注文住宅のサポート歴20年のユーム永野により、家を建てる際の参考ポイントをお伝えします。
まずは注文住宅が完成するまで、どれほどの期間がかかるのかをお伝えします。
具体的には、所有地や借地、建て替えや住み替え、土地探しから家が建つまでの必要な期間がわかります。
注文住宅を建てる期間は建築会社によっても違いますので、説明します。
実は、引渡しまでの期間が遅くなると、デメリットや注意事項がありますので、ここで知っておきましょう。
打合せ期間や家が建つまでが遅れた要因は何か? を実例で紹介します。
最後に紹介するのは、さまざまな実務経験から学んだ、後悔なく、なるべくスムースに引渡しを受けるためのコツです。
これを知っているかどうかで、注文住宅の失敗を無くせるかどうかにもかかわりますので、必見です。
時間が無い方は、少し下にある目次から5章だけ選んでください。
建替えや土地購入から注文住宅が建つまでの期間・遅延要因・対策 |
この記事のポイント
・建て替え・住み替え・土地購入する方が家を建てるまでの期間がわかる・注文住宅が建つまでの期間が遅くなる時のデメリット(注意点)がわかる・引渡しまでの期間が遅くなる要因が実例でわかる ・後悔なく引渡しをスムースに受けるためのコツがわかる |
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目次 興味あるアンダーラインを押してください。
1.土地ありと無しの注文住宅ができあがるまでの期間
三種類の土地ありの完成までの必要な期間は?
1)所有地や借地に新築を建てる期間
2)建て替えをする場合の期間
3)住み替えをする場合の期間
土地なし(土地購入)の場合はどのくらいの期間がかかる?
アンダーラインの項目を選んでください。
2.建築会社によって完成までの期間は違う?
ハウスメーカーで家を建てる場合の必要期間
工務店で家を建てる場合の必要期間
設計事務所経由で家を建てる場合の必要期間
3.引渡しが遅くなる場合のデメリット(注意点)
4.家が建つまでが遅れる要因実例
施主側の要因と今までの事例
土地の要因と今までの事例
建築側及び国内状況の要因と今までの事例
5.後悔なくスムースに引渡しを受けるための対策
1.土地ありと無しの注文住宅ができあがるまでの期間
土地ありとは、所有地がありそこに新築する方、戸建てのマイホームがあり、そこに建て替えるか、新しい土地を購入して、そこに住み替えをする方を言います。※便宜上、借地に建てる方、建て替えるの方もここで説明します。
土地なしとは、土地探しから注文住宅を建てる方です。
それぞれ、家が完成するまでの期間とポイントをお伝えします。
土地ありを先に説明しますので、土地なしの方の必要期間はこちらからスグにわかります。
三種類の土地ありの完成までの必要期間は?
興味あるところだけご覧下さい。
1)「所有地」や「借地」に新築を建てる期間
今住んでいるところとは別の所有地に家を建つまでの期間は、契約~引渡しまで約8ヶ月が平均です。
約8ヶ月の内訳は建築会社と建築工事請負契約をして工事開始まで約4ヶ月、引渡しまでが約4ヶ月かかります。
古屋がある場合や、上下水道の引込なども段取り良く建築会社が手配を行えば、基本的にこの8ヶ月の間で可能なことが多いです。
後ほどご説明しますが、契約する会社によっても家ができあがるまでの期間がズレる事もあるので注意しましょう。
親の土地を借りて建てる場合もほぼ同様に契約から完成までは8ヶ月ほどが平均と言えます。
第三者の借地に家を建てる、または建て替える場合は、地主との借地契約を結ぶのに時間がかかったり、住宅ローンの難易度が高くなるので、プラス2ヶ月~半年ほどは余分にかかると思っていた方がよいです。
2)建て替えをする場合の期間
契約から解体を行い、家が建つまでの期間は、約9ヶ月半かかるのが平均です。
住宅メーカーや時期によってはそれ以上かかる場合もあるのでご注意ください。
