住宅ライターRARURIと注文住宅のサポート歴20年のユーム永野により、家を建てる際の参考ポイントをお伝えします。
注文住宅を建てる計画に必要不可欠な「自己資金」や「頭金」。
あなたはしっかりと理解していますか?
実は自己資金はとても奥が深く、軽く考えていると支払いに困る可能性も…。
自己資金の調達の仕方や無駄な出費を抑えるヒントも紹介しています。
注文住宅の自己資金(頭金)の相場 | 頭金以外の必要額とは? |
この記事のポイント
・自己資金(頭金)とは何か、どんな費用なのかがわかる。・自己資金と住宅ローンのバランスの取り方がわかる。 ・自己資金の調達・有効活用のヒントを得られる。 |
目次
1.「自己資金」って何? 頭金(手付金)とそれ以外に必要な現金がある
自己資金は住宅ローン以外に用意する現金
頭金は、契約金と印紙代など最初に払うお金のこと
手付金は、売買契約の保証として支払うお金
頭金以外に現金払いが必要な「諸費用」がある
2.自己資金(頭金)の目安は?
自己資金の目安は2割(頭金1割+諸費用1割)
頭金が少なくても家は建てられる
借入額が増えると利子を多く支払うことになる
マイホーム貯金=頭金とするのは注意
3.自己資金(頭金とそれ以外の現金)の相場 | みんなの平均額は?
年収別のローン借入額目安と自己資金
シミュレーションしてみよう(フラット35)
みんな自己資金をどうやって用意している?(さまざまな資金調達源)
1)自分で用意する
2)親から援助してもらう
4.家を建てるのは、頭金を貯めてから?
頭金が少なくてもすぐに建てる場合のポイント
1)すぐに建てるメリット
2)すぐに建てる注意点
時間をかけて頭金を貯めてから建てる場合のポイント
1)頭金を貯めてから建てるメリット
2)頭金を貯めてから建てる注意点
5.自己資金に余裕がある場合
全額自己資金の支払いの流れ(いつ、いくら支払う?)
「あえてローンを組む」という選択肢も
1)賃貸併用住宅にする
2)預貯金連動型住宅ローンを利用する
まとめ
1.「自己資金」って何? 頭金(手付金)とそれ以外に必要な現金がある
「マイホームが欲しいな」と考え始めたら早めに取り掛かりたいのがお金の対策です。
自己資金、頭金、手付金…よく聞く単語ですが、違いはわかりますか?
それぞれの単語の意味をきちんと把握しておかないと、予算組みや支払いの時に困ってしまいます。
今回は、「自己資金(頭金)」って何?というところから、その相場や自己資金調達のヒントなどをご紹介します。
自己資金は住宅ローン以外に用意する現金
家を建てる費用項目はさまざまありますが、大きく2種類に分けられます。
その2種類とは、「住宅ローンでまかなえる費用」と、「それ以外の費用」です。
一般的に「それ以外の費用」を【自己資金】と呼び、現金で支払います。
住宅ローンとは、住宅購入に必要な費用を銀行から融資を受けること。基本的に建築会社への支払いに利用します。(土地購入の目的で、不動産会社への支払いに適用できる場合もあります)
ただ、家を建てるのに必要な費用はこれだけではありません。行政への申請費用や住宅取得に伴う税金、引っ越しなど関連費用が発生し、これらは現金での支払うことになります。
また、建築会社としても、費用の全額が家の完成後に支払われるのではリスクが大きいです。そのため、建築工事請負(うけおい)契約を結ぶ時に契約金として費用の一部を現金で先に回収し、資材の購入などに充てます。
頭金は、契約金と印紙代など最初に払うお金のこと
自己資金と混同されがちな単語に「頭金(あたまきん)」というものがあります。
お店で商品を買う時は、すでに完成した品物とお金を等価交換(代金支払い)しますが、高額な品物やオーダー品の場合、注文時に頭金を支払い、納品時(完成時)に残りの代金を支払うというやり方もあります。
建築費用の頭金は、総額の1割程度が相場です。
頭金を細分化すると、契約金と印紙税にわけられます。
印紙税と印紙税の軽減措置
印紙代は印紙税の代金です、印紙税は売買契約書にかかる税金です。
