積水ハウスとダイワハウスの7つの違い徹底比較|ハウスメーカー選び

今回は、大手ハウスメーカーでも着工数トップクラスを誇る2社の違いを解説していきます。

 

この2社は、鉄骨の在来工法で間取りの汎用性が高い点など、よく悩まれる方が多い選択肢であると思います。

 

それぞれの特徴の違いを7つの内容に絞って、徹底比較していきます。

 

 


■この記事のポイント


・積水ハウスと大和ハウスの違いを、ポイントごとに分類してまとめています


・積水ハウスは、鉄骨では間取りの自由度が高く、木造の歴史は長い。


・大和ハウスは、鉄骨では間取りの自由度が高く、木造での歴史は浅い。

 



1.概要と建物構造の違い

 1)積水ハウス・概要

 2)積水ハウス・建物構造

 3)大和ハウス・概要

 4)大和ハウス・建物構造

 5)まとめ

2.耐震性や制振システムの違い

 ①実大実験での比較|過去の地震波を再現した実験

 ②実大実験での比較|建物の余力を測る実験

 ③地震の揺れを抑えられるか? 制震システム

 ④基礎及び基礎と主要構造の接合強度は?

 ⑤過去の地震での被害状況は?

 まとめ

 

3.外壁の違い

 3-1)積水ハウス

 3-2)大和ハウス

 3-3)外壁の違い・まとめ

 

4.保証・アフターフォロー体制

 4-1)積水ハウスの保証制度

 4-2)積水ハウスのアフターサービス

 4-3)大和ハウスの保証制度

 4-4)大和ハウスのアフターサービス

 まとめ

 

5.換気・空調システムの違い

 5-1)積水ハウスの空調・換気システム

 5-2)大和ハウス

 5-3)大和ハウスの換気システム

 5-4)積水ハウスのエアキスと大和ハウスの換気・空調システムの違い・まとめ

 

6.断熱・気密性の違い

 6-1)積水ハウス「ぐるりん断熱」

 6-2)大和ハウス「外張り断熱」

 6-3)断熱方式の違い・まとめ

 

7.木造の違い

 7-1)積水ハウス「シャーウッド」

 7-2)大和ハウス「グランウッド」

 

8.まとめ

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1.概要と建物構造の違い

 

1)積水ハウス・概要

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

積水ハウスは、元々積水化学工業株式会社の住宅カンパニー(現セキスイハイム)から、独立した会社が、今の積水ハウス株式会社となっています。

 

環境問題にも積極的に取り組んでいる会社で、2008年に業界では初となる「エコ・ファースト企業」となっています。

 

一早く、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)などに対応した、環境に配慮した住宅を発売してきています。

 

 

 

大手ハウスメーカーの中では、着工数も9000棟前後で上位をキープしており、昔から人気の高い住宅メーカーです。

 

 

 

まずは、積水ハウスの建物構造を解説していきます。

 

 

 

2)積水ハウス・建物構造

 

2-1)2階建て

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報 

 

 

主に2階建ての鉄骨の商品は「ユニバーサルフレームシステム」として、在来軸組工法で住宅を構成します。

 

 

 

メリットとしては、「安全性と、設計度の高さを両立できること」です。

 

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

積水ハウスは1階の天井高を2700mmと、業界でもトップクラスの高さです。

 

みなさんのお住まいの天井の高さはどのぐらいでしょうか?

 

マンションや新しめのお住まいであれば2.4mほどが一般的です。

 

築年数の古い日本家屋の場合は、2m50以上あることも多いです。

 

今の天井の高さよりも、新築した家が低いという場合は、圧迫感を感じてしまうかもしれないので、注意してください。

 

この天井高が、2.4mと2.6mや2.7mでは開放感が違います。

 

ですので、吹抜けは採用しないけれど天井高い方が良いという方は、積水ハウスの高天井を検討されるのも良いかと思います。

 

 

ただ、1階と2階の天井高が違うことが多いということは覚えておいてください。

 

 

積水ハウスでは、天井高は、それぞれ1階では2.47mもしくは2.7mと業界でもトップクラスの高さです。

 

 

また、2階については2.27mもしくは2.47mから選べます。

 

2.27mは通常の高さ(2.4mが主流)から比べれば低いですが、建物全体の高さを抑制し、土地の斜線制限といった規制の掛かりにくい設計が可能です。

 

 

ここで重要な補足をしておきます。

 

積水ハウスは床面積の計算が鉄骨他社と違うということを覚えておきましょう。

 

簡単にお伝えすると、LDKの床面積が同じ場合、積水ハウスは鉄骨他社よりも実際の部屋が広くなります。

 

極端な例ですが、仮に一般的な鉄骨住宅のLD(リビング・ダイニング)の幅が約1,625mm(1.625m)だった場合、積水ハウスは約2,000mm(2.0m)と、約375mm(37.5cm)広くなります。

 

この差は寝室にナイトテーブルを置いたり、LDにデスクワークスペースを確保できる広さです。



ではなぜこれだけ違うのか。

 

もう少し詳しく紹介します。



建築基準法の床面積とは、「建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積」としています。

 

つまり壁・柱などの区画の中心線をもとに床面積を計算しています。



積水ハウスはこの区画の中心となる位置が鉄骨他社と違います。



下図をご覧ください。

 

一般的な木造住宅の場合、柱の中心が、区画の中心線となります。

 

それに対して一般的な鉄骨住宅の場合、ALC板は外壁の中心、サイディングなどは胴縁の中心が区画の中心線となります。

 

それぞれ青色部分が床面積です。


 



※画像出典確認申請ナビHP ※画像外はユームの参考情報



しかし実際には柱の内側に石膏ボード・壁紙を貼るため、区画の中心線と石膏ボードの間は空間として使えません。

 

つまり木造・鉄骨の同じ床面積の区画があったとしても、実質空間を広く使えるのは

 

木造住宅>サイディング採用の鉄骨住宅>ALC採用の鉄骨住宅

 

となります。



積水ハウスは、木造と同様に、柱の中心が区画の中心線となります。

 

これは軽鉄・重鉄ともに同じです。

 

そのため、同じLDK20畳の空間でも、鉄骨他社よりも実質使える空間が広くなります。



仮に実質使える空間を積水ハウスと同じ面積で建築する場合、区画の中心線が違う鉄骨他社だと全体の床面積が積水ハウスよりも大きくなります。

 

床面積が大きくなれば当然建物コストも上がりますよね。

 

この点は、価格も含め積水ハウスのメリットと言える特徴ですので、ぜひおさえておきましょう。



続いて大空間についてみていきましょう。

 

大空間を支えるのは、制震鉄骨システムのシーカスと従来の梁を強化したダイナミックビームです。

 

制震システムは耐震性の比較の際にお伝えしますが、柱と柱の間に地震動を吸収する装置により、震災時の揺れを大幅に減少させるものです。

 

その柱と天井部分でジョイントするのが梁です。

 

積水ハウスでは、従来の梁の約5倍曲がりにくい強度のダイナミックビームRと従来の約10倍曲がりにくい強度のダイナミックビームKがあります。

 

ただ単に、大空間を設計するのではなく、2階や屋根の重さを受けるこの梁が非常に強靭なため、その梁を支える柱の間隔が広くても、柱の数が少なくても安心できるというのが積水ハウスの特徴です。

 

 

 

※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

2020年8月4日より発売の「ファミリー スイート おうちプレミアム」では、1階の開口スパンを最大で7m、2階は10mの大開口が可能です。

 

 

積水ハウスは大空間の実現だけでなく、設計品質のディティール部分にもこだわっています。

 

それは建物寸法のズレを抑えることです。



一般的に、多くの住宅会社が構造躯体の一部工場で生産します。

 

ですが現場では、基礎の仕上げ、柱と梁の接合など、職人の手によって行う部分も多いです。

 

つまり人の手で行うため、図面の寸法に対して数ミリのズレが生じることもあります。

 

ズレがあると、接合部分でボルトが規定の穴に収まらず、強引に叩き入れることがあります。

 

その際にサビ対策のコーティングに傷が入ったりします。

 

金物に当初規定以外の箇所にもう一つ穴を開けて無理やり接合することもあります。

 

内容によっては、接合強度が弱くなる可能性もあります。

 

 

積水ハウスでは、1階と2階の寸法のズレで1mm以下と高精度で施工しています。

 

2階と3階においても1mm以下のズレで施工をしています。

 

1mm以内と言われてもあまりわかりにくいかもしれませんが、多くの施工会社からすると驚くほど誤差が少ないです。

 

非常に施工精度が高く、素晴らしいです。

 

大空間の提案もできる上に、現場施工上のばらつきを最低限に抑えられるのは、さすがの一言と言えます。

 

 

2-2)3階・4階建て

 

積水ハウスの3階は特に人気です。

 

その理由は、3階建てでも設計の自由度があることです。

 

3階建ての場合、やはり2階よりも構造的に制約を受けて、自由度が落ちることも多いのですが、積水ハウスは独自の構造強度により、フレキシブルに可能な設計力が売りです。

 

3階建てでも軽量鉄骨の会社もありますが、積水ハウスの3階、4階建ては、高さ60mの高層ビルと同じ耐震基準で設計されている、重量鉄骨にこだわっています。

 

そして単なる鉄骨の厚みがある重量鉄骨ではなく、日本で初めて梁勝ちラーメン構造を実現した重量鉄骨「フレキシブルβベータシステム」というものです。

 

 

余談ですが、積水ハウスの商品名や技術システム名は他社に比べて覚えにくいものが多いですね。

 

ネーミング・ブランドの浸透で損している気がします。

 

 

その「フレキシブルβシステム」とは、決まった場所で、通し柱を不要にした独自の梁勝ちラーメン構造です。

 

 

※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

絵のとおり、各階で柱の位置を自由に設計できるというものです。

 

※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

 

積水ハウスの多階層は、決まった場所での通し柱を不要にした独自の重量鉄骨工法

 

 

 

ここでラーメン構造で重要な柱と梁の接合強度をみておきましょう。

 

積水ハウスの重量鉄骨造では、柱と梁の接合にトルシア型ハイテンションボルトを採用しています。

 

このボルトは高層ビルにも用いられる非常に強度が高いボルトです。

 

専用工具でボルトを締めた際に、ボルトの先端(ピンテール)が折れる仕様となっています。

 

私も体験しましたが、これによりボルトがきちんと締められていることを確認でき、正確な強度で接合することが可能です。

 

上の画像出典積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

では具体的な構造の特徴をみてみましょう。

 

 

最近ラーメン構造を採用するハウスメーカーも増えていますが、積水ハウスは従来のラーメン柱に比べ、1本当たりの強度が2.5倍の高強度柱 「WHコラム」を採用しています。

 

これは、こちらのリビングの右側奥の壁が必要だったものが、柱の強度が2.5倍となったことで、柱の本数を減らすことができ、リビングの窓開口を大きくできるというものです。

 

柱の強度が2.5倍となったことで、柱の本数を減らすことができ、リビングの窓開口を大きくできるというものです。

 

 

※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

さらに、最大スパン9mが実現可能な高強度梁「WHビーム」を導入することで、柱の無い大空間のが可能となります。

 

 

※上の画像出典:積水ハウスHP 画像外はユームの参考情報

 

 

また、ビルトインガレージも3階建てで最大で8mの開口が可能ですので、写真のように3台の並列駐車もできます。これは大和ハウスよりも優れていると言えます。

 

 

※上の画像出典:積水ハウスHP 画像外はユームの参考情報

 

ただし注意点があります。

 

それは大開口の幅によって構造梁(Hビーム)が二重(WHビーム)となるため、天井が低くなります。

 

具体的には約20cmほど天井が下ります。

 

1階の天井高が2.4mであれば2.2mとなります。



ただし標準天井高2.6mの選択も可能です。

 

そのため大開口を採用される場合、天井高を2.6mにして、大開口部分は2.4mにすることをオススメします。



ちなみにWHビームにすると最大約2.5mのオーバーハングも可能となります。

 

オーバーハングとは、例えば2階を下に柱なく、1階よりも張り出すことです。

 

積水ハウスの重量鉄骨造では1階に対して約2.5mまで2階部分を外側に張り出すことができます。

 