<建て替えの流れと期間>
□契約~工事開始まで約4ヶ月~7ヶ月(1年ほどかかる場合も)
(内訳)
・契約
・詳細打合せ
・仮住まいへ引越し
・解体(2週間~3週間)
・地盤調査(地盤補強の有無分析まで1週間)
□工事開始~完了まで約3ヶ月~6か月(それ以上かかる場合も)
・工事着手
・上棟
・完工
・新居へお引越し
この様なスケジュールが平均的な流れになります。
3)住み替えをする場合の期間
住み替えは、マイホームを先に売却する方と、先に土地を購入する方といらっしゃいます。
その二つのパターンの必要期間をお伝えします。
<先に売却してからの住み替え>
現在住んでいる持ち家(マンションや戸建て)を売却してから注文住宅に住替えるまでは10ヶ月~2年程かかります。
□持ち家の売り出しから売却まで約3ヶ月~8ヶ月
(内訳)
・現持ち家を売り出してから売買契約まで2ヶ月~6ヶ月(売却する家に難があったりする場合は1年以上かかるケースもあり)
・現持ち家の売買契約から引渡しまで1ヶ月~2ヶ月(この間に本格的な土地探し開始。レアケースでは半年ほど待っていただくことが可能な事もありその時は仮住まいが短くなる。)
□土地探しから家の完成まで約7ヶ月~1年半
(内訳)
・土地探しから売買契約まで1ヶ月~6ヶ月(条件によっては1年以上かかることもあります。)
・建築請負契約~工事開始まで約3ヶ月~6ヶ月(工務店、建築事務所の場合は1年前後かかるケースもあります。)
・工事開始~引渡しまで約3ヶ月~6ヶ月(工務店、建築事務所の場合は約1年かかるケースもあります。)
<先に土地を購入してから住替え>
先に計画地を購入してから、現在の持ち家を売却するまでは約7ヶ月~2年ほどかかります。
期間の内訳は次のとおりです。
・土地の売買契約まで1ヶ月~6ヶ月
・建築請負契約~工事開始まで約3ヶ月~6ヶ月
・工事開始~引渡しまで約3ヶ月~6ヶ月
・引渡し~現在の持ち家の売却まで1日~1年ほど
※工事着手~引渡し前後で現在の持ち家を売り出し開始することが多い。
ただし、これは現在住んでいるマンションや戸建てを売却しなくても、注文住宅で新築する資金計画(主に住宅ローン)が成り立つことを前提とします。
つまり、今のお住いに残債があったとしても、それを含めて土地購入や新築の費用を自己資金やローンで支払える方となります。
土地なし(土地購入)の場合はどのくらいの期間がかかる?
土地を探しはじめてから家を建てるまでは、7ヶ月~1年半ほどかかります。
内訳は以下のとおりです。
■土地探しかた土地購入まで約1~6ヶ月
土地を探し始めてから良い土地が見つかり、売買契約するまで早い方で1ヶ月。一般的には6ヶ月ほどの間に決まります。
本格的な探し方をすると、2ヶ月ほどで土地の契約となることが今までの事例では多いです。
ただし、学区などの限られたエリアで、且つ駅から徒歩5分という条件の場合は1年以上かかることもあります。
良い土地が見つかっても、申し込むかどうかを検討している間に他の方にとられたというケースは実はよくあり、その後ずっと良い土地がみつからないという方もいらっしゃいます。
この土地探しの間に建築会社を比較の上、選ぶことが多いです。
□土地購入から工事開始まで約3ヶ月~6ヶ月
原則として、土地の売買契約後に建築会社と建築工事請負契約を結びます。
住宅メーカーと建築請負契約してから工事開始まで約3ヶ月~6ヶ月一般的ですが、工務店、建築事務所の場合は1年前後かかるケースもあります。
・詳細打合せにより、プラン決定後、建築確認申請まで約2ヶ月~5ヶ月
・建築確認申請提出から承認まで約2週間~3週間
□工事開始~引渡しまで約3ヶ月~6ヶ月
工務店、建築事務所の場合は1年ほどかかるケースもあります。
以上が、土地ありと無しの方が家を建てるまでの期間です。
次の章では、建築会社によって、マイホーム完成までの期間がどう違うのかがわかります。
2.建築会社によって完成までの期間は違う?