建築総額が1,000万円以上5,000万円以下の場合、印紙税は2万円です。
ただし、2014年(平成26年)4月1日から2020年(令和2年)3月31日までの間に作成される建築工事契約書について軽減措置が適用されます。
1,000万円以上5,000万円以下の場合、軽減税率は1万円が引かれ、印紙税は1万円になります。
※国税庁「建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/03.htm
契約金は、契約時に請負工事代金の一部を支払うお金
頭金の大半を占める契約金は、建築工事請負契約金の一部を契約時に支払うお金です。
契約金は手付金としての意味合いを持ち、現金で支払うのが一般的です。契約金は建築費の一部として扱われ、支払った分は残代金から引かれます。
手付金は主に不動産売買の場で使われる用語です。本来は契約時に売主へお金を預けて、後日全額支払った際に返還してもらうという扱いになります。
しかし、手付金のやりとりや管理が面倒なので手付金は代金の一部として売主が受け取り、支払日には残代金を収めるというやり方が主流になっています。
頭金以外に現金払いが必要な「諸費用」がある
家を建てる準備に入ると多くの支払いが発生します。支払先は建築会社だけでなく法務局など多様で、金額もさまざま。業界ではまとめて「諸費用」と呼んでいます。
諸費用は基本的に現金払いとなりますので、頭金以外に予算の確保が必要です。
諸費用には以下のような項目・支払先があります。
・登記手数料 … 法務局
・住宅ローン保証料 … 銀行
・物件検査手数料 … 検査機構
・仲介手数料 … 不動産会社
・消費税 … 各種支払先
・登録免許税 … 法務局
・固定資産税 … 自治体の税務課
・都市計画税 … 自治体の税務課
・不動産取得税 … 各都道府県
・仮住まい費用 … 仮住まいの家主
・引っ越し代(家具処分代) … 引っ越し会社(ゴミ回収業者)
・家具購入費用 … 家具屋など
これ以外にも、お礼や差し入れなどでもお金が必要になる場合があります。諸費用は多めに見積もっておくといいでしょう。
諸費用を合計すると建築費用の1割程度になります。
諸費用のうち、不動産仲介手数料、融資事務手数料を借入額に盛り込める住宅ローンもあります。
※「ARUHIフラット35」https://www.aruhi-corp.co.jp/product/flat35/
2.自己資金(頭金)の目安は?
自己資金(頭金)とは何かがわかったので、続いては、自己資金(頭金)はいくら必要なのかということを探っていきます。
目安となる相場データと同じくらい資金を用意できれば良いですが、頭金を抑えたい方や、 頭金なしでも家を建てたい方もいらっしゃるかと思いますので、その点もお伝えします。
自己資金の目安は2割(頭金1割+諸費用1割)
かつては「頭金の目安は2~3割」と言われていました。
融資する銀行が物件購入価格のローン比率を7~8割に制限していたのです。
しかし、平成4年ごろを境にローン比率を高める傾向が出てきて、現在ではローン比率9割を超えても審査が通るケースは珍しくなくなってきました。
経済産業省の調査によると、住宅購入における自己資本比率は1984年(昭和59年)~1992年(平成4年)までで30~35%、平成4年以降は20%台を維持しています。
※経済産業省「住宅関係費の消費への影響と住宅ローンの借り入れ時期」https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/pdf/h15/h4a1309j064.pdf
頭金が少なくても家は建てられる
近年では、頭金0(ゼロ)すなわち、建築費用をすべてローン借り入れするようなことも可能になっています。
こういった資金調達法は「フルローン」と言い、場合によっては諸費用分も借り入れすることができます。
年齢が若く貯金がまだ多くない方には、マイホームの夢を掴みやすくなっている状況です。
