします。

 

参照:LQ(エルキュー) トヨタホームHP

 

 

とはいえこの価格帯で60年保証にもできるのはメリットが大きいです。

(詳しくは9章で詳しく紹介)

 

大手ハウスメーカーでこの価格は手の届きやすい価格帯だと思います。

 

 

 

2.会社概要を比較

 

はじめにパナソニックホームズとトヨタホームの会社概要を簡単におさえておきましょう。

 

 

 

2020年1月より、両社ともプライム ライフ テクノロジーズ株式会社の子会社になった

 

 

 

各社の概要はコチラです。

 

こちらだけおさえて、次の章に進んでも大丈夫です。(次の構造の比較はコチラ

 

 

 

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

概要

1963年(昭和38年)に設立

 

 

業界初の地震による建替保証を開始

 

 

日本初の戸建住宅換気システムの空気清浄性能を実証

※0.3μmの粒子を99.97%除去するHEPAフィルター搭載の全館空調システムで実証

 

世界初住宅向けグリーンガード認証

 

2003年(平成15年)に設立 

※創業は1975年

 

業界初の品質管理の世界最高ランク「デミング賞」を受賞

 

 

業界でいち早く60年保証を開始

 

2018年から木造住宅にも進出

 

 

 

プライム ライフ テクノロジーズについてもう少し補足します。

 

同社は、パナソニック株式会社・トヨタ自動車株式会社・三井物産株式会社が株主となり、設立された会社です。

 

将来的には、今までの単に1施主と1住宅メーカーによる家づくりだけでなく、街単位でのIoT化、モビリティー化「CASE」(Connected(コネクティッド)、Autonomous(自動化)、Shared(シェアリング)及びElectric(電動化))計画も期待できる会社です。

 

2020年は街づくり第1弾として、愛知県に大型分譲地「MIYOSHI MIRAITO」が街びらきを迎えました。

 

住宅内には自然災害やコロナ禍による住まいの役割の変化に対応するために、

 

・トヨタ自動車と連携した非常時給電システム「クルマ de 給電」

・パナソニックの微粒子イオンの技術を活用した天井埋込形ナノイーX発生機「エアイーX」

 

の2アイテムを採用しています。

 

 

 

2−1.パナソニックホームズ・概要

 

パナソニックホームズは、1963年に松下電工(現パナソニック)の住宅事業として設立されました。

 

概要はコチラです。

 

 

 

業界初の地震による建て変え保証を開始

 

日本初の戸建住宅換気システムに空気清浄性能を実証

※0.3μmの粒子を99.97%除去するHEPAフィルター搭載の全館空調システムで実証

 

世界初住宅向けグリーンガード認証を取得

 

 

 

パナソニックホームズは、積水ハウスやダイワハウスに続き、工業化住宅の会社としては歴史が長く、第一人者のひとつです。

 

工業化住宅と聞くと、建物構造や性能にこだわりが強いというイメージを持たれる方も多いと思います。

 

もちろんパナソニックホームズも独自技術を採用したこだわりがあります。

 

それ以外にも業界初の地震による建替保証を開始するなど、保証・アフターサポートにも力を入れています。

 

(地震による建替保証の詳しい内容はコチラから)

 

また直近では、空気品質にこだわった全館空調システムの提案にも力を入れています。

 

2017年には、工業化住宅初の0.3μmの粒子を99.97%除去するHEPAフィルター搭載の全館空調システムを発売しました。

 

前年の2016年には、世界初住宅向けグリーンガード認証を取得しています。

 

グリーンガード認証とは、室内空気を汚さない低VOC※1放散製品に与えられる世界基準の認証制度です。

 

※1揮発性有機化合物(ホルムアルデヒドなどの有害物質)の略称

 

主には家具や建材が対象となっています。

 

パナソニックホームズでは、世界で初めて住宅向けの室内空気質で認証を受けました。

 

参照:一般社団法人プレハブ協会 環境シンポジウム2016

 

 

 

2−2.トヨタホーム・概要

 

トヨタホームは2003年設立と、他の大手ハウスメーカーと比較すると若いです。

 

ですが創業は1975年のトヨタ自動車の住宅事業部からはじまり、その歴史は他社同様に長いです。

 

 

 

業界初の品質管理の世界最高ランク「デミング賞」を受賞

 

業界でいち早く60年保証を開始

 

直近では木造住宅「MOKUA」にも力を入れている

 

 

 

トヨタホームのはじまりは、トヨタ自動車の住宅事業部からです。

 

パナソニックホームズ同様、工業化住宅を手掛ける大手ハウスメーカーのひとつです。

 

トヨタホームが他社と違う大きな点は、品質にこだわった建物を提供しており、どこよりも早く60年の長期保証を採用していることです。

 

(保証に関してすぐ知りたい方はコチラからどうぞ)

 

 

2018年には業界初の「デミング賞」を受賞しました。

 

デミング賞とは、1951年に創設されたTQM(総合品質管理)に関する世界最高ランクの賞です。

 

品質管理を長期にわたって実践してきた功績が認められた民間の団体および個人に授与されます。

 

トヨタホームの品質管理の高さをデミング賞で実証しました。

 

 

また2018年からは、鉄骨住宅だけでなく木造住宅(MOKUA)にも進出しました。

 

木造住宅は、2×4工法のMOKUAと木造軸組工法のMOKUA-Jの2商品を展開しています。

 

特に昨年から販売を開始したMOKUA-Jを通じて、今後木造住宅の取り組みを強化するとしています。

 

木造住宅全体の供給棟数は2020年度は約20棟、2021年度は現在50棟ペースで推移しています。

 

MOKUA-Jを積極的に展開していくことで3年以内には300棟を販売、今後の住宅供給棟数の1割を目標としています。

 

 

今後新設住宅着工棟数が減少していく中で、トヨタホームの木造事業が同社の経営にどう影響するか注目です。

 

 

 

3.建物構造を比較

 

続いて建物構造についてもみていきましょう。

 

まずは結論です。

 

 

 

結論

 

パナソニックホームズ

 

HS構法、NS構法、FB構法の3種類の鉄骨構造がある

 

主力の制震鉄骨軸組構造「HS構法」は制震フレームが標準仕様

 

 

トヨタホーム

 

鉄骨ラーメンユニット工法、EST工法の2種類の鉄骨構造がある

 

主力の鉄骨ラーメンユニット工法は制振装置がオプション仕様

 

 

 

各社の構造の特徴はコチラです。

 

 

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

基本構造

制震鉄骨軸組構造「HS構法」

 

鉄骨大型パネル構造「F構法」

 

重量鉄骨ラーメン構造「NS構法」

鉄骨ラーメンユニット工法

 

鉄骨軸組工法「EST工法」

特徴

■HS構法

制震フレームが標準仕様

 

■F構法

独自の大型パネルを採用したモノコック構造

 

 

 

■NS構法

3~9階建てまで建築が可能

 

■鉄骨ラーメンユニット工法

鉄骨ラーメンユニットを工場で生産

 

■EST工法

間取りの自由度を高めた独自の鉄骨軸組工法

 

曲線や斜めの外観デザインもできる

 

 

両社とも複数の建物構造を採用しています。

 

1.建物価格「坪単価」を比較でお伝えしたとおり、商品によって建物構造が変わります。

 

当然ですが、建物構造によって性能も変わります。

 

 

自分たちがどの構造なのか、ここでしっかりおさえておきましょう。

 

 

 

3−1.パナソニックホームズの建物構造

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

パナソニックホームズは設立当初から鉄骨住宅に特化した住宅メーカーです。

 

構造は3つの独自構法を採用しています。

 

 

特徴

 

制震フレームが標準仕様の鉄骨軸組構造「HS構法」

 

3階建て以上の重量鉄骨ラーメン構造「NS構法」

 

セミオーダー商品「Vesse」で採用されている大型パネル構造「F構法」

 

 

 

それでは各構法について詳しくみていきましょう。

 

 

3−1−1.パナソニックホームズの建物構造「HS構法」

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

最初にHS構法です。

 

 

結論

 

HS構法は、人気商品のCASART(カサート)シリーズに採用されている主力構造

 

 

 

まずはこのことをおさえておきましょう。

 

具体的な特徴コチラです。

 

 

特徴

制震フレームが標準仕様の鉄骨軸組構造

 

鉄骨の柱は80mm角。肉厚は3.2mm

 

15cmモジュールの設計対応が可能

 

HS構法対応商品はCASART(カサート)シリーズ

 

 

HS構法は、柱と梁で構成する軸組構造に制震フレームを標準装備した独自の構法です。

 

 

制震フレームは、4.耐震・制震性能を比較で詳しく紹介します。

 

 

ここでは、構造躯体の要である鉄骨材の厚みについてみてみましょう。

 

 

同構法は、下の図のように柱は80mm角、鋼材の厚み(肉厚)は3.2mmです。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

80mm角の鉄骨材は、柱1本で約5寸(約15cm)角の檜の柱に相当する強度があります。

 

具体的には100kN(キロニュートン)、つまり10tf(トンフォース)の長期荷重に耐えることができます。

 

 

ちなみにトヨタホームは125mm角を採用しています。

 

そのためトヨタホームの方が、柱1本に対する荷重は強いです。

 

 

しかし単に「柱が太い=構造が強い」ということではないので注意してください。

 

両社の違いは4.耐震・制震性能で詳しく紹介します。

 

 

鋼材の厚み(肉厚)は、パナソニックホームズもトヨタホームも3.2mmです。

 

これは鉄骨住宅メーカーの中で標準的な厚みになります。

 

 

ここでパナソニックホームズの特筆すべき点についてお伝えします。

 

それは15cmモジュールで設計できることです。

 

つまり15cmきざみで柱を横に、梁を上下に移動できるため、空間の広がりや天井高を細かく調整することが可能です。

 

鉄骨大手の積水ハウスやトヨタホームでも最小25cmきざみです。

 

 

細かい設計ができるのはパナソニックホームズの大きなメリットと言えます。

 

 

具体的な設計対応力は、10.設計・設計デザイン力を比較で詳しく紹介します。

 

 

 

3−1−2.パナソニックホームズの建物構造「NS構法」

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

次にNS構法です。

 

 

結論

 

NS構法は、Vieuno(ビューノ)に採用されている重量鉄骨ラーメン構造

 

 

 

まずはこのことをおさえておきましょう。

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

特徴

3階建て以上が対象の重量鉄骨ラーメン構造

※3階建てまではHS構法でも建築可

 

鉄骨の柱は150~300mm角。肉厚は公表無し

 

15cmモジュールの設計対応が可能

 

NS構法対応商品はVieuno(ビューノ)

 

 

NS構法は、重量鉄骨ラーメン構造です。

 

 

ここでラーメン構造ってなに?という方に簡単に補足です。

 

ラーメン構造とは、柱と梁を強く接合(剛接合)して強固なフレームを作り、建物を支える構造です。

 

ちなみにラーメンはドイツ語で「枠」と言います。

 

 

パナソニックホームズでは、150mm角の柱を高層ビルでも使われる高力ボルトで梁と接合します。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

鋼材の厚み(肉厚)は具体的な数値の公表はありませんでした。

 

しかし重量鉄骨造の基準が6mm以上のため、それ以上の厚みはあると予想されます。

 

 

ちなみにヘーベルハウスの重量鉄骨造は9mmです。

 

 

鋼材の厚みも耐震性に影響する大事な部分です。

 

鉄骨住宅メーカー数社で比較検討する際は、こちらの寸法も営業担当者に確認しておきましょう。

 

 

パナソニックホームズの特筆すべき点は、NS構法で9階建てまで建築できることです。

 

大手他社でも中高層建築自体の実績はあります。

 

しかしその多くが注文住宅の構造と異なることがほとんどです。

 

 

大手ハウスメーカーの中で、注文住宅の構造で9階建ての多層階を提案できるのはパナソニックホームズだけでしょう。

 

そしてNS構法でも15cm単位が可能です。

 

 

敷地が小さい+3階建て以上希望の方は、設計対応力が高いパナソニックホームズも検討しても良いかもしれません。

 

 

 

3−1−3.パナソニックホームズの建物構造「F構法」

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

3つ目は、セミオーダー商品「Vesse(ヴェッセ)」で採用されているF構法です。

 

 

 

結論

 

F構法は、独自の大型パネルを採用したモノコック構造

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

特徴

鉄骨造の大型パネル構造

 

独自の大型パネル「パワテックパネル」を採用したモノコック構造

 

鉄骨の柱、肉厚の詳細な公表無し

 

F構法は敷地に余裕がある郊外エリアの施工が多い

※企画商品Vesse(ヴェッセ)も含む

 

 

F構法は、独自の大型パネル「パワテックパネル」を採用した大型パネル構造です。

 

大きな特徴は、同構法はモノコック構造ということです。

 

 

ここでモノコック構造について簡単に補足をします。

 

モノコック(monocoque)とは、フランス語で、一つの(mono)殻(coque)、という意味です。

その名の通り、まさに卵の構造が「モノコック構造」です。

 

 

大雑把に例えるなら卵です。

 

卵の殻自体は、薄く割れやすいですよね。

 

けれど、試しに握って壊そうとするとどうでしょうか。

 

意外ですが、かなり握力のある大人の男性でも、握りつぶすのは困難です。

(実際に私もやってみましたが、無理でした。)

 

 

これはパスカルの原理などいろいろな説がありますが、外側の殻全体が一体化されることで、力を分散して簡単に割れない強さを保つことができるからです。

 

 

※上の画像出典:三井ホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

このモノコック構造は、スペースシャトルや新幹線でも使われている技術です。

 

高さや速さがある分、機体に加わる外力はものすごいですが、モノコック構造によりバランスよく分散させることができます。

 

つまり建物の場合、地震の際に建物全体で力を分散し、揺れを抑えて高い耐震性能を発揮することができます。

 

 

パナソニックホームズは、独自の大型パネル「パワテックパネル」により、床・壁・天井を一体化させたモノコック構造を実現しています。

 

 

パワテックパネルとは、下図のように構造用面材を鋼製フレームにビス止めしたパネルです。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

パワテックパネルは、震度5弱程度の地震力を受けた時の変形量は1/400程度です。

 

建築基準法(施行令)で定められた変形量は1/200です。

 

つまり半分程度までおさえることができます。

 

 

さらにF構法は、HS構法でも標準仕様としている制震フレームが間仕切り壁に採用されています。

 

 

ただしHS構法のアタックフレームとは異なる点がありますので、こちらは4.耐震・制震性能を比較で詳しくわかります。



これらの仕様でHS構法(制震鉄骨軸組構造)よりもお得に建てることができる点はメリットです。



一方でF構法のデメリットもあります。

 

それは設計基準が厳しく、屋根型や間取り、窓などがHS構法よりも自由度が少ないという点です。

 

そして全館空調エアロハスの設置も不可としています。

 

とはいえ比較的敷地にゆとりがある郊外エリアでは、設計基準の制約に該当することが少なく、同構法で建築される方も多いようです。

 

敷地にゆとりがあり、エアロハスを導入されない場合は、同構法で検討しても良いかもしれません。

 

 

 

3−2.トヨタホームの建物構造

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

トヨタホームも、パナソニックホームズ同様、鉄骨住宅に特化したハウスメーカーです。

 

2018年からは木造住宅も手掛けるようになりました。

 

まずはこちらの特徴をおさえておきましょう。

 

 

特徴

 

鉄骨ラーメンユニットを工場で生産する「鉄骨ラーメンユニット工法」

 

間取りの自由度を高めた独自の鉄骨軸組構造「EST工法」

※建物を曲線加工斜め加工もできる

 

2018年に2×4工法「MOKUA」、2020年に木造軸組工法「MOKUA-J」を新発売

 

 

 

それでは各構造について詳しくみていきましょう。

 

 

 

3−2−1.トヨタホームの建物構造「鉄骨ラーメンユニット工法」

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

最初に鉄骨ラーメンユニット工法です。

 

 

結論

 

鉄骨ラーメンユニット工法は、人気商品のSINCE(シンセ)シリーズに採用されている主力構造

※企画商品LQ(エルキュー)でも採用

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

特徴

鉄骨ラーメンユニットを工場で生産

 

鉄骨の柱は125mm角。肉厚は3.2mm

 

柱と梁の接合部には変形を防止するための「変形防止プレート」を採用

 

同工法の対応商品はSINCE(シンセ)シリーズ

 

 

鉄骨ラーメンユニット工法は、パナソニックホームズでもお伝えした、柱と梁を強く接合したラーメン構造です。

 

この柱と梁で接合されたユニットを自社工場で生産します。

 

そして現場でユニット同士を組み合わせて住宅を建築していきます。

 

 

ユニット工法は鉄骨の太さや接合部の強度にこだわりがあります。

 

鉄骨材は、柱は125mm角、鋼材の厚み(肉厚)は3.2mmです。

 

パナソニックホームズと比較すると、柱はトヨタホームの方が厚く、鋼材の厚みは同等です。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

具体的にはパナソニックホームズの80mm角に対して、トヨタホームを採用しています。

 

強度についてはパナソニックホームズの約1.8倍の178.4kNとしています。

 

 

ラーメン構造の弱点となりやすい梁と柱の接合部にもこだわっています。

 

こちらは下図のように、「変形防止プレート(ダイアフラム)」を内蔵しています。

 

プレートが無い場合と比較して約35倍の接合強度を発揮します。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

ただし設計対応力については、予めユニットのサイズが決まっているため注意が必要です。

 

具体的な設計対応力は、10.設計・設計デザイン力を比較で詳しく紹介します。

 

 

 

3−2−2.トヨタホームの建物構造「EST工法」

 

※上の画像出典:トヨタホームカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

つづいてEST工法です。

 

 

結論

 

間取りの自由度を高めた独自の鉄骨軸組構造「EST工法」

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

特徴

梁勝ち構造のため、間取りや窓も柔軟に対応

 

鉄骨の柱角、肉厚の公表無し

 

カーブ状の外観などの提案が可能

 

同工法の対応商品はエスパシオシリーズ

 

 

※EST工法はEvolutional System of TOYOTAの頭文字と、お客様に最上級の住まいをお届けしたいという願いを表しています。

 

 

EST工法と鉄骨ラーメンユニット工法の大きな違いは、「間取りの自由度」です。

 

同工法は、ユニット工法ではなく軸組工法です。

 

さらに柱の位置を変えることができる梁勝ちシステムを採用しています。

 

梁勝ちシステムは、一般的な軸組工法の通し柱の成約がありません。

 

そのため下図のようにフロアごとに柱を変えることが可能です。

 

※上の画像出典:トヨタホームカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

加えて独自の耐力壁「ラチス柱」の強度が高いため、耐力壁の数も少なくすみます。

 

 

つまり柱や壁の位置に制限が少なく、自由度が高い間取りプランが可能となります。

 

 

ここで「ラチス柱」について簡単に紹介します。

 

ラチス柱とは、下図のように左右2本の柱の間にジグザグ状のラチス材を形成したものです。

 

ブレースの弱点となりがちな圧縮に弱い点にも対応しており、圧縮・引張の両方にバランス良く耐えることができます。

 

強度実験において、幅1mあたりの許容耐力は一般的なブレース工法の約4倍です。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

EST工法はジョイント部分にもこだわっています。

 

ジョイント部分には、トヨタ規格の国土交通大臣の強度指定されている高強度ボルトを使用されています。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

ただし残念ながら詳細な公表はありませんでした。

 

 

EST工法の設計自由度は、間取りプランだけでなく、外観デザインも違います。

 

特に、他の鉄骨メーカーでもあまり見ない「カーブ状の外観」を作り出すことができ、オリジナル性を高めることができることが大きな特徴です。

 

デザインについては、10.設計・デザインを比較で詳しく紹介します。

 

 

 

3−2−3.トヨタホームの建物構造「MOKUA」

 

MOKUAは木造住宅です。

 

まずは結論です。

 

 

 

結論

 

2018年に木造住宅も販売開始

 

今後、トヨタホームの住宅供給棟数1割を目標としている

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

特徴

木造住宅は、2×4工法の「MOKUA」と木造軸組工法の「MOKUA-J」がある

 

分譲限定・地域限定商品である

※東京、名古屋、大阪を中心に販売予定

 

 

残念ながら構造についての詳細な公表はありませんでした。

 

MOKUAシリーズは、トヨタホーム初の木造住宅です。

 

2018年にMOKUA、2020年にMOKUA-Jが発売されました。

 

 

ただし分譲地+地域限定(東京、名古屋、大阪)商品になります。

 

施工事例では、神奈川や滋賀の分譲地の実績があります。

 

 

今後は、木造住宅を住宅供給棟数の1割を目標としていますので注目です。

 

 

 

4.耐震・制震性能を比較

 

ハウスメーカー選びをする上では、最重要視すべき点が「耐震性」です。

 

こちらでは、パナソニックホームズとトヨタホームの耐震性を徹底的に比較して、その違いがわかります。

 

まず結論です。

 

 

 

結論

 

過去の地震による被害

 

過去の震災で倒壊ゼロを明示しているパナソニックホームズの方が耐震性の実証性が高い

 

 

過去の地震波を再現した実験

 

 

建物全壊率が高い地震を含めた複数の地震波を検証しているパナソニックホームズの方が耐震性の実証性が高い

 

建物の余力を測る実大実験

 

両社とも大手各社と比較すると、耐震性の余力を実証できているとは言えない

 

ただしパナソニックホームズは全11種の地震波の検証と100回以上に及ぶ加振後に東海地震を想定した限界加振で耐震実験をしているため信憑性は高い

 

 

揺れの抑制(制震)性能

 

両社とも実大実験による建物変形量の明示がないため、揺れの抑制力は不明

 

ただし、パナソニックは以前の仕様にて、1階のみの部分実験は行っている

 

 

基礎及び基礎と構造躯体の接合強度

 

基礎の強度及び構造躯体の接合強度のトータルでみるとパナソニックホームズの方が優れている。

 

ただし構造躯体との接合方法はトヨタホームも安心である

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

過去の地震による被害

兵庫県南部地震、東北地方太平洋沖地震、熊本地震で倒壊ゼロ

 

詳細な公表無し

 

実大耐震実験による実証

■2階建てHS構法

最大加速度2,700gal

最大速度161kine

 

■2階建てユニット工法

最大加速度1,147gal

揺れの抑制(制震)性能

詳細な公表無し

 

幅900mmの耐力壁で、アタックダンパーの余力実験を実施

震度7相当200回以上相当で性能がほとんど変わらないことを確認

 

詳細な公表無し

 

基礎及び基礎と構造躯体の接合強度

制震フレーム「アタックフレーム」の接合にM24アンカーボルトを採用

 

基礎の耐用年数は60年以上

構造躯体との接合部をアンカーボルトの他グラウト材で強固に固定

 

 

 

基礎の耐用年数公表無し

 

 

 

両社とも実大実験を実施しています。

 

公表されている情報から比較すると、パナソニックホームズの方が耐震性が高いと言えます。

 

耐震性の比較は、下の3つで評価しています。

 

 

 

・過去の震災被害による建物被害はどうだったのか

 

・過去の建物被害が大きかった地震波で実大実験を行っているか

 

・将来起こりうる巨大地震を想定した建物の余力を確認する実大実験を行っているか

 

 

 

しかしパナソニックホームズも大手他社と比較すると、決して耐震性トップクラスとは言えません。

 

 

また、両社とも耐震実験は基礎無しです。

 

やはり、基礎基礎と構造躯体の接合部分の強度重要ですので、その違いにも迫っていきます。

 

 

 

4−1.過去の震災での被害状況

 

こちらでは過去の大きな地震による建物被害について紹介します。

 

過去の地震による被害の有無は、ハウスメーカー選びの際に重要視される項目のひとつです。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

過去の震災で倒壊ゼロを明示しているパナソニックホームズの方が耐震性の実証性が高い

 

 

 

両社の具体的な公表はコチラです。

 

 

 

過去の震災での被害状況

パナソニックホームズ

兵庫県南部地震、東北地方太平洋沖地震、熊本地震で倒壊ゼロ

 

※以下は各震災エリアの建物棟数

熊本地震:3,946棟

東北地方太平洋沖地震:158,290棟

兵庫県南部地震:14,941棟

 

トヨタホーム

詳細な公表無し

※EST工法のみ兵庫県南部地震の倒壊ゼロを明示

 

 

パナソニックホームズでは、兵庫県南部地震、東北地方太平洋沖地震、熊本地震において倒壊ゼロを明示しています。

 

直近2016年に発生した熊本地震においても倒壊ゼロを明示している点はとても好感が持てます。

 

 

特に建物の数(=施工実績)も明示しているのは非常に説得力があります。

 

 

例えば熊本地震で被害無しと言っても、ハウスメーカーによっては施工実績が少ないケースがあります。

 

当たり前ですが施工実績10棟と1,000棟の会社では説得力が違いますよね。

 

 

つまり被害状況の明示だけでなく、被災地エリアの施工実績がどの程度かも重要です。

 

 

パナソニックホームズは、上記表のとおり過去の震災による施工実績を明示しています。

 

 

倒壊ゼロと施工実績をきちんと明示している点で、トヨタホームよりも耐震性の実証性が高いと言えるでしょう。

 

 

一方で注意点もあります。

 

それは、「倒壊ゼロ」です。

 

一般的に多くのハウスメーカーは、「全半壊ゼロ」と公表していることが多いです。

 

 

では「全半壊ゼロ」と「倒壊ゼロ」はなにが違うのか?

 

 

「 倒壊ゼロ 」は大破・半壊している可能性があります。

 

 

もう少し具体的に解説します。

 

「倒壊」には、損傷具合の定義が明確になっていません。

 

現行の建築基準法では「震度6強~震度7程度で倒壊・崩壊しないこと」とされています。

 

つまり悪い見方をすると、大破や半壊という大きな被害はあるが倒壊はしていなければ「倒壊なし」とも言えてしまうということです。

 

この定義は曖昧な表現のため、心配な点です。

 

 

パナソニックホームズには、ぜひ倒壊ゼロの根拠となる定義を具体的に提示されることを期待しております。

 

 

では全半壊ゼロなら被害無しと言えるのか。

 

実はこれも少し違います。

 

「全壊・半壊ゼロ」でも一部損壊の可能性があります。

 

 

災害対策基本法第90条の2に基づく罹災証明の基準に基づく「半壊」の定義は、

 

・損壊部分がその住家の延床面積の 20%以上 70%未満のもの

 

・または住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割合が 20%以上50%未満のもの

 

としています。

 

つまり仮に建物全体の19%の部位が損壊し、そこにご家族がいて被害に遭ってしまっても、「一部損壊」ということになります。

 

 

一部損壊でも、本震後の余震で住み続けなくなる可能性もあります。

 

 

とはいえ倒壊ゼロと違い、建物の損傷具合を数字で表しているので具体的な根拠はあります。

 

 

「全半壊ゼロ」を明示しているハウスメーカーには、「一部損壊」についても明示してもらえると、より耐震性の実証ができていると言えますので、今後の公表に期待したいですね。

 

 

 

4−2.実大実験での比較|過去の地震波を再現した実験

 

次に「過去の地震波を再現した実大実験をしているかどうか」、その内容でパナソニックホームズとトヨタホームを比較していきます。

 

まずは結論です。

 

 

結論


パナソニックホームズの方が、過去の地震波の実大実験において耐震の実証性が高い(2021年7月13日時点)



以下、各社の実験内容をまとめました。



実大実験

会社

パナソニックホームズ(2011年)

トヨタホーム(2003,2008年)

建物構造

屋根(陶器瓦)、外壁(キラテック)、窓、室内壁や建具、家具も施工した実際の荷重に近い建物で実験

※太陽光パネル搭載

※基礎無し(大林組指定の鋼製の基礎を使用)

屋根、外壁、窓、室内壁や建具なども施工した実邸に近い建物で実験

※太陽光パネル搭載

※基礎無し

実験結果

■HS構法

試験体:2階建

連続加振:140回(計3日間)

※震度5強以上57回、震度4~5弱83回

※57回加振の内、震度7相当10回

最大加速度:2,700gal

最大速度:161kine

実験結果:損傷なし

※窓ガラスやタイルの脱落も無し





■F構法

試験体:2階建て

連続加振:72回

最大加速度:1,224gal

最大速度:161kine

実験結果:損傷無し


■NS構法

詳細な公表無し

■ユニット工法

試験体:2階建

連続加振:90回

※耐震構造:35回、耐震+制震構造、55回の合計

※90回加振の内、震度6以上17回

最大加速度:1,147gal

最大速度:公表無し

実験結果:損傷無し

※一部シーリングの(指で押せば簡単に補修できるレベル)剥離有り

※窓ガラスやタイルの脱落も無し


EST工法(エスパシオ)

詳細な公表無し




■木造軸組工法(MOKUA-J)

詳細な公表無し


■2×4工法(MOKUA)

詳細な公表無し

過去の地震の再現実験

・1995年兵庫県南部地震神戸波(建物全壊・大破率約2.5%)


・2004年新潟県中越地震川口町波建物全壊・大破率約18%)


・2011年東北地方太平洋沖地震築館波建物全壊・大破率約0%)


(・想定東海地震)

・1995年兵庫県南部地震神戸波?