下画像の右側のように、2階を広くするだけでなく、下に邪魔となる柱がないので、車1台分のカーポートスペースとして有効活用もできます。

 



※上の画像出典:積水ハウスHP 画像外はユームの参考情報

 

主要な柱や壁は250mm刻みで設計できます。

 

これはあとで大和ハウスのところで解説しますが、標準的で特に細かい設計自由度とは言えません。

 

ただし、角に柱が無い開放感を求めて、積水ハウスを選ぶ方も少なくありません。

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

3階建てを検討する上で理解しておきたいことがあります。

 

それは、3階建ての場合は構法や構造に関係なく、地盤との共振現象が起きやすいため、より振動が大きくなりがちということです。

 

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

積水ハウスは、この振動を大幅に低減する「マルチTMD」を標準で搭載しています。

 

TMD(Tuned Mass Damper)は、交通振動などで建物が揺れた場合に、慣性力によっておもりが建物の揺れと反対向きに動き、建物本体の揺れを打ち消す装置です。

 

「マルチTMD」はこのおもりを4つに分割し、積層ゴムで支える構造です。

 

 

 

2-3)木造(シャーウッド)

 

積水ハウスの木造は「シャーウッド」という名称で、事業を展開しています。

 

工法は「シャーウッド ハイブリッド工法」となっており、面で支えるモノコック構造と、柱と梁で支えるラーメン構造を組み合わせた独自の工法です。

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

木造軸組構法で唯一、型式適合認定を取得しています。

 

型式適合認定というのは、建築物(の部分)が、「構造耐力、防火・避難など一連の規定に適合すること」をあらかじめ国土交通大臣(指定認定機関が指定されている場合は同機関)が認定したものです。

 

 

積水ハウスでは、木材にもこだわっています。

 

具体的には4寸角の集成材を採用しています。



一般的に、一本の柱を角材として使用する場合、その木材の年輪の間隔によって強度が変わります。

 

年輪の間隔が狭ければ強く、年輪の間隔が広ければ弱いです。



積水ハウスでは、構造材によって強度の違いがでないように、年輪の間隔が狭い角材を組み合せた集成材を梁などに使用しています。

 

さらに1本1本年輪の向きを変えることにより、どの集成材でも一定の強度を保つ工夫をしています。



※画像出典:ユーム参考写真 ※画像外はユームの参考情報



もうひとつこだわりがあります。

 

それは柱や梁に国産材を主に使用していることです。



全国15箇所のブランド国産材である檜やカラマツ、杉を採用しています。

 

梁は良質で強度に強い国産檜やカラマツを使用しています。

 

柱にはお住まいの地域に合わせた檜・カラマツ・杉を選択することが可能です。


※画像出典積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報



そして積水ハウスは、この国産材を計画的に伐採、植林をしています。

 

外国材を使用している住宅会社が多い中で、国産の木を積極的に活用しながら日本の森林を守る姿勢は応援したくなります。



では構造の特徴について詳しくみていきましょう。



積水ハウス、シャーウッドの特徴は、モノコック工法と木造軸組工法の両方の良さを取り入れていることです。

 

モノコック工法のような面構造で強度を確保しながら、モノコックよりも自由に設計できる木造軸組工法に近い家づくりを実現できます。




この構造のメリットは、地震への耐力が強いことと、開口部が大きく取れることです。

 

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

必要に応じて耐力壁を動かせるため、開口がほしい面に、大開口を設けて開放感のある住宅へ仕上げることができます

 

また、天井高を3.7mほどにすることも可能です。

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

積水ハウスは基礎もこだわりがあるのですが、それは耐震性のところでお伝えします。

 

シャーウッドも2020年8月4日より発売の「ファミリー スイート おうちプレミアム」が適用され、1階開口スパンを最大で7m、2階は10mの大開口が可能とのことです。

 

 

 

3)大和ハウス・概要

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

大和ハウスは、現在住宅を中心に、マンションやアパ―ト、そしてホテルやゴルフ場などの運営も行います。

 

また、運送網を自社でつくったり、店舗の建築から運営まで管理を一括して行う事業「LOC SYSTEM」など、住宅以外の様々な分野の事業も展開しています。

 

 

 

大和ハウスの住宅着工は近年、戸建住宅では6000棟前後をキープしており多角的経営で様々な分野に進出している企業

 

 

 

まずは、大和ハウスの建物構造から見ていきましょう。

 

 

4)大和ハウス・建物構造

 

4-1)2階建て(xevoシリーズ)

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

大和ハウスの2階建ては、鉄骨の在来軸組工法です。柱と梁を組み合わせる工法で、間取りの自由度の高さと、耐震性を兼ね備えた工法です。

 

制震機能としてのエネルギー吸収型耐力壁「D-NΣQST(ディーネクスト)」を採用していることも含めて、工法としては積水ハウスの2階建てと似ています。

 

天井の高さも2.72mと業界でも最高峰の天井高です。

 

積水ハウスも2m70㎝なので、天井高の視覚は変わらないかと思います。

 

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

大和ハウスでは2世帯住宅などで、敷地に関する規制が無ければ1階も2階も2m72mmの高天井にすることができるのが魅力です。

 

ただし、当然コストはアップします。

 

開口幅は最大で7m10㎝ほど可能です。

 

積水ハウスも1階は7mなので、2階は10mなのでそれほど変わらないと言えます。

 

 

 

4-2)3階建て(xevo03)

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

大和ハウスの3階建ては、ブレース(筋交い)であるパネルフレームで「柱」を挟んで一体型になった壁で、建物を支える構造です。

 

この構造のメリットは、「上層階でも地震に強いこと」と、「1階部分をビルトインガレージにできること」です。

 

xevo03は、一般的な重量鉄骨のラーメン構造に比べて、建物がしなやかにエネルギーを抑えることで、上層階の揺れ幅を軽減します。

 

具体的には、その差は3倍にもなります。

 

これによって、地震で倒壊しないことは当然のことですが、建物の変形を最小限にすることで、建物内部の被害を最小限にします

 

そして、3階建ての設計が多くなる都市部で重宝されるメリットが、1階部分をビルトインガレージにできることです。

 

1階部分をガレージという空洞にしても、建物全体の耐震性を保つために「門型フレーム」という部材を使用しています。

 

「門型フレーム」はガレージという大きな開口部を設けても、柱と梁を一体化させた構造部材で、安定した構造を作り出します。

 

具体的には最大6m37cmのワイドスパンが可能です。

 

ただし、注意点は開口の有効幅です。

 

有効幅は5m95㎝となります。

 

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

これに関しては、積水ハウスの方が約8mのビルトインガレージが可能なので、優れていると言えます。

 

 

 

4-3)木造(GranWood)

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

大和ハウスの木造は、在来工法です。

 

エネルギー吸収型木造制震耐力壁「Gran-Device(グランデバイス)」を導入することができ、耐震性に優れた在来木造になっています。

 

ポイントは2つ。

 

1つは接合する金物にこだわっている点です。

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

一般的な在来工法で、柱と梁を接合する際には、柱を切り欠いて固定を行います。

 

そうすると、どうしても3方向からの接合部になると、断面欠損率では45.8%にもなります。

 

地震で大きなエネルギーがかかった場合は、接合部に負担がかかりやすいので、不安です。

 

大和ハウスのグランウッドは、接合金物のみを貫通させて固定します。

 

これにより、柱の欠損を最小限にして耐震性を高めていきます

 

そしてもう1点は、大和ハウスのグランウッドは「邸別構造解析」を行っています。

 

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

2階建ての建物は、構造計算が必須ではありませんが、大和ハウスでは自主的に一邸一邸実施しています。

 

この邸別構造解析を確かなものとするため、構造用集成材、接合金物、面剛性、といった性能が保証できる技術を採用しています。

 

 

 

5)まとめ

 

建物構造の違い

積水ハウス

大和ハウス

構造躯体

鉄骨・木造

鉄骨・木造

特徴

・2階建て:鉄骨の在来工法「ユニバーサルフレームシステム」で、多様なプランに対応できる。

 

・3階建て:「フレキシブルβシステム」で柱を動かす自由度が高く、多様なプランに対応できる。

 

・木造:「シャーウッド」軸組みとモノコック工法の良い部分を取り入れた、ハイブリッド工法になっています。地震への強さと、開口部が大きくとれるメリットがあります。

 

・2階建て:鉄骨の在来工法で、xevoで多様なプランに対応できる。

 

・3階建て:「トリプルコンパインドシステム」で、ビルトインガレージなど、都市部に中心な多様なプランに対応できます。

 

・木造:「GranWood」

在来工法に、制震システムと耐力壁を合わせた、独自の工法のシリーズです。

 

 

 

2.耐震性や制震の違い

 

この章では、そもそも積水ハウスと大和ハウスの耐震性は違うのか?

 

大きな地震が繰り返し来た時の性能はどうなのか?

 

がわかります。

 

また、今までも建物は倒れなくても揺れにより大きな被害となってしまっていますよね。

 

その揺れの抑制、どれだけ揺れを抑えられるのか?

 

最後に、過去の地震での被害状況はどうなのか?

 

これらについて迫っていきます。

 

①実大実験での比較|過去の地震波を再現した実験

 

②実大実験での比較|建物の余力を測る実験

 

③地震の揺れを抑えられるか? 制震システム

 

④基礎及び基礎と主要構造の接合強度は?

 

⑤過去の地震での被害状況は?

 

こちらは内閣府が発表している今後予測される震災時の被害状況です。

 

 

※内閣府(防災担当)HPより引用

 

仮に家が全壊しなくても、半壊、一部損壊の状態で、連続で大きな地震が来たり、余震への恐れからなかなかその場所に住むのが難しくなります。

 

因みに、避難生活を余儀なくされる方の予想人数は、

 

 

震災時の避難生活数予測(最大値)

 

南海トラフ巨大地震

約950万人

首都直下地震

約720万人

 

 

南海トラフ地震で約950万人が避難者になり、首都直下地震で約720万人が避難者となるだろうと政府関連機関より試算されています。

 

そうなったら、コロナ禍で言われていたような医療崩壊や手段クラスターどころの騒ぎではなくなってしまいます。

 

やはり、建物が倒壊しないだけではなく、度重なる余震が夜中も何度も襲ってくるなかで安心して家族が暮らせる頑強なお住まいが重要ではないでしょうか?

 

今回は、積水ハウスとダイワハウスの耐震性や揺れの抑制などを見ていきましょう。

あとで、過去の地震で両社はどうだったのかもわかります。

 

 

①実大実験での比較|過去の地震波を再現した実験

 

よく一級建築士が、

 

「実大実験をしても実際の家とは違うので意味がない。」

 

「実際に建てる家の設計で許容応力度計算などの構造計算していて問題無い。」

 

「耐震等級3だから問題無い」

 

と言っているのが散見されます。

 

ただ、それはあくまでも計算値です。

 

計算上大丈夫だからと言うのは当然の話です。

 

実物大の建物で各ジョイント部分の強度を含めた実験をしなくて良いというのは、理論上大丈夫だから、飛行テストをしていない飛行機にお客を載せて飛ぶのと同じようなものではないでしょうか?