建築を依頼する会社をハウスメーカー、工務店、設計事務所にわけて、注文住宅を建てるまでに必要な期間の違いをおさえておきましょう。
ハウスメーカーで家を建てる場合の必要期間
ハウスメーカーの場合、契約から家が建つまでの期間は、平均で8ヶ月ほどです。
内訳は以下のとおりです。
・契約から工事開始まで約3ヶ月~5ヶ月間 (平均4ヶ月)
・工事を開始してから完成までは、約3ヶ月~5ヶ月(平均4ヶ月)
大手ハウスメーカーの場合は、契約後の打ち合わせがシステム化され、一般的な工務店と比べると着工までの期間が短いことが多いです。
外観や外構の打合せ、各部資材や設備のサンプル確認も一か所ででき、提案や見積もシステム化され、短期間で詳細決定できる体制となっています。
一方で、契約から着工までの期間が短いことが当たり前となっているので、焦らされていると感じる方(施主)の声も少なくはありません。
着工後も工務店と比べると早く工事が進む体制が出来上がっています。
工場で主要部分を製作する鉄骨系のプレハブは100㎡(延床面積)30坪ほどの家であれば、施工期間が3ヶ月でできるなど、短いことが多いです。
一部の大手木造ハウスメーカーも工場生産部分が増えていますので、4ヶ月ほどでできる場合も多いです。
早ければ良いということでもありませんし、名前が知れたハウスメーカーでも、構造や施工体制はまちまちです。
契約後にどういう施工や点検体制で家づくりをするのかを良く確認しましょう。
工務店で家を建てる場合の必要期間
工務店の場合、契約から家が建つまでの期間は8ヶ月~1年ほどと施工店により幅が広いです。
内訳は以下のとおりです。
・契約から工事開始まで約4ヶ月~8ヶ月ほど
一般的にはハウスメーカーよりも約1ヶ月~3ヶ月ほど長いケースが多いです。
・工事開始~完成までは、約4ヶ月~ですが、1年弱
打合せや施工がシステム化された工務店もあるので、その場合は期間が短縮化されます。
早めに家を建てたい方におすすめです。
施工店や人手不足状況により、家が建つまでの日数に大きな変動がありますので、急ぐ方は事前に確認しましょう。
大手ハウスメーカーのような打合せや施工体制がシステム化していない会社で、契約後から早く着工したり、完成が早いという場合は注意が必要です。
知られていなくても、優れた施工をする工務店もあると思いますので、その会社の経営状況や構造、施工体制などをよく比較して選び、ゆとりをもった工期で建築をお願いしましょう。
設計事務所経由で家を建てる場合の必要期間
設計事務所にプランを依頼して、それが決まってから建築会社に施工を依頼する場合は、最初の設計時事務所との契約から家が建つまで、1年ほどかかるケースも少なくありません。
期間の内訳は以下のとおりです。
・設計契約~設計内容の最終決定まで約5ヶ月~1年前後
・設計内容の決定から建築会社決定、工事着手までの目安は、約2ヶ月~半年ほど
・工事開始から完成まで約5ヶ月~1年弱
設計事務所の場合、設計士が間取りや外観だけではなく、照明やインテリア、外構など全て担当することが多いです。
さらに、施工店とのやり取りや施工管理も行うことが多いので、非常に忙しく、打合せできる時間も限られているため、設計契約からプランの決定まで時間がかかることが多いです。
その代わり、ハウスメーカーよりも設計の自由度や選べる設備や部資材も多いので、注文住宅ならではの個性的な家づくりを、ゆっくりと時間をかけてしたいという方には向いています。
いよいよプランが決まると、建築会社選びとなります。
設計事務所は入札方式で工務店を決定するケースもあるので、その場合はさらに必要期間が延びることがあります。
一方で、いつもお付き合いがある工務店を強く勧められることもあり、その場合は比較的早めに家が建ちます。
あらかじめどういう構造や施工体制の建築会社で家を建てていることが多いのか、その会社の保証内容を含めて確認しましょう。
工事開始しても、設計事務所と建築会社で都度、建築内容の確認をしながら行うことが多いので、完成までは5ヶ月というのは早いほうで、1年弱かかるケースもあります。
ゆとりをもって、依頼しましょう。
3.引渡しが遅くなる場合のデメリット(注意点)
建物の引渡しが遅くなる場合にデメリットが生じる可能性があることを知っておきましょう。
もちろん、家が建つまでの期間が長くなっても良いという方もいらっしゃいますので、次の注意点を理解の上、建築会社と引渡しまでの期間を擦り合わせください。
引渡しが遅くなる場合のデメリット(注意点)
・決めた内容を忘れてしまった! 思っていたのと出来上がりが違った!