物件購入価格をまるまる借り入れるフルローン、諸費用を加えた金額まで融資が受けられるオーバーローン。このようなリスクの高い融資の場合、銀行側の審査の目が厳しくなるのは当然のこと。ローン比率が高い融資は貸し付け条件も厳しくなっています。
借入額が増えると利子を多く支払うことになる
住宅取得に必要な費用の借入幅が広いフルローンは、一見魅力的に感じますが、気軽に手を出すのは注意が必要です。
借りる金額が増えれば、利息分の金額も多くなるからです。
また、ローン比率が高まると、返済リスクを考慮して金利が高くなります。
【フラット35】は融資率(ローン比率)が9割を超えるか下回るかで金利に差が付けられています。
融資率 | 金利の範囲 |
9割以下 | 年1.110%~年1.870% |
9割超 | 年1.550%~年2.310% |
※フラット35金利情報(https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top)2019年9月現在
4,000万円を借入れて35年払いにした場合、融資率が9割を超えるかそれ以下かではトータルの返済額は350万円以上の差額が出ます。
・融資率9割以下(金利1.11%) 返済総額4,829円(月額11.5万円)
・融資率9割超(金利1.55%) 返済総額5,186円(月額12.4万円)
※【フラット35】元利均等返済、ボーナス払いなしの場合
マイホーム貯金=頭金とするのは注意
前項でフルローンを組むと金利が高く、審査が通りにくくなると書きました。
しかし、だからといって手持ちの貯金を頭金につぎ込むのは好ましくありません。
諸費用の項目で紹介したように、家を建てるのに伴い必要になる費用はさまざまあり、事前に予測していない出費が発生することは多々あります。
マイホームづくりが楽しくなり、オプション追加に歯止めが利かなくなったり、必要以上に家具・家電を新調してしまったりするマイホームハイに陥るケースも少なからずあります。
諸費用の予算は多めに見積もるか予備費を確保しておくといいでしょう。
理想的には生活費の半年分とイベント(入学、帰省などの)費用を手元に残しておくことです。
3.自己資金(頭金とそれ以外の現金)の相場 | みんなの平均額は?
【フラット35】の調査データによると、取得費用と自己資金の平均は以下の通りです。
・注文住宅
全国 | 首都圏 | |
住宅取得費用 | 3,395万円 | 3,694万円 |
自己資金(比率) | 636.5万円(18.7%) | 751.8万円(20.4%) |
融資金(比率) | 2,677.4万円(78.9%) | 2,848.5万円(77.1%) |
その他資金(比率) | 81.3万円(2.4%) | 93.5万円(2.5%) |
土地ありで注文住宅を建てた人は自己資金2割程度のケースが多いようです。
住宅購入の予算決めで参考になるデータに「年収倍率」というものがあります。
年収倍率とは、住宅取得費用を世帯年収で割った数字で、
注文住宅購入の全国平均は6.5倍、首都圏平均は6.6倍だそうです。
・土地付き注文住宅
全国 | 首都圏 | |
住宅取得費用 | 4,113万円 | 4,775万円 |
自己資金(比率) | 447.0万円(10.9%) | 494.6万円(10.4%) |
融資金(比率) | 3,496.8万円(85.0%) | 4,048.3万円(84.8%) |
その他資金(比率) | 168.8万円(4.1%) | 231.8万円(4.9%) |
土地付き注文住宅を購入した人の自己資金比率は1割程度のようです。土地購入の費用を別途融資を受けているのか、その他融資の利用率がより高くなっています。
土地付き注文住宅の取得費用の年収倍率は、全国平均7.2倍、首都圏平均7.6倍となっています。
※参考、2018年度フラット35利用者調査
https://www.jhf.go.jp/files/400350205.pdf