 

まずは過去の地震波を再現した実大実験をしているかどうか、その内容で比較してみましょう。

 

ダイワハウスが2006年、積水ハウスが2007年に鉄骨造にて過去の地震を再現した実大実験を行っており、両社とも大きな損傷がないことを確認済みです。

 

■大和ハウス耐震実験(2006)

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

■積水ハウスの耐震実験(2007)

※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

ただしみなさんに頭に入れておいていただきたいことがあります。

 

ダイワハウスも積水ハウス双方の実験の地震波は1995年の神戸南部地震の神戸波(1995年)を元にしたもので、観測地の半径約200m以内の建物全壊・大破率は約2.5%の地震波です。

 

ダイワハウスは2004年新潟中越地震の小千谷(おじや)波(2004年)でも実験を行っていますが、小千谷には2つの観測点がありどちらかの明示が無いのですが、JMA小千谷は全壊大破率1.2%、K-NET 小千谷は全壊率は0%です。

 

もちろん、それでも被害を受けた方もいますので、決して軽視してはいけないのですが、同じ震度7でも他に建物全壊率が約34.9%であった1995年の神戸南部地震におけるJR鷹取駅の地震波を始め、2004年の新潟中越地震の川口町などの周期約1秒過ぎに大きな強振が襲った地震波での実験ではないということです。

 

また、両社とも3階建ての実大実験も公表はされていません。

 

この点では、積水ハウスとダイワハウスの過去の地震波における実大耐震実験においては、耐震性の証明はイーブンと言えます。

 

 

木造の積水ハウス・シャーウッドは2004年に鉄骨と同じ神戸波で実大実験をしています。

 

■積水ハウスシャーウッドの耐震実験

※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

ダイワハウス・「GranWood」は実験をしていますが、積水ハウスシャーウッドのような実際に近い建物の実験とは言い難いです。

 

 

■大和ハウス「GranWood」の耐震実験

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

木造ならではの屋根がなく、建物も小さな総2階の実験となっています。

 

また、映像を見る限り3次元ではなく2次元の実験のように見受けられますので、大和ハウスの木造を検討される方は直接ご確認ください。

 

このことから、積水ハウスの木造シャーウッドの方が、実大実験による耐震性の証明ができていると言えます。

 

 

 

②建物の余力を測る実大実験での比較

 

熊本地震でもそうでしたが、余震を含めて大きな揺れが連続して襲ってきた際に、高いレベルで耐えられるかどうかは重要ですよね。

 

この連続する地震における耐震性を実大実験で実証しているかどうかも重要です。

 

こちらは表でまとめました。

 

結論としては、両社とも建物被害に影響するとされている早い速度の地震波で複数回の実大実験を実施して建物の耐震性を確認しています。

 

 

耐震性の余力を測る実大実験

積水ハウス・軽量鉄骨2階

大和ハウス・軽量鉄骨2階

「鉄骨制震シーカス」

160Kineカイン(神戸波増幅:2007年)×1回 その他135Kine(神戸波増幅:2007年)×1回等の複数の地震波も実験

「xevoΣ」(ジーヴォシグマ)

 

175Kine(鷹取波増幅:2013年)×4回を含む複数回の実験を実施

 

 

 

 

2013年に実施された大和ハウスの耐震実験は、建物・大破率が約34.9%だった兵庫県南部地震の鷹取波の増幅波で実証しています。

 

この点は、積水ハウスと比較して建物の余力を測る耐震性の実証性が高いと言えます。

 

 

こちらが実際の実大モデルです。

 

 

■ダイワハウスの耐震実験(2013年)

※上の画像出典:大和ハウスYouTube公式チャンネル ※画像外はユームの参考情報

 

ダイワハウスの特筆すべき点は、2013年のxevoΣの耐震実験において兵庫県南部地震の鷹取波を増幅した実証実験をしていることです。

 

参照: J−Stage 大和ハウス工業 総合技術研究所の取り組み

 

先程お伝えしたとおり、積水ハウスの実験や大和ハウスの2006年の実験は、1995年の神戸南部地震の神戸波(1995年)を元にしたものです。

 

こちらの地震波は、観測地の半径約200m以内の建物全壊・大破率は約2.5%の地震波です。

 

それに対して2013年のxevoΣで実証した鷹取波は建物全壊・大破率は約34.9%です。



このように同じ震度7でも、建物全壊・大破率が大きく違うのがわかりますよね。



この違いは、もちろん築年数もあります。

 

しかし近年の研究結果で、建物被害はkine(カイン・速度)と振動の周期がより大きく影響していることがわかっています。

 

具体的には、kine(速度)が速く、かつ周期1~2秒以内の強震です。

 

より詳しく知りたい方はコチラをどうぞ。



一方で、低層住宅における鉄骨やRC造は鷹取波で共振が起きた周期1秒以上ではなく、0.2~0.5秒の短周期帯で共振すると言われています。

 

ただし、地震動の研究では、鉄骨に大きな力が加わった際に塑性化などにより、共振する周期が延びることがわかっています。

 

これはRC造も同様です。

 

これらのことから、低層住宅においては木造や鉄骨問わず、鷹取波のように周期帯1~2秒以内の共振での建物被害が大きくなるとわかってきています。



ダイワハウスでは建物全壊・大破率が高かった鷹取波を増幅した175kineで実証しています。

 

つまり建物被害の大きかった地震波よりもさらに過酷な環境下で建物の余力を確認しています。

 

この点で、積水ハウスよりもダイワハウスの方が耐震性の実証性が高いと言えます。

 

 

■積水ハウスの耐震実験(2007年)

※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

一方で積水ハウスは、2007年と大分前の実験ですが、総二階ではなく、1階の1部や2階の一部を張り出したモデルとなっています。

 

もしダイワハウスの実験が神戸波の増幅ではなく、同じ阪神淡路大震災でも、建物全壊率が高かった鷹取などを元に増幅した地震波であれば、大和ハウスの方がより過酷な実験をしているとは言えますが、現時点での公表はありません。

 

そのことからも、過去の地震を増幅させ、繰り返し加振した実験においれも、耐震性能はほぼ同等と言えます。

 

 

木造に関しては、積水ハウスシャーウッドは、実大実験の耐震性における参考度合が高くなっています。

 

 

耐震性の余力を測る実大実験

積水ハウス・木造

大和ハウス・木造

「シャーウッド」

90kine、818galガル(神戸波)を元にした増幅波の実験(2004年)を実施。耐震性を確認済み。詳細の公表は無い。

「GranW00d」

 

積水ハウスと比較すると、実大とは言えない小さな建物で木造ならではの屋根なしにての実験は行っている。実験の詳細の公表が無い。

 

 

 

③地震の揺れを抑えられるか? 制震システム 

 

熊本地震のボランティアに行った際に、建物は倒壊しなくても大きな揺れで冷蔵庫やら家具が吹っ飛んできた!ガラスが割れ散った!その後も何度も余震が襲ってくるので、恐怖で1ヶ月以上まともに寝れたことは無いと伺いました。

 

建物が倒壊しないだけではく、いかに揺れを抑えられるのか?が大事です。

 

 

 

積水ハウスもダイワハウスも「地震の揺れを吸収する装置」として「制震装置」を用意しています。

 

積水ハウスは「シーカス」、大和ハウスはXEVOに搭載の「ディーネクスト」とXEVO「xevoΣ」の耐力壁に使われているこのデバイスを2つ配置したのが、エネルギー吸収型耐力壁「KyureK(キュレック)」です。

 

 

 

こちらでは、積水ハウスとダイワハウスの制震性能を比較していきます。

 

そして、みなさんが特に注意していただきたい。ハウスメーカーから制震性能、揺れ幅の少なさをPRされた時の、数字のまやかしも今回わかります。

 

これは、今回覚えておいてください。

 

 

 

③-1) 積水ハウスの制震性能

 

積水ハウスの、制震システムは「シーカスダンパー」で、加わったエネルギーを熱に変換して地震の揺れを吸収して、住宅の揺れを軽減します。

 

積水ハウスでは、大手他社で採用している鋼材ダンパーやオイルダンパーを採用していた時期もありました。

 

長年の研究成果によって、耐震性・耐久性・プランの自由度を兼ね備えたシーカスが完成しました。



シーカスは、斜材部分の外側鋼管と内側鋼管の間に特殊高減衰ゴムを内蔵しています。

 

地震の揺れは、この高減衰ゴムが地震の揺れを熱に変換して、住宅の揺れを抑えます。


※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

シーカスの設置は主に1棟あたり外壁側に約5~6箇所設置されます。



また間取りプランによっては間仕切り用の制震ダンパーも用意されています。

 

大空間のLDKなど、柱が少ない間取りにもしっかり対応しています。

 

※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

これにより、いわゆる耐震住宅と比べても、住宅の変形量を最大で1/2以下に抑えることができます。

 

地震で倒壊しないことは当然ですが、住宅本体と内部の損傷を軽減します。

 

 

その裏付けを深掘りしてみましょう。

 

積水ハウスでは、阪神淡路大震災での神戸波に匹敵する90カインという速度の地震波3回を含む連続振動実験を行っており、その内容が最近公表されました。

 

※上の画像出典:積水ハウスYouTube公式チャンネル ※画像外はユームの参考情報

 

 

その結果、1階床と2階床レベルの変形の差が、住宅の耐震構造では約65㎜に対して、制震構造のシーカスでは約24㎜に抑えられたことが明示されています。

 

つまり、今まで積水ハウスが従来の2分1に抑制としたことが、これで裏付けされています。

 

実験値では、それ以上の揺れの抑制もできているということになります。

 

※上の画像出典:積水ハウスYouTube公式チャンネル ※画像外はユームの参考情報

 

 

これは地震動エネルギーを吸収するシーカスダンパーによる効果です。

 

加振後もその変位がゼロに戻っています。

 

つまり、建物が歪んでいないということです。

 

ここは重要ポイントです。

 

営業マンや設計士が建物実験で2階の床がどのくらい動いたのか。その変位量を伝える場合、揺れている途中の最大の変位した量を伝えるのではなく、揺れが終わった後の量を伝える場合があります。

 

例えば、積水ハウスは変位量が24㎜ですが、ウチは(B社)は5㎜でしたと伝えたとします。

 

これだけ聞くと、B社の方が凄い!揺れが少なくて安心!と思ってしまいますよね。

 

ただ、これは落とし穴。数字のマジックまやかしですので、注意してください。

 

実際には積水ハウスの場合は、建物が揺れている間の2階床構造部の変位量が24mmに対して、B社の5㎜というのが揺れが終わった時に5㎜変位していたということを言葉巧みにあたかも、ウチの方が揺れが少ないと言っていることがあるわけです。

 

その場合、B社の建物が揺れている間は積水ハウスよりももっと歪んでいる可能性があります。

 

積水ハウスの制震構造シーカスの場合は、阪神淡路大震災神戸波をを元にした90カインの震度を3回連続で加えた上で、上記の実験データのように変位量がゼロとなっていて建物が歪んでいないのに対して、B社は5㎜歪んでいるということになります。

 

※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

そうなると、余震を含めて何度も地震が来るたびに建物がどんどん歪んでくるということになります。

 

揺れ幅が少ないことをPRされた時に、その根拠と変位量はどんな揺れ、加振の最中の最大値なのか、揺れが終わった後の歪んだ量なのかは確認していただければと思います。

 

積水ハウスでは、制震システム単体の実験ではなく、実大の建物に装着した実験を245回実施しています。

 

※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

その実験では、兵庫県南部地震波の約2倍に相当する最大速度160カインも含めて、繰り返される地震でも、外壁の割れ・脱落もないことが確認されています。

 

 

もう一点、実験でわかならい重要なことがあります。

 

それは、地震動のエネルギーを吸収する部材の温度による劣化についてです。

 

地震動のエネルギーを吸収するために耐久性があるとされているゴムを使っている場合も少なくないのですが、ゴム系の場合、冬の寒さで冷たくなると硬くなり劣化していきます。

 

余談ですが、屋根のゴム系の防水シートが劣化する一つの理由は夏に熱く柔らかくなり、冬の冷たさで硬くなりを繰り返すことによるものです。

 

この防水シートの耐寒温度も☑されるとより長持ちする家かどうかもわかります。

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

その点、積水ハウスの制震シーカスダンパーの要であるこの特殊高減衰ゴムは気温にも強いです。

 

さらにその特殊高減衰ゴムは構造材の中に密閉され、劣化防止策を施しているので、積水ハウスの試験では耐用年数100相当という非常に耐久性が高いものになっています。

 

これらを基に、この制震・地震動エネルギー吸収システムは、国土交通省大臣認定構造となっている点も、制震システムの有効性が伺われます。

 

 

 

③-2)大和ハウスの制震性能

 

「xevo」に関しては、2006年というとても早い段階で制震仕様の具体的な実大実験を実施、その結果を明示しており流石の一言です。

 

※上の画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

当時はオプションであった制震システム「DEACTD(ディークト)D」の2階床の変位は6.9mm(ただし、75回目の以降の振動実験では変位量はUP)と言う2006年の実験実証は現時点でもTOPレベルと言えます。

 

但し、他メーカーでは変位量の表示は振動中の数値を表しているところもあり、振動後はゼロまたはそれに近く戻っているグラフを明示していますが、上記のグラフは振動中の変位量なのか、振動後の変位量なのかはわかりません。