(建物全壊・大破率約2.5%)


(・予測東海地震)








 

パナソニックホームズもトヨタホームも耐震等級の最高等級3が標準仕様です。

(3階建て以上など、一部建物によって異なる場合有り)

 

しかし耐震等級3だから安心というわけではありません。

 

耐震等級3で想定している地震波はgal(ガル・加速度)が約600程度のものです。

 

やはり、実大実験での耐震性の実証が重要です。

 

 

両社の実大実験は、基礎を除き実邸に近い建物で実証できています。

 

現時点ではパナソニックホームズの方が、過去の地震波の実大実験において耐震性の実証性が高いと言えます。

 

では両社の実験の詳細をもう少し深堀りしていきます。

 

 

 

4−2−1.パナホームの耐震実験(2011年)

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

実大実験は、軽量鉄骨造であるHS構法(制震鉄骨軸組構造)、F構法(大型パネル構造)で実施しています。



まずは結論です。



結論


耐震実験は2種類の軽量鉄骨造であるHS構法、F構法で実施


建物全壊率が高い地震波でも実証しているため、トヨタホームよりも耐震性の実証性が高い



各構法の実験結果はコチラです。

 

 

 

HS構法

NS構法

F構法

試験体

2階建て

公表無し


 

 

 

 

 

2階建て

実験結果

損傷なし

※窓ガラス破損やタイル脱落も無し

損傷なし

※詳細な公表無し

地震波

兵庫県南部地震、新潟県中越地震など多数

一部公表有り

※新潟県中越地震

連続加振

計140回

震度5強以上57回

内震度7を10回

震度4~5弱83回

計72回

※詳細な公表無し

最大加速度

2,700gal

公表無し


 

最大速度

161kine

 

 

パナソニックホームズでは、HS構法とF構法の2階建てで実験を行っています。

 

HS構法では、兵庫県南部地震や新潟県中越地震、東北地方太平洋沖地震など多数の地震波で検証しています。

 

F構法においても、東北地方太平洋沖地震を除くHS構法と同様の地震波で実証をしています。


中でも特筆すべき点は、建物全壊・大破率約18%の新潟県中越地震の川口町で観測された地震波で実験をしていることです。

 

 

ここで建物全壊・大破率の高い地震波について簡単に補足です。

 

どうゆうこと?と思った方もいるかと思います。

 

簡単にお伝えすると、同じ震度7でも建物全壊・大破率が大きく異なるケースがある、ということです。

 

例えば、兵庫県南部地震の神戸波建物全壊・大破率約3.2%です。

 

東北地方太平洋沖地震の築館波0%です。

 

 

一方で兵庫県南部地震の鷹取波は建物全壊。大破率約34.9%です。

 

また新潟県中越地震の川口波は約18.0%です。

 

熊本地震の宮園波は約30.8%です。

 

 

このように同じ震度7でも、建物全壊・大破率が大きく違うのがわかりますよね。

 

この違いは、もちろん築年数もあります。

 

しかし近年の研究結果で、建物被害はkine(カイン・速度)と振動の周期がより大きく影響していることがわかっています。

 

具体的には、kine(速度)が速く、かつ周期1~2秒以内の強震です。

 

より詳しく知りたい方はコチラをどうぞ。

 

 

両社の耐震実験に話を戻ります。

 

パナソニックホームズは、新潟県中越地震の川口波で実証実験をしています。

 

また周期の公表はありませんが、想定東海地震波とした161kineの大きな速度での地震動も検証しています。

 

これら点で、トヨタホームよりも耐震性の実証性が高いと言えます。

 

 

ただし抑えておくべき注意点が2つあります。

 

1つ目は、全壊・大破率が高かった熊本地震の益城町で観測された183.5kineレベルの耐震性能を証明できていないことです。

 

2つ目は、建物全壊・大破率が高い地震波の加振回数が公表されていないことです。

 

 

この2点は、今後起こりうる大きな地震に対して建物の余力を知るとても重要なポイントです。

 

 

こちらは次節にて詳しくお伝えします。

 

 

 

4−2−2.トヨタホームの耐震実験(2003,2008年)

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

実大実験は、ユニット工法で行っています。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

耐震実験は主にユニット工法で実施

 

制振装置有り・無しの2パターンで実証

 

ただし建物全壊率が高い地震波はなく、耐震性の実証性は弱い

 

 

 

各工法の実験結果はコチラです。

 

 

ユニット工法
(軽鉄ラーメン)

EST工法

(軽鉄軸組)

MOKUA・MOKUA-J

(木造軸組・2×4)

試験体

2階建て

公表無し

公表無し

実験結果

損傷無し

※一部シーリングの(指で押せば簡単に補修できるレベル)剥離有り

地震波

兵庫県南部地震

連続加振

計90回

制震装置無し35回

制震装置有り55回

※上記2つ内震度6以上を17回

最大加速度

1,099gal

最大速度

公表無し

 

トヨタホームでは、ユニット工法のみ実大実験を行っています。

 

残念ながらパナソニックホームズのような詳細な地震波の明示はありませんでした。

 

 

ただし同社が検証した地震波は、建物全壊率が高い地震波と言えない可能性があるため注意が必要です。

 

 

公表ベースでは、兵庫県南部地震を再現した地震波としています。

 

これが「神戸波」だった場合、建物全壊率は約3.2%です。

 

 

ちなみにトヨタホームの実証実験は2003,2008年に実施しており、地震波のgal(ガル・加速度)数が注目されていた時期です。

 

そのため兵庫県南部地震でもgal(ガル)数値が高かった神戸波で実証している可能性が高いと言えます。

 

 

以上の点から、詳細な地震波の公表がなく、gal(ガル・加速度)数のみ公表している点を考慮すると、パナソニックホームズと比較して耐震性の実証性は弱いと言わざるを得ません。

 

 

 

4−3.実大実験での比較|建物の余力を測る実大実験

 

日本各地で近い将来大きな地震が起きるとされている中で、熊本地震以上の建物被害率が高い地震波が、何回も連続で襲ってこないと断言できる人はいないはずです。

 

つまり実大実験でも、「震災後に想定外の地震がきた」とならないように余力を実証することが重要となります。

 

 

はじめに結論をお伝えすると、

 

結論


両社とも大手各社と比較すると、耐震性の余力を実証できているとは言えない


トヨタホームよりパナソニックホームズの方が、建物全壊率が高い地震波による実験や加振回数において実証性が高い

(2021年7月13日現在)



以下、各社の実大実験をまとめた表です。

 

過去の地震波以上の余力を測る実大実験

パナソニックホームズ(2011年)

トヨタホーム(2003,2008年)

■HS構法

試験体:2階建

連続加振:140回(計3日間)

※震度5強以上57回(内震度7相当10回)、震度4~5弱83回


最大加速度:2,700gal

最大速度:161kine

実験結果:損傷なし

※窓ガラスやタイルの脱落も無し




■F構法

試験体:2階建て

連続加振:72回

最大加速度:1,224gal

最大速度:161kine

実験結果:損傷無し


■NS構法

詳細な公表無し





■ユニット工法

試験体:2階建

連続加振:90回

※耐震構造:35回、耐震+制震構造、55回の合計

※90回加振の内、震度6以上17回

最大加速度:1,147gal(耐震+制震)

最大速度:公表無し

実験結果:損傷無し

※一部シーリングの剥離(指で押せば簡単に補修できるレベル)有り

※窓ガラスやタイルの脱落も無し


EST工法(エスパシオ)

詳細な公表無し




■木造軸組工法(MOKUA-J)

詳細な公表無し


■2×4工法(MOKUA)

詳細な公表無し

 

ユームの見解は、三井ホームやヘーベルハウスのような建物全壊率が高い複数の地震波を連続加振することが、建物の余力を測る耐震性において重要であると考えます。

 

 

近年、地震の専門家の発表でkine(カイン:速度)と周期(キラーパルス)によって建物倒壊率が大きく変わることがわかっています。

 

熊本地震や兵庫県南部地震でも、この相関性による該当エリアで甚大な建物被害が出ました。

 

そしてこういった大きな地震は、発生後も余震活動が続きます。

 

熊本地震のような震度7が前震と本震に分けて複数発生する可能もあります。

 

 

つまり建物全壊率が高い複数の地震波で連続加振を実証できていないと、耐震性が実証された安心な建物とは決して言い難いです。

 

 

それでは過去の地震と比較して重要事項をもう少し深堀りしていきます。

 

 

4−3−1.パナソニックホームズの耐震実験(2011年)

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

まずは結論です。

 

まずは結論です。

 

結論


パナソニックホームズの2階建軽量鉄骨の2商品とも、震度7相当の実大実験の加振回数を明示

100回以上に及ぶ加振後に東海地震を想定した限界加振で耐震性を実証しているため、耐震性の余力の信憑性が高い

トヨタホームよりも耐震性の余力の信憑性が高いと言える



各構法の実験結果はコチラです。



 

HS構法

(軽量鉄骨軸組)

NS構法

(重鉄)

F構法

(軽量鉄骨+面材)

試験体

2階建て

公表無し

2階建て

実験結果

損傷なし

※窓ガラス破損やタイル脱落も無し

損傷なし

※詳細な公表無し

地震波

兵庫県南部地震、新潟県中越地震など多数

一部公表有り

※新潟県中越地震

連続加振

計140回(計3日間)

震度5強以上57回

内震度7を10回

震度4~5弱83回

計72回

※詳細な公表無し

最大加速度

2,700gal

公表無し

最大速度

161kine

 

はじめに過去に起きた地震波での実証をみていきましょう。

 

まずは加速度:galです。

 

こちらは新潟県中越地震小千谷波の1,308galと東北地方太平洋沖地震築館波の2,700galで実証しています。

 

つまり加速度においてこの2つの地震クラスが発生してもHS構法の家は倒壊しない可能性が高いことがわかります。

 

 

続いて速度:kineです。

 

こちらは冒頭お伝えした通り、同じ震度7でも速度:kineと周期による相関性が建物全壊率に起因していることがわかっています。

 

ちなみに東北地方太平洋沖地震の築館波は、観測史上最大級の加速度を記録していますが、最大速度は106kineと過去の震災の中ではそれほど高い数値ではなく、建物全壊・大破率は0%でした。

 

kineにおいては、パナソニックホームズは建物全壊・大破率約18.0%の新潟県中越地震川口波で実証しています。

 

この点は、トヨタホームと比較して安心できると言えます。

 

 

 

ただし同地震波よりも被害が大きかった兵庫県南部地震鷹取波(建物全壊・大破率34.9%)や熊本地震宮園波(建物全壊・大破率30.8%)の実証はできていません。

 

そのためこれらの地震波と比較すると不安が残ります。

 

 

続いて加振回数です。

 

加振回数は、繰り返し起こる本震・余震を想定したとき、建物がどれだけ耐えれるかを測る重要な指標です。

 

特に熊本地震では、発生から2017年3月21日までの間に震度4以上の本震・余震が141回起きたと言われています。

 

 

パナソニックホームズでは、震度5強以上57回(内震度7相当を10回)、震度4~5弱を83回加振しています。

 

これら合計140回の加振を3日間にかけて行っています。

 

さらに同実験では、135回目に限界加振である東海地震を想定した161kineの地震波を検証しています。

 

そしてこの限界加振後、もう一度兵庫県南部地震の神戸波で検証しています。

 

繰り返し余震が起きることを想定し、100回以上に及ぶ加振後さらに厳しい条件下で耐震実験を実証している点はさすがの一言です。



今後は、熊本地震のような建物倒壊率が高い地震波やそれ以上の地震波でも実証してもらいたいですね。

 

ここで余談になりますが、耐震実験における窓の余力についても特徴的な点を1つ紹介します。

 

窓の余力というのは、耐震実験において窓ガラスが破損しなかったどうかです。

 

もちろんパナソニックホームズの耐震実験では、窓ガラスの破損はありません。



ただし同社の実験で特徴的なのは、窓の鍵を締めて検証していることです。

 

実験体は、実際のお住いを想定した掃き出し窓を複数設置しています。



大きな地震において、窓の鍵が締まっていると窓ガラスも固定されるため、揺れによる負荷が窓ガラスにも集中しやすくなります。

 

つまり窓ガラスが割れるリスクが高くなります。



パナソニックホームズではこの条件下でも、すべての実験を通して窓ガラスが割れることはありませんでした。



大きな地震では窓ガラスの割れによる怪我のリスクもあります。

 

その点で、厳しい条件下でも窓ガラスの破断がないパナソニックホームズは安心であると言えます。

 

 

 

4−3−2.トヨタホームの耐震実験(2003,2008年)

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

先に結論です。

 

結論


震度7相当の加振回数の明示がない

建物全壊率が高い地震波での実証がない

以上のことから建物の余力への不安が残る



各構法の実験結果はコチラです。



 

ユニット工法
(軽鉄ラーメン)

EST工法

(軽鉄軸組)

MOKUA・MOKUA-J

(木造軸組・2×4)

試験体

2階建て

公表無し

公表無し

実験結果

損傷無し

※一部シーリングの(指で押せば簡単に補修できるレベル)剥離有り

地震波

兵庫県南部地震

連続加振

計90回

制震装置無し35回

制震装置有り55回

※上記2つの内震度6以上を17回

最大加速度

1,099gal

最大速度

公表無し

 

トヨタホームは残念ながら速度:kineによる公表がありませんでした。

 

そのため加速度:galを中心に紹介します。

 

実大実験で検証された詳細な地震波の公表はありませんが、最大加速度1,099galで実証しています。

 

しかしパナソニックホームズでお伝えしたとおり、新潟県中越地震などは同数値以上を記録しています。

 

 

つまり直近に発生した大きな地震と比較すると、実証している加速度:galは不安が残ると言わざるを得ません。

 

 

そして加速度:gal以上に重要な、建物全壊率が高い(速度:kineと周期による相関性がある)地震波の実証がないことも非常に不安が残ります。

 

 

続いて加振回数です。

 

トヨタホームでは、耐震構造35回、耐震+制震構造55回の合計90回の加振を行っています。

 

しかし残念ながら震度7相当の加振回数の明示はなく、実大実験を実施した2つの構造で震度6以上を合計17回と明示しています。

 

 

こちらについても、建物の余力を測る耐震性の実証性ができているかという点で不安が残ります。

 

 

今後、建物全壊率が高い地震波による連続加振の実証実験の実施を期待したいですね。

 

 

 

4−4.揺れの抑制(制震)性能の比較

 

大きな地震の際には、揺れによる建物の損傷や家具の転倒による怪我などのリスクがあります。

 

パナソニックホームズとトヨタホームの揺れの抑制についてもみていきましょう。

 

 

まず結論です。

 

 

結論

 

両社とも実大実験による建物変形量の明示がないため、揺れの抑制力は不明

 

ただし1階のみの部分実験は検証しているパナソニックホームズの方が安心

 

 

 

揺れの抑制を比較した表は以下になります。

 

 

揺れの抑制(制震)性能の比較

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

制震装置

■アタックフレーム

独自開発をした座屈拘束+低降伏点鋼を使用したアタックダンバーを採用

■T4システム(オプション仕様)

地震の揺れをオイルが吸収するトヨタホーム独自の制震装置

特徴

超高層ビルの技術でも使われる座屈拘束材と変形力が高い低降伏点鋼が、引張・圧縮の両方で耐力を発揮

 

シリコーンオイルと回転体を使って、地震のエネルギーを熱に変換して揺れを抑制する

実証実験

■実大実験

建物変形に関する詳細な公表無し

 

 

 

 

 

■アタックフレーム単体の変形試験

 

東北地方太平洋沖地震築館波の1.2倍に相当する変形試験を180回実施した結果、ほとんど性能は変わらない

 

■部分実験(1階のみ)

大地震波を想定した地震波の30%,100%,150%の3種類を加振

 

150%の加振で建物変形量18mm

 

■実大実験

建物変形に関する詳細な公表無し

 

震度6以上の地震波による変形量(2階床と天井の変形差)を20~70%低減

 

 

 

では両社がどのような実証をしているか詳しくみていきましょう。

 

 

 

4−4−1.パナソニックホームズの揺れの抑制(制震)性能

 

先に結論です。

 

 

結論

 

制震フレームが標準仕様とするも、実大実験による建物変形量の明示は無し

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

特徴

実大実験による建物変形量の詳細な公表無し

 

高耐力制震フレーム「アタックフレーム」標準仕様

 

アタックフレーム単体では、震度7の地震200回以上に相当する地震エネルギーを加えても性能がほとんど低下しない

 

 

 

「アタックフレーム」は、HS構法・F構法で標準採用されている制震フレームです。

(F構法は間仕切りの一部に使用)

 

簡単にお伝えすると、制震機能を備えた耐力壁です。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

アタックフレームは、一般的な鉄骨造の耐力壁で採用されているブレースではなく、独自で開発した「アタックダンパー」を採用しています。

 

アタックダンパーとは、上図のアタックフレームの斜材部に採用されている構造材です。

 

一般的に斜材部はブレースが使われることが多いです。

 

しかしブレースは引張に強く、圧縮に弱いという特徴があります。

 

つまり一度大きな圧縮力が加わると座屈※1してしまい、それ以降十分な機能を果たせなくなってしまう可能性があります。



※1 座屈とは、急激に部材の耐力低下を引き起こす現象。一般的なブレースの場合、座屈を起こすと大きくたわんでしまい元に戻らなくなる

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

「アタックダンバー」は座屈拘束材と低降伏点鋼のプレートを組合せることにより、ブレースのように圧縮に弱いということがなく、持続的に地震の揺れを抑えます。



もう少しアタックダンパーについて詳しく紹介します。

 

ポイントは、座屈拘束材と低降伏点鋼です。

 

座屈拘束材とは、簡単に言うと圧縮力・引張力に強いという鋼材です。

 

超高層ビルの制震技術でも採用される代表的な構造材です。



参照1:戸田建設HP

参照2:パナソニックホームズHP

 

低降伏点鋼の斜材プレートとは、簡単に言うと伸びやすい鋼材のプレートです。



伸びやすいだけでなく、弾性力(元に戻りやすい)もあります。

 

つまり引張力に強い構造材です。



参照1:一般社団法人 日本鉄鋼連盟HP

参照2:パナソニックホームズHP



座屈拘束材に囲われた低降伏点鋼は、座屈拘束剤の内部で点溶接されています。

 

つまり座屈拘束材と低降伏点鋼は完全に密着しているわけではありません。



両者を例えて言うと低降伏点鋼が刀、座屈拘束材が鞘といったイメージです。

 

引張力を受けたときの動きは、鞘から刀を少し抜き差しするような動きをします。

 

正確には座屈拘束材(鞘)に囲われた低降伏点鋼(刀)が伸び縮みします。

 

つまり低降伏点鋼が一般的な制震装置で採用されるゴムに近い役割を果たしています。

 

その刀にあたる低降伏点鋼は鞘である座屈拘束材に点で溶接されているので、そこを軸に伸び縮みでき、地震動のエネルギーを吸収できるわけです。

 

そして座屈拘束材(鞘)に囲われているため、低降伏点鋼が曲がったり、抜けてしまう心配もありません。



これらの組合せにより、従来のブレースの伸びたままたわむという弱点が解消されています。



HS構法のアタックフレームは、繰り返しの地震にも効果があることが、単体の変形試験にて実証されています。

 

具体的には、東北地方太平洋沖地震築館波の1.2倍に相当する変形試験を180回繰り返しても、ほとんど性能が変わらないことを実証しています。

 

この実験で加えた地震エネルギーは、自社の実大実験で実証した震度7の加振10回分の20倍以上です。


つまり震度7の地震200回以上に相当します。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

ただしここで注意点があります。

 

それはF構法の間仕切り用アタックフレームには、低降伏点鋼を使用していないことです。

 

つまり斜材部分は、座屈拘束材のみとなります。

 

パナソニックホームズによると、F構法の場合、高耐力パワテックパネルを使用したモノコック(面)構造により、軸組よりも地震動のエネルギーが分散しやすいとのことです。

 

そのため、引張力に対して低降伏点鋼のように一部分で伸びやすいフレームを使用する必要がなく、圧縮による座屈対策のみとしています。

 

 

補足でNS構法(重量鉄骨造)の制震システムについても簡単に紹介します。

 

同構法にはTMDもしくはAMD制振装置を標準仕様としています。

 

 

先に注意点をお伝えすると、同装置は地震の揺れを抑えるための制震システムではありません。

 

幹線道路、鉄道、工場などの影響による建物振動を抑えるのが目的です。

 

一般的には高層ビルで使われる制震装置です。

 

 

パナソニックホームズでは、6階建てまでに両装置のいずれか、7階建て以上にAMD装置を標準仕様としています。

 

 

TMD装置とは、Turn Mass-Damper装置の略称です。

 

交通振動などにより発生する建物の水平振動のみに効果を発揮します。

 

これは下図のように制振装置を建物の揺れと逆方向に揺らすことにより、建物の揺れを低減させます。

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報



シミュレーションでは体感振動の大きさは1/2以下、体感時間は1/3以下としています。

 

※上の画像出典:HOME4U HP ※画像外はユームの参考情報

 

 

※上の画像出典:HOME4U HP ※画像外はユームの参考情報

 

 

AMD装置は、Active Mass-Damper装置の略称です。

 

TMD装置同様に、制振装置を建物の揺れと逆方向に揺らす仕組みです。

 

ただしTMD装置と比べ、センサーと動力により2~3倍の制震効果を発揮します。

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

 

 

4−4−2.トヨタホームの揺れの抑制(制震)性能

 

先に結論です。

 

 

結論

 

制震構造(オプション)による建物変形量の低減率は明示しているが詳細な公表は無し

 

また制振装置無し(標準構造)の建物変形量の明示も無い

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

特徴

オプション仕様の制震装置「T4システム」は建物変形量を約20~70%低減

 

T4システムの性能を維持する高粘性シリコーンオイル耐用年数は100年相当

 

 

トヨタホームも実大実験による具体的な建物変形量の明示はありませんでした。

 

 

制震装置「T4システム」がある場合は、建物変形量を約20~70%低減できるとしています。

 

 

しかしパナソニックホームズと違い制震装置オプション仕様です。

 

一方でパナソニックホームズは制震フレームが標準仕様です。

 

実大実験での公表はないものの、制震フレーム単体の変形試験や部分実験もしています。

 

部分実験においては具体的な変形量を公表しています。

 

 

これらと比較すると、トヨタホームの揺れの抑制に関する耐震性は、弱いと言わざるを得ません。

 

 

とはいえトヨタホームも制振装置の提案はしています。

 

ここでオプション仕様の制震装置「T4システム」について簡単に紹介します。

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

制震装置「T4システム」は、一般的な制振装置と同様に、地震のエネルギーを熱エネルギーに変えて地震の揺れを抑制します。

 

このエネルギーの変換方法は他社と違う特徴があります。

 

それは上図のように、地震エネルギーを回転運動に変え、シリコーンオイルの抵抗で熱に変換するという仕組みを採用しています。

 

T4システムの要となるシリコーンオイルは。耐用年数100年相当としています。

 

この方法は、自動車の路面からの衝撃を和らげる振動吸収装置「ショックアブソーバー」の発想から開発されました。

 

自動車のトヨタならではの発想です。

 

 

T4システムは、詳細な公表はされていませんが、震度6以上で2階床から天井までの建物変形量を約20〜70%低減することができます。

 

 

ただしこの約20%〜70%というのは少し気になる点です。

 

それはこの数値にかなり差があるということです。

 

一番低い数値で約20%です。

 

オプション仕様でこのレベルの低減だとすると、コストパフォーマンスも含めて少し疑問を感じます。

 

 

やはり今後は、実大実験で建物変形量を具体的な数値で明示いただきたいですね。

 

そしてできれば、建物全壊率が高い複数の地震波で連続加振した場合、どの程度性能を維持できているかも公表してもらいたいです。

 

 

 

4−5.基礎の比較

 

基礎は、建物の構造と同じくらい重要なポイントです。

 

建物が倒壊しなくても、基礎自体が崩壊してしまうと、住宅に多大なダメージを受けます。

基礎の比較もみていきましょう。

 

 

結論

 

基礎の強度及び構造躯体の接合強度のトータルでみるとパナソニックホームズの方が優れている。

 

ただし構造躯体との接合方法はトヨタホームも安心である

 

 

 

両社の基礎、接合強度の特徴は以下のとおりです。

 

 

基礎の強度及び基礎と構造躯体の接合強度

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

基礎構造

布基礎

 

布基礎

基礎寸法・主筋

主筋:D19(直径約19mm)

 

その他配筋:公表なし

 

フーチング:長方形

 

アンカーボルト:

<HS構法>

アタックフレームはM24(直径約22mm)

その他はM16(直径約15mm)

 

<F構法>

M16(直径約15mm)

※コーナー部は2本使用

 

立上がり幅:170mm

 

立上がり高さ:公表なし

主筋:D13(直径約13mm)

 

その他配筋:D10(直径約10mm)

 

フーチング:長方形

 

アンカーボルト:

詳細な公表無し

 

 

 

 

 

 

 

 

立上がり幅:170mm

 

立上がり高さ:公表なし

特徴

アタックフレームと基礎の接合は、業界トップクラスの太さを誇るM24アンカーボルトを使用

 

基礎の耐用年数は60年以上

基礎と構造躯体の接合部は、アンカーボルトの他、独自のクラウド材で強固に固定

 

コンクリートの水セメント比を55%以下にし、耐久性を向上

 

 

4−5−1.パナソニックホームズの基礎

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

パナソニックホームズの基礎の強度と基礎・構造躯体の接合強度は、大手鉄骨住宅メーカーの中では比較的普通レベル

 

 

 

ただし基礎の耐用年数や基礎と接合部分の詳細な明示がある点などトータルでみると、トヨタホームよりも優れていると言えます。

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

特徴

全構法共通で布基礎を採用

 

鉄筋の太さは上下の主筋を19mm ×1本ずつ施工

 

アタックフレームと基礎の接合M24(直径22mm)アンカーボルトを採用

その他M16(直径15mm)を採用

 

基礎の耐用年数は60年以上

 

 

パナソニックホームズの基礎は、布基礎を採用しています。

(NS構法は地盤強度によってベタ基礎に変わることもあります。)

 

 

はじめに基礎と建物の接合強度です。

 

一般的に、接合部はアンカーボルトで緊結します。

 

アンカーボルトとは、下図のような基礎と構造躯体の接合部に使う金物のことです。

 

この厚みがあるほど、地震による大きな力が加わっても、基礎から建物が抜けたり、破断のリスクが少なくなります。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

HS構法のアンカーボルトは、制震フレーム「アタックフレーム」との接合部にはM24(直径約22mm)を採用しています。

 

その他の接合部はM16(直径約15mm)です。

 

 

M24の厚みは積水ハウスや大和ハウスでも採用されているため、大手の中では特別とは言えません。

 

 

F構法のアンカーボルトは、M16(直径約15mm)を採用しています。

 