年収別のローン借入額目安と自己資金
銀行から借入できる金額は年収ごとに目安があります。
その目安は「年収負担率」を参考に決められています。
世帯年収のうち、年間のローン返済額が占める割合を「年収負担率」と言います。
年収負担率の算出に用いられる借入額は住宅ローンだけではありません。
マイカーローンやフリーローンも含まれます。
住宅金融支援機構【フラット35】 が基準にしている年収負担率は、
・年収400万円未満 30%以下
・年収400万円以上 35%以下
民間金融機関の住宅ローンで参考にしていると言われる年収負担率は、
・年収400万円未満 30%以内
・年収400万円以上 35%以内
・年収600万円以上 40%以内
安全に返済していくには、年収負担率は25%に収まる程度にしておくのが無難です。
年収400万円なら 年間100万円 月々の返済額約8万3,000円
年収500万円なら 年間125万円 月々の返済額約10万4,000円
年収600万円なら 年間150万円 月々の返済額約12万5,000円
ボーナス払いにすると月々の返済額は変わってきます。
こちらのシミュレーションと比べて現在の家賃が高いようであれば、早めにマイホームを手に入れる方がお得になります。
シミュレーションしてみよう(フラット35)
住宅金融支援機構【フラット35】のサイトでは、
・借り入れ金額から毎月の返済額がいくらになるのか
・現在年収から、いくらまで借りれるのか
・毎月の返済額から、いくらまで借り入れられるのか
さまざまな指標でシミュレーションすることが可能です。
住宅金融支援機構【フラット35】クイックシミュレーション
https://www.flat35.com/simulation/sim1.html
借入可能額や返済シミュレーションを実際に体験してみることで、マイホーム購入計画はより現実的なイメージになっていくでしょう。ぜひ一度お試しください。
またこちらのユームの記事では、入力の手間なくスグに年収別の借り入れ額や月々の返済額がわかります。
【住宅ローン】いくら借りられる? 年収別の借入可能額と月々返済額
みんな自己資金をどうやって用意している?(さまざまな資金調達源)
住宅ローンでまかなえない部分の費用を預貯金だけで補うのは、なかなか大変だと思います。
住宅金融支援機構【フラット35】の調査を見ると、住宅購入資金の資金調達の内訳には、手持ち金と住宅ローンのほかに「その他の資金」があります。
その他の資金を細分化すると以下のようになっています。
・公的機関
・民間金融機関
・勤務先
・親・知人等
・土地取得費の借入金
公的機関からの融資の一例には、自治体独自の融資制度や利子補助制度があります。
なかには、省エネ住宅を建築すると工事費に補助金が出るケースもあります。
建築工事に入る前に自治体の助成制度を一度確認しておくことをおすすめします。
民間金融機関からの資金調達手段はフリーローンが考えられます。
勤務先からの融資で代表的なのは、「財形住宅融資」です。
勤務先に財形貯蓄制度があり、利用している方は財形住宅融資を受けられる可能性があります。融資の条件には、財形貯蓄を1年以上続け、貯蓄残高が50万円以上あることなどの条件があり、確認が必要です。
財形住宅融資は5年ごとの固定金利制で、現在の金利は0.5~0.7%となっています。
土地取得費の借入金とは、土地購入を目的としたローンのことで「つなぎ融資」や「土地先行融資」といったものがあります。
つなぎ融資は、不動産売却を先に進めており売上が立つ見込みがある場合、売上金が入るまでの期間に必要な支払いを補えるローンです。
土地先行融資は住宅ローンの一種で、家を建てる前に土地購入が必要な場合、土地代の支払いに合わせて融資を受けられます。
こういった資金調達方法を活用するのも一つの手です。
もちろん自己資金の調達方法もさまざまな手法があります。
1)自分で用意する
マイホーム資金を調達するために、自分でコツコツ貯める以外の方法は以下のようなものがあります。