 

大和ハウスは、2013年に「xevoΣ」の地震動エネルギー吸収型耐力壁「D-NΣQST(ディーネクスト)」を搭載した実大耐震実験をしているので、のちほど積水ハウスとの違いがみられたのでお伝えします。

 

ダイワハウスでは商品に合わせて、いろいろな制震システムを用意しています。

 

大和ハウスでは、構造や階数に応じた制振システムがあります。

 

・1~2階の鉄骨xevo向け:「D-NΣQST(ディーネクスト)」

 

・3階鉄骨向け:「Σ形制震パネル」

 

・4~5階鉄骨向け:「フリクションD」

 

・木造向け:「グランデバイス」

 

それでは、この4つの制振システムをみていきましょう。

 

 

 

・「D-NΣQST(ディーネクスト)」(1~2階向け)

 

※上の画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

実大実験では、xevoで接合部がΣ型になっている、筋交い状の制振システムを採用しています。

 

制振システムの有無の差で、震度7クラスの地震エネルギーを受けた際の被害を軽減することができます。

 

構造躯体:大きな損傷なし➡損傷なし

 

外装:ほとんど損傷なし➡損傷なし

 

内装:一部補修可能な軽微な損傷有➡ほとんど損傷なし

 

へと、被害がさらに軽減されていることがわかります。

 

筋交いの最も、エネルギーがかかる根本部分を独自のΣ型にすることにより、縦横の3次元の揺れに対して剛性を発揮します。

 

 

 

・「Σ形制震パネル」(3階向け)

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

スカイエ3向けの制振システムは、間取りに応じて1・2階に導入する制振パネルです。

 

構造としては、制振機能を備えた耐力壁となっており、地震の際のエネルギーの吸収力を高めます。

 

大地震時にはしなやかに変形することで、地震エネルギーを効果的に吸収し建物損傷を軽減。繰り返しの地震に対しても初期の耐力を発揮し、制震効果が持続します。

 

また、強風時や中小地震時には構造体に硬さを与えることで、変形を抑えます。

 

こちらは実大実験及び、性能実証の公表は見つかりませんでした。

 

 

 

・「フリクションD」(4~5階向け)

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

スカイエ向けの制振システムは、摩擦ブレーキを採用した制振システムです。

 

重量鉄骨構造とは言え、地震の際に4~5階建てになってくると、上階の揺れ幅が大きくなってきます。

 

その際に、効果を発揮する制振システムが「フリクションD」です。

 

形状はH型の耐力壁状になってるシステムで、中心の制振装置で揺れを軽減します。

 

こちらも実大実験及び、性能実証の公表は見つかりませんでした。

 

 

 

・「グランデバイス」(木造向け)

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

大和ハウスでは、木造についても制振システム「グランデバイス」を取り入れています。

 

木造では柱と制振システムを菱形に構成した耐力壁としての役割を担っており、国土交通大臣により認定を受けました。

 

その効果は、大地震を想定した地震波による実験では、構造の変形を最大1/2まで抑えるなど効果を発揮しています(一般在来木造住宅※耐震等級3相当との比較)。

 

さらに、50回以上の加震でも、柱や梁に損傷はなく新築時の制震性能を維持する性能があります。

 

ただし、実大実験による詳細な実験値の公表は見当たりませんでした。

 

 

 

③-3)積水ハウスとダイワハウスの制震性を比較

 

大和ハウスは、2013年に「xevoΣ」の地震動エネルギー吸収型耐力壁「D-NΣQST(ディーネクスト)」を搭載した実大耐震実験をしています。

 

この実験では積水ハウスの160kineを上回る175kineという速度の地震波を4回を含めて、連続加振による実験において、大きな揺れが続いておきても、その耐震性及び制震の効果があることを実証しています。

 

※上の画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

ただし、具体的な変位量の数値が示されていません。

 

グラフだけ見ると、積水ハウスの2007年の制震構造シーカスの実験の場合は、阪神淡路大震災神戸波をを元にした90カインの震度を3回連続で加えた上で、上記の実験データのように変位量がゼロとなっていて建物が歪んでいないことがわかります。

 

これは凄くないですか?

 

■積水ハウス

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

■ダイワハウス

※上の画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

大和ハウスの2013年の実験では、175kineの一回目の振動実験後には変位していることが見てとれます。

 

あくまでも両社が公表しているグラフだけを比較すると、積水ハウスの方が揺れのあとの歪みが少ないということになります。

 

ただ、みなさんに分かっていただきたいのが、全く同じ実験では無いということです。

 

そして、175kineという速度値が高い加振のあとで、大和ハウスの構造だからこそ、この程度の変位で済んでいるとも見て取れるということです。

 

また、ダイワハウスではより揺れを抑えられる商品を用意しています。

 

XEVO Σ の最上級商品 PREMIUM です。

 

これは新たに開発したエネルギー吸収型耐力壁「KyureK(キュレック)」を1階に割りました「xevoΣs(ジーヴォシグマエス)+」仕様というものです。

 

そのKyureK(キュレック)搭載の実大実験の公表はまだありません。

 

2018/09/28の報道向け資料では、「持続型耐震xevoΣs(ジーヴォシグマエス)」仕様を標準装備することで、 巨大地震時の建物の2階床の変形量を「xevoΣ」と比較して最大で45%低減するとしています。

 

いずれにしても言えることは、両社とも160kineや175kineという早い速度を含む連続加振により、何度も襲ってくる揺れに対しても、地震動を吸収し揺れを抑える効果が継続することを実証できていることです。

 

この点で両社は甲乙つけがたいほどの高い制震性能と言えます。

 

 

ただし、付け加えておくと、これらの実験は、過去の震災において建物被害率が特に高かった周期1から2秒以内の強い揺れの実験では無いので、是非両社にはそのような実験をしていただきたいです。

 

そして、両社とも3階建ての実物大実験とその詳細の公表はまだなので、是非その実験には私 ユーム永野を立ち合わせていただき、できれば家の中で体感したく、本気でお願い致します。

 

 

ここからは補足です。

 

大きな震災時の避難所は非常に過酷な生活が強いられ、家が倒壊しないだけでなく、住み続けられることが重要です。

 

そして、震災時には隣家からのもらい火対策も重要です。

 

震災後に、台風や豪雨が重なってくる可能性も否定はできません。

 

どの大手メーカーも外壁の耐火性をPRしていますが、家が倒壊していなくても、その外壁部分が落ちくずれたり、大きなヒビが入ってしまうと、そこから周囲からの延焼を受ける可能性があります。

 

また、外壁に穴がある生じてしまうと、大きな震災時ではすぐに補修をしてもらえるとは限りませんので、特に真夏や真冬、台風や豪雨時の生活は大変なことになり、二次被害の危険度が増してしまいます。

 

その対策として、積水ハウスでは大地震の揺れから高耐久の外壁材によって「外壁パネルロッキング工法」を採用しています。

 

※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

これは、外壁を直接駆体に緊結させない工法です。

 

地震が発生し、摩擦力を上回る力がかかると、外壁パネルが駆体とは異なった動きのロッキング(回転)を開始。これにより、外壁に力が加わることを抑制し、地震による外壁のひび割れや脱落を防ぎます。

 

その効果を 幅4m、高さ2.8mの試験体の上部に水平方向から力を加え、外壁がきちんとロッキングしているかを確かめた結果、層間変形角1/15でも外壁パネルが別々に回転運動していることを確認しています。

 

因みに、積水ハウスの木造シャーウッドでも、ロッキン工法と同じような機能の「スライドアブソーバー工法」を採用し、地震時の建物の変形を取付金具が回転して吸収。阪神・淡路大震災の地震波の繰り返し実大実験でも割れや脱落がないことが確認されています。

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

このロッキング工法はディティール部分にもこだわっています。

 

ダインコンクリートは、構造躯体と固定する金物専用のレールが埋め込まれています。

 

正確には、ダインコンクリートを固める(養生する)前にレールを埋め込み、一体構造となった状態で製造されます。

 

 

一般的なロッキング工法では、外壁材に金物を固定するビス穴を空けることが多いです。

 

この場合、ビス穴の隙間から湿気が侵入するリスクや、大きな揺れによってビス穴が拡大するリスクがあります。

 

つまり外壁の劣化や脱落のリスクが高いということです。

 

 

それに対してダインコンクリートは、レールが一体構造となっています。

 

そして構造躯体と外壁を固定する金物は、レール上で固定されます。

 

そのため外壁に外側からビス穴を空ける必要がなく、そこからの雨水の侵入もないので、より安心です。

 

積水ハウスはこのロッキング工法の実績も多く、これを気に入り契約したという方も少なくないです。

 

因みに、3階・4階建て用のオリジナル外壁「SC25セラミックウォール」は、防火構造外壁として国土交通省大臣認定を受けており、その外壁の取り付けにも「ロッキング工法」が採用されていることも特筆すべきことなのでご紹介しておきます。

 

 

 

大和ハウスも3階から5階建て商品の「SKYE」ではこのロッキング工法を採用しています。

 

これに関しては積水ハウスほどのような実験実証の公開が見当たらりません。

 

みなさんが検討する場合は、都度自分の提案された設計にこの外壁の損傷や滑落を防ぐ機能が採用されているかどうかご確認されることをおすすめします。

 

 

 

④基礎及び基礎と柱接合部の強度比較

 

先ほど実大実験を中心に、積水ハウスとダイワハウスの耐震性能、そして制震性能を比較しましたが、一つ大きなポイントがあります。

 

それは、ヘーベルハウス以外の、他のほとんどのハウスメーカーに言えるのですが、基礎無しの実大実験だということです。

 

みなさんも基礎は重要だということはわかりますよね。

 

特に熊本地震などでも基礎と柱のジョイント部分が大きく折れ曲がっているような被害がありました。

 

基礎と基礎と構造体との接合部分は、非常に重要なポイントです。

 

基礎も比較してみましょう。

 

 

 

④-1)積水ハウスの基礎

 

※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

積水ハウスの基礎形状は、独特な形状をしています。

 

フーチング部分が、長方形の連続布基礎がほとんどですが、積水ハウスは半円形しています。

 

積水ハウスがこの基礎形状にこだわっているのは、半円形の理由としては、力を受ける角のカケがなくなること、力が分散しやすいということです。

 

基本的に木造シャーウッドも同様の基礎となっています。

 

 

ただし都心部など隣地との距離がとれないエリアは偏芯基礎を採用することも多いようです。



偏心基礎とは、基礎立ち上がりとフーチング(底盤部分)の中心が違う基礎です。

 

下図を見ていただくとわかりやすいです。

 

一般的な基礎と比較して、片側(外側)の出っ張りがないのがわかります。



※上の画像出典建築学生が学ぶ構造力学HP ※画像外はユームの参考情報



これは敷地が狭い土地で、隣地ギリギリまで建築する場合に、基礎のフーチング(底盤部分)が隣地境界を超えないようにするためです。

 

特に狭小地が多い都心部ではこの基礎構造が多いです。



積水ハウスの特筆すべき点は、これら全ての基礎のフーチングと立ち上がり部分を一体打ちで施工していることです。



一般的な基礎の施工は、フーチングと立ち上がりのコンクリートを2回に分けることが多いです。



ただこの場合、打ち継ぎ部分ができ、ここから鉄筋の腐食やシロアリのアタックリスクがあります。



積水ハウスの場合は、一体打ちのため、打ち継ぎ部分がなくこれらのリスクが少ないです。

 

さらに打ち継ぎ部分がないため、耐力も強いです。



この点はダイワハウスの鉄骨造と比較して安心であると言えます。



さらに積水ハウスでは鉄筋の組み方にも工夫をしています。

 

それは、予め鉄筋同士を固定する箇所を工場で溶接して現場に搬入することです。

 

これにより現場での針金固定が少なく、針金部にありがちな土間コンの隙間(空洞)を大幅に減少可能することができます。



基礎仕様についてもみておきましょう。

 

基礎幅160cm、主筋D19(約19mm)です。

 

この仕様は、一般的な住宅と比較すると高い水準です。

 

ただし大手他社の中では、同等以上の仕様もあるため、特別とは言えません。



基礎と構造躯体の接合部分は、アンカーボルトM24を採用しています。

 