荷重のかかりやすいコーナー部分は、下図のようにアンカーボルト2本で強固に緊結しています。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

続いて基礎自体の強度についても簡単に紹介します。

 

こちらは詳細な公表がありませんでしたが、耐用年数60年以上としています。

 

ただし大手他社も同等以上の耐用年数としているところが増えています。

 

そのため基礎自体ともそれほど特別とは言えません。

 

 

基礎構造の詳細は、耐久性の章で詳しくお伝えします。

 

先にご覧になりたい方はコチラからどうぞ。

 

 

 

4−5−2.トヨタホームの基礎

 

はじめに結論です。

 

 

結論

 

トヨタホームの基礎は、構造躯体との接合部は強いが、基礎自体の強度に不安が多い

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

特徴

布基礎を採用

※地盤調査によってベタ基礎の場合も有り

 

鉄筋の太さは上下の主筋を13mm ×1本ずつ施工

 

基礎と構造躯体の接合部は、アンカーボルト+グラウト材で強固に固定

※詳細な公表無し

 

基礎は水セメント比を55%以下とし、中性化を抑える耐久性の高い仕様

 

 

基礎については、木造の詳細な公表がないため、主に鉄骨造について紹介します。

 

トヨタホームの基礎は、パナソニックホームズ同様に、布基礎を採用しています。

 

 

はじめに基礎と建物の接合強度です。

 

 

パナソニックホームズとの大きな違いは、基礎と構造躯体の接合部に専用のグラウト材を使用している点です。

 

グラウト材とは、コンクリートの空洞、亀裂、細かい隙間などをふさぐ役割に用いられるモルタルのことです。

 

構造躯体と基礎をアンカーボルトで接合するだけでなく、このグラウト材で一体化することにより、より頑強な基礎構造となります。

 

接合部において、クラウド材を使った細部にこだわった仕様はとても安心であると言えます。

 

 

ただしアンカーボルトの厚みについては、トヨタホームでは公表がありませんでした。

 

 

クラウド材を採用している点はポイントが高いですが、やはりアンカーボルトの厚みも重要です。

 

そのため両社どちらの接合強度が強いかは、これらの公表だけですと判断できません。

 

 

続いて基礎自体の強度についてです。

 

ユームの見解では、基礎の強度は不安が多いと言わざるを得ない仕様と感じています。

 

 

※上の画像出典:トヨタホーム新築戸建情報サイト ※画像外はユームの参考情報

 

 

トヨタホームの鉄筋は、主筋にD13(直径約13mm)、その他配筋にD10(直径約10mm)としています。

 

これは比較的に一般的な住宅メーカーレベルの水準です。

 

 

基礎のような鉄筋コンクリートは、コンクリートの圧縮強度の強さと鉄筋の引張強度の強さを掛け合わせて、強度は発揮します。

 

 

簡単に例えると、地震による縦の揺れ(圧縮)はコンクリートで、横の揺れ(引張)は鉄筋で強度を発揮するということです。

 

 

 

この例とトヨタホームの鉄筋仕様をみると、他社の仕様と比較して横揺れにあまり強くないということになります。

 

 

コンクリート強度は水セメント注1比を55%以下としています。

 

一般的なコンクリートの水セメントは65%のため、たしかに強度は強いです。

 

注1水セメント比とは、水とセメントの配合割合のことです。一般的にこの数値が小さいほどコンクリートの強度が強いです。

 

しかし詳細な強度の公表がないため、どの程度の強度があるかはわかりません。

 

 

これらの点から、トヨタホームの基礎強度は不安が多い内容だと言わざるを得ません。

 

 

冒頭お伝えしたとおり、大きな地震で建物が倒壊しなくても、基礎自体が崩壊してしまうと、住宅に多大なダメージを受ける可能性があります。

 

しかしトヨタホームを含めたほとんどのハウスメーカーは基礎を含めた実大実験による耐震性の実証をしていません。

 

 

今度は基礎を含めた耐震性の実証をしていただきたいものです。

 

そして今の基礎仕様で、基礎の亀裂が入るなど問題がないかしっかり検証していただきたいですね。

 

 

 

5.防火性を比較

 

大きな地震の備えとして、耐震性能ともうひとつ大事なのが防火性能です。

 

先に両社の耐火性能について結論です。

 

主にパナソニックホームズのHS構法とトヨタホームのユニット工法を中心に比較しています。

 

 

 

結論

 

内部出火

 

両社とも主な対策は石膏ボードのためほぼ同等

 

断熱材の耐火性はパナソニックホームズの方が高い

 

 

外部出火

 

標準仕様は、両社とも30分耐火試験を実施しておりほぼ同等

 

ただし詳細な数値を公表している点や載荷加熱試験を実施している点で、パナソニックホームズの方が信憑性が高い

 

 

耐火建築

の実績

 

9階建てまで建築可能なパナソニックホームズの方が高い

 

 

 

 

もう少し具体的に下の枠でまとめてみました。

 

ただ、この枠内の文言はざっと見るだけで大丈夫です。

 

のちほど図やデータを見ながら詳しくわかります。

 

 

 

パナソニックホームズ

(HS構法)

トヨタホーム

(ユニット工法)

構造

石膏ボードにより室内の延焼と温度上昇を抑制

耐火試験

■防火構造(標準仕様)

30分耐火試験を実施

外側が加熱温度840℃に対して内側が50℃

 

■載荷加熱試験

外壁パネルに鉛直荷重をかけながら加熱試験を実施

 

 

■防火構造(標準仕様)

30分耐火試験を実施

外側が加熱温度850℃に対して内側は可燃物の着火点温度を下回る

 

※EST工法に限り、耐火構造(ALC外壁)による60分耐火試験を実施

外側が加熱温度945℃対して内側が15℃

 

特徴

外壁下地材「NTC外装材」が延焼を防ぐ

 

NTC外装材はモルタル壁20mm以上相当

 

サイディング外壁「ニューセラミックウォール」が延焼を防ぐ

 

耐火建築の実績

 

HS構法は3階建てまで

 

※NS構法(重量鉄骨造)は9階建てまで可能

ユニット工法は3階建てまで

 

※EST工法含め、4階建て以上の実績の公表無し

 

 

 

皆さんは年間でどのぐらいの火災が発生しているかご存知でしょうか?

 

 

消防庁によると年間で37,683件の火災が発生(2019年)しています。

 

1日平均で計算すると、2.4人の方が住宅火災で毎日亡くなられていることになります。

 

 

特に大きな地震では、建物の倒壊だけでなく火災被害も甚大となります。

 

内閣府の発表によると、首都直下型地震では最大41万棟の消失被害が予想されています。

 

南海トラフ巨大地震では地震火災による死者数は約1万4千人としています。

 

 

大きな揺れが原因で電気ヒーターから家財に引火してしまったり、周辺家屋から延焼を受けたりと、原因はさまざまです。

 

自分の家や家族が、少しでも火災被害を少なくできるように、家の中の出火対策(内部出火)と家の外の出火対策(外部出火)をすることが非常に重要です。

 

 

特に鉄骨住宅では、ハウスメーカー選びをする上で防火性能のデメリットをよく耳にします。

 

それは「鉄は木よりも火に弱い」という内容です。

 

こう言われる理由は、木材と比較して、鉄骨は高温により急激な強度低下をするからです。

 

日本木材学会の資料によると、鉄骨は550℃を超えると一気に変形したという研究結果もあります。

 

 

※上の画像出典:三井ホーム カタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

この話はよく木造住宅メーカーが防火性能を取り上げる際、耳にすることが多いです。

 

 

では、パナソニックホームズとトヨタホームの防火性能はどうなのか、早速みていきましょう。

 

 

5−1.内部出火の防火性能

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

両社とも主な対策は石膏ボードのためほぼ同等

 

断熱材の耐熱性はパナソニックホームズの方が高い

 

 

 

両社の特徴はコチラです。

 

 

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

内部出火対策

石膏ボードが延焼温度上昇を抑える

断熱材

耐熱性の高いロックウールを使用

一般的な高性能グラスウール16Kを使用

 

 

みなさんは、家の中で出火すると、どのぐらいで隣の部屋に燃え移るかご存知でしょうか?

 

ここで木造住宅の一例を紹介します。

 

一般的な木造住宅の場合、1階で出火すると約5分間で隣室へ延焼、窓ガラスも割れます。

 

そして約7分後には2階の天井まで延焼し、約20分で全焼すると言われています。

 

参照:財団法人 日本防火協会HP

 

ちなみに初期消火の限界は1階の天井に火が回るまでと言われています。

 

その時間は約2分30秒です。

 

つい自分で初期消火を試みて逃げ遅れる可能性もゼロではありません。

 

 

鉄骨住宅の場合、木造住宅と比較して、温度上昇による構造躯体の強度低下リスクもあります。

 

 

ですので、やはり家の中の防火性能も重要です。

 

 

 

両社の内部出火対策は、主に石膏ボードです。

 

先にお伝えすると両社とも特別な仕様ではありません。

 

 

では石膏ボードによる内部出火対策はどのようなものかもう少し詳しくみていきましょう。

 

 

一般的な厚さ12.5mmの石膏ボードで火災に約15分耐えられると言われています。

 

 

参照1:一般社団法人 日本ツーバイフォー協会HP

参照2:吉野石膏HP

 

 

石膏ボードは壁だけでなく、天井にも使用されています。

 

 

両社の石膏ボードの厚みについてもみておきしょう。

 

パナソニックホームズは残念ながら詳細な明示がありませんでした。

 

トヨタホームのユニット工法は、壁と2階天井に12.5mm、1階天井に9.5mm×2を使用しています。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

次に石膏ボードの温度上昇の抑制です。

 

石膏ボードの中に含まれる約21%の結晶水が温度を抑制します。

 

 

この結晶水は熱分解により水蒸気となって放出されます。

 

 

※上の画像出典:オスカーホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

その水蒸気が天井裏や壁内の温度上昇を抑えます。

 

これにより、構造材が発火温度に達するのを15〜20分ほど遅らせてくれます。

 

 

 

補足ですが、天井埋め込みのエアコンや照明、スピーカーがある場合はこの点で延焼防止性能が落ちる可能性がありますので、注意してください。

 

 

ここで補足として断熱材についても触れておきます。

 

壁にはスイッチやコンセント、エアコンなどの配管穴もありますよね。

 

そこから壁の中に炎が移る可能性もあります。

 

 

この壁の中にある断熱材には違いがあります。

 

具体的にはパナソニックホームズの方が耐熱性の高い断熱材を使用しています。

 

 

パナソニックホームズはロックウール、トヨタホームは高性能グラスウールを使用しています。

 

ロックウールは人工の鉱物繊維でできた断熱材です。

 

岩が原材料となっているため非常に耐熱性が高い特徴があります。

 

一方でグラスウールは人工のガラス繊維です。

 

グラスウールの中でもランクによって性能差があります。

 

ちなみにトヨタホームは高性能グラスウール16Kを採用しています。

 

 

耐熱性の違いは、ロックウール工業会より実験結果を公表しています。

 

下図を見ていただくと。加熱温度500℃付近から高性能グラスウール16Kが急激な縮小をしていることがわかります。

 

一方でロックウールは700℃を越えるまで形状を維持しています。

 

 

※上の画像出典:ロックウール工業会 ※画像外はユームの参考情報

 

 

この差はとても大きいです。

 

火災時に換気口やコンセントなどの隙間から壁の中に炎が入ると、グラスウールの体積が縮小し、そこが火の通り道となる可能性はあります。

 

もし延焼しなくても、室内に火災の温度が伝わってしまった場合、断熱材の機能が失われてしまう可能性もあります。

 

 

一方で、硝子繊維協会の試験ではグラスウールの不燃性試験をしています。

 

 

※上の画像出典:硝子繊維協会HP ※画像外はユームの参考情報

 

 

試験内容の詳細な明示はありませんが、押出法のポリスレンフォームや硬質ウレタンフォームよりも不燃性があるとしています。

 

 

ちなみにロックウールもグラスウールも国土交通省の告示では不燃材料と規定されています。

 

両社の断熱材とも燃えにくい素材(不燃材)ではあるものの、耐熱性には違いがあります。

 

この点においてはパナソニックホームズの方が安心と言えます。

 

 

 

5−2.外部出火の防火性能

 

外部出火の対策は、外壁を炎に曝す延焼実験で防火性能を確認しています。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

両者とも標準仕様の防火構造は同等

 

耐火試験の詳細な数値を公表している点や載荷加熱試験を実施している点で、パナソニックホームズの方が信憑性が高い

 

耐火建築の実績は、9階建てまで建築可能なパナソニックホームズの方が高い

 

 

 

先に各社の公表ベースでの防火性能をお伝えします。

 

こちらも今はざっと見で大丈夫です。

 

あとの解説のほうがわかりやすいです。

 

 

 

パナソニックホームズ

(HS構法)

トヨタホーム

(ユニット工法)

耐火試験

■防火構造(標準仕様)

30分耐火試験を実施

外側が加熱温度840℃に対して内側が50℃

 

■載荷加熱試験

外壁パネルに鉛直荷重をかけながら加熱試験を実施

 

 

■防火構造(標準仕様)

30分耐火試験を実施

外側が加熱温度850℃に対して内側は可燃物の着火点温度を下回る

 

※EST工法に限り、耐火構造(ALC外壁)による60分耐火試験を実施

外側が加熱温度945℃対して内側が15℃

 

特徴

外壁下地材「NTC外装材」が延焼を防ぐ

 

NTC外装材はモルタル壁20mm以上相当

 

サイディング外壁「ニューセラミックウォール」が延焼を防ぐ

 

耐火建築の実績

 

HS構法は3階建てまで

 

※NS構法(重量鉄骨造)は9階建てまで可能

ユニット工法は3階建てまで

 

※EST工法含め、4階建て以上の実績の公表無し

 

 

 

では両社の外部出火対策について早速みていきましょう。

 

 

 

5−2−1.パナソニックホームズの防火性能

 

外部出火の対策は、外壁の耐火試験により防火性能を確認しています。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

パナソニックホームズの防火性能は、大手他社と比較して普通レベル

 

耐火試験の詳細を明示、かつ延焼を免れた事例もあるため、外部出火による防火性能の信憑性が高い

 

 

 

外部出火による防火性能の特徴はコチラです。

 

 

パナソニックホームズの防火性能(外部出火)

耐火試験

■防火構造(標準仕様)

30分耐火試験を実施

外側が加熱温度840℃に対して内側が50℃

 

■載荷加熱試験

外壁パネルに鉛直荷重をかけながら加熱試験を実施

 

特徴

外壁下地材「NTC外装材」が延焼を防ぐ

 

NTC外装材はモルタル壁20mm以上相当

 

火元3mの至近距離で延焼を免れた事例を公表

 

耐火建築の実績

 

HS構法は3階建てまで

 

NS構法(重量鉄骨造)は9階建てまで可能

 

 

 

パナソニックホームズは、複数の防火試験を実施しています。

 

試験結果の具体的な数値も公表しており、大手他社の中では比較的普通レベルです。

 

トヨタホームと比較すると、具体的な数値だけでなく過去に延焼を免れた事例も公表しています。

 

この点で、パナソニックホームズの方が外部出火対策の透明性が高く、防火性能の信憑性が高いと言えます。

 

 

ではもう少し具体的にみていきましょう。

 

 

パナソニックホームズの防火性能の要は、外壁下地材で使われている「NTC外装材」です。

 

NTC外装材とは、セメントなどに特殊繊維を複合させた外装材です。

 

※NTCは、New Technology Ceramic(ニューテクノロジーセラミック)の略です。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

同外装材は、高温・高圧の窯でオートクレーブ養生しており、温度や湿度変化、経年変化による寸法の伸縮を大幅に低減し、強度・防火性・耐凍害性に優れているのが特長です。

 

これは木造住宅のモルタル壁20mm厚以上に相当する防火性能としています。

 

一般的なモルタル外壁は15~20mmが多いため、それ以上の防火性能があります。

 

 

NTC外装材は、耐火試験も行っています。

 

標準仕様の防火構造で、加熱後30分で840℃に温度を上昇させた試験を行いました。

 

結果は、表面が840℃に到達しても、室内の温度は50℃程度でした。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

冒頭お伝えした「日本木材学会が公表している鉄骨は550℃で一気に変形する」温度をはるかに下回っています。

 

外部出火による延焼リスクは少ないと言えるでしょう。

 

 

ただし上記耐火試験の実証は、他社でも実施されており、さらに高い結果を実証しているところもあるため決して特別な仕様ではないです。

 

特にヘーベルハウスや三井ホームは、耐火試験60分も実証しており、高い防火性能を実証しています。

 

パナソニックホームズでも今後、耐火試験60分の実証を期待しております。

 

 

一方で特筆すべき点もあります。

 

それは載荷加熱試験も実施していることです。

 

載荷加熱試験とは、壁パネルに圧縮荷重をかけて加熱をする実験です。

 

一般的に多くのハウスメーカーの耐火試験は、外壁パネルにガスバーナーなどで加熱する方法です。

 

つまり加熱の際、建物自体の荷重による影響は考慮されていません。

 

パナソニックホームズでは、より実大建物を想定とした同実験でも検証しています。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

他にも、タイル自体の防火性能や脱落の危険性がないかを検証した試験も実施しています。

 

 

延焼被害を防いだ実績もあります。

 

下図のように、火元から3mの距離で延焼を免れ、影響がほとんどなかった事例を公表しています。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

最後に、パナソニックホームズの耐火建築もみておきましょう。

 

こちら3~9階建てまで対応しているNS構法(重量鉄骨造)です。

 

残念ながら詳細な公表はありませんでしが、壁や床の下地材にALC板を採用しています。

 

当然、建築基準法の定める1時間耐火構造にも適合しています。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

耐火試験も実施しており、外壁内側の温度上昇は小さかったとしています。

 

ただしこちらも残念ながら詳細な公表はありませんでした。

 

 

とはいえ工業化住宅で9階建てまで建築できるパナソニックホームズの技術力はさすがの一言です。

 

2018年に栃木県で9階建ての賃貸併用住宅の実績もあります。

 

 

2021年には、住友林業が15階建て以上の建築が可能となりました。

 

今後のパナソニックホームズには、住友林業のようなさらなる高層建築の技術展開も期待したいですね。

 

 

 

5−2−2.トヨタホームの防火性能

 

つづいてトヨタホームをみていきましょう。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

トヨタホームの防火性能は、大手他社と比較して普通レベル

 

主力構造のユニット工法は、耐火試験の詳細な公表がないためやや説得力が弱い

 

 

 

外部出火による防火性能の特徴はコチラです。

 

 

 

トヨタホームの防火性能(外部出火)

耐火試験

■防火構造(標準仕様)

30分耐火試験を実施

外側が加熱温度850℃に対して内側は可燃物の着火点温度を下回る

 

※EST工法に限り、耐火構造(ALC外壁)による60分耐火試験を実施

外側が加熱温度945℃対して内側が15℃

 

特徴

サイディング外壁「ニューセラミックウォール」が延焼を防ぐ

 

耐火建築の実績

 

ユニット工法は3階建てまで

 

※EST工法含め、4階建て以上の実績の公表無し

 

 

 

トヨタホームは、ユニット工法とEST工法で耐火試験を実施しています。

 

公表値では両工法とも、大手他社と比較して特別な仕様ではありません。

 

ただし主力構造のユニット工法は、具体的な数値の明示がなくやや説得力が弱いように感じます。

 

 

ではもう少し具体的にみていきましょう。

 

 

トヨタホームの防火性能の要は、サイディング外壁「ニューセラミックウォール」です。

 

厚さは16mmと20mmがあります。

 

一般的によく使用されるサイディング外壁は14~16mmです。

 

外壁材や外壁下地材は、厚みによっても防火性が変わりますので、一般的な住宅と比較すると同等以上と言えます。

 

 

トヨタホームは同外壁材による耐火試験を実施しています。

 

加熱後30分で840℃に温度を上昇させ続ける試験を行いました。

 

結果は、表面が840℃に到達しても内側の温度は可燃物の着火点を下回る性能があります。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

具体的な温度の公表が無い点は残念です。

 

具体的な数値を明示しているパナソニックホームズの方が、耐火性の実証性が高いと言えます。

 

ちなみに木材の発火温度が260℃とされているので、その温度よりも低いことが予想されます。

 

 

一方でエスパシオ(EST工法)では耐火試験での詳細な結果を公表しています。

 

準耐火構造(60分)+ALC外壁で60分耐火試験を行い、加熱温度945℃に対して内側は15℃だったことを実証しています。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

準耐火構造における実証は、パナソニックホームズの公表がありません。

 

そのため、こちらはトヨタホームの方が実証性が高いと言えます。

 

 

都市部のエリアを中心とした耐火建築の実績は、詳細な公表がなく、商品は3階建てまでとなります。

 

 

 

6.耐久性を比較

 

家の耐久性はハウスメーカー選びの決め手のひとつにされる方が多い重要なポイントです。

 

パナソニックホームズとトヨタホームの耐久性はどうでしょうか?

 

先に結論です。

 

 

 

 

結論

 

基礎

 

 

両社とも詳細な公表無し

 

基礎の耐用年数の明示があるパナソニックホームズの方が安心

 

 

構造躯体

 

 

防錆処理も踏まえた構造躯体の耐用年数の明示があるパナソニックホームズの方が安心

 

 

外壁

 

 

両社とも外壁下地の詳細な公表無し

 

外壁タイルの耐用年数の明示があるパナソニックホームズの方が安心

 

 

防水

 

 

パナソニックホームズの方が結露発生リスクが低い

 

トヨタホームのヒートブリッジ対策に心配な点がある

 

湿気侵入リスクはパナソニックホームズの方が低い

 

 

防蟻

 

 

両社とも詳細な公表無し

 

再防蟻処理は10年毎に必要

 

 

 

もう少し具体的に下の枠でまとめました。

 

後ほど詳細をお伝えしていきますので、こちらは ざっと 見るだけで大丈夫です。

 

 

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

基礎

耐用年数60年以上

公表無し

構造躯体

耐用年数60年以上

公表無し

※防錆の耐用年数は100年相当

 

外壁

(外壁材・外壁下地材)

耐用年数60年以上

※外壁タイルの場合

※外壁下地材の公表無し

 

公表無し

防水

(屋根・バルコニー)

耐用年数30年以上

※バルコニーシート防水の場合

※屋根防水の公表無し

 

公表無し

防蟻

公表無し

※10年毎の防蟻処理が必要

 

公表無し

※10年毎の防蟻処理が必要

 

 

耐久性というと、メンテナンス費用を気にされる方が多いのではないでしょうか?

 

たしかにメンテナンス費用はとても重要です。

 

住んで10年、20年経ってからものすごい金額のメンテナンス費用がかかってしまったという話も少なくありません。

 

 

では費用が高いメンテナンス工事とはどのようなものでしょうか?

 

これは主に外壁や屋根の塗替え・張替え防水工事基礎補修工事が該当します。

 

外壁や屋根は定期的なメンテナンスをしていないと、湿気の侵入や漏水など、構造躯体の劣化を早める原因となります。

 

メンテナンス工事は、これらのトラブルを未然に防ぐために行います。

 

 

ここでみなさんにお伝えしたいのは、

 

 

 

定期的なメンテナンスと主要構造躯体の耐用年数は、新築時の耐震性能や断熱性能をどれだけ劣化せずに長持ちできるのかの重要な指標になる

 

 

 

ということです。

 

これは後に紹介する保証にも関わってくる内容です。

 

ただ単にメンテナンス工事をしていれば、家が本当に長持ちするかどうかはわかりません。

 

そこで重要なのが構造躯体や外壁塗装、防水など主要構造材の耐用年数です。

 

 

耐用年数が長いということは、構造躯体の劣化を抑え耐震性能や断熱性能を維持できるということです。

 

そして耐用年数が長い仕様の住宅メーカーは、最長保証も長いです。

 

最長保証が長い分、長期に渡って定期的なメンテナンス診断を受けることができます。

 

 

 

では両社の耐久性を具体的に比較していきましょう。

 

 

6−1.基礎の耐久性

 

基礎の耐久性は、中性化による劣化対策が重要です。

 

まずは結論です。

 

 

 

結論

 

両社とも基礎仕様の詳細な公表無し

 

耐用年数の明示があるパナソニックホームズの方が安心

 

 

 

具体的な基礎の特徴はコチラです。

 

 

 

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

基礎構造

布基礎

 

布基礎

※地盤調査によってベタ基礎の場合も有り

耐用年数

60年以上

公表無し

鉄筋のかぶり厚

公表無し

公表無し

基礎のコーティング

樹脂モルタルを塗布

※詳細な公表無し

公表無し

 

 

中性化とは、アルカリ性であるコンクリートが雨や紫外線に曝されることにより、大気中の二酸化炭素と反応して徐々にアルカリ性を失っていく現象です。

 

つまり中性化が進行すると、コンクリートの強度が落ちます。

 

具体的にはコンクリート内部の鉄筋が錆びて膨張し、ひび割れを起こします。

 

そしてこの錆びが進行すると、コンクリート剥離を引き起こします。

 

 

ここで基礎の中性化防止(耐久性維持)に重要な4つの対策をお伝えします。

 

それは

 

・基礎の強度を上げる

 

・鉄筋のかぶり厚(鉄筋とコンクリートの間の厚み)を大きくする

 

・基礎の表面をコーティングする

 

・正しく施工する

 

です。

 

この4つについてもう少し詳しく解説します。

 

 

まず基礎の強度です。

 

先に結論です。

 

 

 

みなさんが各社の基礎強度を✔する際には、24N/m㎡(ニュートン・パー・ヘイホウミリメートル)以上かどうかを確認しましょう。

 

 

 

基礎は、

 

・コンクリートのセメント量を増やす

 

・コンクリートの密度を上げる

 

・鉄筋の太さや量を増やす

 

この方法で強度が上がります。

 

 

コンクリートは、主に水とセメント(実際には砂利や砂も含む)で構成されています。

 

この比率をセメント水比と呼び、下図のようにセメントの比率が大きくなるほど強度が上がります。

 

 

※上の画像出典:株式会社アールデザインHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

コンクリートの密度は、骨材や砂・砂利の配分で変わります。

 

コンクリートの硬化には、水とセメントが必要です。

 

化学反応でできた水和物がセメント粒子の隙間を埋めることにより硬化します。(下図参照)

 

 

しかしこの水和物が隙間を全て埋めるわけではありません。

 

この隙間は骨材や砂・砂利で埋めます。

 

 

つまり骨材や砂・砂利の配合により、密度が高くなる(隙間が減る)=強度が増します。

 

 

※上の画像出典:日本大学 コンクリート工学研究室資料 ※画像外はユームの参考情報

 

 

日本建築学会では、これらの強度を耐久設計基準強度:N/m㎡(ニュートン・パー・ヘイホウミリメートル)で表し、その数値によって耐用年数を明示しています。

 

 

※上の画像出典:株式会社アールデザインHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

一般的には中期(65年)の24N/m㎡以上あれば、強度があると言えます。

 

 

鉄筋の量や太さによっても基礎の強度は変わります。

 

鉄筋の太さや量は、なんとなくイメージしやすいのではないでしょうか?

 

下図のように鉄筋量が違うだけでどちらが強そうかは一目瞭然かと思います。

 

 

※上の画像出典:三井ホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

鉄筋は、基礎の骨組みになる部分です。

 

量が増えれば骨密度が高くなる = 強固になります。

 

太さが厚くなればその分骨太になる = 強固になります。

 

 

2つ目に鉄筋のかぶり厚です。

 

まずは結論です。

 

 

 

かぶり厚は、設計上も現場施工上も、少なくとも40mm以上はあるか確認しましょう。

 

 

 

鉄筋のかぶり厚とは、下図のような基礎立上り部分の鉄筋に対するコンクリートの厚みを指します。

 

 

※上の画像出典:日経クロステック ※画像外はユームの参考情報

 

 

中性化すると、基礎の強度が落ちます。

 

 

その中性化の進行は、コンクリート表面から鉄筋内部に侵食していきます。

 

つまりコンクリートの厚み(鉄筋のかぶり厚)があるほど、鉄筋が侵食されるのを遅らせることができます。

 

 

このかぶり厚は少なくとも40mm以上、できればそれ以上あると良いです。

 

 

3つ目は基礎表面のコーティングです。

 

結論として、

 

 

 

同じかぶり厚なら、コーティング有りの方が長持ちします

 

 

 

基礎の中性化は、コンクリートの表面から侵食していきます。

 

これを抑制する中性化防止塗料を塗布することにより劣化を抑えます。

 

 

※上の画像出典:住まいの外装リフォーム ガイソーHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

このような対策をしているかどうかは是非✔してください。

 

 

4つ目は正しく施工するです。

 

これはわかりますよね?