打合せ期間が長くなる場合に意外とあるのは、最初のころに決めた打ち合せ記録に記載されていることも、時間が経つにつれ記憶から薄まり、イメージしていたものと違うものが出来てしまったということです。
最悪の場合は、建築会社と打合せした内容のことで言った言わない論で揉めてしまうことです。
・物価が上昇して、契約時の見積の見直しが必要となり、金額が上がった!
建築会社によって、契約時の見積額の有効期限が8ヶ月など決まっている場合があります。その間に建築費などの上昇があると、再見積もりとなり価格UPとなることもあります。
・地震(台風)の影響で、さらに引渡しが遅くなった!
今までも震災や大型の台風などの影響により、大幅に引渡しが延びることはありました。
建築会社は災害時にも、着工の決定日や引渡し予定日が早い方を優先して、工事を進めます。
着工日の最終確定は、基本的にはプランの最終決定を行い、建築確認申請の提出か受理が必要となることが多いです。
それが遅い方は、台風や震災などの影響により、工事の進行がさらに遅くなる可能性があります。
・住宅ローンの金利が上がった! 胃潰瘍が進み、住宅ローンの借入が難航した!
住宅ローンの金利は、ほとんどの場合は申込や審査時ではなく、住宅ローンを実行する引渡し時の金利情勢にて決定となります。
ご存じのとおり、現在は超低金利となっており、引渡しが遅くなればなるほど、金利上昇となる可能性が増えます。
また民間金融機関の住宅ローンには団体信用生命保険(以下団信)が別途費用の必要がなく加入できます。
団信とは簡単に説明すると、借主が将来死亡や高度障害となった場合に、ローンの残債の負担が家族にかかることを防ぐことになる保険ですが、借入本人に病気が発生した場合は、その保険に加入できくなる可能性があります。
引渡しが遅ければ遅いほど、そのリスクが増えることも知っておく必要があります。
その団信へ加入できることが、住宅ローンの審査の条件となっている場合も多いです。
なかにはその団体信用生命保険に加入しなくても借り入れが可能な商品もありますが、その場合は生命保険や医療保険などを通常よりも充実した内容で加入しておいたほうが安心なので、別途費用がかかることにもなります。
・せっかく打合せ決定した部資材や設備が使えなくなり、再度打合せが必要となった!
引渡しが遅くなればなるほど、各部資材や設備が廃番となったり、仕様変更などの可能性が増えます。
その場合は、せっかく打合せして決めたのに、もう一度打合せが必要となり、内容によっては、さらに引渡しが遅くなる場合があります。
・とても頼りになり全てを把握している担当者が転勤となってしまった
もちろん、担当変更時にいままで打合せした重要事項は新担当に引き継がれますが、今までの経緯を全て知っている担当者ではなくなるというのは、心細くなるものです。
・賃料の支払いが増えた!
今の家賃を払っている場合は、当然その支払いが増えます。
以上が契約後の打合せや引渡しまでの期間が長くなる場合に、注意しておきたいことです。
4.家が建つまでが遅れる要因実例
20年間の経験と、私だけではなく、仲間やチーム員が担当した実際の家づくりにおいて、注文住宅が建つまでの期間が遅くなったり契約後に金額アップとなった要因を実例にてお伝えします。
その上で、なるべくスムースに引渡しを受けるための対策を知っておいていただければと思います。
施主側の要因で遅れた実例
・契約後の詳細打合せが月に1、2回しかできず、プラス3ヶ月かかった
・家族間で意見がまとまらなく、プラス5ヶ月かかった
・住宅ローンの審査が難航して、プラス2ヶ月かかった
・途中で家相風水を気にすることになり、プランの大幅変更でプラス2ヶ月と金額アップとなった
・契約後、家相風水の暦の関係で、着工の段取りをしたあとに延期、半年遅くなった
・道路より敷地をセットバック(後退)しないと、建て替えられない場所であったが、施主がどうしてもそのことが納得できるまで、役所と何回か話合ったりなどで、2ヶ月遅れた
・途中で親からの多額の支援があり、プランの大幅変更でプラス2ヶ月かかった
・親の土地に建築予定だったが、家族間で揉め、土地探しから再スタートで1年と費用アップとなった
・施主側の第三者の検査の都合に合わせて、設計内容の最終確認や現場施工の工程となり、1ヶ月ほど遅れた