さらに基礎と柱の間に、亜鉛めっきで二重に錆び対策をしたプレートを挟み、アンカーボルトで強固に緊結します。




3階建ての基礎仕様についてもみておきましょう。



基礎形状は、軽量鉄骨造と一緒です。

 

敷地に合わせてフーチングが半円型もしくは偏心型になります。



基礎仕様は、基礎幅250cm、主筋D22(約22mm)です。


基礎と構造躯体の接合部分は、1箇所あたり4本のボルトで緊結しています。

 

 

 

④-2)大和ハウスの基礎

 

※上の画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

大和ハウスの基礎は、連続布基礎が標準です。鉄筋の太さは公表されていませんが、ベース補助金等、配筋を多く入れている部分は特徴です。

 

また、構造躯体と接続するためのアンカーボルトは、太さがシリーズによって16mm~22mmのものになっています。

 

公表が少ないのが、残念ではあります。

 

 

基礎の違い

積水ハウス

大和ハウス

基礎の方式

連続布基礎

連続布基礎(鉄骨・木造)

ベタ基礎(一部木造)

基礎寸法・主筋

主筋:19mm

その他配筋:10mm

フーチング:半円形状

アンカーボルト:M24

一体型基礎フーチングと、立ち上がり部が一体型

主筋:公表なし

その他配筋:公表なし

フーチング:長方形

アンカーボルト:商品により直系16㎜~22㎜

一体型基礎(フーチングと、立ち上がり部が一体型

特徴

24kNの高耐力のコンクリートを使用。

基礎外周のデザインを用意。

30kNの高耐力のコンクリートを使用。

 

 

 

⑤過去の震災での被害状況

 

 

積水ハウス

ダイワハウス

過去の地震の被害状況

熊本地震で全壊・半壊ゼロ

東日本大震災で全壊・半壊ゼロ

阪神淡路大震災で全壊・半壊ゼロ

熊本地震で2棟倒壊

(日経ホームビルダー2016年7月号より)

 

 

 

まとめ

 

耐震性の違い

積水ハウス

大和ハウス

耐震の方法

耐震+制震システム(鉄骨・木造)

耐震+制震システム(鉄骨・木造)

特徴

・制震システムは、柱間に斜めに入る制震システム「シーカス」

・シーカスの設置前後で建物の変形量を、1/2以下へ抑える

・国土交通大臣認定

・Σ型の制震システム(2階建てxevoΣ)

・X型のブレースを使用。

・制震システムも同様のX型

・木造はひし形の制震システム

実大実験の建物

2階建て(鉄骨軸組工法)

制震システム:あり

間取り:オーバーハングのバルコニーあり(不利)

屋根:瓦(重い)・太陽光有

外壁:タイル外壁(重い)

基礎:なし

家具・住宅設備:あり

2階建て(xevoΣ・鉄骨軸組工法)2棟同時実験

制震システム:あり・なし

間取り:オーバーハングのバルコニー2箇所あり(不利)

屋根:スレート(軽い)

・太陽光なし

外壁:サイディング(軽い)

基礎:なし

家具・住宅設備:あり

実大実験の加振状況

阪神淡路大震災の揺れ

(神戸波・160カイン)

 

左右上下での揺れ

160カインを含む複数回の実験

 

木造:阪神淡路大震災の揺れ

(神戸波・90カイン)

 

左右上下の揺れ

実験回数等の詳細は不明

【耐震のみ】

・阪神淡路大震災(神戸波・小千谷波)×4回

(3次元加振175カイン)

 

・阪神淡路大震災(神戸波・小千谷波)の2倍の地震波

(3次元加振 カイン数不明)

左右上下での揺れ

 

【耐震+制震】

阪神淡路大震災×4回

(3次元加振175カイン)

阪神淡路大震災の2倍の地震波

(3次元加振 カイン数不明)

左右上下での揺れ

実大実験の結果

(最大加振・回数)

【鉄骨2階建て】

阪神淡路大震災の揺れ(神戸波・160カイン)を含む複数回の実験

 

➡詳細の公表はないが、動画で確認する限りでは、躯体等の大きな損傷はない

 

【木造2階建て】

木造:阪神淡路大震災の揺れ

(神戸波・90カイン)

 

➡詳細の公表はないが、動画で確認する限りでは、躯体等の大きな損傷はない

最大加振:阪神淡路大震災の2倍の地震波含め85回の加振

(震度6強~7阪神・淡路大震災時の記録波およびその加速度

の2倍レベルも含む)18回、大地震33回、中地震34回

 

【耐震のみの場合】

構造躯体➡大きな損傷なし

外装➡ほとんど損傷なし

内装➡一部補修可能な軽微な損傷有

 

【制震ありの場合】

構造躯体➡損傷なし

外装➡損傷なし

内装➡ほとんど損傷なし

過去の地震の被害状況

熊本地震で全壊・半壊ゼロ

東日本大震災で全壊・半壊ゼロ

阪神淡路大震災で全壊・半壊ゼロ

 

※重量鉄骨造は一部損傷認定も無し

熊本地震で2棟倒壊(日経ホームビルダー2016年7月号より

外壁損傷対策

ロッキング工法(鉄骨商品標準)

※外壁材による

木造シャーウッドも同機能あり

ロッキング工法あり(3~5階建て商品のみ?)

耐震等級

耐震等級3は標準

耐震等級2以上(xevoΣ・長期優良住宅レベル)

 

 

両社とも、耐震性の実大実験を実施しており、震度7相当の揺れに対して倒壊や目立った損傷はないという結果です。

 

但し、その実験は阪神淡路大震災の神戸波を元にしており、その地域周辺の建物全壊率はそれほど高くなかったのが分っています。

 

 

ただし積水ハウスに限り、過去の震災で重量鉄骨造は一部損傷認定も無しとしており、耐震性の高さを実証しています。



今後は積水ハウスに限らず、両社とも建物全壊率が高い地震波による実大実験を行っていただきたいものです。

 

 

 

3.外壁の違い

 

外壁は両社とも独自素材を使ったオリジナルの外壁がメイン商品となっています。

 

 

 

積水ハウスは、ダインコンクリート大和ハウスはKIRARI+(キラリプラス)・NXウォールです。

 

 

 

こちらも両社とも、高耐久の素材うやコーティングにより、甲乙が付け難いですが、特徴含めて解説していきます。

 

 

 

3-1)積水ハウス

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

積水ハウスの代表商品である「ダインコンクリート」。その名の通り、コンクリート系の外壁です。

 

強度に優れる一般のコンクリートの利点はそのままに、人の手で削り出した、彫りが深く温かみのある表情が、日射角度や周囲の状況、四季で印象を変える外壁を創り出します。

 

 

ここでよくヘーベルハウスなど採用されているALC板との違いについて簡単に補足します。



大きな違いは、コンクリートの配合量と配筋量です。

 

ダインコンクリートもALC板も主にコンクリート、空気、配筋で構成されています。

 

積水ハウスのダインコンクリートは、コンクリートの配合量、配筋量がALC板よりも多いとしています。



一般的にコンクリート量が多くなれば強度が増します。

 

強度が増す分、ひび割れや台風時の飛来物への衝撃にも強くなります。

 

この点はALC板よりもダインコンクリートの方が強いと言えます。



両者の外壁は、内部の空気層にも違いがあります。

 

ALC板は、外壁内部で化学反応により水素ガスを発生させて、独立した小さな空気の部屋(独立気泡)を形成させる発泡製造を行っています。

 

つまり炭酸水のような泡を無数に発生させ、それが空気層となります。

 

ただしこの方法だと、泡同士が繋がりやすく、空気の通り道となりやすいです。



一方、ダインコンクリートは、外壁内部に発泡ビーズを混入します。

 

この発泡ビーズが熱で溶け、その溶けた部分が独立した小さな空気の部屋(独立気泡)となります。

 

さらにALC板よりも全体の空気層を20%ほど少なくしています。

 

そのため独立気泡同士が繋がりにくいため、空気の通り道となりにくいです。



ではこの断面の空隙(くうげき)の違いでどのような性能の違いがあるのか?



それは外壁の防水性です。

 

ダインコンクリートは、外壁内部の空気の通り道が少ないため、水が浸透しにくいです。



また積水ハウスでは、外壁材の断面部分にもこだわりがあります。



一般的なALC板は大きな一枚の板をカットして複数枚に分けて使用していますが、ダインコンクリートは小分けした一枚ずつを製造しています。

 

ALC板の場合、元々大きな一枚に独立気泡を形成するため、カットの際に断面部分に空隙(くうげき)が残りやすくなります。

 

その空隙が上記のように発泡製造する際に線状につながりやすく、水分の浸透リスクとなりがちです。



積水ハウスのダインコンクリートは、先にカットして断面に空隙が残らないよう、一枚ずつ製造しています。



ダインコンクリートはこの断面においても、カット断面を生じさせないことや、そもそもの空隙が小さく繋がっていないので、ALC板よりも防水性に強いです。

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

コンクリートは火に強いことから、隣家の火災を想定して約900℃の加熱でも、裏面の温度は100℃に留まり自宅への延焼を防ぎます。これにより国土交通大臣認定も受けています。

 

メンテナンス性としては、約30年の塗り替え不要の「タフクリア-30」を採用しています。

 

これは、一般的な外壁の防水塗装と着色塗装の外側を高耐候クリア塗装膜を施し、太陽や熱による色褪せを極めて少なくできるものです。

 

さらに、超親水作用で汚れが付きにくく、雨で汚れを流すことができる超親水仕様と、その超親水作用にプラスして、汚れを分解して、さらに藻やカビの繁殖を抑えるハイブリッド光触媒仕様と2タイプ用意しています。

 

特筆すべき点は、下画像のように、高耐候クリア塗装で採用している「フッ素樹脂」の上に防汚塗装の「光触媒」を塗装している点です。

 

光触媒はフッ素樹脂に吸着しにくいため、光触媒の塗装をしても効果を持続しにくいとされていました。

 

積水ハウスでは、ダイキン・TOTOと共同開発して、両者を長期間吸着させる塗装方法を独自に開発。

 

これにより一般的な外壁よりも汚れにくい高耐久な外壁を実現しています。

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

そして今まで課題であった目地・シーリング部分も耐久性を高めた「シーリング30」を採用しており、外壁表面の高耐久塗装、防汚塗装だけでなく、外壁と外壁の間の目地の部分も高耐久を実現して、30年メンテナンス不要としています。

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

外壁材は、ダインクリートの他にセラブリッドも選べます。

 

 

 

 

セラブリッドは、窯業系サイディング基材と、裏面に鉄板と鋼製フレームを組み合わせ、複合化したハイブリッド構造の外壁材です。

 

 

3階・4階用の外壁は2種類あります。

 

シェルテック・コンクリートは、1時間耐火外壁として国土交通大臣の認定を受けていて、一般的な木造が建てられない防火地域でも建築可能です。

 

建物が負担にならないように軽量でありながら、圧縮強度は一般のコンクリートの約2倍の強度(500kgf/c㎡)、曲げ耐久実験では、風速60mの大型台風に相当する風圧に余裕で耐えることが確認されている優れた外壁です。

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

ちなみに、木造のシャーウッドの「陶版外壁ベルバーン」は、⾃然素材から⽣まれる「焼き物」でありながら、工業製品として⾼い精度を両立。耐用年数60年以上、目地も30年の高耐久仕様となっています。

 

 

 

また耐震性のところでも触れましたが、耐久性が高いというだけでなく、積水ハウスは震災時の大きな揺れによる外壁の損傷や滑落を減らすロッキング工法を採用しているのが大きな特徴です。

 

外壁どうしの揺れの一次的なズレにも柔軟に対応する目地・シーリングも高耐久のものとなっています。

 

一部の外壁以外では2階建てはもちろん、3階・4階でもこのロッキング工法が採用可能です。

 

木造シャーウッドの「スライドアブソーバー工法」も同様な機能を標準で有しています。

 

 

 

3-2)大和ハウス

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

大和ハウスでもいくつかの外壁を用意しています。

 

その中でも代表的なのは、外壁塗装のKIRARI+(きらりプラス)です。

 

これは一般的なアクリルシリコン塗装と比べて、紫外線によって塗装が劣化しにくい素材を採用しています。

 