 

当たり前ですが、基礎は建物を支える重要な部分です。

 

正しく施工されていないと、十分な強度が足りず、大きな地震による倒壊の原因になります。

 

 

 

以上の4つが重要な対策となります。

 

 

では両社の具体的な対策をみていきましょう。

 

ただし今回は正しく施工できている前提とし、上記3つを中心にみていきましょう。

 

 

6−1−1.パナソニックホームズの基礎耐久性

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

基礎耐用年数は大手他社と比較して普通レベル

 

 

 

基礎の具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

基礎構造

布基礎 

耐用年数

60年以上

基礎幅

170mm

鉄筋のかぶり厚

公表無し

基礎コーティング

樹脂モルタルを塗布 ※詳細な公表無し

 

 

パナソニックホームズの基礎仕様は残念ながら詳細な公表が少ないです。

 

しかし基礎の耐用年数は60年以上と会社が公表しています。

 

この点は具体的な明示がないトヨタホームよりも安心であると言えます。

 

ただし大手他社の中では同等以上の仕様が増えているため特別とは言えません。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

基礎は、建物構造と同じくらい重要です。

 

なぜなら建物が損傷しなくても、基礎自体が崩壊してしまえば倒壊の危険性があるからです。

 

 

パナソニックホームズに限らずほとんどのハウスメーカーの実大耐震実験は基礎無しです。

 

そのため大きな地震を想定した実大建物の基礎強度はわかりません。

 

 

ここではパナソニックホームズの基礎仕様を、3つの重要点と照らし合わせながら、その耐久性についておさえていきましょう。

 

 

はじめにパナソニックホームズが採用している布基礎について簡単に解説します。

 

 

布基礎とは、逆T型の断面形状をした鉄筋コンクリートを連続させる基礎工法です。

 

逆T型になっている鉄筋コンクリート部分で建物の荷重を支えます。

 

ただし下図のように地面の表層にもコンクリートを打設するケースも多いです。

 

これは地表の湿気やシロアリの侵入を抑えるためです。

 

パナソニックホームズも表層にコンクリートを打設しています。

 

 

※上の画像出典:注文住宅の教科書HP ※画像外はユームの参考情報

 

では基礎の耐久性に重要な3点をみていきましょう。

 

 

1つ目は基礎の強度です。

 

住友林業の具体的な数値の公表はありません。

 

ただし、基礎の耐用年数60年以上と明示しています。

 

会社として公表しているので、信頼性が高いです。

 

 

日本建築学会による耐久設計基準強度にて、パナソニックホームズの基礎強度をみてましょう。

 

 

耐久設計基準強度とは、簡単に言うとコンクリートがどれだけ圧縮に耐えられるかです。

 

基礎強度の一つの指標です。

 

例えば、9.8N/m㎡(ニュートン・パー・ヘイホウミリメートル)の場合は、1m㎡あたり9.8N(=1kg)の圧縮に耐えられるということになります。

 

24N/mm2であれば、1m㎡あたり2.4kg、1c㎡あたり240kgに耐えられます。

 

 

コンクリートの耐久設計基準強度24N/mm2で大規模補修不要期間は約65年です。

 

 

パナソニックホームズは、耐用年数60年以上としておりますので、コンクリート強度は24N/mm2ほどであると予想されます。

 

 

この強度は、一般的な工務店や中堅メーカーと比較すると高い強度です。

 

 

鉄筋の太さは、上下の主筋で19mmを採用しています。

 

この太さは同じ布基礎を採用している積水ハウスと同等の仕様です。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

次に基礎幅と鉄筋のかぶり厚です。

 

基礎幅とは、基礎立上り部分の厚みのことです。

 

かぶり厚とは、簡単にお伝えすると基礎の中の鉄筋とコンクリート表面までの距離です。

 

 

この厚みがあるほど、コンクリート表面から鉄筋まで距離があるため、錆びにくくなります。

 

 

こちらの仕様は、残念ながら詳細な公表はありませんでした。

 

 

ただし基礎幅は170mmとしており、大手他社よりもやや厚みがあります。

 

大手他社は160mmとしているところが多いです。

 

そのため、かぶり厚は比較的普通以上であることが予想されます。

 

 

3つ目は基礎表面のコーティングです。

 

中性化は、基礎の表面から内部へと侵食していきます。

 

そのため基礎表面に中性化を抑制する塗料でコーティングする施工方法も有効です。



パナソニックホームズでは基礎全周化粧用のコーティングをしています。。

 

しかし残念ながら中性化防止効果の公表はありませんでした。

 

 

 

6−1−2.トヨタホームの基礎耐久性

 

トヨタホームもみていきましょう。

 

先に結論です。

 

 

結論

 

基礎耐用年数の公表無し

 

基礎幅は確保しているが、鉄筋厚は一般的な住宅メーカーレベルのため不安が残る

 

 

 

基礎の具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

基礎構造

布基礎 ※地盤調査によってベタ基礎の場合有り

耐用年数

公表無し

基礎幅

170mm

鉄筋のかぶり厚

公表無し

基礎コーティング

公表無し

 

 

 

※上の画像出典:トヨタホーム新築戸建情報サイト ※画像外はユームの参考情報

 

 

トヨタホームの基礎は、4-5-2.トヨタホームの基礎でお伝えしたとおり、基礎の強度は不安が多い仕様です。

 

トヨタホームも基本は布基礎になります。

 

ただしパナソニックホームズのような防湿コンクリートはありません。

 

オプション仕様として防湿コンクリートの打設は可能のようです。

 

 

また地盤強度によってはオプションのベタ基礎となるケースもあります。

 

しかしベタ基礎の詳細な公表はありませんでした。

 

 

それではトヨタホームの布基礎の強度や中性化対策など、重要な3点をみていきましょう。

 

 

1つ目は基礎の強度です。

 

こちらは具体的な数値も耐用年数も公表がありません。

 

ただしコンクリート強度は水セメント注1比を55%以下にすることで耐久性を確保している、としています。。

 

一般的なコンクリートの水セメント比は65%のため、たしかに強度は強いです。

 

注1水セメント比とは、水とセメントの配合割合のことです。一般的にこの数値が小さいほどコンクリートの強度が強いです。

 

しかしコンクリートの養生期間などによっても強度が変わるため、この情報だけではどの程度の強度があるかはわかりません。

 

 

鉄筋の太さは、上下の主筋で13mmを使用しています。

 

この太さは一般的な住宅メーカーレベルです。

 

この点は、大手他社のほとんどが16mm以上しているので心配です。

 

基礎のような鉄筋コンクリートは、コンクリートの圧縮強度の強さと鉄筋の引張強度の強さを掛け合わせて、強度は発揮します。

 

簡単に例えると、地震による縦の揺れ(圧縮)はコンクリートで、横の揺れ(引張)は鉄筋で強度を発揮するということです。

 

 

つまりトヨタホームの基礎は、大手他社と比較して横揺れにあまり強くないということになります。

 

 

2つ目は基礎幅と鉄筋かぶり厚です。

 

基礎幅はパナソニックホームズと同等の170mmとしています。

 

かぶり厚の詳細な公表はありませんでしたが、おそらくパナソニックホームズと同等と予想されます。

 

 

ただし鉄筋の厚みはパナソニックホームズの方が厚いです。

 

そのため基礎強度はパナソニックホームズの方が高いと言えます。

 

 

トヨタホームは上図のように鉄筋や基礎幅の具体的な明示をしています。

 

鉄筋まで詳細な明示をしているのは他社でもあまりないので好感が持てます。

 

とは言えパナソニックホームズ含め大手他社は、より高耐久の基礎仕様としていますので、トヨタホームについても今後具体的な数値を公表いただきたいです。

 

 

3つ目は基礎表面のコーティングです。

 

こちらは残念ながら詳細な公表がありませんでした。

 

ただし建築事例をみると、なにかしら塗料を塗ってはいるようです。

 

詳しくは営業担当者にご確認ください。

 

 

 

6−2.構造躯体の耐久性

 

構造躯体の耐久性で重要なのは、鉄骨住宅の構造躯体の錆び対策です。

 

それでは両社の錆び対策を比較していきましょう。

 

まず結論です。

 

 

結論

 

防錆処理も踏まえた構造躯体の耐用年数の明示があるパナソニックホームズの方が安心

 

 

 

両社の具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

耐用年数

60年以上

公表無し

錆び対策

柱や梁は塗膜が厚い粉体塗装

 

 

外壁パネル・アタックダンパー、鋼製束は合金メッキ処理

 

耐腐食性と耐湿性の複合サイクル試験を実施

柱や梁はリン酸亜鉛皮膜カチオン電着塗装

 

1階床梁は、上記+高耐久めっき鋼板を使用

 

塩乾湿複合サイクル試験を実施

60年を想定した実験で錆び無し

 

品確法の計算基準では100年相当の使用が可能

 

 

 

錆対策と言っても、鉄骨そのもだけでなく、接続部分の金物に関しても重要です。

 

 

はじめに「錆び」の仕組みについて簡単にお伝えします。

 

錆は、鉄の表面に水と酸素があるときに化学反応を起こして発生する現象です。

 

錆はいわゆる「腐食」になりますので、発生した場合さまざまなトラブルを引き起こします。

 

例えば、固定していたネジが錆びて破損してしまった、などです。

 

これは腐食により強度が保てなくなってしまったことが原因です。

 

 

両社とも家の要とも言える構造躯体が鉄骨のため、錆び対策は非常に重要です。

 

では両社がどのような対策をしているか早速みていきましょう。

 

 

 

6−2−1.パナソニックホームズの構造躯体の耐久性

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

基礎耐用年数は業界トップレベル

 

 

 

構造躯体の具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

耐用年数

60年以上

錆び対策

柱や梁は塗膜が厚い粉体塗装

 

外壁パネル・アタックダンパー、鋼製束は合金メッキ処理

 

耐腐食性と耐湿性の複合サイクル試験を実施

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

パナソニックホームズは、トヨタホームと比較して耐用年数を明示しているので安心です。

 

大手他社でも最近は構造躯体の耐用年数を明示しているところが多いです。

 

その中でもパナソニックホームズはトップレベルと言えます。

 

 

パナソニックホームズなどの鉄骨住宅は、構造躯体の錆び対策が非常に重要です。

 

当然、耐用年数にも大きく影響します。

 

 

ではパナソニックホームズの錆び対策がどうなっているのか、早速みていきましょう。

 

 

鉄骨錆び対策は、2仕様の防錆処理を適材適所に採用しています。

 

具体的には構造躯体の柱や梁外壁を構成する枠材で異なる防錆処理をしています。

 

 

まずは構造躯体の柱や梁です。

 

こちらの錆対策は、粉体塗装を採用しています。

 

粉体塗装とは、粉体の樹脂塗料を吹き付けて、高温で焼付乾燥を行い、防錆の塗膜を形成する方法です。

 

VOC(揮発性有機化合物)の発生がほぼ0%と言われており、環境にも優しい塗装方法です。

 

この塗装方法の大きな特徴は、塗膜が厚い・塗装の質が強靭ということです。

 

 

トヨタホームなど鉄骨住宅メーカーでは、リン酸亜鉛処理やカチオン電着処理など二重の皮膜を形成して防錆対策することが多いです。

 

 

しかし粉体塗装は厚膜塗装が可能なため、1回の塗装で高い防錆性を発揮することができます。

 

 

一例として、30年以上続く工業塗装のヒバラコーポレーションでは、カチオン電着塗装の厚膜は15~50μm、粉体塗装は40~80μm(最大150μm)としています。

 

参照1:ヒバラコーポレーションHP 電着塗装

参照2:ヒバラコーポレーションHP 粉体塗装

 

 

ちなみにこの粉体塗装の前処理として、鉄骨表面の不純物を除去するためのアルカリ脱脂や酸洗を行うのが一般的です。

 

その際、メーカーによってはリン酸亜鉛処理も行っています。

 

 

パナソニックホームズについては、残念ながら前処理の公表はありません。

 

しかし仮にリン酸亜鉛処理を実施していれば、粉体塗装の厚膜塗装も加味すると、カチオン電着塗装を採用している鉄骨他社よりも防錆対策に強いと言えるでしょう。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

つづいて外壁パネル(外壁を構成する枠材)の錆び対策です。

 

ちなみにアタックダンパーや1階床下の鋼製束も同様です。

 

この錆び対策は、亜鉛めっきにアルミニウムとマグネシウムを加えた合金めっき処理を採用しています。

 

合金めっき処理とは、合金で表面に防錆の塗膜を形成する方法です。

 

こちらは他のハウスメーカーでも多く採用されており、特別な使用ではありません。

 

 

パナソニックホームズでは、粉体塗装と合金めっき処理を施した鋼材の防錆性能を確かめる試験も実施しています。

 

具体的には、耐腐食性と耐湿性の複合サイクル試験を実施しています。

 

試験材に塩水噴霧→湿潤→乾燥を繰り返し実施し、劣化していないか性能をチェックする試験です。

 

 

残念ながら試験結果の公表はありませんでした。

 

しかしこの試験も通じて、耐用年数60年以上と明示していると思いますので、品質が高いと言えるでしょう。

 

 

 

6−2−2.トヨタホームの構造躯体の耐久性

 

続いてトヨタホームをみていきましょう。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

構造躯体の耐用年数の公表無し

 

錆び対策の仕様は特別なものではない

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

 

特徴

耐用年数

公表無し

錆び対策

柱や梁はリン酸亜鉛皮膜カチオン電着塗装

 

1階床梁は、上記+高耐久めっき鋼板を使用

 

塩乾湿複合サイクル試験を実施

60年を想定した実験で錆び無し

 

品確法の計算基準では100年相当の使用が可能

 

 

 

トヨタホームは、残念ながら構造躯体の耐用年数の明示がありません。

 

この点でパナソニックホームズの方が構造躯体の耐久性の信憑性があると言えます。

 

一方でトヨタホームの鉄骨の錆び対策は、大手他社と同等の仕様と言えます。

 

 

ではトヨタホームの錆び対策を早速みていきましょう。

 

鉄骨の錆び対策は、部位によって二重もしくは三重の対策をしています。

 

 

まずは二重の錆び対策です。

 

こちらは、柱や梁にリン酸亜鉛皮膜カチオン電着塗装二重錆び対策をしています。

 

※上の画像出典:トヨタホーム カタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

最初にリン酸亜鉛皮膜処理を行います。

 

リン酸亜鉛処理とは、鉄骨の表面をリン酸と亜鉛を主成分とした処理液と化学反応させることで、鉄骨表面に不溶性のリン酸亜鉛結晶の皮膜を形成させる処理方法です。

 

この皮膜は、耐食性があり、塗膜との密着性も高いため、塗装下地としてよく使われている特徴があります。

 

またキズにも強いため、万が一キズがついても鉄骨にまでキズが及ばないようになっています。

 

 

次にリン酸亜鉛皮膜の上にカチオン電着塗装を行います。

 

カチオン電解塗装とは、水溶性の電着塗料の中に鉄骨を浸漬させ、直接電流をかけることで塗料を付着させる塗装方法です。

 

均一で密着性の高い塗膜を形成でき、ムラやごみの付着が少なく、良質の塗装ができる特徴があります。

 

この塗膜もリン酸亜鉛処理と同様に高い防錆性能があります。

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

カチオン電着塗装は、自動車のボディの下塗りにも使用されている方法で、自動車のトヨタならではの技術を住宅にも採用しています。

 

 

VOCの発生が少ないという点から環境にやさしい塗装方法とされています。

 

 

三重の錆び対策についてもみていきしょう。

 

こちらは1階床梁に、上記対策+高耐久めっき鋼板を使用した対策方法です。

 

1階床下は湿気がこもりやすいという点から、他の部位よりも錆び対策を強化しています。

 

 

下図のように、高耐久めっき層を形成した鋼板を使用しています。

 

そしてその上に先程の二重錆び対策を行っています。

 

 

※上の画像出典:トヨタホーム新築戸建情報サイト ※画像外はユームの参考情報

 

 

鋼材の錆び対策は、パナソニックホームズと同様の試験を実施しています。

 

塩水噴霧→湿潤→乾燥を繰り返し実施し、60年相当を経過しても錆が発生しなかったことを実証しています。

 

また品確法の計算基準に沿った計算では100年相当の使用が可能であるとしています。

 

 

他にも築20年以上の実邸で、床下の構造躯体(鉄骨部分)の錆びがないことも確認しています。

 

鉄骨の錆び対策や試験そして実績は、大手他社と比較して申し分ないと思います。

 

それ故に構造躯体の耐用年数の公表がないのは残念です。

 

今後の公表を期待したいですね。

 

 

とはいえ構造躯体の耐久性は、鉄骨の錆び対策だけでは判断できません。

 

冒頭お伝えした基礎や、外壁材・外壁下地材の耐久性によっても影響されます。

 

 

それでは次節から外壁の耐久性をみていきましょう。

 

 

6−3.外壁の耐久性

 

全国のみなさんから、よく外壁の汚れ対策の相談を受けます。

 

両社の外壁の耐久性を比較してみましょう。

 

最初に結論です。

 

 

 

結論

 

両社とも外壁下地の詳細な公表無し

 

外壁タイルの耐用年数の明示があるパナソニックホームズの方が安心

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

 

パナソニックホームズ

(HS構法・NS構法)

トヨタホーム

(ユニット工法)

耐用年数

外壁下地(NTC外装材)の公表無し

 

外壁タイルは60年以上

※再塗装・目地交換は不要

外壁下地・外壁塗装ともに公表無し

標準外壁

外壁タイル「キラテック」

※Vesseはサイディングが標準

 

サイディング「ニューセラミックウォール」

 

 

特徴

光触媒技術によるセルフクリーニング効果がある

ニューセラミックウォールの独自塗装「HDセラコート」が色あせや汚れを抑える

 

 

外壁の耐久性というと、汚れを気にされる方が多いのではないでしょうか?

 

確かに塗り替えにはメンテナンス費用がかかりますよね。

 

外壁の汚れによる塗り替えが必要になった場合、足場を組んで家全体の広範囲にわたる塗り替え作業となりますので、一般的に100万円前後の費用がかかります。

 

 

ただ、タイルやサイディング、吹付けなどの表層の塗り替えだけで比べるのではなく、外壁の下地などの中身の耐久性を比較することも重要です。

 

なぜなら地震による大きな揺れでは、外壁下地の損傷リスクもあるからです。

 

一見外壁の表層に問題なくても、外壁下地が損傷、劣化していればいずれ表層にもその影響を及ぼします。

 

 

それでは、具体的に両社の外壁の耐久性をみてみましょう。

 

 

 

6−3−1.パナソニックホームズの外壁耐久性

 

パナソニックホームズはタイル外壁「キラテック」が標準仕様です。

 

ただしVeseeの標準外壁はサイディングです。

 

まず結論です。

 

 

結論

 

外壁下地「NTC外装材」の耐用年数の公表無し

 

外壁タイル「キラテック」の耐用年数は業界トップクラス。再塗装や目地交換も不要

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

耐用年数

外壁下地(NTC外装材)の公表無し

 

外壁タイルは60年以上

※再塗装・目地交換は不要

標準外壁

外壁タイル「キラテック」

※Vesseはサイディングが標準

 

性能

光触媒技術によるセルフクリーニング効果がある

 

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

パナソニックホームズの外壁下地材は、セメントなどに特殊繊維を複合させたNTC外装材です。

 

高温・高圧の窯でオートクレーブ養生しており、乾燥や湿気、熱に強い特徴があります。

 

しかし残念ながら下地材の耐用年数は公表がありませんでした。

 

 

パナソニックホームズでは、NTC外装材に接着剤で施工した外壁材「キラテックタイル」の耐用年数を明示しています。

 

キラテックタイルの耐用年数は60年以上です。

 

これは業界トップレベルと言えます。

 

 

パナソニックホームズで建築された方の多くは、キラテックを気に入ったからと言ってよいほど人気の高い外壁材です。

 

その理由はタイル外壁「キラテック」のセルフクリーニング効果にあります。

 

これはキラテック表面にコーティングされた光触媒技術に秘密があります。

 

タイルの光触媒とは、「酸化チタン」を指します。

 

 

もう少し具体的に仕組みを説明します。

 

 

酸化チタン層は、紫外線(太陽光)が当たると、空気中の酸素・水分と反応し2種類の活性酸素が発生します。

 

この活性酸素の働きが「分解力」優れた「親水性」を生み出します。

 

キラテックはこの分解力と親水性を使い、

 

 

 

・親水性による水膜が、空気中の埃やチリを吸い寄せる静電気を抑え、汚れを抑える

 

・分解力で車の排気ガスなどの汚れの付着力を弱める

 

・上記2つの効果で、雨の日に汚れが流れ落ちやすくなる

 

 

 

これら3つの効果でセルフクリーニング効果を発揮します。

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

光触媒(酸化チタンの層)は、タイル表面に焼付処理をして高耐久性を維持する工夫がされています。

 

劣化促進試験も行っていて、紫外線に対して60年相当の設計耐用年数基準をクリアしていることを確認しています。

 

パナソニックホームズがタイルの耐用年数を60年以上としているのは、この実証によるものと言えます。

 

 

またキラテックタイルは、接着剤にもこだわっています。

 

同社が採用している接着剤は、有機系弾性接着剤を採用しています。

 

こちらも耐用年数60年以上としています。

 

ただしタイル間の接着層は外気(紫外線)の影響があるため、30 or 45年目にメンテナンスが必要です。



ここで外壁キラテックについて少し注意点もあります。

 

 

それは光触媒の効果は紫外線(太陽光)の当たり方によってセルフクリーニング効果が変わる可能性があるということです。

 

例えば南側と北側でも変わりますし、狭小住宅など隣家に挟まれた壁面は当然紫外線が当たりにくくなります。

 

 

とはいえ、光触媒技術は一般的なタイル外壁をより高耐久仕様としたものになります。

 

そのため、外壁の汚れが気になる、外壁のメンテナンスを極力抑えたいという方にはおすすめの外壁材です。

 

 

ここで補足として、光触媒とナノ親水の違いについても簡単にお伝えします。

 

外壁のメンテナンスを抑える上で、この2つはよく登場します。

 

2つともセルフクリーニング効果があって違いがよくわからない、という方も多いかと思います。

 

 

ずばりこの2つの違いは「分解力」です。

 

光触媒には分解力があります。

 

ナノ親水には分解力はありません。

 

つまり排気ガスや苔などの汚れは、光触媒の方がセルフクリーニング効果を発揮しやすいです。

 

一方でナノ親水は分解力とは違う特徴があります。

 

それはナノ親水は紫外線(太陽光)の当たり方による影響を受けないことです。

 

 

外壁の汚れが気になる方はぜひこの違いもおさえておきましょう。

 

 

ナノ親水の特徴については、6-3-2.トヨタホームの外壁耐久性で詳しく紹介します。

 

 

 

パナソニックホームズの外壁材の話に戻ります。

 

 

パナソニックホームズでは、キラテックの他にサイディング外壁「NTC外壁」もあります。

 

これは外壁下地材でも使われているNTC外壁下地に意匠性を持たせた独自の外壁材です。

 

主にセミオーダー商品「Vesse(ヴェッセ)」で標準仕様となっています。

 

 

残念ながらNTC外壁の耐用年数や再塗装・目地交換の詳細な公表はありませんでした。

 

Vesse(ヴェッセ)で検討される方は事前に外壁仕様の確認をおすすめします。

 

 

 

6−3−2.トヨタホームの外壁耐久性

 

トヨタホームはサイディング外壁「ニューセラミックウォール」が標準仕様です。

 

ただしユニット工法かEST工法で外壁材の仕様が変わります。

 

それもこちらでわかります。

 

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

標準仕様の外壁下地材・外壁材ともに耐用年数の公表無し

 

オプション仕様のナノ親水タイルは再塗装や目地交換が不要

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

耐用年数

外壁下地・外壁塗装ともに公表無し

標準外壁

サイディング「ニューセラミックウォール」

 

※エスパシオは標準・オプション仕様の公表無し

ニューセラミックウォール、タイル、ALC板、スパンドレルの4種類から選択可能

オプション外壁

タイル外壁

性能

ニューセラミックウォールは独自塗装「HDセラコート」色あせや汚れを抑える

 

タイル外壁は、ナノ親水によるセルフクリーニング効果がある

再塗装・目地交換は不要

 

 

 

トヨタホームのユニット工法の標準外壁は、サイディング外壁「ニューセラミックウォール」です。

 

オプション仕様でタイル外壁もあり、ニューセラミックウォールと合わせて2種類から選択できます。

 

 

一方でエスパシオ(鉄骨軸組工法)は標準仕様の公表がありませんでしたが、4種類から選択が可能です。

 

上記2種の他、ALC板とガルバリウムスパンドレルが追加されています。

 

ただし残念ながらいずれも外壁下地材・外壁材の耐用年数の公表はありませんでした。

 

 

パナソニックホームズはタイル外壁「キラテック」を標準仕様としており、耐用年数の明示があります。

 

この点で、外壁材の耐久性はパナソニックホームズの方が安心と言えます。

 

 

ここではトヨタホームの各外壁材について紹介します。

 

 

 

■ニューセラミックウォール

 

トヨタホームの標準外壁であるサイディングです。

 

主な特徴はコチラです。

 

 

特徴

 

オリジナルサイディング外壁「ニューセラミックウォール」

 

独自塗装「HDセラコート」で色あせや汚れを抑える

 

促進耐候性試験において30年相当でも色あせが少ない

 

 

 

ニューセラミックウォールの特筆すべき点は、独自塗装の「HDセラコート」です。

 

日差しや熱、雨などに曝されても劣化や色あせを抑えるのが特徴です。

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

さらにHDセラコートの下に水分の浸透をブロックするシーラー塗装を施す二重塗装としています。

 

これらの塗装はすべて工場で行うため、職人さんによる仕上がりが違う、といった心配がありません。

 

 

促進耐候性試験も実施しており、30年相当でも色あせが少なかったということも実証しています。

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

他にも凍結融解実験や屋外暴露試験、濁水流汚染試験、中性化促進試験といったさまざまな試験を行っています。

 

 

しかしこれらの試験もやっていて耐用年数の公表がないのは残念ですね。

 

外壁のメンテナンスはハウスメーカー選びをする上で、多くの方が気にするポイントですので、ぜひ自信をもって詳細な情報を明示いただきたいですね。

 

 

 

■タイル

 

つづいてオプション仕様の外壁タイルです。

 

外壁タイルの特徴はコチラです。

 

 

特徴

 

ユニット工法、EST工法で選択できるナノ親水タイル

※再塗装・目地交換が不要

 

ナノ親水によるセルフクリーニング効果がある

 

紫外線(太陽光)に関係なく、防汚性能がある

 

 

 

トヨタホームのタイルは、「ナノ親水タイル」を採用しています。

 

ナノ親水も光触媒と同様にセルフクリーニング効果があります。

 

 

光触媒との大きな違いは塗膜層です。

 

光触媒は酸化チタン層ですが、ナノ親水はシリカやフッ素の層が親水性を生み出します。

 

そして親水性による水膜に付いた汚れを、雨と一緒に流れ落としてくれます。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

ナノ親水は、光触媒のような紫外線の影響でできる塗膜層とは異なり、光の当たらない場所でも防汚性は発揮します。

 

 

トヨタホームではナノ親水タイルの耐用年数や劣化促進試験の公表はありませんでした。

 

代わりに下図のようにLIXIL(旧INAX)の促進耐候性試験で40年を過ぎても色あせがほとんどないことを紹介しています。

 

※上の画像出典:トヨタホームカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

 

■ALC板

 

エスパシオで採用されている外壁材です。

 

ALC板とは、軽量気泡コンクリート板のことです。

 

ALC板の特徴はコチラです。

 

 

特徴

 

トヨタホームのALC板は四重塗装とした高耐久仕様

※耐用年数など詳細な公表無し

 

 

 

残念ながら耐用年数などの詳細な公表はありませんでしたので、ここでは同社の塗装について紹介します。

 

トヨタホームのALC板は四重塗装としています。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

この塗装は目地も施されているため、目地の劣化も抑制してくれます。

 

ただしALC板の第一人者であるヘーベルハウスでも同様の塗装仕上げをしているので、決して特別な仕様ではありません。

 

こちらは残念ながら再塗装や目地交換の詳細な公表はありませんでした。

 

 

 

 

■ガルバリウムスパンドレル

 

ALC板同様にエスパシオに採用されている外壁材です。

 

ガルバリウムスパンドレルとは、波板状に成形された金属化粧板のことです。

 

 

特徴

 

トヨタホームのガルバリウムスパンドレルは耐食性に優れた高耐久仕様

※耐用年数など詳細な公表無し

 

 

 

ガルバリウムは、アルミニウムと亜鉛を組み合わせた合金です。

 

このガルバリウムでメッキを施した鉄の建材がガルバリウム鋼板です。

 

ガルバリウム鋼板は金属のため、錆びやすいというのがデメリットがあります。

 

しかしトヨタホームでは、錆を抑える耐食性の優れたガルバリウム鋼板を採用しています。

 

もう少し詳しくお伝えすると、下図のように、粒状のアルミリッチ層を亜鉛リッチ層が網目状に取り囲んでいる構造になっています。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

この専用処理皮膜により、耐食性を発揮しています。

 

ただし残念ながら耐用年数やメンテンナンスについての詳細な公表はありませんでした。

 

 

6−4.防水性能

 

言うまでもなく、家を長持ちさせるには防水性能も重要ですよね。

 

パナソニックホームズとトヨタホームの防水性能を比較していきましょう。

 

 

では、先に結論です。

 

 

 

結論

 

防水性能

 

屋根防水の耐用年数は、両社とも公表無し

 

バルコニーの防水は、耐用年数を明示しているパナソニックホームズの方が防水の信憑性が高い

 

外壁・下地材の防水自体の耐用年数は、両社とも公表無し

 

 

壁内結露・湿気対策

 

ヒートブリッジである構造躯体の結露対策はパナソニックホームズの方が安心

 

トヨタホームの結露対策には不安な点がある

 

湿気侵入リスクは表層の防水性が高いパナソニックホームズの方が低い

 

 

 

両社の具体的な特徴はコチラです。

 

 

防水性能

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

屋根防水

耐用年数の公表無し

 

フラット屋根はシート防水工法を採用

耐用年数の公表無し

バルコニー

耐用年数30年以上

 

一般的なシート防水工法を採用

耐用年数の公表無し

 

一般的な絶縁工法を採用

外壁・下地材

外壁・下地材の防水自体の耐用年数は公表なし

※タイルに使う接着剤は約60年

外壁・下地材の防水自体の耐用年数は公表無し

 

外壁の目地は2重の防水対策をしており安心

防水シート

通気層の内側に透湿防水シートを施工

通気層の内側に防湿シートを施工

 

 

壁内結露・湿気対策

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

湿気対策

外部の湿気は防水性が高い外壁・接着剤・下地材で侵入を抑制

 

通気層は一般的な通気工法を採用

 

断熱層の湿気は透湿防水シートで通気層へ逃がす

 

 

 

通気層は外壁材の内側に確保

 

断熱層の湿気は「防水シート」で侵入リスクを抑制

結露対策

結露が発生しやすい構造躯体を断熱材で覆い、結露となりにくい

 

鋼製の外壁パネルの結露対策もできている

ヒートブリッジである鉄骨材の結露対策に不安が残る

 

 

 

大手や有名なハウスメーカーであれば、どこも防水性能は一緒と思っている方も多いのではないでしょうか?