・有価証券(株など)の売却代金
・退職金
・不動産売却
・遺産相続
まとまった金額が手に入る見込みがあるようならば、そのタイミングに合わせてマイホーム計画を立てるのも一つの楽しみになりそうです。
2)親から援助してもらう
親や祖父母など身内に援助を頼れるケースもあるでしょう。援助の受け方には3種類あります。
・贈与
・借入
・共有
お金のやりとりは、身内だからと甘えるのはトラブルの元です。それぞれの取引の要点を把握した上でご自身のケースに適した援助を選んでください。
「贈与」
贈与とは、財産を無償でお金をもらうこと。贈与の理由がどんなものでも年間110万円までなら非課税になります。
住宅購入を目的とした贈与の場合は、非課税になる対象額の上限はより高くなります。消費税10%への増税による特例措置で最大3,000万円まで非課税になります。
2020年(令和2年)3月31までに住宅購入の契約を締結した場合 ・省エネ等住宅 3,000万円まで非課税 ・上記以外の住宅 2,500万円まで非課税 |
※国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm)
「借入」
身内からお金を借りる場合には、適切な手続きを取ることをおすすめします。口約束だけで借入を証明するものがないと贈与とみなされて贈与税が課せられます。
親からお金を借りる際には、借入金額、金利、返済方法などを明記した契約書を作成し、銀行口座への振り込みで返済の証拠を残しましょう。
返済期限がない、返済が不可能なほどの高額な借金、無利子での借入は贈与とみなされる可能性が高いです。
「共有」
マイホームを親との共有名義にすれば、建築費用を分けて支払うことができます。
共有名義にした場合、住宅ローン控除はそれぞれに適用されるというメリットもあります。
共有名義にする場合は、持分割合に合わせて資金を支払う、支払額に合わせて登記するようにしましょう。
持分割合と支払い比率が合っていないと贈与とみなされる可能性があります。
また、共有名義人の親が死亡した場合、相続人が複数いると共有名義人が増えていきます。放っておくと、のちのち売却しようとする時に共有名義人全員からの同意を得る手間などが発生しますので、相続時の対策も考える必要があります。
4.家を建てるのは、頭金を貯めてから?
「頭金が少なくても早くから建て始める」と「時間をかけて頭金を貯めてから建てる」のでは、どちらが良いのでしょうか?
それぞれのタイミングのメリットと注意点をまとめてみました。
頭金が少なくてもすぐに建てる場合のポイント
住宅ローンのなかにはローン比率を9割程度にまで高められるものもあります。
これを利用している方も多いです。
一般的には、家を建てるのを先延ばしにすればその分、住宅ローンの支払い残高も高年齢まで延び、老後の負担が増えます。
少し先延ばししても、年間のローン支払い可能額が増やせないことも多く、その場合借入期間を短くできないので、完済時期が延びるからです。一方で頭金が少なければ借入額はが多くなり、返済総額はより増えるというリスクがあります。
頭金が少なくても早く建てる場合には、以下のようなメリットと注意点があります。
1)すぐに建てるメリット
◎いま、かつてないほどの低金利時代である
◎賃料の支払い分を住宅ローン返済に充てられる
◎安心で快適なマイホームにより長く住むことができる
いま家を建てるメリットで大きなポイントとなるのは「超低金利時代」であること。
主要銀行の変動金利の最低金利は2018年4月から2019年9月現在まで0.4%台を維持しています。これほどの超低金利がいつまで続くかはわかりません。
たとえば4000万円を借り入れて金利が0.5%か1%かでは、利息総額は300万円以上違ってきます。超低金利の恩恵を受けられるチャンスは見逃せません。
つまり、一生懸命頭金を貯めていているウチに、住宅ローンの金利が少し上がるだけで、結局総支払額が増えてしまうことにもなりかねないということです。