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

さらに、日光や水の自然の力を最大限活用する「光触媒」の技術をダブルで採用。

 

光触媒は紫外線が当たると有機物の汚れを分解する効果があります。

 

また、親水性のため雨が当たると汚れの下に水が入り込み、汚れを浮き上がらせる効果もあり、キレイが長続きします。

 

 

補足としては、ダイワハウスが「光触媒」に関して、軒の下など光と雨があたりにくいところでは効果が発揮されにくくなるということや、砂ホコリや苔・藻には光触媒効果が発揮されないと注意事項をHPの動画内で以下のように表示しています。

 

 

※画像出典:ダイワハウスHPより ※画像外はユームの参考情報

 

 

ちなみに、積水ハウスのハイブリッド光触媒は、藻やカビの繁殖を抑えると明示しています。

 

きらり+は外壁塗装部分ですが、外壁材であるDXウオールは、熱や水による化学変化を起こしにくいのが特徴です。

 

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

このDXウオールはダイワハウスの重量鉄骨SKYEの標準仕様となっています。

 

大和ハウスは、外壁表面での一次防水に加えて、外壁の内部にも防水を施す二重防水を採用していますが、これは他のメーカーも同様で、標準が防水15年保証で、これは一般的ではあります。

 

 

「XEVOΣアドバンス」の標準も初期防水15年保証のこちらの外壁です。

 

※画像出典:大和ハウス ※画像外はユームの参考情報

 

 

積水ハウスの防水初期保証は30年であるので、現時点でこの点でも違いが見られます。

 

ただし、ダイワハウスもオプションではありますが、防水初期保証30年仕様の外壁も選べます。

 

ダイワハウスの賃貸や店舗併用住宅商品SKYE+の4階・5階は防水保証が10年となりますのでご注意ください。

※画像出典:大和ハウス ※画像外はユームの参考情報

 

 

また「XEVOΣ」の上位商品 「PREMIUM」 では、 窯業系サイディングでは12mmの深いデザインも選べます。

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

次に外壁の耐火性能です。

 

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

耐火性も840℃の炎に耐える実験でも、国土交通大臣認定の合格基準である「平均140℃以下・最高180℃以下」よりもはるかに低い温度で合格し、認定も取得。

 

防火地域でも建築できる仕様もあり、実績も当然あります。

 

 

メンテナンスや塗り替えの目安年数はホームページでは積水ハウスのように30年というような掲載はされていませんが、防水保証が15年となっており、また高耐久の塗装と光触媒の技術を鑑みても、20~30年は塗り替えが不要ではないかと思われます。

 

 

木造「XEVO GranWood」の外壁の詳細は見当たりませんでしたので割愛させていただきますが、外壁の断面図では、窯業系サイディングのようではあります。

 

 

3-3)外壁の違い・まとめ

 

外壁

積水ハウス

大和ハウス

メイン外壁

ダインコンクリート(鉄骨1・2階向け)

セラブリッド(鉄骨1・2階向け)

シュルテック・コンクリート(鉄骨3・4階向け)

ベルバーン(木造シャーウッド1~3階向け)

鉄骨:タイル外壁

 

窯業系サイディング外壁

 

塗装系外壁

 

木造:窯業系サイディング外壁

素材

ダインコンクリート:主にコンクリート

セラブリッド:窯業系サイディング基材と、裏面に鉄板と鋼製フレームを組み合わせ、複合化したハイブリッド構造の外壁材

シュルテック・コンクリート:主にコンクリート(高強度)

ベルバーン:陶板素材(焼き物)と釉薬(ガラス系の表面材)

タイル外壁:磁器

 

窯業系サイディング外壁:通常のサイディング材

 

塗装外壁:アクリルシリコン樹脂の塗装+親水性の上塗材

 

 

メリット

ダインコンクリート:深い陰影で高級感が出る。耐火性能に優れている。

セラブリッド:軽量化と飛来物なその衝撃に強い。防火認定取得。耐凍害性に優れる。

シュルテック・コンクリート:一般的なコンクリートの2倍の強度と、比重は1.4と軽量(一般的なコンクリートの比重は約2.3)。高い防火性能。

ベルバーン:焼き物という無機質な素材の為、半永久的に色褪せせず、高い耐久性能がある。

タイル外壁:ナノ親水コーティングで、雨水で汚れを落とします。

 

窯業系サイディング外壁:多彩なカラーや、表情が多彩です。

 

塗装外壁:塗壁のもつ自然で優しい風合いにより、光のあたりぐあいで表情が多彩です。

メンテナンス耐久性

ダインコンクリート:30年の高耐久

セラブリッド:30年の高耐久

シュルテック・コンクリート:30年の高耐久

ベルバーン:60年以上の高耐久(シーリングは30年と明示)

防水初期保証は30年。

「ハイブリッド光触媒仕様」は藻や苔の汚れにも強いと明示。

タイル外壁:ナノ親水コーティングで、雨水で汚れを落とします。

 

窯業系サイディング外壁・塗装外壁:初期防水保証は標準では15年。オプションで30年(定期点検と、必要に応じて有償の補修工事が必要)

「光触媒」仕様は、藻や苔への効果は無いと明示。

 

外壁に関しては、両社とも高レベルの素材やコーティングを使用しているため、一見あまり差はないように思われます。

 

ただし、外壁も大きくからむ防水初期保証が積水ハウスが標準で30年保証に対して、ダイワハウスが15年。30年保証はオプションとなっている点が違います。

 

また、積水ハウスの外壁の塗り替えは、目地も含めて基本的に30年不要と明示していますが、ダイワハウスも高耐久とはしているものの、その塗り替えの目安の明示は見当たりませんでした。

 

もう一点、注目点は、積水ハウスの「ハイブリッド光触媒仕様」は藻や苔の汚れにも強いと明示しているのに対して、ダイワハウスの「光触媒」仕様は、藻や苔への効果は無いと明示している点です。

 

本格的に両社を検討される方は、これらを踏まえて、直接最新の仕様をご確認くださいませ。

 

 

 

4.保証・アフターフォロー体制

 

4-1)積水ハウスの保証制度

 

積水ハウスは永年保証です。

 

まずは、特に重要な構造躯体と雨水の侵入を防止する部分について、「初期30年保証」となっています。

 

その初期保証終了後でも必要な有料点検・有償工事を10年ごとに行うことで、建物がある限りいつまでも保証が延長できるというものです。

 

これは安心というだけではなく、将来的に施設に入ったり、老後にどこかに移住する際に、マイホームを売却や賃貸したいとなった時の資産価値に繋がりますよね。

 

 

積水ハウスの保証で特筆すべき点は、初期保証30年間の構造躯体・防水に関わるメンテナンス工事は全て無償であることです。

 

一般的には初期保証30年でも、10,20年目に点検をし、有償と判断されたメンテナンス工事を実施することを条件とするハウスメーカーがほとんどです。

 

それに対して積水ハウスは、仮に20年目の点検でバルコニーの防水再施工が必要だと診断されても、それを無償で行うとしています。

 

屋根防水に関してはフラット屋根、瓦屋根問わず、点検時に必要と診断されれば無償で補修工事を行ってくれます。




メンテナンス費用を気にされる方にとっては非常に安心であると言えます。

 

※上の画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

※1この制度は、2018年4月1日以降契約分が対象です。

 

※2ユートラスシステムは有料点検・有償補修工事を行うことで、その後10年を保証するものです。

 

 

 

4-2)積水ハウスのアフターサポート体制

 

なお、全国各地約100箇所に「カスタマーズセンター」を設置して、 さまざまな相談・メンテナンスにも迅速に対応できる万全のアフターサポート体制が積水ハウスの強みです。

 

カスタマーズセンターでは、全従業員の約1割にあたる約1450人の選任スタッフが対応します。

 

何か相談したい時、台風や震災時など、被災エリアの住宅メーカーも被災者となりますが、全国に100箇所ほど、1450人もの専任のアフタースタッフが揃っているというのは本当に心強いと思います。

 

実際に過去の震災時ではこのアフター専任担当の他に、全国の工事担当などの社員も被災地のオーナーさんへの訪問や支援に動いている実績もあり、業界トップの災害時フォロー体制と言えるかと思います。

 

さらに、2020年8月1日より、24時間 365 日受付 カスタマーズセンターオーナーデスクを開設しています。

 

カスタマーズセンターの定休日や夜間でもご相談可能な安心サポート体制となっています。

 

 

 

4-3)ダイワハウスの保証制度

 

ダイワハウスは数種類の保証制度がありますので、誤解が無いようにする必要があります。

 

まず、営業マンが良くPRしているのは、初期保証30年、有料補修工事をすると60年までの保証というものですが、こちらは主にXEVOΣと重量鉄骨の3階建てにて、30年保証対応の外壁を選んだ場合となります。 

 

なお、詳細の条件があるようですが、60年以降も診断・保証があるとしています。

 

※上の画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

xevoADVANCEやネット商品であるLifegenicは、防水初期保証が15年となっているので注意してください。

ADVANCEではオプション仕様で初期防水30年も選べるようです。防水はとても大切なので30年にしておいた方が良いかと思います。

 

※上の画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

コスト的な理由などで軽量鉄骨の3階建てを選ぶ方は保証期間が短くなるので注意してください。

軽量鉄骨3階建ての xevo03、xevoB、xevoE+R、xevo Wood Plusは初期保証20年、防水初期保証が15年となります。

 

※上の画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

重量鉄骨の4階・5階のSKYEは初期保証20年、防水初期保証が10年と短くなっています。

 

※上の画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

自分の該当する商品で積水ハウスなど他社と比較することをおすすめします。

 

 

 

4-4)ダイワハウスのアフターサポート体制

 

ダイワハウスも全国にお客さまセンターを設置しています。

 

その数の明示はありませんが、地域ごとに数えたところ約86箇所ほどあるようですので、積水ハウスよりは少ないですが、それでも充分に北海道から全国を網羅していると言えます。

 

なお、積水ハウスは沖縄に拠点はありませんが、大和ハウスは沖縄にもあります。

 

受付に関しては365日24時間体制なので積水ハウスと同様です。

 

ちなみにこちらは、個人住宅以外に分譲マンションなどのオーナー対応もこちらになります。

 

 

 

まとめ

 

アフターフォロー体制の拠点は積水ハウスの方が多いようですが、両社ともトップレベルの体制と言えます。

 

保証に関しては、大和ハウスの場合は商品によっては、構造躯体や防水初期保証が短いので、注意をしてください。

 

 

 

5.換気・空調システムの違い

 

2社とも、換気システムを多く採用していますが、少し複雑に数種類の換気システムが用意されているので、今回ここで整理してお伝えします。

 

また、両社とも最近流行りの全館空調を持っていますが、こちらは大きくシステムが違います。

 

 

 

積水ハウスの全館空調は「セントラル方式の換気と空調を組み合わせたシステム(エアキス プレミアム)」。

 

 

 

 

大和ハウスの全館空調は、「個々の壁付けエアコンをコントロールするシステム(エアスイート)」。

 

 

 

この違いも今回わかります。

 

 

5-1)積水ハウスの換気・空調システム

 

積水ハウスには、一般的な換気の他に、独自の換気システム エアキスがあります。

エアキスは単なる換気システムではありません。

 

化学物質の室内濃度を、国の指針値の半分以下を目指している空気環境配慮仕様です。

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

エアキスが対象とするのは、品確法の住宅性能表示制度で定められた5つの化学物質です。

 

アルアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの室内濃度について、いちばん影響を受けやすい子どもを基準に考え、厚生労働省の指針値の1/2以下の実現を目指しています。

 

 

※画像出典:建築ブログ ともくらし ※画像外はユームの参考情報

 

 

室内壁をエコカラットや塗り壁にすることを含めて、家が完成したあとに性能評価証が発行されるのでより安心な仕様となっています。

 

 

空気環境配慮仕様エアキスはオプションですが、3つのグレードがあります。

 

それは、

 

・プレミアム:熱交換換気(全館空調・全館調湿)

 

・ハイグレード:熱交換換気(空調機能なし)

 

・スタンダード:自然換気(空調機能なし)

 

の3つです。

 

 

 

・エアキス プレミアム:全館空調・全館調湿(熱交換換気)