 

確かにどの会社も防水シートを採用して同じように見えます。

 

ただし、とても重要な違いがあります。

 

こちらではそれがわかります。

 

 

そして防水性能と同様に、重要なのは壁内結露対策です。

 

 

結露と言えば、冬の窓に水滴がたくさんつく現象をみなさんイメージされるかと思います。

 

壁内結露は、室内の水分を含んだ空気(水蒸気)が、外部の冷たい空気によって冷やされた素材に触れて、水滴(水分)となって現れる現象です。

 

今まで結露しなかった気体が壁の中の冷たい(露点温度に達した)素材に触れることで、結露するわけです。

 

 

一般的に、屋内と屋外を隔てる住宅の壁は、断熱材や構造材が入り混じり、結露となる温度帯(露点温度)となりやすいです。

 

壁内で結露が発生すれば

 

・構造材が劣化する

 

・断熱効果が落ちる

 

・カビの胞子が発生し、人体に悪影響となる

 

といったさまざまなマイナス面があります。

 

 

では両社の防水と壁内結露対策をみていきましょう。

 

 

 

6−4−1.パナソニックホームズの防水性能

 

パナソニックホームズの防水性能をみていきましょう。

 

こちらは主にHS構法に該当する仕様です。

 

まずは結論です。

 

 

 

結論

 

防水性能

 

バルコニー防水は大手他社と比較して標準的な仕様

 

屋根・外壁・下地材の防水自体の耐用年数は公表なし

 

外壁防水は外壁・接着剤・下地材の防水性が高いため安心

 

 

 

壁内結露・湿気対策

 

結露が発生しやすいヒートブリッジ対策が取れている

 

湿気対策は一般的な通気工法を採用

 

 

 

防水性能

屋根防水

耐用年数の公表無し

 

フラット屋根はシート防水工法を採用

バルコニー

耐用年数30年以上

 

一般的なシート防水工法を採用

外壁・下地材

外壁・下地材の防水自体の耐用年数は公表無し

※タイルに使う接着剤は約60年

防水シート

通気層の内側に透湿防水シートを採用

壁内結露・湿気対策

湿気対策

外部の湿気は防水性が高い外壁・接着剤・下地材で侵入を抑制

 

通気層は一般的な通気工法を採用

 

断熱層の湿気は透湿防水シートで通気層へ逃がす

 

壁内結露

結露が発生しやすい構造躯体を断熱材で覆い、結露となりにくい

 

鋼製の外壁パネルの結露対策もできている

 

 

 

それでは防水性能と結露対策について具体的にみていきましょう。

 

 

■屋根・バルコニー防水

 

はじめに屋根・バルコニー防水です。

 

屋根防水の耐用年数については、残念ながら詳細な公表がありませんでした。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

屋根防水の耐用年数の公表無し

フラット屋根に限り防水仕様をみると、大手他社と比較して標準的な仕様

 

バルコニー防水は大手他社と比較して標準的な仕様

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

屋根防水

バルコニー防水

耐用年数

公表無し

 

30年以上

特徴

一般的な屋根がけは詳細な公表無し

 

フラット屋根はシート防水工法を採用

 

豪雨を想定した局所風雨実験を実施

シート防水工法を採用

 

 

 

 

豪雨を想定した局所風雨実験を実施

 

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

ここではフラット屋根やバルコニーの防水仕様について紹介します。

 

パナソニックホームズのフラット屋根やバルコニーの防水仕様は、絶縁工法を採用しています。(接着工法の場合も有り)

 

 

絶縁工法とは、下図のように防水シートと防水下地材(不燃ボード)を密着させず、浮かせる工法です。

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

この浮かせた部分、空気層があることにより、地震などによる建物振動による防水シートの破断を防ぐことができます。

 

ただし同工法は他社でも採用されているため決して特別な仕様ではありません。

 

 

パナソニックホームズでは、屋根、外壁、開口部の防水性能を確認する局所風雨試験を実施しています。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

国内観測史上最大、1時間で最大187mmの雨量を記録した1982年の長崎水害並みの条件で実証しています。

 

この長崎水害は時間雨量が100mmを超える集中豪雨が3時間余り続き、甚大な被害をもたらしました。

 

ちなみに過去記憶に新しい2018年西日本豪雨で土砂災害などで甚大な被害があった広島県呉市でも、1時間あたりの最大降雨量は約60mmでした。

 

参照:広島県河川調査G 2018年7月豪雨 広島県での豪雨の特徴

 

 

ただし西日本豪雨の場合は、約10日間にわたる総雨量が多かったこともあり甚大な被害となりました。

 

パナソニックホームズの風雨試験は、あくまで1時間あたりの降雨量が多い条件で実施しており、その試験時間の公表はありません。

 

そのため、西日本豪雨以上の条件下でも防水性に問題はないと言い切れないので注意してくさい。

 

とはいえ観測史上最大の雨量で防水性を実証できている点は安心です。

 

 

 

■外壁防水

 

つづいて外壁の防水性をみていきましょう。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

外壁・下地材の防水自体の耐用年数は公表無し

※タイルに使う接着剤は約60年

 

キラテック、接着材、NTC外装材とも防水性があり、目地の外部露出もないので、防水性は安心

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

外壁防水

耐用年数

外壁・外壁下地材ともに防水性の耐用年数公表なし

※接着剤は約60年

特徴

外壁下地「NTC外装材」は防水性有り

 

タイルに使う接着剤は、弾性接着剤を使用

紫外線や雨などの劣化試験で耐用年数約60年を実証

 

キラテックは磁器タイルのため防水性が高い

 

 

外壁も台風や大雨により、表層から下地材へ水滴が侵入するリスクがあります。

 

例えば外壁に小さな亀裂があったり、サイディングなどの目地がひび割れをしていると、その小さな隙間から水滴は侵入します。

 

そしてこの水滴が結露の原因のひとつになります。

 

 

パナソニックホームズは、外壁・下地材の防水性に関する耐用年数の公表はありませんでした。

 

しかし防水対策に関しては安心できる仕様であると言えます。

 

 

それでは防水対策について具体的に紹介します。

 

大きく分けて3つの対策を取っています。

 

それは、外壁タイル、接着剤、外壁下地です。

 

 

まず外壁タイルです。

 

こちらは6-3.外壁の耐久性で紹介したタイル外壁「キラテック」に防水性があります。

 

キラテックの素材は磁器質タイルです。

 

磁器質タイルとは、石英や長石を1200~1350℃で焼いたタイルです。

 

このタイルは吸水率が1%以下という特徴があります。

 

つまり外壁表層で一番雨の影響を受けやすいキラテックは、ほぼ水を吸いません。

 

 

次に接着剤です。

 

これはキラテックを貼る際に使う接着剤のことです。

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

タイルの間の隙間はこの接着剤で覆われています。

 

そのため隙間に入った雨などの水滴は接着剤が防水します。

 

パナソニックホームズでは、弾性接着剤を採用しています。

 

弾性接着剤には、環境の変化に対応しやすい「高耐候変成シリコン」が使われており、熱を通しにくく、ある程度伸びる性質を持っています。

 

パナソニック ホームズでは、この弾性接着剤の耐久試験を実施しています。

 

接着剤に紫外線や雨、湿度・温度を変えた試験を実施、60年相当でもほとんど劣化がないことを実証しています。

 

 

最後に外装下地材「NTC外装材」です。

 

NTC外装材とはセメントなどに特殊繊維を複合させたものです。

 

一般的な名称で言うとセメントボードです。

 

NTC外装材の防水性について詳細な公表はありませんでしたが、一般的にセメントボードにも防水性があります。

 

パナソニックホームズの場合、上図のようにNTC外装材と目地が弾性接着剤で覆われます。

 

そのため目地の劣化がしにくく、水滴の侵入リスクが少ないと言えます。

 

 

これら3つの対策があるためパナソニックホームズの外壁防水は安心であると言えます。

 

 

 

■壁内結露・湿気対策

 

壁内結露は、構造躯体の劣化にも繋がる重要なポイントです。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

結露が発生しやすい構造躯体を断熱材で覆い、結露となりにくい

 

鋼製の外壁パネルの結露対策もできている

 

湿気対策は一般的な通気工法を採用

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

結露対策

ヒートブリッジになりやすい構造躯体は断熱材で覆っている

 

鋼製の外壁パネルと外壁材の間に通気胴縁を設けて、外気の影響を受けにくくしている

湿気対策

一般的な通気工法を採用

 

 

断熱層の湿気は「透湿防水シート」で通気層へ逃がす

 

 

こちらを詳しく見ていく前に、まずはそもそも壁内結露対策に重要な断熱性をおさえておきましょう。

 

よく断熱材グラスウールは、湿気に弱いから結露しやすいと言う設計士がいます。

 

それは間違った知識です。

 

結露は、壁の中の素材が冷え(露点温度となり)、そこに水蒸気量がある暖かい空気が触れると結露となり(露点温度となり)ます。

 

つまり、壁の中、特に重要な構造材付近を冷やさないことが重要となります。

 

 

パナソニックホームズやトヨタホームは、結露が発生しやすいヒートブリッジである鉄骨が構造躯体です。

 

ヒートブリッジとは、建物の中で、局部的に熱を伝えやすい部分のことを指します。

 

鉄骨材は、熱伝導率が高い(熱を伝えやすい)建材のため、外気の影響を受けやすく、特に冬の寒気の影響で結露を発生しやすいです。

 

そのため特にヒートブリッジによる結露対策が重要です。

 

 

それではパナソニックホームズの壁内結露・湿気対策を具体的にみていきましょう。

 

 

まずは結露対策です。

 

壁内の結露対策は、主に鉄骨材を使用している構造躯体と外壁フレームがポイントになります。

 

 

この対策は、下図のように断熱材ロックウールを鉄骨材のまわりに充填することにより、外気の影響を受けにくくしています。

(下図は、一部分鉄骨が見えていますが実際には断熱材に覆われています、)

 

外壁に使う断熱材の標準的な厚みは105mmです。

 

そしてヒートブリッジとなり得る柱まわりには、柱の側面だけでなく、室内側・外壁側の面にも断熱材で覆い、柱の四方全てを断熱材に覆うようにしています。

 

特に冷えやすい柱まわりの断熱対策は取れていると言えます。

 

外壁フレームについては、通気層と面する部分があります。

 

この部分は通気胴縁である木材に面しています。

 

ロックウールほどではありませんが、鉄より断熱性が高い木材を使用していますので、ヒートブリッジのリスクは少ないと言えます。

 

トヨタホームなど内断熱工法を採用している鉄骨メーカーは、構造躯体や外壁フレームの外壁に面する断熱層が非常に薄く、ヒートブリッジ対策に不安を感じる施工方法もあります。

 

その点と比較すると安心であると言えます。

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

次に湿気対策です。

 

 

まず外部の湿気対策です。

 

こちらは侵入リスクが少ないと言えます。

 

外壁防水でもお伝えしたとおり、外壁タイル、接着剤、外壁下地の防水性が高いからです。

 

 

仮に、外部から湿気の侵入があっても、通気層から排出できるようになっています。

 

 

ちなみに通気層は通気胴縁を設けた一般的な通気工法を採用しています。

 

 

つづいて内部(断熱層)の湿気対策です。

 

まず室内からの湿気を防湿シートでカットします。

 

 

これでも万全とは言えません。

 

皆さんは、雨粒(あまつぶ)と比べて水蒸気の粒子はどれほどの大きさかご存知でしょうか?

 

やや小さめの雨粒直径2mmと比べて、水の粒子はその500万分の1です。

 

 

目に見えない水蒸気の粒子がちょっとした隙間から壁の中に入る可能性が十分にあるわけです。

 

 

パナソニックホームズでは、気圧差や水蒸気の均衡などで、万が一水蒸気の粒子が断熱材に侵入した場合も、透湿防水シートが湿気を通気層へ排出します。

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

このように外内部の湿気対策、そしてヒートブリッジによる結露対策はしっかりできていると言えます。

 

 

 

6−4−2.トヨタホームの防水性能

 

続いてトヨタホームの防水性能をみていきましょう。

 

こちらでは主にユニット工法に該当する仕様です。

 

まずは結論です。

 

 

 

結論

 

防水性能

 

バルコニー防水は大手他社と比較して標準的な仕様

 

屋根・外壁・下地材・バルコニーの防水自体の耐用年数は公表なし

 

外壁の目地は2重の防水対策をしており安心

 

 

 

壁内結露・湿気対策

 

結露が発生しやすいヒートブリッジ対策に不安がある

 

湿気対策は外壁材の内側に通気層を確保

 

 

 

防水性能

屋根防水

耐用年数の公表無し

 

 

バルコニー

耐用年数の公表無し

 

一般的なシート防水工法を採用

外壁・下地材

外壁・下地材の防水自体の耐用年数は公表無し

 

目地に二重の防水シートを施工

※外壁防水実験も実証

防水シート

通気層の内側に防湿シートを採用

壁内結露・湿気対策

湿気対策

外部の湿気は目地に二重の防水シートを施工

 

湿気対策は外壁材の内側に通気層を確保

壁内結露

結露が発生しやすい構造躯体の外壁面の断熱層が薄く、結露発生リスクの不安がある

 

 

それでは防水性能と結露対策について具体的にみていきましょう。

 

 

 

■屋根防水・バルコニー防水

 

はじめに屋根・バルコニー防水です。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

屋根・バルコニーとも防水の耐用年数の公表無し

 

バルコニー防水は大手他社と比較して標準的な仕様

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

屋根防水

バルコニー防水

耐用年数

公表無し

 

公表無し

特徴

詳細公表無し

 

強風雨発生装置による防水実験を実施

絶縁工法を採用

 

 

 

 

屋根、バルコニーの防水に関する耐用年数や防水仕様は、残念ながら詳細な公表がありませんでした。

 

こちらでは各防水に関する公表されている特徴を簡単に紹介します。

 

 

まずは屋根です。

 

こちらは詳細な公表はありませんが、局所的な豪雨を想定した防水実験を実施しています。

 

強風雨発生装置により、強い雨や風を発生させて防水性能を検証しています。

 

※上の画像出典:トヨタホーム カタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

ただし具体的な実験内容の公表はありませんでした。

 

パナソニックホームズも風雨を想定した実験をしており、降雨量を明示しています。

 

その点と比較するとパナソニックホームズの屋根防水性能の方が信憑性が高いと言えます。

 

 

続いてバルコニー防水です。

 

こちらはパナソニックホームズと同様に絶縁工法を採用しています。

 

しかし残念ながら詳細な内容は公表されていませんでしたので割愛させていただきます。

 

 

 

■外壁防水

 

つづいて外壁の防水性をみていきましょう。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

外壁・下地材の防水自体の耐用年数は公表無し

 

外壁の目地は2重の防水対策をしており安心

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

外壁防水

耐用年数

外壁・外壁下地材ともに防水性の耐用年数公表なし

 

特徴

外壁・下地材の防水性能の公表無し

 

目地は定型シールと止水シートの二重構造

 

外壁防水実験も実施、水漏れがないことを確認

 

 

外壁も屋根同様に、外壁・下地材に関する耐用年数や防水仕様は公表がありませんでした。

 

しかし標準外壁「ニューセラミックウォール」のつなぎ目(目地)の防水性には強いこだわりがあります。

 

トヨタホームでは、定型シールと止水シートの二重防水構造としています。

 

定型シールは、クルマの窓まわりと同材質で耐候性が高いのが特徴です。

 

そして定型シールと外壁フレームの間に止水シールを施工しています。

 

 

※上の画像出典:トヨタホーム カタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

この防水仕様による防水実験も実施しており、外壁の水漏れがないことを確認しています。

 

 

※上の画像出典:トヨタホーム カタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

ただしこの目地の耐用年数の公表がなく、劣化による湿気侵入リスクが心配です。

 

またトヨタホームの構造は結露リスクも心配な点があります。

 

 

では次節から壁内結露・湿気対策をみていきましょう。

 

 

 

■壁内結露対策

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

結露が発生しやすい構造躯体の断熱対策に心配点がある

 

目地の耐用年数の公表がなく、劣化による湿気侵入リスクが心配

 

湿気対策は外壁材の内側に通気層を確保

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

結露対策

ヒートブリッジになりやすい構造躯体は断熱材で覆っている

ただし外壁面の断熱材は薄いポリエチレンフォーム

 

湿気対策

湿気対策は外壁材の内側に通気層を確保

 

 

断熱層の湿気は「防水シート」で侵入リスクを抑制

 

 

まずは結露対策です。

 

トヨタホームもパナソニックホームズ同様に、鉄骨材を使用している構造躯体と外壁フレームがポイントになります。

 

 

先にお伝えすると、トヨタホームの結露対策は不安が多いと言わざるを得ません。

 

詳細な厚みは明示されていませんが、下図を見る限りかなり薄いものだと予想されます。

 

似た事例でセキスイハイムも同様の結露対策をしており、外壁面の断熱層は3mmのソフトロンテープのみでした。

 

トヨタホームではポリエチレンフォームが採用されています。

 

ポリエチレンフォームの熱伝導率(=熱の伝わりやすさ)は、高性能グラスウール16Kやロックウールと同等程度です。

 

パナソニックホームズはロックウールで構造躯体を覆っていますが、見る限りトヨタホームよりも厚い仕様です。

 

 

特に外気の侵入は、ニューセラミックウォールよりも目地からの侵入リスクが高いです。

 

目地は外壁防水でお伝えしたとおり定型シールを採用しています。

 

目地はゴム系の素材のため、外壁材よりもひび割れなどの劣化のリスクが高く、外気が侵入しやすいです。

 

鉄骨柱の断熱層が薄く、目地からの外気の侵入リスクを考えると、結露対策が不十分で、不安が残ると言わざるを得ません。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

続いて湿気対策です。

 

こちらは壁内結露でお伝えしたとおり、目地からの湿気侵入リスクが心配です。

 

ただし外壁の内側に断熱層を設けているので、湿気の排出経路は確保できています。

 

断熱材には、通気層が面する部分と鉄骨材に面する部分に防湿シートを貼っています。

 

そのための断熱材内部に湿気が侵入するリスクは低いでしょう。

 

 

トヨタホームでは、築20年以上の建物で壁内結露がなかったことを公表しています。

 

この点については、上記不安点があるものの、実績で問題がなかった証明があるため少し安心であると言えます。

 

 

 

6−5.防蟻対策

 

防蟻対策は残念ながら両社とも防蟻仕様と耐用年数について詳細な公表がありませんでしたので割愛させていただきます。

 

防蟻メンテナンスは10年毎を推奨しています。

 

そのため耐用年数はほぼ同等と予想されます。

 

 

ここでパナソニックホームズの基礎断熱で採用している防蟻対策について簡単に紹介します。

 

 

パナソニックホームズは床下ではなく、基礎内側の立上り部分に断熱材を施工しています(詳しくは7.省エネ・断熱性の違いで紹介)

 

しかしこの場合、基礎が断熱材で見えなくなってしまい、シロアリ被害に気づけない可能性があります。

 

そこでパナソニックホームズでは、シロアリのアタック経路となりやすい基礎と土間コンクリートの隣接部に防蟻ペーストを塗布し、防蟻・防湿シートを施工して対策をしています。

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

さらに特筆すべき点は防蟻のメンテナンス方法です。

 

基礎断熱材の裏(基礎の立上り側)に不織布を施工しています。

 

防蟻メンテナンスの際は断熱材に注射針ほどの小さな穴を空けて薬剤を注入して、不織布に浸透させています。

 

これにより基礎立ち上がりと基礎断熱材の間の目視できない部分もしっかり防蟻メンテナンスをしています。

 

鉄骨造とはいえ、木材も使用しているので、きちんとメンテナンスのことも考えられているのは、さすがです。

 

 

7.省エネ・断熱性の違い

 

省エネや断熱性能の関心が高まっていますよね。

 

結論を先に言うと、鉄骨同士では数値的にはそれほど変わらないと言えます。

 

ただし両社の公表値で注意すべき点がありますのでこの後詳しくわかります。

 

 

まずは結論です。

 

 

 

結論

 

UA(ユーエー)値

※総合的な断熱性

 

パナソニックホームズの方がUA(ユーエー)値における断熱性がやや高い

 

ただし標準構造のUA値でZEH基準を満たしているのはパナソニックホームズ

 

 

 

両社ともアルゴンガス入りアルミ樹脂複合サッシを標準仕様としており、窓の断熱性は同等

 

ただし大手他社の中では普通レベル

 

 

断熱材

 

 

断熱材の性能はパナソニックホームズの方が高い、

 

断熱材の厚みはほぼ同等

 

 

 

断熱性能を総合的に見るとややパナソニックホームズの方が優れていると言えます。

 

しかし大手他社と比較すると、両者とも普通レベルです。

 

それでは両社の特徴をもう少し具体的にみてみましょう。

 

 

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

UA値

具体的な公表無し

※ZEH基準0.60w/㎡•Kに標準仕様で対応

 

ZEH採用率は約54%

鉄骨:0.70w/㎡•K

木造:公表無し

※ZEH基準0.60w/㎡•Kの仕様も可能

 

ZEH採用率は約58%

 

標準仕様はアルゴンガス入りアルミ樹脂複合サッシ

 

断熱材

■HS構法

耐熱・耐水性が高いロックウールを採用

 

壁:ロックウール105mm

 

 

天井:ロックウール210mm

 

 

基礎:90mm押出法ポリスチレンフォーム3種を使用

※床下に断熱材は無し

 

※NS構法、F構法の公表無し

■ユニット工法

一般的な高性能グラスウール16Kを採用

 

壁:高性能グラスウール16K100mm+高性能硬質ウレタンフォーム

 

天井:高性能グラスウール16K210mm

 

床に高性能硬質ウレタンフォーム35mmを使用

 

 

■EST工法

壁:硬質ウレタンフォーム65mm

 

天井:高性能グラスウール  

 

床:ALC板+硬質ウレタンフォーム

※床、天井の詳細な数値の公表無し

 

 

 

さらに具体的な内容をご興味ある方は、他社と比較する上でも参考になるので、この下の具体的な解説をご覧ください。

 

この結論だけで良いという方は、保証とサービスの比較も重要なので、そちらをどうぞ。

 

 

先に冒頭の注意すべき点についてお伝えしておきます。

 

両社ともUA(ユーエー)値はほぼ同等ですが、標準仕様でZEH基準を満たしているのはパナソニックホームズです。

 

一方で、トヨタホームでZEH基準を満たすには、一部オプション仕様(断熱性の高い窓へ変更など)を採用しないといけない可能性があります。

 

標準かオプションか、建物価格に影響する重要ポイントですので、ZEHを検討している方は必ずおさえておいてください。

 

 

ここでUA(ユーエー)値とZEH(ゼッチ)の概要について簡単に補足です。

 

断熱性は、各社公表しているUA(ユーエー)値を指標とするのが現在の主流です。

(これからは省エネ性の表示が主流になりますが、まだ各社その表示が出揃っていないです。)

 

UA(ユーエー)値とは、外皮熱貫流率と言い、家の内から外へ逃げ出す熱の割合を示す数値になります。

数値が小さいほど高い断熱性能があることを示しています。

 

ZEH(ゼッチ)とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称です。

 

住まいの断熱性能や省エネ性能を向上し、さらに太陽光発電などで生活に必要なエネルギーをつくり出すことにより、年間の一次消費エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)をおおむねゼロ以下にする住宅のことです。

 

ZEH支援事業として、UA(ユーエー)値を含めた要件を満たすと国から補助金がもらえます。

 

 

それでは両社が上記UA値を満たすためにどのような断熱方法を採用しているのか、早速みていきましょう。

 

 

 

7−1.パナソニックホームズの省エネ・断熱性能

 

まずは結論です。

 

 

 

結論

 

UA値

 

UA(ユーエー)値の具体的な数値を公表していない

 

ただし標準仕様でZEH基準0.60w/㎡•Kはクリア

 

 

 

 

窓の断熱性能は普通レベル

 