また、「いつかはマイホームを」と考えているのなら、賃料は無駄な支出ともいえます。
早く家を建てれば、賃料の分はローン返済に回し、安心で快適なマイホームでの暮らしをより長く楽しめます。
特にいまの家賃が高めの方は、頭金が少なくても早めに建てるほうが支払い負担が軽くなる可能性があります。
2)すぐに建てる注意点
△いまは建設費が高騰している
△この先の景気動向が読めない
△借入総額が多いと余分に支払うお金が要る
いま家を建てる注意点としては、オリンピック関連の開発による建設費の高騰がポイントといえます。
以前までは「2020年になれば建築費は下がる」と予測されていましたが、2025年に大阪・関西万博が開催されることが決まりましたし大規模開発はこれからも各地で行われていきそうです。
加えて、建設業界は職人の高齢化を伴う人手不足という課題を抱えています。
人手不足で工期が延びる、人手の確保のために人件費を引き上げるといった対応が続けば建築費はこの先も下がる見込みは薄いでしょう。
(逆に言うと、この数年で家を建てようという方は、先に述べた住宅ローンの金利の上昇リスクや家賃の支払いを考えると今でも良いのかもしれません。)
もう一つの注意点は、頭金を十分に用意しないで住宅ローンに頼ると余分な支払いが増えることです。
借入金額が多いと金利だけでも数百万円になり、ローン比率が9割を超える場合は金利がさらに上乗せされます。
(こちらも、頭金を増やして将来の借入額を減らした時に、金利が上昇しているということもあります。)
時間をかけて頭金を貯めてから建てる場合のポイント
マイホーム計画はあるが建てる予定はしばらく先で、それまで頭金を貯めようと考えている方もいるでしょう。
家を建てるまでに時間的な余裕がある場合、じっくり時間をかけて土地を探したり、間取りを考えることができます。
年齢の経過により子供の数や進路の見通しが立ち、予算感などイメージが具体的になりやすいです。
一方で、先延ばしにすればお金と時間の消耗が伴います。
頭金を貯めて、数年先に家を建てるメリットと注意点を考えてみます。
1)頭金を貯めてから建てるメリット
◎利息など無駄な支払いを抑えられる
◎ローン返済期間を短くできる
◎月々の返済額を安くできる
将来家を建てる時に、自己資金による支払いを増やして、ローンの比率を低く抑えられれば、利息分のコストカットが叶います。
また、借入額が少なければ返済期間を短くしたり、月々の返済額を少なめに設定したりも可能です。
返済負担率で住宅ローンが占める割合が少なければ、車の買い替えや子供の教育費にフリーローンを利用したいとなった時にもローンの審査は通りやすいでしょう。
2)頭金を貯めてから建てる注意点
△家賃で消耗する金額が増える
△超低金利時代がいつまで続くかわからない
△融資条件の年齢上限に近づいていく
家賃を支払いながらマイホーム資金を貯めるのはそう簡単なことではありません。
住宅関連費以外にも生活費は必要です。
家賃かマイホーム費用か、選択と集中をする方が家計は安定するのではないでしょうか。
頭金を多く用意できたとしても、住宅ローンを利用するつもりであれば現在の”超”低金利の状況は見逃せません。
現在が底という見解を示す有識者もいます。
また、住宅ローンはいつまでも借りられるわけではありません。
基本的に健康であることが条件となります。
また「完済時の年齢が満80歳未満であること」といった条件が決められています。
35年ローンを組むとすれば45歳までに申し込む必要があるのです。
5.自己資金に余裕がある場合
すでに現金で家を建てられるくらい資産に余裕がある方も中にはいると思います。
「全額キャッシュで支払い」というのも格好良いですが、潤沢な資金を上手く活用するという手もあります。
さまざまな選択肢から賢明なお金の使い方を検討してみてはいかがでしょうか。
まずは、支払いの流れをお伝えします。
全額自己資金の支払いの流れ(いつ、いくら支払う?)