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

空気質にこだわりたい方は、プレミアムの全館空調がおすすめです。

 

プレミアムでは、「エアシーズン」と呼ばれる全館空調システムを併用しています。

 

「エアシーズン」は、家じゅうの温度を、一年中ほぼ一定の温かさに保つように設計されています。

 

 

玄関・廊下・洗面室などを含む、住まい全体の温度ムラを抑えて、年中室温を快適に保つシステムです。居室だけでなく、全体的に空調を行うことのメリットがあります。

 

玄関に入った瞬間から快適や、廊下に出ると寒い、等の温度ストレスが軽減されること。また、室内の温度差が原因となるヒートショックなどの不安も解消されます。

 

換気も同時に熱交換型の換気でしっかり行っています

 

また特徴的なのは湿度の調整もできる点が、非常に優れています。

 

夏は除湿、冬は加湿をしながら、空調管理を行ってくれるため、通常のエアコン等を活用した温度調整だけの全館空調では得られない、さらなる快適な空気質が生まれます。

 

 

 

・エアキス ハイグレード:熱交換換気(空調機能なし)

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

「ハイグレード」には、換気システムを採用しており、第1種換気になっています。

 

1種換気とは、排気と給気を機械式で、風量を管理しながら換気がしっかりできる換気方式です。

 

なお、全館空調のような温度を調整する機能はありませんが、ダクト式の熱交換型換気システムです。

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

熱交換型というのは、室内の空気を排出する時に、熱と湿気だけを室外の空気へ伝える技術です。約80%の温度交換効率があります。

 

言い換えるなら、例えば屋外の気温が0℃。室温が20℃だったとします。そのまま換気を行うと0℃の空気が入ってきます。

 

熱交換換気では、室温の20℃の熱の80%、約16℃分の熱を室外から入ってくる空気へ伝えます。

 

これにより、新鮮な室外の空気が16℃になった状態で室内へ入ってきます。

 

これによって、特に夏や冬の冷暖房費が抑えることができ、「すきま風の感覚」がなくなります

 

こちらは、空調はお好みの個別エアコンや床暖房を組み合わせることになります。

 

 

 

・エアキス スタンダード:自然換気(空調機能なし)

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

「スタンダード」はいわゆる第三種換気システムです。

 

第三種換気とは吸気には機械で強制吸気をせずに、ファンモーターで機械的に空気を排出することで、吸気口から外気をフィルターを通して取り込むというものです。

 

これはイニシャルも安く、省エネですのでランニングコストも安いのが特です。

 

 

 

5-2)大和ハウス

 

大和ハウスも数種類の換気システムを用意しています。

 

 

 

・エアスイート

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

大和ハウスには、エアスイートと呼ばれる独自の空調システムがあります。

 

積水ハウスのようなシステムとは異なり、市販のエアコンを1つのリモコンで制御します。

 

「快適温度」「やや弱め温度」などの無駄のない一括運転で、光熱費を削減します。

 

「起床時に合わせて部屋を適温に」「夜中、トイレに行く時に廊下を暖かく」など、生活に合わせて運転スケジュールの設定が可能です。

運転モードは4つあり、個々の部屋で自動コントロールが可能になっているため、部屋にいる人に合わせた調整ができます

 

メリットは、市販のエアコン(対応品)を活用するため、故障の際に交換がしやすいことです。

 

 

 

5-3)大和ハウスの換気システム

 

・風なびRXⅡ(熱交換あり・第1種換気)

 

こちらは、道路沿いなど、周辺のホコリ、騒音が気になる方 や 寒い地域にお住まいの方におすすめの熱交換換気システムです。

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

熱交換とは、給気と排気を行う時に、熱だけをやり取りしながら換気を行う方式です。

 

これにより、冬は暖房で温めた空気の熱を、外から入ってくる新鮮な冷たい空気へ伝えます。

 

効果としては、エアコン代の削減につながります。

 

もちろん、単に熱を交換するだけではありません。

 

給気時には高捕集フィルターで花粉や空気の汚れをしっかり除去。PM2.5にも対応します。

 

 

この換気システム自体のランニングコスの目安※1は1か月約1,010円ほどです。

 

 

 

・空気浄化 ef 24(空気清浄機能付き第3種換気

 

こちらは、花粉やハウスダストが気になる方、ペットと一緒にお住まいの方、より良い空気質を望まれる方に向いている第三種の換気システムです。

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

 

第三種なので、自然吸気口と機械的排気の構成ですが、そこに天井埋め込み型のパナソニックの「ナノイー」と高性能な「HEPAフィルター」で空気清浄機能を兼ね備えています。

 

部屋の空気を循環させてキレイにする風路と、外へ部屋の空気を排気する風路の2つが同時に動くことにより空気清浄します。

 

ランニングコストの目安※1はH40タイプ :月間約230円/台、H20タイプ :月間約120円/台です。

 

 

 

・風なびES(熱交換なし・第1種換気)

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

ESとはenergy savingの略ですので、省エネ重視の方、ランニングコストを抑えたい方に向いています。

 

こちらは、季節に応じて、換気風量を自動で変動させるハイブリッド給気口が備わっています。

 

具体的には、春から秋は第三種換気の自然吸気、そして冬は自動的にファンを運転して機械吸気を行うのが特徴です。

 

つまり、強制的な機械吸気は基本的に冬のみなので、ランニングコストを抑えられます。

 

ランニングコストの目安※1 は1か月あたり :約190円(春~秋) 約290円(冬)ですので、第1種換気である「風なびRXⅡ」と比べて7、8割安いです。

 

 

※1 ランニングコストの目安は、延床面積:約40坪程度(約133㎡)、電気料金:1kWh 25円として計算。地域によって異なるため、あくまでも目安です。

 

 

 

5-4)積水ハウスのエアキスと大和ハウスの換気・空調システムの違い・まとめ

 

換気システムに関しては、両社とも強制吸気や自然吸気、強制排気ともに数種類用意されています。

 

それほど大きな違いはないのですが、イニシャルコスト重視で、エアコン利用時間が短いかエアコンの常時利用する部屋は少なければシンプルな第三種換気を選ばれると良いです。

 

イニシャルコストを抑えたいが、なるべく家の多くの部分の空気質もより良くしたいということであれば、

 

・積水ハウスの場合はエアキス スタンダード、

・大和ハウスの場合は空気浄化 ef 24

 

の選択となります。

 

違いは、積水ハウスのエアキスは、品確法の住宅性能表示制度で定められた5つの化学物質を厚生労働省の指針値の1/2以下の実現を目指していて、実際に室内壁をエコカラットや塗り壁とすることを含めて、性能評価証を提示してくれるという点です。

 

※画像出典:建築ブログ ともくらし ※画像外はユームの参考情報

 

 

一方大和ハウスの場合、ナノイーとHEPAフィルターで空気循環できる機能がついているのが特徴です。

 

 

ただし注意点は、既にナノイーよりも上位機種のナノイーXが人気もあり、加湿機能付きの空気清浄機も、ナノイーX搭載のエアコンも市場販売されていて、年々この空気清浄機の機能も進化していくため、換気システムと空気清浄機を切り離すという考えもあります。

 

各箇所に何台も空気清浄器を置きたくない。なるべく空間をスッキリとしたい方には天井部埋め込み型の空気清浄機能付き換気システムは有効的かとは思います。

 

 

両社の大きな違いは、全館空調にあります。

 

積水ハウスの「エアキス プレミアム」はセントラルヒーティング方式で、各部屋にエアコンの設置の必要が無く、非常にスッキリとした空間となります。

 

玄関ホールや廊下などにも吹き出し口の設置が可能なので、より温度差が少ない快適且つ、ヒートショック対策としてもより安全な室内空気管理が可能です。

 

また全館の湿度調整機能もついています。

 

デメリットは、セントラルのため故障した場合、家全体の空調がとまってしまうという点です。

 

またその市販となるエアコン機能が今後どんどん進化していくときに、このセントラルの空調機能をバージョンアップできるかどうか、レトロな機能になってしまう可能性があるということです。

 

大和ハウスの「エアスイート」は、個々のエアコンのため、各部屋ごとにお好みの微妙な温度調整がしやすいことと、故障の際には最新型エアコンへ交換がしやすい点です。

 

デメリットは、積水ハウスの「エアキス プレミアム」と比べると、廊下など全体の温度差が生じやすいという点と、各部屋にエアコンの設置が必要で空間がスッキリとしにくい点です。

 

また換気は連携せず管理されていないので、積水ハウスのエアキス プレミアムと同等にしようと思うと、別の熱交換型システムを導入しないといけません。

 

 

換気システム

積水ハウス

大和ハウス

換気・空調方式

エアキスプレミアム:熱交換換気(全館空調・全館調湿)

エアキスハイグレード:熱交換換気(空調機能なし)

エアキススタンダード:自然換気(空調機能なし)

※エアキス仕様は、改善された空気質の性能表明書発行

エアスイート:個別空調一元管理方式。換気機能は別途。

風なびRXⅡ:熱交換換気・第1種換気

風なびES(熱交換なし・第1種換気)※春から秋は自然吸気

空気浄化 ef 24(空気清浄機能付き第3種換気)※ナノイー搭載。ナノイーXではない。

メリット

(ハイグレード+プレミアム共通)

熱交換型換気も併用しており、熱のロスが少なく、効率よい

換気フィルターの掃除箇所が少ない

 

(スタンダード)

ダクトスペースが最小で済む

省エネで換気できる

(ハイグレード・スタンダード共通)

個別空調なので、組み合わせにより、メンテナンスや交換の際は便利且つ、最新技術搭載のエアコンに交換できる

 

(プレミアム)

部屋数が多い場合には、個別エアコンよりもコスト的にも有利になることが多い

家全体の温度差が少ない

各部屋にエアコンが不要なため、見た目がスッキリ

空調部分の掃除箇所も少ない

冬には乾燥を防げ、夏には湿度を軽減できる

家全体の空調が一括で管理できる

 

 

(第1種換気・ダクト式)

ダクト式の熱交換システムを使用しており、冷暖房を抑えつつ計画的な換気が可能になります。

 

(空気浄化 ef 24:空気清浄機能付き第3種換気))

パナソニックの技術の「ナノイー」と、高性能な「HEPAフィルター」での空気清浄機能を兼ね備えた換気

 

(第1種換気・ダクトなし)

機械で給排気をすることで、しっかりした換気ができます。

季節に応じた換気風量の変動有

 

(エアスイート)

一般的な全館空調と比べるとコストは安い

ダクトがない

個別空調の組み合わせにより、メンテナンスや交換の際は便利

 

デメリット

(プレミアム)

機械が壊れると、家全体のエアコンが使用できなくなる

気軽に最新の機種に交換できない

 

(ハイグレード)

第三種換気より高い

(エアスイート)

全館空調よりのように見た目がスッキリとはならない

夜にトイレに行く際の廊下をあたためるモードもあるが、常に全箇所が快適温度とは限らない

 

(内循環を兼ねた3種換気)

 

 

 

 

6.断熱・気密性の違い

 

 

 

昨今はZEH(ネットゼロ・エネルギー・ハウス)の流行もあり、両社ZEH基準をクリアできる断熱性能を有しています。

 

 

 

積水ハウスは、「ぐるりん断熱」。大和ハウスは「外張り断熱」が特徴になっています。

 

断熱性能は、「住宅の間取りによって異なる」ので、一概に比較できませんが、単純に壁から逃げる熱量を考えると、大和ハウスの外張り断熱の方が優位になる可能性が高いです。

 

特に鉄骨造の住宅は、木に比べて鉄は熱を伝えやすいデメリットがあるので、断熱性能はこだわりたいポイントです。

 

 

 

6-1)積水ハウス「ぐるりん断熱」

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

高性能グラスウールという断熱材を採用しています。

 

断熱材が壁体内でずれ落ちることのない工夫や、鉄骨が寒さ暑さを伝えないようにな工夫がされています。

 

長期にわたって確実な断熱性能を保持できるよう、設計されています。

 

また断熱を語るうえで重要なサッシは、「SAJサッシ(超高断熱アルミ樹脂複合サッシ)」を採用

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

壁よりサッシの方が熱が出入りしやすいため、サッシはしっかり確認してください。

 