断熱材

 

断熱材の性能・厚みは比較的普通レベル

 

ただし耐水・耐熱性も兼ね備えたロックウールを使用

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

UA値

具体的な公表無し

※ZEH基準0.60w/㎡•Kに標準仕様で対応

 

ZEH採用率は約54%

標準仕様はアルミ樹脂複合サッシ

断熱材

■HS構法

耐熱・耐水性が高いロックウールを採用

 

壁:ロックウール105mm

 

天井:ロックウール210mm

 

基礎:90mm押出法ポリスチレンフォーム3種を使用

※床下に断熱材は無し

 

※NS構法、F構法の公表無し

 

 

では具体的な特徴をみていきましょう。

 

 

 

7−1−1.パナソニックホームズのUA値の目安は0.60w/㎡•K以下

 

最初にUA(ユーエー)値についてです。

 

先に結論です。

 

 

結論

 

UA(ユーエー)値の具体的な数値を公表していない

 

ただし標準仕様でZEH基準0.60w/㎡•Kはクリア

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

UA値

UA値の具体的な数値の公表無し

 

ZEH基準0.60w/㎡•Kに標準仕様で対応

 

2020年度ZEH採用率

 

 

ZEH採用率は約54%

※一般社団法人 環境共創イニシアチブの公表による

 

 

 

UA値は数値が小さいほど高い断熱性能があることを示しています。

 

パナソニックホームズのUA値の具体的な数値を公表していません。

 

ですが標準仕様でZEH基準0.60w/㎡•Kに対応としています。

 

 

ここで注意点が2つあります。

 

1つ目は、ZEH基準のUA値は地域によって異なることです。

 

※上の画像出典:YKK AP HP ※画像外はユームの参考情報

 

ZEH基準0.60w/㎡•Kは、主に関東や中部、関西、九州エリア(省エネ地域4~7)となります。

 

北海道や東北、近畿エリアの基準は上図のように、さらに高い断熱性能が基準となりますので注意が必要です。

 

参照:国土交通省 地域区分新旧表

 

 

ただしパナソニックホームズの拠点は仙台までのため、省エネ1~3地域の施工実績はそれほど多くないと予想されます。

 

しかし長野や岐阜といった省エネ3地域以下のエリアにも拠点があります。

 

事前に自分たちのエリアがどの省エネ地域に該当するか確認しておきましょう。

 

 

2つ目は、標準仕様でもZEH基準0.60w/㎡•Kを満たせない場合があることです。

 

なぜなら間取りプランや仕様によって、数値が変わるためです。

 

これはパナソニックホームズに限らずどのハウスメーカーにも言えるケースです。

 

例えば、同じ面積の建物でも外形が違ったり、窓の数などで断熱性能は変わります。

 

ZEHを申請する場合、自分たちの間取りプランがUA値の基準を満たすか、設計担当者によく確認しておきましょう。

 

 

ちなみにZEH基準0.60w/㎡•Kは、ハウスメーカーのトップレベルではなく、比較的普通レベルの断熱性です。

 

そのためパナソニックホームズの断熱性は、他社と比較すると決して特別な仕様ではありません。

 

 

直近2020年のZEH実績は約54%です。

 

ZEH実績だけで言うと大手ハウスメーカーの中ではやや低い水準です。

 

ZEH実績だけが全てではないですが、この実績も断熱性能の高さを証明する重要な指標になりますので、今後さらに実績が増えることを期待したいですね。

 

 

次節から、断熱性のディティール部分である窓や断熱材についてもみていきます。

 

 

7−1−2.パナソニックホームズの窓はアルミ樹脂複合サッシ

 

窓の標準仕様は、アルミ樹脂複合サッシです。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

窓の断熱性能は普通レベル

 

 

 

標準窓の仕様はコチラです。

 

 

 

特徴

アルミ樹脂複合サッシ

 

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

アルゴンガス入りアルミ樹脂複合サッシは、内側に断熱性能の高い樹脂フレーム、外側に耐候生の高いアルミフレームを使用した二重サッシです。

 

ただし大手他社の標準窓は、アルミ樹脂複合サッシにアルゴンガスを充填している仕様が多いです。

 

アルゴンガスとは空気よりも断熱性が高い気体です。

 

これがガラスとガラスの間に真空で充填されています。



パナソニックホームズでは、アルゴンガス入りが標準窓でないことから、窓の断熱性能は特段高いとは言えません。



しかしエアロハスを標準搭載としているカサートプレミアムの場合は標準仕様としています。



もちろん他の商品でもアルゴンガス入りへの変更は可能です。

 

それほど大きな差額でないことが予想されますので、ペアガラス間の結露を気にされる方は、アルゴンガス入りへの変更をおすすめします。

 

 

続いて断熱材をみてみましょう。

 

 

 

7−1−3.パナソニックホームズの断熱材

 

こちらではHS構法の断熱材について紹介します。

 

 

結論

 

断熱材の性能・厚みは比較的普通レベル

 

ただし耐水・耐熱性も兼ね備えたロックウールを使用

 

 

 

断熱材の仕様はコチラです。

 

 

 

特徴

断熱材

耐熱・耐水性が高いロックウールを採用

ロックウール105mm

 

天井

ロックウール210mm

 

基礎

90mm押出法ポリスチレンフォーム3種を使用

※床下に断熱材は無し

 

 

壁・天井の断熱材の厚みは、大手他社と比較して普通レベルです。

 

ただし壁の厚みについては、オプションで高断熱仕様の厚さ160mmに変更することも可能です。

 

断熱材の厚みが増せば、断熱性能が上がるため光熱費を抑えることができます。

 

パナソニックホームズでは、特にエアロハスを採用するケースで高断熱仕様を推奨しています。



では断熱材自体の断熱性についてみてみましょう。

 

 

パナソニックホームズの壁、天井の断熱材はロックウールを使用しています。

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

一般的なハウスメーカーは高性能グラスウール16Kを使用していることが多いです。

 

ロックウールは高性能グラスウール16Kと同等の断熱性能です。

 

そのため使用している断熱材自体はあまり特筆すべきものではありません。

 

もう少し詳しく紹介します。

 

下図は、よく使われる断熱材と熱伝導率を比較した表です。

 

断熱材

種別

熱伝導率(W/m・K)

ロックウール

0.038

高性能グラスウール

16K

0.038

24K

0.036

ビーズ法ポリスチレンフォーム

1号

0.036

2号

0.037

押出法ポリスチレンフォーム

2種

0.034

3種

0.028

 

断熱性は、上図の熱伝導率が小さくなるほど性能が高くなります。

 

この数値から高性能グラスウール16Kとロックウールは、同じ熱伝導率のため、同等の断熱仕様ということがわかるかと思います。

 

 

ただし実際には壁や天井の断熱性能は、断熱材の素材だけでなく、その厚みによっても大きく変わります。

 

厚みについても特筆する仕様ではなく、同じ鉄骨住宅メーカーと比較すると普通レベルです。

 

 

一方でロックウールは、断熱性とは別に耐熱・耐水性に強い特徴があります。

 

※上の画像出典:三井ホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

特に耐熱性は防火性にも繋がる重要なポイントとなります。

 

詳しくは5-1.内部出火の防火性能をご覧ください。

 

 

 

パナソニックホームズの断熱仕様で特徴的なのは床の断熱です。

 

床の断熱仕様は、一般的な床下に断熱材を施工する方法ではありません。

 

下図のように基礎内側の立上り部分に施工する基礎断熱です。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

これは床下の安定した温度環境を活用した断熱方法です。

 

元々床下は、室内や外と比較して温度が安定しています。

 

これは床下の地熱が年間を通して安定しているからです。

 

そこに唯一外気の影響を受けやすい基礎立上り部分を断熱材で覆うことにより、さらに安定した温度環境を実現しています。

 

 

パナソニック ホームズでは家全体を断熱材で包みながら、地熱を活用する「家まるごと断熱」を推奨しています。

(詳しくは8.空調・換気を比較で詳しく紹介)

 

 

ただし注意点もあります。

 

それは断熱材で覆われた部分の基礎の点検ができないことです。

 

例えば基礎にクラックが発生しても、断熱材があるため確認することができません。

 

 

ただパナソニックホームズでは基礎の耐用年数60年以上としています。

 

一般的な工務店や中堅メーカーよりは高耐久の仕様ですので、それほど大きなリスクはないと考えます。

 

 

とはいえ地熱を活用するメリットもありますが、こういったデメリットもありますので抑えておいてください。

 

 

 

7−2.トヨタホームの省エネ・断熱性能

 

まずは結論です。

 

 

 

結論

 

UA値

 

UA(ユーエー)値の目安は0.60w/㎡•K

 

ZEH仕様を満たすのに一部オプション工事の可能性があるため注意が必要

 

 

 

 

窓の断熱性能は普通レベル

 

断熱材

 

断熱材の性能・厚みは比較的普通レベル

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

UA値

UA値:目安0.70w/㎡•K

※ZEH基準0.60w/㎡•Kにも対応可

※上記数値は鉄骨ラーメンユニットの公表値。EST工法の公表無し

 

ZEH採用率は約58%

標準仕様はアルゴンガス入りアルミ樹脂複合サッシ

断熱材

■ユニット工法

一般的な高性能グラスウール16Kを採用

 

壁:高性能グラスウール16K100mm+高性能硬質ウレタンフォーム

 

天井:高性能グラスウール16K210mm

 

床に高性能硬質ウレタンフォーム35mmを使用

 

 

■EST工法

壁:硬質ウレタンフォーム65mm

 

天井:高性能グラスウール 

 

床:ALC板+硬質ウレタンフォーム

※床、天井の詳細な数値の公表無し

 

 

では具体的な特徴をみていきましょう。

 

 

7−2−1.トヨタホームのUA値の目安は0.70w/㎡•K

 

ユニット工法のみUA値を公表しています。

 

先に結論です。

 

 

結論

 

UA(ユーエー)値の目安は0.60w/㎡•K

 

ZEH仕様を満たすのに一部オプション工事の可能性があるため注意が必要

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

UA値

UA値の目安は0.70w/㎡•K

※上記数値はユニットの公表値。EST工法の公表無し

 

ZEH基準0.60w/㎡•Kにも対応。ただしオプション仕様?

 

2020年度ZEH採用率

 

 

ZEH採用率は約58%

※一般社団法人 環境共創イニシアチブの公表による

 

 

 

UA値は、ユニット工法の標準仕様で、目安0.70w/㎡•Kとしています。

 

UA値の数値はパナソニックホームズとそれほど差がありません。

 

 

しかしZEH基準は0.60w/㎡•Kです。

 

ZEHに関してはこの基準値を満たしているか否かの差がありますので必ずおさえておきましょう。

 

 

そしてZEH申請を検討する際は、追加費用がいくらかかるのかも事前に確認しておきましょう。

 

例えば、窓や断熱材をグレードアップといった内容です。

 

トヨタホームの場合、基準値をやや下回る程度なので、大幅な金額UPとはならないかと思います。

 

 

とはいえパナソニックホームズと同様に、間取りプランによってもUA値は変わります。

 

自分たちの間取りプランがUA値の基準を満たせるか、設計担当者に確認しながら打合せを進めましょう。

 

 

直近2020年のZEH実績は約58%です。

 

ZEH実績だけで言うと大手ハウスメーカーの中ではやや低い水準です。

 

しかし前年比から約2倍実績を伸ばしています。

 

実績が高ければ、いざ申請するときの安心感に繋がりますので今後に期待です。

 

 

そしてできればトヨタホームでも標準仕様でZEH基準を満たす断熱性能があることを、HPやカタログに明示いただくことを期待したいです。

 

 

では窓や断熱材についてもみていきましょう。

 

 

7−2−2.トヨタホームの窓はアルゴンガス入りアルミ樹脂複合サッシ

 

窓の標準仕様は、アルミ樹脂複合サッシです。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

窓の断熱性能は普通レベル

 

 

 

標準窓の仕様はコチラです。

 

 

 

特徴

アルゴンガス入りアルミ樹脂複合サッシ

 

オプション仕様でトリプルガラスの選択も可能

 

 

トヨタホームの標準窓は、アルゴンガス入りのアルミ樹脂複合サッシです。

 

窓の仕様はパナソニックホームズと同等です。

 

ただし大手ハウスメーカー全体では、アルゴンガス入りアルミ樹脂複合サッシを標準仕様としていることが多いため、特段高いというわけではありません。

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

オプション仕様でクリプトンガス入りのトリプルガラスの選択も可能です。

 

コストの問題はありますが、冒頭お伝えしたZEH基準を満たす手段として有効なひとつと言えます。

 

 

 

7−2−3.トヨタホームの断熱材

 

ユニット工法とEST工法の断熱材について紹介します。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

ユニット工法の断熱材の性能・厚みは比較的普通レベル

 

EST工法は数種類の断熱材を使用するも詳細な公表がないため不明

 

 

 

では断熱材の仕様をみていきましょう。

 

 

 

ユニット工法

EST工法

断熱材

高性能グラスウールを採用

3種類の断熱材を採用

高性能グラスウール16K100mm+高性能硬質ウレタンフォーム

 

硬質ウレタンフォーム65mm

天井

高性能グラスウール16K210mm

 

高性能グラスウール16K200mm

※詳細な数値の公表無し

 

基礎

高性能硬質ウレタンフォーム35mm

 

ALC板+硬質ウレタンフォーム

※詳細な数値の公表無し

 

 

 

■鉄骨ラーメンユニット工法

 

断熱材は主に高性能グラスウール16Kを使用しています。

 

 

特徴

 

一般的によく使われる高性能グラスウール16Kを採用

 

壁:高性能グラスウール16K100mm+高性能硬質ウレタンフォーム

 

天井:高性能グラスウール16K210mm

 

床に高性能硬質ウレタンフォーム35mmを使用

※オプションで高断熱仕様もある

 

 

 

はじめに床、壁の断熱仕様をみてみましょう。

 

※上の画像出典:トヨタホームカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

断熱材の熱伝導率でみると、高性能グラスウール16Kとロックウールは熱伝導率0.038で同じ性能値になります。

 

さらにパナソニックホームズとトヨタホームの壁、天井の断熱材の厚みはほとんど一緒です。

 

そのため壁、天井において両社の断熱性はほぼ同等と言えます。

 

ただしトヨタホームでは構造躯体の室内側に高性能硬質ウレタンフォームを採用しています。

 

こちらの厚みは残念ながら詳細な公表がありませんでした。

 

 

床の断熱仕様は、高性能硬質ウレタンフォーム35mmを採用しています。

 

※上の画像出典:トヨタホームカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

この断熱材の熱伝導率は0.021です。

 

一般的によく使われるビーズ法ポリスチレンフォームや高性能グラスウールと比較すると断熱性能が高いです。

 

ですが厚みが35mmと、他社と比較して薄いため断熱性が高いかどうか懸念が残ります。

 

 

例えばヘーベルハウスの床断熱では、ビーズ法ポリスチレンフォーム60mmとヘーベル板100mmの計160mmの厚い断熱層を標準仕様としています。

 

特に女性の方は手足の冷え性に悩まれる方が多いので、この床下の断熱仕様で冬場の冷えがないか気になるところです。

 

 

ちなみにトヨタホームではオプション仕様で上記断熱材にグラスウールを追加した二重断熱も用意されています。

 

またパナソニックホームズと同様の基礎断熱仕様もあります。

 

※上の画像出典:トヨタホームカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

 

各性能の違いについて詳細な公表はありませんが、ZEH基準を満たすための追加断熱工事として検討しても良いかもしれません。

 

 

■EST工法

 

EST工法では、床・壁・天井それぞれ断熱材が異なります。

 

 

特徴

 

壁:硬質ウレタンフォーム65mm

 

天井:高性能グラスウール16K200mm

 

床:硬質ウレタンフォーム ※詳細な数値の公表無し

 

 

 

鉄骨ラーメンユニット工法との違いは、壁・床の断熱仕様です。

 

壁は硬質ウレタンフォーム、床に硬質ウレタンフォーム+ALC板を使用しています。

 

 

ここで断熱材毎の熱伝導率をみてみましょう。

 

断熱材

種別

熱伝導率(W/m・K)

高性能グラスウール

16K

0.038

24K

0.036

ロックウール

0.038

ビーズ法ポリスチレンフォーム

1号

0.036

2号

0.037

硬質ウレタンフォーム

1種1~2号

0.024

2号1~2号

0.024

高性能硬質ウレタンフォーム

0.021

 

 

壁の断熱仕様は、硬質ウレタンフォームは使用しています。

 

※上の画像出典:トヨタホームカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

熱伝導率は0.021で、高性能グラスウール16Kと比較すると断熱性能が高いです。

 

ですが厚みが65mmと、鉄骨ラーメンユニット工法と比較して薄いため、どちらが高断熱かどうかは不明です。

 

 

ちなみにヘーベルハウスでは、硬質ウレタンフォームよりも断熱性が高いネオマフォームを75mm充填しています。

 

 

その点から壁の断熱仕様は決して特別ではないと言えます。

 

 

天井の断熱仕様は、鉄骨ラーメンユニット工法と同等の仕様です。

 

 

床の断熱仕様は、硬質ウレタンフォーム+ALC板を使用しています。

 

※上の画像出典:トヨタホームカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

ALC板は、硬質ウレタンフォームや高性能グラスウールほどではありませんが、断熱効果があります。

 

このALC板と硬質ウレタンフォームセットになっていますので、ユニット工法よりも床の断熱仕様は高いことが予想されます。

 

ちなみにヘーベルハウスも床下にALC板を使用していますが、トヨタホームよりも厚みのあるポリスチレンフォームを使用しています。

 

そのため、床の断熱仕様も決して特別なわけではありません。

 

 

 

8.空調・換気を比較

 

近年、全館空調や床暖房といった室内を快適にする機器をおすすめする住宅メーカーが増えているように感じます。

 

ハウスメーカー選びをする上でこれらの設備はどこかで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

 

ここではパナソニックホームズとトヨタホームの空調と換気についてみていきましょう。

 

まずは結論です。

 

 

 

 

結論

 

換気

 

高い空気清浄機能を標準仕様としているパナソニックホームズの方が高性能

 

トヨタホームも一部商品で同等の換気システムを使用

 

 

空調

 

全館空調の性能は両社ほぼ同等

 

初期コストはトヨタホームの方が安い

 

 

 

両社の空調・換気の特徴はこちらです。

 

 

 

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

換気

(標準仕様)

第1種換気「エコナビ搭載換気システム HEPA+(プラス)」

 

(標準仕様)

第1種換気「ピュアセントラル24」

 

特徴

床下の熱(地熱)を利用した換気システム

 

 

 

 

全商品に0.3μm以上の粒子を99.97%除去する「HEPAフィルター」が標準装備

一般的な全熱交換型換気システム

 

オプション仕様で1.0μm以上の粒子を97%除去する「高捕集率外気フィルター」がある

 

SINCE with R、Since Smart Stage+は「HEPAフィルター」が標準装備

 

空調

(標準仕様)

個別エアコン

 

(オプション仕様)

全館空調「エアロハス」

(標準仕様)

個別エアコン

 

(オプション仕様)

全館空調「スマートエアーズ」

特徴

(全館空調)

標準機能は「冷房・暖房・除湿・換気・空気清浄」

HEPA+フィルター標準装備

 

 

 

 

室内機は1台のみ設置

 

VAV方式で風量による温度調整が可能

 

カサートプレミアム、カサートレジリエンスモデルは標準仕様

 

賃貸併用住宅専用の全館空調システム「エアロハスM」も用意

 

標準機能は「冷房・暖房・除湿」

※換気・空気清浄はピュア24セントラルで対応

※SINCE with R、Since Smart Stage+は脱臭機能を備えたエアイーX付き

 

1,2階毎に室内機を設置

 

フロア毎に温度調整が可能

 

 

 

両社の具体的な特徴をお伝えする前に、一般的な換気システムの違いについて簡単に解説します。

 

知っているという方は、こちらは飛ばしていただき8-1.パナソニックホームズの空調・換気をご覧ください。

 

知らないという方は、すぐ下の解説を見ていただくと、各社の空調・換気しすてむの理解が深まりますのでぜひ一読してみてください。

 

 

住宅の換気は、2003年の建築基準法改正以降、24時間換気システム導入の義務化がされています。

 

さらに2時間に1回家全体の空気が入れ替わる換気設計をしけなければいけません。

 

 

では上記をクリアするための換気方法はどのようなものか、詳しくみていきましょう。

 

 

 

住宅で採用される換気システムは大きく分けて2つあります。

 

(正確には全部で3つですが、住宅で採用される代表的な2つを紹介します。)

 

 

それは第1種換気(機械給気・機械排気)と第3種換気(自然給気・機械排気)の2つです。

 

 

第1種換気とは、機械で空気を取り込み・排出する換気方法です。

 

みなさんがイメージされる換気は窓を開けて空気を入れ替えることだと思います。

 

しかし第1種換気は、窓を開けずとも、機械が家の空気が入れ替えてくれます。

 

※上の画像出典:不動産shopナカジツHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

さらに近年では、「熱交換換気」と呼ばれる第1種換気を採用しているハウスメーカーが多いです。

 

 

熱交換換気とは、換気時に熱だけを回収して室内に戻すシステムです。

 

 

冬の例で説明すると、新しい空気(外の冷たい空気)と排出する室内の空気(暖かい空気)が間接的に触れる空間を作り、新しい空気を排出する空気で暖めてから、取り込むという方法です。

 

その結果、換気による室内の温度変化の影響が少なくなり、エアコン効率も良くなります。

 

節電効果もある省エネ効果が高い換気システムです。

 

※上の画像出典:パナソニックHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

続いて第3種換気です。

 

第3種換気は、みなさんの家にある換気システムです。

 

※上の画像出典:不動産shopナカジツHP ※画像外はユームの参考情報

 

給気は、窓を開けるか各居室に設置された給気口から、自然に取り込みます。

排気は、窓を開けるかキッチンや洗面、トイレの換気扇から排出します。

 

つまり第3種換気給気を自然に行います。

 

 

ただし熱交換換気のように、給気の際に排気の熱を利用することはないので、エアコン効率は高くありません。

 

 

とはいえ、熱交換換気と比べて設置費用が安く、注文住宅や賃貸、マンションで使われている最も一般的な換気方法です。

 

 

ではこれらの念頭に、両社の空調・換気の違いを具体的にみていきましょう。

 

 

 

8−1.パナソニックホームズの空調・換気

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

換気

 

大手他社と比較して空気清浄機能が優れている

 

 

空調

 

 

オプション仕様の全館空調「エアロハス」は省エネ性能が高くてお得

 

 

 

空調・換気の特徴はこちらです。

 

 

 

特徴

換気

第1種換気「エコナビ搭載換気システム HEPA+(プラス)」が標準装備

 

床下の熱(地熱)を利用した独自の換気システム

 

高性能空気清浄フィルター「HEPA(ヘパ)フィルター」も標準装備

※0.3μm以上の微粒子をを99.97%除去する優れた機能有り

 

夏は涼しく、冬は暖かい地熱を取り入れることにより熱効率を高める

 

全館空調

基本価格は約200万円(税抜)で他社と比較しても標準的な価格

※カサートプレミアム、カサートレジリエンスモデルは標準仕様

 

基本性能は冷房・暖房・空気清浄・換気・除湿の5つ

※HEPAフィルター×4標準装備

 

省エネ性が高く、ZEHにも対応

※2019年、全館空調初の省エネ大賞を受賞

 

賃貸併用住宅専用の全館空調「エアロハスM」も用意

 

 

 

それではパナソニックホームズの換気と空調の特徴をみていきましょう。

 

 

 

8−1−1.換気システム

 

パナソニックホームズの標準換気は、第1種換気です。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

大手他社と比較して空気清浄機能が優れている

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

換気

第1種換気「エコナビ搭載換気システム HEPA+(プラス)」が標準装備

 

床下の熱(地熱)を利用した独自の換気システム

 

高性能空気清浄フィルター「HEPA(ヘパ)フィルター」も標準装備

※0.3μm以上の微粒子をを99.97%除去する優れた機能有り

 

夏は涼しく、冬は暖かい地熱を取り入れることにより熱効率を高める

 

 

 

パナソニックホームズの第1種換気は独自のシステムを採用しています。

 

それは床下の熱(地熱)を利用した換気システムです。

 

 

もう少し具体的に紹介します。

 

「地熱を利用する」というのは、厳密には床下の空気を利用するということです。

 

これは年間を通して、床下の空気に温度差が少ない特徴を有効活用した方法です。

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

例えば床下の温度は、夏は外気よりも涼しく、冬は暖かいです。

 

一方で室内の温度は、エアコンなどで夏は涼しく、冬は暖かくするのが一般的ですよね。

 

つまり換気の際に床下の空気を取り入れる方が、エアコンとの温度差が少ないため熱効率が良くなります。

 

 

年間冷暖房費のシミュレーションでは、一般的な換気システム(第3種換気)よりも約20%削除できるとしています。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズ知多HP ※画像外はユームの参考情報

 

さらにエコナビ機能は、換気設定の細かいこだわりがあります。



それは冬の換気のケースです。



まず一般的な24時間換気システムは、2時間に1回家の中の空気が入れ替わるように設計されています。

 

1時間であれば0.5回分です。

 

しかし実際には、季節によって室内と外で温度差が大きく違い、その影響による気圧差によって、室内と外とを移動する空気の量が変わります。

 

冬の場合は暖房を付けるため、特に外との温度差が大きくなります。

 

この影響により、一般的な換気システムで1時間に0.5回空気を入れ替えるところ、冬は0.7回程度になると言われています。

 

つまり冷たい空気が室内に入る量が増すため、室内の暖房効率は悪くなります。



エコナビ機能は、こういったケースでも自動で換気量を調節して、季節問わず安定して換気をしてくれます。

 

 

ただ床下って衛生上大丈夫なの?と思われた方もいるのではないでしょうか。

 

結論は、大丈夫です。

 

 

換気の経路は、下図のように基礎に換気口を設けて新鮮な空気を取り入れています。

 

新鮮な空気はプレフィルターを通して浄化し、給気ファンによりダクトを通って各部屋に給気します。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

このプレフィルター「HEPA(ペパ)フィルター」が非常に優れており、特筆すべき点です。

 

HEPA(ペパ)フィルターは、0.3μm以上の微粒子を99.97%除去してくれます。

 

もちろんPM2.5にも対応しています。

 

 

PM2.5とは2.5μm(マイクロメートル)以下の微小粒子状物質の総称です。

 

主に黄砂やダニのフン、細菌・微生物といった細かい粒子です。

 

 

つまりHEPAフィルターはPM2.5(2.5μm)よりもさらに細かい0.3μmの粒子まで99.97%除去してくれます。

 

フィルターの掃除は、プレフィルター、HEPAフィルターともに1ヶ月に1回程度です。

 

この頻度は、家電の空気清浄機とそれほど変わりません。

 

それでいて家中を空気清浄してくれる点は嬉しいですよね。

 

 

さらに特筆すべきは、全商品で標準仕様としている点です。

 

ここまでの機能性を標準仕様としているハウスメーカーは少ないです。

 

他社でも同等の仕様はありますが、ほとんどはオプション仕様です。

 

ちなみにトヨタホームも一部商品でHEPAフィルター標準搭載としています。

 

 

パナソニックホームズがこの換気システムを全商品で標準仕様としている点は、住宅の空気品質に拘っているからこそと言えます。

 

 

もう1点空気清浄機能の補足です。

 

パナソニックホームズの石膏ボードについてもお伝えしておきます。

 

同社の石膏ボードには、稚内(わっかない)珪藻土を配合しています。

 

珪藻土というと、みなさんお風呂のバスマットをイメージされる方が多いのではないでしょうか?