全額自己資金で家を建てる際の支払い額(支払い割合)とタイミングは以下のようになります。
支払い費用 | タイミング |
契約金(1割) | 契約時 |
着工金(3割) | 建築開始時 |
中間金(3割) | 上棟(じょうとう)時 |
竣工(しゅんこう)金(3割) | 建物完成・引き渡し時 |
ローンを組む場合は、契約金(頭金)と着工金以外はローンで支払うことになります。
ローンによる支払いは、最後の引渡し時に一括というケースが多いです。
全額自己資金による支払いの場合、契約金は1割、着工金と中間金(上棟金)、引渡し時の残金はそれぞれ建築費用の3割程度が相場です。
自己資金のみで家を建てる場合、長期優良住宅や低炭素住宅などの省エネ認定住宅にすると利用できる減税制度があります。
「認定住宅新築等特別税額控除」と言い、住宅の性能強化費用分の約1割(上限65万円)を所得税から控除できます。詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。
参考…国税庁ホームページ「認定住宅新築等特別税額控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1221.htm)
「あえてローンを組む」という選択も
貯金があるからといって建築費につぎ込む必要はありません。
ある程度の預金高があるからこそ利用メリットのあるローン商品や、現金資金を有効活用して投資物件を取得するという手法もあります。
預貯金に余裕がありながら「あえて住宅ローンを組む」場合にメリットがある家の建て方、ローンの組み方をご紹介します。
1)賃貸併用住宅にする
「賃貸併用住宅」は、自宅の一部を賃貸で貸し出すスタイルの住宅です。
新居を自宅として使いつつ、賃料が入るというメリットがあります。
一般的に、不動産投資の目的で物件購入をする場合は、「アパートローン」を利用することになります。
アパートローンの金利はおおよそ3~5%、さらに物件購入価格の5割以上(状況により2割以上)の金融資産を持っていないと融資審査が通り難いです。
一方で、賃貸併用住宅は住宅ローンを利用して建てることもできます。
住宅ローンの金利はいまのところ、0.4~1%程度。投資に関心をお持ちであれば、賃貸併用物件にチャレンジしてみるのもいいでしょう。
2)預貯金連動型住宅ローンを利用する
「預貯金連動型住宅ローン」は、預金残高と同額分の住宅ローン残高には金利がかからなくなるという、預金高の多い方にメリットのある住宅ローンです。
東京スター銀行が業界で初めて販売開始し、現在ではJAバンクや関西アーバン銀行などでも取り扱われています。
※JAバンクの貯金連動型住宅ローン「堅実家計」https://www.jabank.aichishinren.or.jp/loan/saving/
西武信用金庫の預金連動型住宅ローン特約「Value!!」は、預金残高がローン残高よりも増えると利子分がキャッシュバックされます。
※西武信用金庫 預金連動型住宅ローン特約「Value!!」
http://www.seibushinkin.jp/service/kariru/myhome/value.html
預貯金連動型住宅ローンは住宅ローン残高の全額で住宅ローン控除を受けることができます。
ただし、一般的な住宅ローンよりも金利は比較的高く、数千万円規模の預貯金がないと旨味は感じにくいでしょう。
まとめ
自己資金とは、頭金と諸費用を合わせたもので、一般的に現金で支払う費用に使われます。
現在の建築費用の支払いは、自己資金2割:住宅ローン8割が相場です。
自己資金の目安は、頭金と諸費用の割合がおおよそ1:1です。
自己資金が少なく、フルローンで家を建てることもできますが、リスクが伴うことを忘れてはいけません。
家賃の支払いや住宅ローンの金利上昇など、いろいろな要素を考慮して、無理のない範囲で計画されることをおすすめします。
(記事の作者)
RARURI
ライター歴14年。4歳の双子を子育て中。
子供の誕生を機に2世帯同居をスタート。
不動産業界の求人から賃貸物件オーナー向けのコラム執筆まで、さまざまな角度から不動産業界に関わり続けています。
⇒土地・建物の総費用を土地価格別、建物坪単価別に知りたい方はコチラ
残りの20%は個別の状況次第ですが、後悔せずに家を建てる方法の8割はこの記事にあると言えます。
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