積水ハウスは、一般的なペアガラス・中間層12mm・空気層)に比べ、中空層を16mmにアルコンガス入りとしています。

 

また、一般的なアルミ樹脂複合サッシ枠に比べ、室内側樹脂の被覆を増やし、枠部のアルミに断熱樹脂を挟むことで、その断熱性能を約1.4倍に高めているのが特徴です。

 

とはいえ、最近はもっと断熱性が高いトリプルガラスの樹脂サッシを標準仕様としている会社があるので、現時点では特別断熱性が高いとは言えません。

 

そこで積水ハウスでは、断熱性能を向上させた「薄板トリプルガラス」や「真空複層ガラス」などの超高断熱ガラスも用意しています。

 

 

 

6-1-1)積水ハウス断熱面

 

積水ハウスの断熱性能ですが、標準である「ぐるりん断熱」のポイントをまとめました。

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

標準では、東北(Ⅲ)地域までカバーできる、との記載からUA値としては、0.56W/㎡・K以下が目安となっています。

 

また、グレードごとに断熱性能をオプションで上げていくことも可能です。

 

最上位のプレミアム仕様では、UA値が0.46W/㎡・K以下が目安となっています。

 

また各部位の詳細な断熱材の厚みや仕様は公表されていないことと、調査してみると地域や仕様によって断熱材の厚みなどが異なるため、詳細は不明ですが概ね下記のようになります。

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

ぐるりん断熱のポイントとしては、「熱橋(ヒートブリッジ)対策」です。

 

※画像出典:クラシスホームHPより画像一部抜粋 ※画像外はユームの参考情報

 

 

「熱橋(ヒートブリッジ)」とは、鉄骨住宅特有の現象です。

 

鉄は木と比較して、熱を伝えやすい習性があります。

 

冷蔵庫で、鉄と木を冷やしたら、鉄の方がすぐ冷たくなりますよね?

 

それと同じで、住宅でも、鉄骨自体は冬にはどうしても冷えますが、その対策がなされているかどうか?が重要なポイントになってきます。

 

壁の中の鉄骨が、外気の熱を、室内に伝えやすいのは、鉄骨住宅のデメリットであります。

 

 

積水ハウスでは、鉄骨の内側に断熱材があり、鉄骨自体を冷やしにくい仕様になっています。

 

外側ではなく、内側にある理由は「冬季の鉄骨の結露防止」です。

 

鉄骨自体は、冬はどうしても冷えてしまうため、室内側から壁内に流入してくる湿気が、鉄骨に冷やされて、結露になり錆びの原因になることと、断熱性能を向上を目的で断熱材を入れています。

 

 

さらに、鉄骨住宅の断熱性を考えるうえで、気を付けるポイントは、「この熱橋はUA値に現れてこない」ことです。

 

 

UA値を計算する時には、石膏ボード自体の断熱性、断熱材自体の断熱性、サッシなどの断熱性を考慮して、壁全体からどれだけ熱が逃げるか計算します。

 

ただし、壁の中の素材が鉄なのか、木なのか、という観点での計算は通常のUA値計算では行いません。

 

そのため、鉄骨住宅でも木造住宅でも、同じ断熱材や素材を使っていれば、同じ断熱性能となります。

 

そのため、数値だけで比較するのではなく、鉄骨住宅では鉄骨自体を断熱材で覆う、などの対策を行っているか、錆び対策を行っているか、は重要なポイントです。

 

 

 

6-1-2)積水ハウス(シャーウッド)の断熱性

 

木造のシャーウッドの断熱性能を見ていきましょう。

 

断熱材の仕様の公表はありませんでしたが、施工中の写真などを調査していると、以下のようになりました。

 

・壁:ロックウール (※厚み不明・柱厚120mmから100mm~125mm厚と推測)

 

・天井:ロックウール (※厚み不明・写真などから2重~3重敷きで、約200~300mm厚と推測)

 

・床:押出法ポリスチレンフォーム(XPS)3種 (※厚み不明・鉄骨と同様仕様と推定すると厚み60~80mmと推測)

 

 

※左上画像出典:個人ブログ

※左下画像出典:個人ブログ

※右下画像出典:BUILDING ITMedia

※画像外はユームの参考情報

 

 

またサッシに関しては、アルミ樹脂複合サッシ(Low-E 断熱ガラス・中空層16mm・アルゴンガス入り)を採用し、枠部にもアルミの中に断熱樹脂を挟んで断熱性能を1.4倍向上させています。

 

ガラスは、12mm空気層のペアガラスが主流ではあり、また枠部も断熱樹脂がないサッシに比べると、レベルの高いサッシを標準で使用しています。

 

とはいえ、最近はもっと断熱性が高いトリプルガラスの樹脂サッシを標準仕様としている会社があるので、現時点では特別断熱性が高いとは言えません。

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

 

6-1-3)積水ハウスのZEH率

 

※画像出典:SII ※画像外はユームの参考情報

 

 

積水ハウスのZEH率は、非常に高い水準です。

 

A登録の北海道で、ZEH率が低い理由としては積雪が多く、太陽光のメリットが出にくく、太陽光発電の採用率が低いことが想定されます(ZEHは、太陽光発電+断熱性+他の各種条件を全てクリアしないといけない)

 

B登録の北海道地域以外のエリアは、2020年度のZEH採用率は91%と業界トップクラスです。

 

この点を考慮すると、おおよそ全ての棟で、断熱性能は0.6W/㎡・Kを切っていると推測されます。

 

 

 

6-2)大和ハウス「外張り断熱」

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

外張り断熱とは、「構造躯体の外側に断熱材がある」断熱方式です。

 

なぜ外側にあると良いか?

 

それは鉄が屋外の熱を伝えやすいので、そのデメリットをできるだけ回避するためです。

 

先ほど解説した「熱橋対策」です。

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

例えば冬季に構造躯体が冷やされてしまうと、家の中を暖房で温めていても、効きが悪くなります。

 

そこで「断熱ライン」を外壁側に持っていくことで、鉄骨が屋内側にきて、冷やされ過ぎることがなくなります。

 

また断熱材の厚みも厚くなってくる分、断熱効果も上がります。

 

 

サッシも、グレードや価格によってアルミ樹脂複合サッシ・または樹脂サッシを採用しています。

 

価格が許すのであれば樹脂サッシの採用をおすすめします。

 

壁はしっかり断熱していても、サッシから熱が出入りしてしまうからです。

 

 

また大和ハウスの床・天井の断熱に関しては、詳細が公表されていません。

 

個人ブログなどの施工写真や記事を確認していると、仕様によってかなりマチマチになっています。

 

 

天井:グラスウール(厚み・詳細不明)

 

床:発泡ウレタン系の断熱材(厚み・詳細不明)

 

 

詳細については、予算と相談しながら地域性を加味して、程よく性能がある断熱(結果的にZEH基準程度になる断熱性能)をおすすめします。

 

 

※左画像出典:個人ブログ

※中央・右画像出典:個人ブログ

※画像外はユームの参考情報

 

 

 

6-2-1)大和ハウスのZEH率

 

大和ハウスのZEH率は、50%程度となっており、この観点では積水ハウスに比べると劣っています。

 

 

※画像出典:SII ※画像外はユームの参考情報

 

 

 

6-3)断熱方式の違い・まとめ

 

 

積水ハウス「ぐるりん断熱」

大和ハウス「外張り断熱」

UA値

公表なし。

(推測:UA値0.5W/㎡・K前後~0.87W/㎡・K以下)

公表なし。

(推測:UA値0.5W/㎡・K~0.87W/㎡・K以下)

断熱方式

充填断熱

外張り断熱

 

 

 

7.木造の違い

 

両社とも鉄骨が有名ですが、木造もあります。

 

積水ハウスは「シャーウッド」。大和ハウスは、「グランウッド」というシリーズです。

 

 

 

積水ハウス「シャーウッド」

大和ハウス「グランウッド」

着工数

(2019年度)

約3,800棟

(積水ハウス全体では27%)

約500棟(分譲・注文合算)

(大和ハウス全体では約6%)

耐震性

木造軸組構法で唯一「性能規定」の運用で「型式認定」を取得している構法

制震デバイス「グランデバイス」

邸別構造計算

UA値

公表なし。

(推測:UA値0.5~0.87以下)

公表なし。

(推測:UA値0.5~0.87以下)

断熱方式

充填断熱

外張り断熱

 

 

 

 

 

会社としての販売数を鑑みると、積水ハウスの「シャーウッド」が歴史や提案力、蓄積された技術で優位になる可能性が高いと思われます。

 

 

 

7-1)積水ハウス「シャーウッド」

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

木造でありながら、通常の木造では難しい、大きな窓を3方向に設けたり、大きな吹き抜けなどの空間設計の幅が、非常に高いことが特徴です。

 

プランによっては、天井高3.7mにする「ハイラウンジ」や、サッシが天井の高さと同じ設計もできます。

 

耐震も勿論トップクラスです。

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

木造軸組工法では、唯一、型式適合認定を取得する技術力を持ちながら、家全体での強度を邸別でしっかり確保されています。

 

また鉄骨のシリーズと同じように実大実験をはじめ、構造材や接合部などの部位ごとの実験も行なっていますので、設計力だけでなく機能面も安心です。

 

 

※画像出典:積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

特に耐震性において重要な基礎と構造躯体の接合部分にも独自のこだわりがあります。

 

それは基礎と構造躯体の接合金物です。

 

 

一般的な木造建築は、土台があり土台の上に柱を置いて金物で接合します。

 

この時のメリットは水平が取りやすく施工がしやすいことですが、デメリットとしては柱と土台の接合部が地震に対して弱くなる点です。

 

もちろん、耐震金物やアンカーボルトで固定はされていますが、不安定だからこその金物などで強固にしておく必要があります。

 

 

※画像出典:ユーム作成

 

そこで積水ハウスでは、この土台を介さず、基礎と柱を専用の金物で直接緊結することで、柱が直接地震エネルギーに耐える仕組みを採用しました。

 

これを同社では基礎ダイレクトジョイントと呼んでいます。

 

下図をご覧ください。

 

※画像出典積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

まず金物と基礎をアンカーボルトM14×2本でしっかり緊結します。

 

アンカーボルト自体は大手他社よりも太さはありませんが、一般的に1つの柱に1本で固定することが多いの対して、積水ハウスは2本で緊結します。




構造躯体と金物は、断面欠損の少ない接合となっています。

 

※画像出典積水ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

この断面欠損が少ないのもポイントです。

 

断面欠損、つまり柱である木材を金物にはめ込む切り口が少ないため、柱の接合部分の強度が弱くなるリスクが非常に少なくなります。

 

そして接合面に直交してピン留めをしています。

 

これによりどの方向からの力にも均質な強さを発揮し、柱の抜けや倒壊も起きにくい、強い構造を実現しています。

 

 

 

7-2)大和ハウス「グランウッド」

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

大和ハウスの鉄骨の技術を活用した、木造住宅を発売。工法としては、木造軸組工法です。

 

「グランウッド」での特筆すべき特徴は、「邸別構造解析」と「シームレス構造」です。

 

 

地震で加わる力は、間取りや開口部の大きさによって、家1邸ごと違います。

 

お客様の注文プランで、構造計算をしっかりかけており安心を提供します。また、地震に耐えるための技術として、構造用の国産集成材や、接合金物等の性能が保証された部材を使用しています。

 

 

つづいて「シームレス構造」とは、木造で心配な「白蟻対策」です。

 

※画像出典:大和ハウスHP ※画像外はユームの参考情報

 

 

標準でベタ基礎で、白蟻の侵入を防止することと、基礎と構造躯体の間からも、白蟻の侵入を許さない構造になっています。

 

ただ展示場が全国でも少なく、実際に見れる展示場が積水ハウスのシャーウッドに比べると少なく、構造面の公表も少ない点は残念ではあります。

 

 

 

8.まとめ

 

2社とも、大手ハウスメーカーのトップクラスの2社です。

 

得意分野としてはそれぞれありますが、両社とも任せて安心の会社です。

 

あとは、担当者の提案力やランニングも含めたトータルコスト、上記で示したポイントで、優先したい事項の優劣で検討してみてください。

 

 

 

 

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