 

珪藻土は、海中の植物性プランクトン(珪藻類)が何百万年もの歳月をかけて堆積・化石化した鉱物の一種です。

 

非常に小さな孔が無数に空いており、高湿度状態では吸湿、乾燥時には放湿してくれる優れた調湿性能があります。

 

湿気が溜まりやすい収納内の壁などに使用し、カビやダニの発生の原因となる余分な湿気を吸収してくれます。

 

パナソニックホームズが採用している稚内珪藻土は、普通の珪藻土よりもその調湿力が高いです。



換気システムだけでなく、石膏ボードでもカビやダニを抑え、空気品質を保つ工夫をしています。

 

 

8−1−2.全館空調「エアロハス」

 

続いてオプション仕様の全館空調システム「エアロハス」です。

 

ただしカサートプレミアムとカサートレジリエンスモデルは標準仕様になります。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

オプション仕様の全館空調「エアロハス」は省エネ性能が高くてお得

 

 

 

具体的な特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

全館空調

基本価格は約200万円(税抜)で他社と比較しても標準的な価格

※カサートプレミアム、カサートレジリエンスモデルは標準仕様

 

基本性能は冷房・暖房・空気清浄・換気・除湿の5つ

※HEPAフィルター標準装備

 

省エネ性が高く、ZEHにも対応

※2019年、全館空調初の省エネ大賞を受賞

 

賃貸併用住宅専用の全館空調「エアロハスM」も用意

 

 

 

先に一般的な全館空調のメリット・デメリットをお伝えします。

 

まずメリットです。

 

全館空調のメリットは、季節を問わずに24時間どこにいても安定した温度環境で快適に過ごせることです。

 

書斎や家事コーナー、ファミリークローゼットなど通常よりも空間分けが多い間取りプランや、吹き抜け・大空間の間取りプランに向いています。

 

 

もちろん、体調的に家の中の温度差に気を使いたい方にはおすすめです。

 

 

花粉やアレルギーの方からの人気も高いです。

 

それは、空気清浄機能もあり、埃や花粉、PM2.5など細かい粒子も捕集してくれるため、家全体の空気環境も良くなるからです。

 

またすっきりとした空間・インテリアを好まれる方も多く採用しています。

 

個別空調のように、エアコン機器が露出することはなく、すっきりしたインテリアも実現することができます。

 

 

一方でデメリットもあります。

 

・年間の電気代がかかる傾向にある

 

・乾燥しやすい(加湿タイプもある)

 

・個別エアコンの性能が進化すると時代遅れの性能になる可能性がある

 

・室内の機械室や配管スペースが必要

 

このようなマイナス面もあります。

 

 

 

ではパナソニックホームズのエアロハスについて詳しくみていきましょう。

 

エアロハスは1台の高効率ルームエアコンとエコナビ搭載換気システムを組み合わせたダクト式空調システムです。

 

従来の全館空調は専用の室内機を使用しておりましたが、これをルームエアコンで代用するといったシステムです。

 

基本性能は冷房・暖房・空気清浄・換気・除湿の5つです。

 

これは一般的な全館空調とそれほど変わりはありません。



特筆すべき点は、3点です。



それは連続運転性能と空気清浄機能省エネ性能です。



まず、連続運転性能です。

パナソニックホームズでは、通常のルームエアコンをそのまま採用していません。

24時間運転を何日も連続できる仕様に変えています。



次に空気清浄機能です。

 

標準仕様のエコナビ搭載換気システムと同様に、HEPAフィルターを採用しています。

 

さらに同フィルターをルームエアコンを設置している機械室に合計4枚設置しています。


※上の画像出典:建築ブログ「おうちたてる」 ※画像外はユームの参考情報



HEPAフィルターは、PM2.5(2.5μm)よりもさらに細かい最小で0.3μmの粒子まで99.97%除去してくれます。

 

全館空調においても、そのHEPAフィルターを4枚も使用して空気清浄しているのは特筆すべき点です。



エアロハスのフィルター掃除は、プレフィルター、HEPAフィルターともに6ヶ月に1回程度です。

 

エコナビ搭載換気システムや一般的な空気清浄機よりもさらに少なくて済みます。

 

全館空調ってフィルター掃除は面倒だなと思った方も、この頻度であればメリットに感じるのではないでしょうか。

 

 

 

基本性能は冷房・暖房・空気清浄・換気・除湿の5つです。

 

これは一般的な全館空調とそれほど変わりはありません。

 

 

特筆すべき点は、空気清浄機能省エネ性能です。

 

 

まず空気清浄機能です。

 

標準仕様のエコナビ搭載換気システムと同様に、HEPAフィルターを内蔵しています。

 

HEPAフィルターは、PM2.5(2.5μm)よりもさらに細かい最小で0.3μmの粒子まで99.97%除去してくれます。

 

全館空調においても、同フィルター性能を標準仕様としているのは特筆すべき点です。

 

 

続いて省エネ性能です。

 

エアロハスは、ZEHにも対応しています。

 

 

ZEH(ゼッチ)とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称です。

 

住まいの断熱性能や省エネ性能を向上し、さらに太陽光発電などで生活に必要なエネルギーをつくり出すことにより、年間の一次消費エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)をおおむねゼロ以下にする住宅のことです。

 

 

一般的に、ZEH基準をシミュレーションする際、全館空調は個別空調よりも断熱数値が低くなる傾向があります。

 

詳しい内容はまた別記事で解説しますので、今回は簡単にお伝えします。

 

なぜかというと、シミュレーション上は全館空調の方がエネルギーを消費しやすいからです。

 

(実際に使用した場合とは異なる結果となることもありますので注意してください。)

 

 

ではエネルギー消費をしやすいとはどうゆうことなのか?

 

ZEHは年間の一次消費エネルギー(空調・給湯・照明・換気)の収支をおおむねゼロにしなければいけません。

 

つまりエネルギー消費が多い全館空調を使う場合、エネルギーを多く創らなければ収支ゼロにできません。

 

エネルギーを創る一般的な方法としては、太陽光発電の容量を増やすことです。

 

 

しかしパナソニックホームズのエアロハスは省エネ性にも優れているため、太陽光パネルをたくさん搭載しなくても大丈夫です。

 

 

例えば、約39坪の建物であれば、5.25kW程度(蓄電池5.6kWhも要設置)の太陽光パネルでエネルギー収支ゼロを達成できます。

 

2019年には全館空調初の省エネ大賞に受賞もしています。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

ZEHとは関係なく、一般的には太陽光発電を平均3~5kw程度搭載する家庭が多いです。

 

つまり平均よりもやや多いくらいの太陽光パネルを搭載すれば良いということです。

 

 

ただしZEH申請を検討される方は、間取りプラン等によって太陽光搭載容量などの仕様が大きく変わる可能性がありますので、早めに営業担当者に確認をしましょう。

 

 

ここで気になる電気代についても触れておきましょう。

 

こちらは残念ながら詳細な公表はありませんでした。

 

公表ベースでは、一般的な全館空調よりお得、かつ個別エアコンの間欠(在室時のみの)運転と同等程度としています。

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

実例ブログを見ると月々約1.0~1.5万円が多いようです(空調以外の電気代も含む)。

 

この点だけみると、他社の全館空調を利用されている方の実例と比較してそれほど電気代は変わらない印象です。

 

 

その他の機能として、居室毎に温度設定を変更できるVAVを採用しています。

 

VAVとは、Variable Air Volume Controlの略で、部屋によって風量を調節し、室内の温度を調整するシステムです。

 

各部屋に設置された吹出口の中に、「電動ダンパー」と呼ばれる開閉式の羽を設置し、その開閉によって風量をコントロールできます。

 

 

ここでおさえていただきたい大事なポイントがあります。

 

よく営業担当が、「当社の全館空調は温度調整ができます」と説明するケースが散見されます。

 

これだけ聞くと、「個別エアコンのように自由に温度変えれるんだ」と思いますよね?

 

これが違います。

 

個別のエアコンのように、設定温度の冷暖房が出るわけではありません。

 

全館空調は、風量を調整して温度を調整します。

 

そのため個別エアコンほど自由に温度を変えることはできませんので注意してください。

 

 

エアロハスの場合は、家全体の設定温度に対して、±2℃の範囲で調整が可能です。

 

 

ここで注意点があります。

 

 

それは天井裏のダクトの結露対策です。

 

全館空調の冷暖房の空気は、「ダクト」を天井裏に這わせて、各部屋に設置された吹出口に届けます。

 

しかしみなさんもご存知かと思いますが、屋根裏は夏は暑く、冬は寒くなりやすい場所です。

 

つまり天井裏の室温とダクト内の冷暖房による結露のリスクがあるということです。

 

このような結露対策は、

 

・屋根裏(野地板)に断熱材を施工し屋根裏空間の温度環境を一定にする

ダクトのまわりを断熱材で覆う

 

このいずれかで結露のリスクに対応する住宅メーカーが多いです。

 

屋根裏(野地板)に断熱材を施工するのは非常に難しいため、施工実績が十分であるかよく確認した方が良いです。

 

ダクトのまわりを断熱材で覆う場合、その断熱材が湿気や結露に強いものであるかよく確認した方が良いです。

 

 

残念ながらパナソニックホームズのダクトの結露対策の公表はありませんでした。

 

ですので、全館空腸を検討される際はダクトの結露対策がどのようになっているかよく確認するようにしましょう。

 

ダクトのまわりを断熱材で覆う場合、その断熱材が湿気や結露に強いものであるかよく確認した方が良いです。



パナソニックホームズでは、ダクトのまわりをグラスウールで覆う対策をしています。

 

グラスウールは、湿気にあまり強くない点が心配されます。

 

ただ私も確認しましたが、同社ではかなり厚く覆っていましたのでそれほど心配はなさそうです。

 

 

最後に全館空調エアロハスMについても簡単にご紹介します。

 

エアロハスMは2020年に新発売した全館空調です。

 

基本性能は、エアロハスと一緒です。

 

大きな違いは、賃貸併用住宅専用の全館空調であることです。

 

 

具体的には、下図のように賃貸と分けて、自宅部分のみに全館空調を取り入れることが可能となったシステムです。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

従来の全館空調では、高層階への設置やエリアを限定(自宅部分のみ)した設置の実績はありませんでしたので、非常に画期的なシステムです。

 

パナソニックホームズのエアロハスMは最高で9階建てまで対応しています。

 

 

 

 

 

8−2.トヨタホームの空調・換気

 

続いてトヨタホームです。

 

 

 

結論

 

換気

 

トヨタホームの換気システムは比較的普通レベル

 

ただし一部商品で、空気清浄機能において、パナソニックホームズと同等の性能がある

 

 

空調

 

 

オプション仕様の全館空調「スマート・エアーズ」は約半数が設置している

 

 

 

空調・換気の特徴はこちらです。

 

 

 

特徴

換気

ピュア24セントラル(第1種換気)標準装備

 

一般的な第1種(全熱交換)換気システム

 

高捕集外気フィルター(オプション)はPM2.5を97%以上除去する機能がある

 

SINCE with R、Since Smart Stage+は「HEPAフィルター」が標準装備

全館空調

基本価格は約140~160万円(税抜)で他社と比較してややお得

 

標準機能は「冷房・暖房・除湿」

※換気・空気清浄はピュア24セントラルで対応

※オプションで加湿機能有り

※SINCE with R、Since Smart Stage+は脱臭機能を備えたエアイーX付き

 

1,2階毎に室内機を設置

 

フロア毎に温度調整が可能

 

2019年7月時点の採用率48%超

 

 

それではトヨタホームの換気と空調の特徴をみていきましょう。

 

 

 

8−2−1.換気システム

 

トヨタホームの換気システムは、残念ながら標準・オプションの明示はありませんでした。

 

 

結論

 

トヨタホームの換気システムは比較的普通レベル

 

ただし一部商品で、空気清浄機能において、パナソニックホームズと同等の性能がある

 

 

 

 

特徴

換気

ピュア24セントラル(第1種換気)が標準装備

 

一般的な第1種(全熱交換)換気システム

 

高捕集外気フィルター(オプション)はPM2.5を97%以上除去する機能がある

 

SINCE with R、Since Smart Stage+は「HEPAフィルター」が標準装備

 

 

換気システムは、ピュア24セントラル(第1種換気)が標準仕様です。

 

こちらは一般的な第1種換気システムです。

 

 

もう少し詳しく紹介します。

 

同換気システムは、第1種の中でも全熱交換型です。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

全熱交換型とは、温度と湿度を交換します。

 

例えば、梅雨などの季節は除湿、冬は乾燥を和らげる効果が期待できるのが特徴です。

 

ただしトイレ等の臭いがこもりやすい場所は、湿気に混じって臭いが換気システムの中に移ってしまう可能性があるため、基本的に個別換気となります。

 

 

ピュア24セントラルは、熱交換換気本体を各フロアに1台ずつ設置します。

 

天井裏・1-2階間にダクトを設けて、全室の換気を24時間自動的に制御します。

 

室内機とダクトを設ける仕組みは、一般的な熱交換換気システムです。

 

温度交換率は約70%、冬の暖房時で最大約82%です。

 

冬の暖房時は、室内20℃・外0℃だった場合、新鮮な空気(熱交換換気本体を介して)を16℃取り込むことができる計算です。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

※上の画像出典:トヨタホーム九州HP ※画像外はユームの参考情報

 

 

温度交換率の性能は、一般的な熱交換換気システムレベルです。

 

ちなみに住友林業や一条工務店は温度交換率90%以上のシステムを採用しています。

 

とはいえパナソニックホームズと比較して、同数値を明示している点では安心できると言えます。

 

 

空気清浄機能についてもみておきましょう。

 

これは防虫網と高捕集率外気フィルター(オプション)です。

 

この高捕集率外気フィルターは、PM2.5(2.5μm)より細かい1.0~2.0μmの粒子を約97%以上除去してくれます。

 

さらに細かい0.3μmの粒子でも80%以上除去してくれます。

 

 

※上の画像出典:トヨタホーム九州HP ※画像外はユームの参考情報

 

 

この数値は、トヨタホームよりもパナソニックホームズの「HEPAフィルター」の方が優れています。

 

 

一方でトヨタホームでも、SINCE with R、Since Smart Stage+は「HEPAフィルター」を標準仕様としています。

 

参照1:トヨタホームHPニューリリース 「SINCE with R」を発売

参照2:トヨタホームHPニューリリース 「SINCE with R」を発売

 

 

同商品であれば、空気清浄機能はパナソニックホームズと同等と言えます。

 

 

ピュア24セントラルはユーザビリティーが高い一面もあります。

 

それは防虫網です。

 

フィルター交換の際、フィルターに虫がたくさん付着して大変だったという声をよく耳にします。

 

外からの空気を取り入れるため、どうしても虫が入ってしまいます。

 

トヨタホームではフィルターとは別に虫をキャッチしてくれるため、フィルター交換のお手入れがしやすいです。

 

参照:トヨタホームオーナー様専用Web サイト

 

 

 

 

8−2−2.全館空調システム

 

続いてオプション仕様の全館空調「スマート・エアーズ」です。

 

 

結論

 

オプション仕様の全館空調「スマート・エアーズ」は約半数が設置している

 

10年保証が付いているので安心

 

 

 

設備の特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

全館空調

基本価格は約140~160万円(税抜)

※ピュア24セントラルを含む

 

基本性能は冷房・暖房・空気清浄・換気・除湿の5つ

※空気清浄・換気は、ピュア24セントラルが標準搭載

※オプションで加湿機能もあり

 

フロア毎に室内機を設置するため、強弱を付けた運転でコストを抑えることができる

 

室内機が2台あるため、万が一1台が故障してもカバーができる

 

冬は暖房による乾燥に注意が必要

 

スマート・エアーズは、標準搭載されたピュア24セントラルと組合せて使用します。

 

基本性能は、パナソニックホームズと同様に、基本性能は冷房・暖房・空気清浄・換気・除湿の5つです。

 

2019円7月時点のスマート・エアーズ装着率は48%超と、約半数の方が搭載されています。

 

 

大きな特徴は、室内機がフロアに1台ずつあることです。

 

もう少し詳しく紹介します。

 

 

スマート・エアーズは、1,2階それぞれに室内機を設置しています。

 

そのため、各階で温度調整が可能です。

 

パナソニックホームズのVAV制御(風量調節)による温度調整と違い、設定温度自体を調整することが可能です。

 

例えば夏の場合、リビングで過ごす時間帯は冷房を強運転、2階は弱運転にする、といった光熱費を抑える使い方も可能です。

 

また全館空調のデメリットでもある万が一故障してしまった場合でも、1台だけであれば残りの1台である程度のカバーもできます。

 

 

さらにトヨタホームでは、全館空調の保証が10年です。

 

一般的な設備保証は2年が多いため、長い期間保証が適用されるのも安心です。

 

 

気になる電気代については、122㎡のオール電化住宅で、年間の電気代約8.7万円(冷暖房費7.2万円、換気1.5万円)と明示しています。

 

月々で約7,250円です。

 

他の大手他社は約1万前後としているところが多いので、ランニングコストは少し安い印象です。

 

※上の画像出典:トヨタホーム カタログ ※画像外はユームの参考情報

 

一方でパナソニックホームズ同様に、天井裏のダクトの結露対策は気になる点です。

 

またトヨタホームの場合、2階の室内機を天井裏に設置するケースもあるため、熱による動作不良も心配です。

 

 

この点については、詳細な明示がないため、どのように施工されるかよく確認することをオススメします。

 

場合によっては、室内機を床置きにすることも可能ですので、コチラを選択しても良いでしょう。

 

 

 

9.保証・アフターメンテナンスを比較

 

次に耐久性の裏付けの1つである保証についてです。

 

保証だけでなく、震災時などに即時対応してくれるアフターメンテナンスも重要なポイントです。

 

 

 

結論

 

保証

 

両社とも業界トップクラスの最長60年保証のため安心

ただし保証の適用条件に注意が必要

 

全館空調を含めた設備保証は、トヨタホームの方が充実している

 

 

アフターメンテナンス

 

直営支店が宮城から沖縄まで展開しているパナソニックホームズの方が、震災時の各拠点との連携が見込める

 

販売会社(ディラー制)を取っているトヨタホームは、震災時のリスク分散と各拠点との連携に不安が残る

 

 

 

両社の具体的な保証内容はコチラです。

 

太文字の年数をおさえておきましょう。

 

各保証の要件は、この後詳しく紹介します。

 

 

 

パナソニックホームズ

 

35年あんしん保証

20年あんしん保証

基礎

 

初期保証35年 最長保証60年

 

※30年目以降は10年毎の有償メンテナンス工事が必須

※30年目以降は防水との同時延長が必須

 

※20年目以降で防水の有償メンテナンスを実施しなかった場合、それに起因する保証は適用外

※10年目以降で防蟻の有償メンテナンスを実施しなかった場合、それに起因する保証は適用外

 

 

初期保証20年 最長保証60年

 

※20年目以降は10年毎の有償メンテナンス工事が必須

※20年目以降は防水との同時延長が必須

 

※10年目以降で防蟻の有償メンテナンスを実施しなかった場合、それに起因する保証は適用外

 

 

構造躯体

 

防水

 

初期保証30年

最長保証60年

 

※20年目以降、10年毎の有償メンテナンス工事が必須

 

初期保証15年

最長保証60年

 

※15年目と、20年目以降10年毎の有償メンテナンス工事が必須

防蟻

初期保証10年

最長保証60年

 

※10年目以降10年毎の有償メンテナンス工事が必須

 

初期(最長)保証10年

最長保証60年

 

※10年目以降10年毎の有償メンテナンス工事が必須

 

設備

初期保証1~10年

 

※あんしんクラブに加入した場合のみ

※保証期間満了後、都度更新が可

初期保証1~10年

 

※あんしんクラブに加入した場合のみ

※保証期間満了後、都度更新が可

点検

 

35年間無料

 

※40年目以降は有料

20年間無料

 

※25年目以降は有料

 

 

 

 

トヨタホーム

 

アトリスプラン・エース

アトリスプラン

アトリスプランM

基礎

 

初期保証40年 最長保証60年

 

※40年目以降有償メンテナンス工事が必須

 

※20年目以降で防水の有償メンテナンスを実施しなかった場合、それに起因する保証は適用外


 

初期保証30年 最長保証60年

 

※30年目以降有償メンテナンス工事が必須

 

※20年目以降で防水の有償メンテナンスを実施しなかった場合、それに起因する保証は適用外


 

初期保証10年 最長保証30年

 

※10年目以降有償メンテナンス工事が必須

 

 

 

構造躯体

 

防水

 

初期保証30年

最長保証60年

 

※20年目以降、10年毎の有償メンテナンス工事が必須

初期保証20年

最長保証60年

 

※20年目以降、10年毎の有償メンテナンス工事が必須

初期保証10年

最長保証30年

 

※10年目以降、10年毎の有償メンテナンス工事が必須

防蟻

初期保証10年

最長保証30年

 

※10年目以降10年毎の有償メンテナンス工事が必須

 

初期保証10年

最長保証30年

 

※10年目以降10年毎の有償メンテナンス工事が必須

 

初期保証10年

最長保証30年

 

※10年目以降10年毎の有償メンテナンス工事が必須

 

設備

初期(最長)保証10年

 

初期(最長)保証10年

初期(最長)保証5年

点検

 

35年間無料

 

※40,50,60年目は有料

※45,55年目は無料

25年間無料

 

※30,40,50,60年目は有料

※35,45,55年目は無料

15年間無料

 

※20,30年目は有料

※25年目は無料

 

 

それでは、具体的に比較していきましょう。

 

 

 

9−1.パナソニックホームズの保証制度

 

パナソニックホームズでは、2019年10月1日から35年あんしん初期保証を導入しました。

 

非常にメリットが多い一方で注意すべき点もありますのでこちらで詳しくわかります。

 

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

保証・メンテナンス期間ともに業界トップクラス

 

ただし各保証の適用条件に注意が必要

 

 

 

具体的な期間はコチラです。

 

 

 

35年あんしん保証

20年あんしん保証

基礎

 

初期保証35年 最長保証60年

 

※30年目以降は10年毎の有償メンテナンス工事が必須

※30年目以降は防水との同時延長が必須

 

※20年目以降で防水の有償メンテナンスを実施しなかった場合、それに起因する保証は適用外

※10年目以降で防蟻の有償メンテナンスを実施しなかった場合、それに起因する保証は適用外

 

 

初期保証20年 最長保証60年

 

※20年目以降は10年毎の有償メンテナンス工事が必須

※20年目以降は防水との同時延長が必須

 

※10年目以降で防蟻の有償メンテナンスを実施しなかった場合、それに起因する保証は適用外

 

 

構造躯体

 

防水

 

初期保証30年

最長保証60年

 

※20年目以降、10年毎の有償メンテナンス工事が必須

初期保証15年

最長保証60年

 

※15年目と、20年目以降10年毎の有償メンテナンス工事が必須

防蟻

初期保証10年

最長保証60年

 

※10年目以降10年毎の有償メンテナンス工事が必須

 

初期(最長)保証10年

最長保証60年

 

※10年目以降10年毎の有償メンテナンス工事が必須

 

設備

初期保証1~10年

 

※あんしんクラブに加入した場合のみ

※保証期間満了後、都度更新が可

初期保証1~10年

 

※あんしんクラブに加入した場合のみ

※保証期間満了後、都度更新が可

点検

 

35年間無料

 

※40年目以降は有料

20年間無料

 

※25年目以降は有料

 

 

パナソニックホームズも2019年10月から最長60年保証となりました。

 

保証期間は、トヨタホームと同等で、業界トップクラスです。

 

 

もう少し具体的に紹介します。

 

パナソニックホームズでは、上記のとおり保証のタイプが2つあります。

 

 

まずはこの違いを必ず抑えておいてください。

 

それは

 

・外壁にキラテックを採用

 

・屋根材に陶器瓦・軽量瓦(高耐候仕様)を採用

 

この条件を満たすと35年あんしん保証となります。

 

ちなみにフラットルーフや太陽光パネル搭載でも大丈夫です。

 

 

上記条件以外は20年あんしん保証となります。

 

また上記を満たしても天窓を採用すると20年あんしん保証となるので注意してください。

 

 

では各保証内容を具体的に紹介します。

 

まず35年あんしん保証です。

 

基礎、構造躯体は初期保証35年、30年目に有償のメンテナンス工事を実施することで保証を5年延長することができます。

 

40年目以降は、10年毎に同様のメンテナンス工事を実施することで10年延長できます。

 

保証期間は最長60年です。

 

ただし35年目以降の延長は、防水保証も同時に延長が条件となります。

 

つまり30年目に、有償メンテナンスが必要な防水工事に合わせて、基礎、構造躯体も実施しなければいけません。

 

 

基礎、構造躯体の保証は、30年目以前でも注意点があります。

 

それは20年目から10年毎に必要となる防水のメンテナンス工事と、10年目から10年毎に必要となる再防蟻処理を実施していない場合は、それらに起因する不具合は対象外となるということです。

 

 

防水・防蟻の保証期間はコチラです。

 

防水工事は初期保証30年、20年目に有償のメンテナンス工事を実施することで保証を10年延長することができます。

 

30年目以降は、10年毎に同様のメンテナンス工事を実施することで10年延長できます。

 

防蟻工事は初期保証10年、10年目に有償のメンテナンス工事を実施することで保証を10年延長することができます。

 

防水、防蟻とも保証期間は最長60年です。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

つづいて20年あんしん保証です。

 

35年あんしん保証同様に、各保証対象の最長期間は60年になります。

 

基礎、構造躯体は初期保証20年、20年目に有償のメンテナンス工事を実施することで保証を10年延長することができます。

 

ただし10年目から10年毎に必要となる再防蟻処理を実施していない場合は、それらに起因する不具合は対象外となります。

 

 

防水工事は初期保証15年、15年目に有償のメンテナンス工事を実施することで保証を5年延長することができます。

 

20年目以降は、10年毎に同様のメンテナンス工事を実施することで10年延長できます。

 

防蟻工事は初期保証10年、10年目に有償のメンテナンス工事を実施することで保証を10年延長することができます。

 

基礎、構造躯体、防水、防蟻とも保証期間は最長60年です。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

ここで建物保証と少し内容が違いますが、設備保証についても簡単に紹介します。

 

設備保証はパナソニックホームズオーナー限定の「あんしん倶楽部」に加入すると、年間3万円まで設備修理費をサポートしてくれます。

 

全館空調エアロハスも対象です。

 

この点はメリットとして大きなポイントと言えるでしょう。

 

設備保証はパナソニックホームズオーナー限定の「あんしん倶楽部」に加入すると、年間3万円まで設備修理費をサポートしてくれます。

 

それ以外にも台風や大雨の浸水といった住宅災害のお見舞い金といった特典もあります。

 

ただしこちらは入会金2,000円、年会費5,000円(初年度無料)の任意でも申込みになります。

 

10年一括コースもあり、こちらですと40,000円になります。

 

10年という期間で考えると比較的メリットがあるプランでオススメかと思います。

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

定期点検は、3ヶ月、1年、2年、10年、15年…60年(5年毎)に実施します。

 

35年あんしん保証は、35年点検まで無料です。

 

20年あんしん保証は、20年点検まで無料です。

 

それぞれ上記以降の点検は有料となります。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

上記保証・点検内容は、2019年10月の請負契約以降の方が対象です。

 

 

ここまで初期保証と長期保証についてお伝えしてきました。

 

みなさんお気づきかと思いますが、初期保証含め、要所で有償メンテナンスが必要になります。

 

たしかに長期保証は魅力が大きいですが、やはり実際のメンテナンス費用がいくらなのかが気になるところです。

 

みなさんが実際にハウスメーカー選びする際は、トータルのメンテナンス費用だけでも確認するようにしましょう

 

できれば営業マンの口頭や営業が作成したような資料だけでなく、会社が作成している資料で確認することをおすすめします。

 

 

9−2.パナソニックホームズの地震保証

 

2020年4月1日からは業界初の地震あんしん保証も導入しました。

 

こちらもおさえておきましょう。

 

 

結論

 

業界初の地震による建替・補修を保証してくれるため安心

 

一般的な地震保険よりも保証の範囲が手厚い

 

ただし年度保証限度額について注意が必要

 

 

 

地震あんしん保証の具体的な内容はコチラです。

 

 

地震あんしん保証

 

保証の適用となる条件

対象物件

HS構法・F構法で耐震等級3の建物

※賃貸・賃貸併用住宅も可

保証限度額

1回の地震につき1棟あたり、

建物価格or5,000万円のいずれか低い金額

年度保証限度額

年度内に日本全国で発生した保証対象物件の損壊に対する保証額の総額

2021年度:4億円 2022年度:6億円

2023年度:8億円 2024年度以降:10億円

保証内容

全壊時:建て替え、大規模半壊・半壊時:補修を行う

保証期間

引渡から10年間

適用範囲

計測震度6.8以下の地震の揺れによる 建物の全壊、大規模半壊、半壊

被害判定方法

市町村が判定して発行する「罹災証明書」

および「住家被害認定調査票」による

 

 

やはり特筆すべきは、業界初の地震被害による建物保証を無料で行っていることです。

 

地震保証は、トヨタホーム含め大手他社にはないパナソニックホームズの強みといっても良いでしょう。

 

 

直近では一条工務店が2倍耐震の建物に限り、30年耐震補償をしています。

 

同社は建物構造が限定されています。

 

 

パナソニックホームズは、ほとんどの方が耐震等級3のHS構法・F構法で建築しています。

 

多くの方がこの保証を適用できる点は非常に安心です。

 

 

一般的な地震保険と比較しても保証額が手厚いというメリットもあります。

 

地震保険は、震災により建物が全壊しても、一般的に火災保険金額(建物価格)の50%までにしか補償されません。

(地震保険でも特約を付けることにより、100%補償にできる場合もあります)

 

パナソニックホームズでは、最大で建物価格or5,000万円のいずれか低い金額としていますので、一般的な地震保険と比較しても安心です。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

地震あんしん保証は、保証期間を10年としています。

 

一般的な地震保険が最長5年毎の更新となります。

 

10年しか保証されないの?と思う方もいるかもしれませんが、非常にお得と言えます。

 

一般的な地震保険は、10年の間に少なくとも最長5年の保険料を2回支払う必要があります。

 

そしてその補償は一般的には火災保険金額(建物価格)の50%です。

 

10年とはいえ、無料かつ満額の保証をしてくれる地震あんしん保証はお得と言って良いでしょう。

 

 

一方で注意点もあります。

 

 

それは地震の震度(上図の「適用範囲」)と年度保証額です。

 

 

まずは地震の震度についてです。

 

地震あんしん保証の適用範囲は、計測震度6.8以下の地震の揺れによる 建物の全壊、大規模半壊、半壊、としています。

 

この計測震度6.8以下というのをおさえておきましょう。

 

計測震度とは、地震観測地点で震度計によって測定された地表の揺れの強さを数値化した震度のことです。

 

簡単に言うと、みなさんに馴染みのある震度6や6強、震度7といった数値をさらに細かく数値化したものです。

 

例えば、計測震度0.5~1.5未満は震度1になります。

 

計測震度1.5~2.5未満は震度2になります。

 

このように1.0ずつ増えていき、計測震度6.5以上が震度7になります。

 

過去の震災においては、2016年熊本地震で6.7、2011年東北地方太平洋沖地震で6.6とされています。

 

地震あんしん保証では、これらを上回る計測震度6.8までを、適用範囲としています。

 

 

しかし南海トラフ巨大地震といった過去に例を見ない地震が起きる可能性もあります。

 

適用範囲についてはあまり心配する必要ないと思いますが、万が一計測震度6.9以上が発生してしまった場合は、保証対象外となりますので注意してください。

 

 

次に年度保証額です。

 

年度保証額とは、年度内に日本全国で発生した保証対象物件の損壊に対する保証額の総額です。

 

つまり年度内で保証できる金額予算が決まっているということです。

 

例えば2021年は4億円までが、日本全国で保証できる最大予算となります。

 

ここで注意いただきたいのは、建物被害総額が最大予算を超えてしまった場合です。

 

この場合、保証額が減額となりますので注意が必要です。

 

つまり全額保証を受けられない可能性があるということです。

 

最悪のケースとしては、複数の建物が全壊してしまった場合にこの可能性があります。

 

 

とはいえ熊本地震・東北地方太平洋沖地震、兵庫県南部地震で177,177棟の建物で倒壊ゼロの実績がありますので、それほど心配しなくても良いでしょう。

 

やはり冒頭お伝えしたように、まず地震保証がある点と、それを無料で実施している点が非常に付加価値の高いものだと思います。

 

 

 

9−3.パナソニックホームズのアフターメンテナンス

 

では次にアフターサポート体制についてみていきましょう。

 

 

結論

 

直営支店が宮城から沖縄まで展開しているパナソニックホームズの方が、震災時の各拠点との連携が見込める

 

 

 

アフターサポート体制の特徴はコチラです。

 

 

特徴

24時間365日受付コールセンターが窓口

 

アフターメンテナンスの拠点数公表無し

 

拠点は宮城から沖縄まで全国展開している

 

 

パナソニックホームズのアフターサポートは、残念ながら詳細な拠点の公表がありませんでした。

 

主にパナソニックホームズの支社とグループ会社で、宮城から沖縄まで全国展開しております。

 

 

受付窓口は24時間365日対応している受付サービスが対応しています。

 

基本は受付サービスで受付対応をし、各拠点のアフターメンテナンスのスタッフが派遣される流れです。

 

アフターサポート体制のシステムは他社でも実施されており、突出したものではありません。

 

 

実はここが重要です。

 

 

何故かと言うと、被災エリア外から迅速にフォローできるのかどうかも、真に地震に強いハウスメーカーと言えるからです。

 

 

震災後はとても普通の精神状況ではいられません。

 

 

今までに経験した事の無い様な恐ろしく巨大な力による揺れに突然襲われ、建物が倒れていなくても周囲は惨状と化している中で、大きな余震は夜中も関係なく何度も襲ってくるのです。

 

ハウスメーカーの耐震性を語る際に、単に建物が地震に強いだけでは駄目なのです。

 

被災地では、ハウスメーカーの社員やご家族も被災者となります。

 

その様な時に、被災エリア外から迅速にフォローできるのかどうかはとても重要です。

 

その点で、パナソニックホームズは、本社直営の支社とグループ会社が全国に広がってリスク分散しており、被災地外エリアからの支援が見込めるという点では、有事の対応組織力は高いと言えます。

 

 

 

9−4.トヨタホームの保証制度

 

続いてトヨタホームをみていきましょう。

 

まずは結論です。

 

 

結論

 

保証・メンテナンス期間ともに業界トップクラス

 

業界に先駆けて60年長期保証をはじめた実績がある

 

3種類の保証があるため適用条件に注意が必要

 

 

 

具体的な期間はコチラです。

 

 

 

 

トヨタホーム

 

アトリスプラン・エース

アトリスプラン

アトリスプランM

基礎

 

初期保証40年 最長保証60年

 

※40年目以降有償メンテナンス工事が必須

 

※20年目以降で防水の有償メンテナンスを実施しなかった場合、それに起因する保証は適用外


 

初期保証30年 最長保証60年

 

※30年目以降有償メンテナンス工事が必須

 

※20年目以降で防水の有償メンテナンスを実施しなかった場合、それに起因する保証は適用外


 

初期保証10年 最長保証30年

 

※10年目以降有償メンテナンス工事が必須

 

 

 

構造躯体

 

防水

 

初期保証30年

最長保証60年

 

※20年目以降、10年毎の有償メンテナンス工事が必須

初期保証20年

最長保証60年

 

※20年目以降、10年毎の有償メンテナンス工事が必須

初期保証10年

最長保証30年

 

※10年目以降、10年毎の有償メンテナンス工事が必須

防蟻

初期保証10年

最長保証30年

 

※10年目以降10年毎の有償メンテナンス工事が必須

 

初期保証10年

最長保証30年

 

※10年目以降10年毎の有償メンテナンス工事が必須

 

初期保証10年

最長保証30年

 

※10年目以降10年毎の有償メンテナンス工事が必須

 

設備

初期(最長)保証10年

 

初期(最長)保証10年

初期(最長)保証5年

点検

 

35年間無料

 

※40,50,60年目は有料

※45,55年目は無料

25年間無料

 

※30,40,50,60年目は有料

※35,45,55年目は無料

15年間無料

 

※20,30年目は有料

※25年目は無料

 

 

トヨタの特筆すべき点は、業界に先駆けて60年長期保証を2008年からはじめたことです。

 

パナソニックホームズなど大手各社は、直近数年以内で60年保証に改定したところが多いです。

 

大手各社と比較すると、トヨタホームは長期保証の第一人者とも言えます。

 

 

それでは具体的な保証内容を紹介します。

 

トヨタホームでは、全部で3種類の保証タイプがあります。

 

鉄骨住宅で2タイプ、木造住宅で1タイプです。

 

 

まずは鉄骨住宅からみていきましょう。

 

2タイプの大きな違いは、

 

・粘土瓦を採用

 

・高耐久ルーフィング(屋根防水シート)を採用

 

上記2つを採用しているかどうかです。

 

この条件を満たすとアトリスプラン・エースとなります。

 

 

上記条件以外はアトリスプランとなります。

 

また上記を満たしていてもフラットルーフを採用するとアトリスプランとなるので注意してください。

 

ちなみに天窓は両プランとも免責となります。

 

 

では各保証内容を具体的に紹介します。

 

まずアトリスプラン・エースです。

 

基礎、構造躯体は初期保証40年、40年目に有償のメンテナンス工事を実施することで保証を10年延長することができます。

 

保証期間は最長60年です。

 

ただし20年目以降の防水のメンテナンス工事を実施していない場合は、それに起因する不具合は対象外となります。

 

 

防水・防蟻の保証期間はコチラです。

 

防水工事は初期保証30年、20年目に有償のメンテナンス工事を実施することで保証を10年延長することができます。

 

30年目以降は、10年毎に同様のメンテナンス工事を実施することで10年延長できます。

 

保証期間は最長60年です。

 

防蟻工事は初期保証10年、10年目に有償のメンテナンス工事を実施することで保証を10年延長することができます。

 

保証期間は最長30年です。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

つづいてアトリスプランです。

 

アトリスプラン・エースと同様に、構造躯体・防水の最長期間は60年になります。

 

基礎、構造躯体は初期保証30年、30年目に有償のメンテナンス工事を実施することで保証を10年延長することができます。

 

ただし20年目以降の防水のメンテナンス工事を実施していない場合は、それに起因する不具合は対象外となります。

 

 

防水工事は初期保証20年、20年目に有償のメンテナンス工事を実施することで保証を10年延長することができます。

 

30年目以降は、10年毎に同様のメンテナンス工事を実施することで10年延長できます。

 

 

防蟻工事は初期保証10年、10年目に有償のメンテナンス工事を実施することで保証を10年延長することができます。

 

保証期間は最長30年です。

 

 

ここでアトリスプラン・エース、アトリスプランの付帯設備保証についても紹介します。

 

パナソニックホームズにはないトヨタホームの強みとも言えます。

 

両プランとも付帯設備保証は初期(最長)保証は10年です。

 

具体的な保証の範囲は、トヨタホームを通して購入したキッチンや浴室、空調、太陽光発電などが対象となります。

 

特筆すべきはこの保証に全館空調「スマート・エアーズ」も含まれています。

 

一般的に住宅設備の保証は2年程度が多いので、10年保証があるのは非常に安心であるといえます。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

ここまで3つの内の2つを紹介しました。

 

最後のひとつは、アトリスプランMです。

 

こちらは木造住宅が対象です。

 

鉄骨と比較して、初期保証、最長保証が短いので注意が必要です。

 

基礎、構造躯体、防水、防蟻ともに初期保証10年、10年目に有償のメンテナンス工事を実施することで保証を10年延長することができます。

 

保証期間は最長30年です。

 

また付帯設備は初期(最長)保証5年となります。

 

木造住宅は2018年に販売開始をしたばかりなので、鉄骨住宅と比較すると見劣りしてしまいます。

 

今後実績が増え、保証期間も鉄骨同様に長期保証となることを期待しています。

 

 

定期点検は、2ヶ月、11ヶ月、23ヶ月、5年、10年、15年…60年(5年毎)に実施します。

 

アトリスプラン・エースは、35年点検まで無料です。

 

ただし45,55年目も無料です。

 

アトリスプランは、25年点検まで無料です。

 

ただし35,45,55年目も無料です。

 

アトリスプランMは、15年点検まで無料です。

 

ただし25年目も無料です。

 

 

いずれの保証も、会社として生涯点検を推奨しており、最長保証以降も5年毎に有料でメンテナンスの対応をしています。

 

 

 

9−5.トヨタホームのアフターメンテナンス

 

では次にアフターサポート体制についてみていきましょう。

 

 

結論

 

販売会社(ディラー制)を取っているトヨタホームの方が、震災時のリスク分散と各拠点との連携に不安が残る

 

 

 

アフターサポート体制の特徴はコチラです。

 

 

特徴

24時間365日受付サービスが窓口

※コールセンターは9:00~17:30まで

 

アフターメンテナンスの拠点数公表無し

※営業拠点は約24箇所

 

拠点は宮城から熊本まで全国展開している

 

 

トヨタホームのアフターサポートは、各販売会社のアフター担当が対応します。

 

アフターメンテナンス担当がいる詳細な拠点数の公表はありませんでしたが、参考までに営業拠点数で数えたところ約24箇所ほどあるようです。

 

 

受付窓口は24時間365日対応している受付サービスが対応しています。

 

基本は受付サービスで受付対応をし、各拠点のアフターメンテナンスのスタッフが派遣される流れです。

 

アフターサポート体制のシステムは他社でも実施されており、突出したものではありません。

 

 

ただしこの点においてトヨタホームは心配な点があります。

 

それは各拠点が販売会社制を取っていることです。

 

 

何故かと言うと、被災エリア外から迅速にフォローできるのかどうかも、真に地震に強いハウスメーカーと言えるからです。

 

 

震災後はとても普通の精神状況ではいられません。

 

 

今までに経験した事の無い様な恐ろしく巨大な力による揺れに突然襲われ、建物が倒れていなくても周囲は惨状と化している中で、大きな余震は夜中も関係なく何度も襲ってくるのです。

 

ハウスメーカーの耐震性を語る際に、単に建物が地震に強いだけでは駄目なのです。

 

被災地では、ハウスメーカーの社員やご家族も被災者となります。

 

その様な時に、被災エリア外から迅速にフォローできるのかどうかはとても重要です。

 

その点でトヨタホームは、直営店を展開している他社と比較すると、被災地エリア外からの支援体制に不安が残ります。

 

 

 

10.設計・デザイン力を比較

 

デザインの違いについても確認していきましょう。

 

デザインと言うと、外観が決まる上でポイントとなる外壁の仕上げや大空間、天井高、3階建以上の建物などの設計も関連していきます。

 

 

 

結論

 

設計

 

15cm単位で設計できるパナソニックホームズの方が設計自由度が高い

※HS構法、NS構法の場合

 

 

デザイン

 

外観バリエーションはトヨタホームの方が多い

 

 

 

両社の設計、デザインの特徴はコチラです。

 

 

パナソニックホームズ

トヨタホーム

設計・デザイン

■天井高

HS構法:標準仕様2.4m

(オプション仕様2.5m,2.7m)

 

F構法:標準仕様2.5m

 

 

HS構法・NS構法は15cm単位で設計できる

※F構法は90cm単位

 

標準設備はパナソニック製が多い

 

重量鉄骨造(NS構法で)3~9階建ての建築実績もある

■天井高

鉄骨ラーメンユニット工法:

標準仕様2.4m(オプション仕様2.6m)

 

鉄骨軸組工法:標準仕様不明

(オプションで最大約4.42m)

 

鉄骨ラーメンユニット工法は、規定のユニットを組合せて設計

鉄骨軸組工法は25cm単位で設計

 

 

 

 

 

両工法の商品は、3階建てまで

 

 

では両社の設計・デザイン力を比較していきましょう。

 

 

 

10−1.パナソニックホームズの設計・デザイン力

 

パナソニックホームズの大きな特徴は、細かい設計対応力です。

 

 

結論

 

15cm単位で設計できる細かい設計対応力が高い

 

設備は標準仕様のパナソニック製が人気

 

 

 

パナソニックホームズの設計・デザインの特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

設計・デザイン

天井高

HS構法:標準仕様2.4m(オプション仕様2.5m,2.7m)

F構法:標準仕様2.4m

 

HS構法・NS構法は15cm単位で設計できる

※F構法構法は90cm単位

 

標準設備はパナソニック製が多い

 

重量鉄骨造(NS構法で)3~9階建ての建築実績もある

 

 

 

パナソニックホームズの設計の大きな特徴はマルチモジュールシステムです。

 

マルチモジュールシステムは、HS構法の壁・天井を15cm単位で調整が可能となります。

 

トヨタホームや積水ハウスといった同じ鉄骨メーカーは最小25cm単位になります。

 

この2社と比較するとパナソニックホームズは、設計対応力が高いです。

 

15cm単位の設計は、オーバーハングでも可能です。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

さらに重量鉄骨造(NS構法)でも適用されます。

 

つまり3~9階建てにおいても15cm単位の設計が可能です。

 

 

※上の画像出典:HOME4U HP ※画像外はユームの参考情報

 

 

F構法は90cm単位とHS構法、NS構法構法と比較すると設計自由度が低くなるので注意が必要です。

 

 

続いて天井高です。

 

HS構法、NS構法の天井高は、標準で2.4m、オプションで2.55m,2.7mです。

(カサート・プレミアムの場合、標準天高は2.7です。)

 

F構法は2.5mと若干高くなります。

 

 

続いて大開口です。

 

こちらはHS構法・F構法とも具体的な明示はありませんでした。

 

パナソニックホームズHPの実例紹介では、HS構法の建物で、開口幅約6mを採用したリビングを紹介しています。

 

大手他社と比較すると決して特別ではありませんが、開口幅も比較的設計対応力が高いと言えます。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

重量鉄骨造(NS構法)は最大10.8mのワイドスパンが可能です。

 

また最大3.6mのオーバーハングも可能です。

 

 

 

施工実績では、3~9階建て対応の「Vieuno」が用意されています。

 

 

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

Vieunoになると、軽量鉄骨造(HS構法)から重量鉄骨造(NS構法)に構造が変わります。

 

都市型建築に多い3階建てから、自宅や2世帯住宅+賃貸・店舗を併用した9階建てまで建築が可能です。

(3階建てまではHS構法でも建築可)

 

パナソニック製のホームエレベーターも標準搭載されています。

 

 

デザインに関わる設備については標準仕様でパナソニック製を多数選択することが可能です。

 

代表的なのは、キッチンや洗面・浴室といった水回りです。

 

他にも照明や床材といった設備もパナソニック製を選択できます。

 

 

パナソニックホームズを選ばれる方は、住友林業=木の質感、といったインテリアデザイン

よりも、パナソニック設備の機能性や安心感で選ばれる方が多いように感じます。

 

特にキッチンコンロの3つ横に並んだフラットワイドコンロは、使い勝手の良さから奥様に非常に人気です。

 

 

最後に外観デザインです。

 

■CASART(カサート)

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

パナソニックホームズの最もオーソドックスな商品です。

 

インテリアはシンプルモダンからナチュラルテイストまで全5種類をベースに自由設計ができます。

 

 

■CASART PREMIUM(カサート プレミアム)

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

全館空調「エアロハス」を標準搭載した比較的富裕層向けの商品です。

 

 

■CASART URBAN(カサート・アーバン)

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

IoT住宅をコンセプトにした商品です。

スマートフォンひとつで家じゅうの住設機器が操作できます。

 

 

■Vesse(ヴェッセ)

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

Web限定の企画商品です。

 

パナソニックホームズが厳選した間取りプランや設備仕様を、お施主様自身でWeb上から選ぶことができます。

 

都度価格も一緒に確認することができまs。

 

 

■Vieuno(ビューノ)

※上の画像出典:パナソニックホームズHP ※画像外はユームの参考情報

 

3~9階建て・重量鉄骨造(NS構法)の商品です。

 

自宅から2世帯、賃貸併用、店舗併用、ホテル建築まで多彩な提案ができます。

 

 

 

10−2.トヨタホームの設計・デザイン力

 

続いてトヨタホームの設計、デザインをみていきましょう。

 

 

結論

 

鉄骨ラーメンユニット工法はユニットバリエーションの中で設計をする

 

大空間は、最大35畳の柱なし空間「ワイドスパン工法」がある

 

 

 

トヨタホームの設計・デザインの特徴はコチラです。

 

 

 

特徴

設計・デザイン

天井高

鉄骨ラーメンユニット工法:標準仕様2.4m(オプション仕様2.6m)

鉄骨軸組工法:標準仕様不明(オプションで最大約4.42m)

 

鉄骨ラーメンユニット工法は、規定のユニットを組合せて設計

 

鉄骨軸組工法は25cm単位で設計

 

両工法の商品は、3階建てまで

 

 

 

トヨタホームは、2つの工法によって設計の特徴が異なります。

 

 

ますは主力商品であるユニット工法です。

 

名前のとおり、ユニットを組み合せて建築する工法です。

 

トヨタホームでは、桁面8種類×妻面2種類、計16種のユニットがあります。

 

1F階は天井高に合わせて高さが異なる2種類があります。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームカタログ ※画像外はユームの参考情報

 

上図のようにユニットの大きさが決まっているため、この枠の中での設計がルールとなります。

 

ユニットに組まれる柱の位置は変更できません。

 

こう聞くと設計自由度が低いのではと感じた方もいるかと思います。

 

しかしそんなことはありません。

 

たしかにユニットの柱の移動や無くすこと自体は難しいです。

 

しかし一般的な軸組構造と比較して、構造上必要な耐力壁は少なくて良いメリットもあります。

 

例えば、下図の同じ骨格の間取りを比較した場合、軸組構造では外せない壁(耐力壁)が必要となるケースがあります。

 

それに対してユニット工法は、ユニットの柱以外は耐力壁が無くても問題ありません。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

さらにワイドスパン工法であれば、ユニット同士の柱が重なる部分を無くして、すっきりした大空間を実現することができます。

 

最大で35畳の空間を実現できます。

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

ただし注意点もあります。

 

ワイドスパン工法のようなユニット接合部の柱がなくなる分、構造上問題がなくても、揺れやすくなるリスクもあります。

 

なるべく柱を減らさず柔軟に移動ができる方が、設計自由度と揺れにくさの両方を兼ねることが可能かと思います。

 

 

その点は、パナソニックホームズの方がトヨタホームよりも設計自由度に対する地震の揺れの安心感はあると言えます。

 

 

一方で鉄骨軸組工法は、軸組構造のためユニット工法よりも細かい設計変更がしやすいです。

 

壁は25cm単位で調整が可能です。

 

ただしこのモジュールは他社でも採用されているため特別な仕様ではありません。

 

エスパシオで特筆すべき点はマルチ天井高システムです。

 

 

これはスキップフロアやスキップダウン、一部のフロアだけ天井高を変えるといった天井高をマルチに変更できるシステムです。

 

例えば、最大天井高は約4.42mまで対応しています。

 

 

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

他にもスキップフロア設けた吹き抜けのある中2階などもできます。

 

とはいえ同じ鉄骨軸組構造でも提案できる仕様ですので決して特別とは言えません。

 

 

 

続いて天井高です。

 

鉄骨ラーメンユニット工法は、標準で2.4mです。

 

1階に限ってはオプションのハイユニットで2.6mの変更も可能です。

 

 

鉄骨軸組工法は、残念ながら詳細な公表がありませんでした。

 

こちらはマルチ天井高システムで設計プランに合わせて変更することが可能です。

 

ただしスキップフロアなど複雑な間取りになるほどコスト面や断熱仕様等が大きく変わる可能性があるので注意をしてください。

 

 

施工実績では、商品は3階建てのまでとなります。

 

こちらはユニット工法も鉄骨軸組工法ともになります。

 

 

最後に外観デザインです。

 

■SINCE Smart stage+

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

■SINCE with R

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

■ESPACIO LS

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

 

■LQ

※上の画像出典:トヨタホームHP ※画像外はユームの参考情報

 

11.会社状況を比較

 

IR情報

パナソニックホームズ

(2021年3月期)

トヨタホーム

(2020年3月期)

設立

1963年(昭和38年)に設立

2003年(平成15年)に設立 

※創業は1975年

売上高

2,232億円

774億100万

経常利益

3億1,600万円

5億5900万

経常利益率

0.14%

0.7%

対前年比

▲1.56%

▲6.4%

 

参考サイト⇒パナソニックホームズHP 2021年3月期決算公告

参考サイト⇒トヨタホームHP 2020年3月期決算公告

 

 

2021年6月21日現在、2021年3月期の決算公告はパナソニックホームズのみ公表しています。

 

 

まずはパナソニックホームズです。

 

2021年3月期の決算を見ると、経常利益率0.14%(前年比▲1.56%)という厳しい結果でした。

 

売上高は前年比約▲11.5%です。

 

売上高の減少率に対して上記利益率は心配な点です。

 

 

残念ながらパナソニックホームズは2020年にプライム ライフ テクノロジーズ株式会社の完全子会社となり、詳細な決算報告の開示はありません。

 

 

その中で、2020年度のパナソニックホームズは海外事業の動きが顕著でした。

 

 

インドネシアでは、戸建て分譲事業において完成物件引渡しを2020年7月より開始しました。

 

2020年度末までに計65戸、同年以降を含めて750戸を予定しています。

 

 

ニュージーランドでは、同社初の平屋住宅を2021年に完成。今後、ニュージーランド住宅市場への部材供給を目指すとしています。

 

 

マレーシアでは、大規模マンション事業において、2020年9月に第1期(748)戸の販売を開始しました。

 

新型コロナでも好調を推移し、2021年3月から第2期の販売も決定しました。

 

 

国内事業においては、賃貸併用住宅にも対応した全館空調「エアロハスM」を発売しました。

 

 

こういった明るい兆しが2021年度にどう影響したか注目されます。

 

 

 

続いてトヨタホームです。

 

トヨタホームは2021年6月21日現在、最新の決算公告は公表されていません。

 

2020年3月期決算をみると、経常利益率0.7%と厳しい結果となっています。

 

トヨタホームもパナソニックホームズ同様にプライム ライフ テクノロジーズ株式会社の完全子会社です。

 

そのため詳細な決算報告の開示はありません。

 

 

2020年度のトヨタホームは、大きな動きとして、木造住宅の新商品「MOKUA-J(2×4工法)」を発売しました。

 

分譲住宅を中心に展開し、木造住宅の拡大を図りました。

 

木造住宅は今後、同社全体の供給棟数1割を目標として掲げており、動向が注目されます。

 

 

今後、住宅業界では年間の新築着工棟数があと数年で数十万戸減少することが確実視されています。

 

そのため今後淘汰されていく住宅会社が多いとも言われています。

 

 

今までも、外断熱の雄である野村ホームや高品質の在来工法を提供していた三井ハウスも、親会社が野村不動産や三井物産と大手でしたがすでに撤退をしています。

 

建てた会社や住宅部門が撤退してしまうと、家の長期保証やアフターフォロー面に影響するだけでなく、信頼性が損なわれマイホームの資産価値も落ちてしまいます。

 

 

つまり大手ハウスメーカーであるパナソニックホームズやトヨタホームとはいえ、十数年後にどうなっているかはわからないということです。

 

 

会社の存続は注文住宅だけでなく、他事業へのリスク分散も重要です。

 

例えばパナソニックホームズは海外事業、トヨタホームは木造住宅で新たに事業展開をしています。

 

 

今後両社がどうなるのかは断言できませんが、みなさんには失敗後悔して欲しくないです。

 

今後生き残り長期保証が継続できるような、独自の強みがある会社を選んでいただければと思います。

 

 

その意味では、両社とも自社の強みを効果的に宣伝できていると思います。

 

パナソニックホームズは空気品質の高い住宅という強みを持っています。

 

トヨタホームは品質の高い住宅という強みを持っています。

 

ユームとしては、将来起こる震災に備えた耐震性や防災力を、各社とも強化いただきたいですね。

 

 

 

 

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