など
土地関連の要因で遅れた実例
・着工直前の計画地に、何者かに土石が山盛りに捨てられていた。犯人がわからず、撤去と工事の段取りのし直しでプラス1ヶ月と費用が発生した
・道路や隣地境界の確定に、3ヶ月ほどかかった
・開発申請及びその工事で半年ほかかった
・埋蔵文化の調査が必要となり、6ヶ月遅れた
・法的には問題無いか、隣地の方から窓の位置に関する執拗なクレームで3ヶ月ほど工事がストップとなった
・古屋を解体したら、その下に古い補地盤補強杭が36本発覚! 一部切断撤去と基礎形状の変更が必要となり、プラス2ヶ月と費用が発生した
・隣地との高低差があるため、土留め用の擁壁(ようへき)をやり直す必要がもともとあった。一部隣地に入っての工事となるが、お隣さんからその許可を得るまでに時間がかかり、予定より1ヶ月遅れた
など
建築側及び国内状況の要因で遅れた実例
・契約後に建築会社が倒産となり、1年ほど引き渡しが延び、その間の家賃の支払いも増えた
・人手不足で、予定よりも3ヶ月ほど遅くなった
・残工事があるまま引渡しを受けたが、実際に終わったのは1ヶ月後だった
・震災の影響で、通常よりも半年ほど遅くなった
・契約の集中により、通常よりも半年ほど遅くなった
・基礎工事(や完成段階)で、建築側の工事内容にミスや対応が悪く、一旦工事ストップ。1ヶ月ほど遅れた
など
5.後悔なくスムースに引渡しを受けるための対策
注文住宅が建つまでの期間が遅くなる場合のデメリット(注意事項)があることは3章でわかったと思います。
最後になるべく引渡しが遅くならずに、言った言わないなどで建築会社と揉めて余計な時間や労力を使わなくて済むためのコツを知っておいてください。
逆に打合せや工事を焦らせたりして、ミスが増えるのを防ぐための対策でもあります。
それは、自分や仲間の失敗とその反省から学び、そして業界の中に長年いるからこそわかった、注文住宅の失敗や後悔を無くすための方法でもあります。
<契約前>
・信頼できる建築会社と経験豊富で契約後もしっかりフォローしてくれそうな営業担当者を選ぶ。展示場でアンケートを記入した時に、対応したものが担当となるので、そのような人物に会うまでは個人情報を提供しない。
・敷地調査や地盤調査は、自分で業者に依頼をせずに、家を建てる建築会社により、出来る限り契約前に行ってもらう。(建築する会社以外の敷地調査内容はあてにならないことがある。)建て替えで解体後の地盤調査が出来ない場合も、建物の周辺でできる範囲で調べてもらう。建築や費用、工期にかかわる問題が無いかどうかを早めに確認する。営業担当者から契約後でないと敷地調査はしていないと言われた場合、それがその会社の正式な手順(方針)なのかどうかを確認する。その会社で建てたい場合、有料でも敷地調査を先にしてもらった方が安心である。
・注文住宅は契約後に詳細打合せとなる。つまり、契約時に間取りや採用する設備などがある程度固まっていなかったり、見積内容内容をよく確認していないと、契約後に金額が大きく変わったり、その内容により、工期が延びる可能性があると知っておく。
・値引を理由に建築会社から着工日や引渡し日を契約時に決められる場合もある。注文住宅は契約後の詳細打合せで内容を決め、建築確認申請をしてから着工となる。その申請か、その承認をもって、着工や工事の段取りが最終的に決まる。つまり、契約時に予定している建築確認申請日が遅れれば、全てが遅れることを理解しておき、その申請日までに外観や間取りなどの打合せに無理が無いのかを確認する。
・建築確認申請のための建築会社側の準備が必要なため、外観、窓の大きさや位置、間取り、床暖房や全館空調など、床の高さや壁などの構造にかかわる設備の決定、敷地の土留めの処理や建物の高さ、配置に係わる外構計画などは、建築確認申請を行う2週間前には最終決定をするとあらかじめ心得ておく。
・着工や引渡し予定日は平均よりも短くしすぎない。慌てると、打合せが不十分となったり、施工面ででのミスが起きるリスクが増えるので、なるべく標準工期とする。
・特別な事情が無ければ、打合せ期間や着工、引渡し予定日を平均工期よりも大幅に遅くしない。その期間が長くなり、打合せの記憶が薄れ思い違いが生じたり、台風や震災のリスクが増えるのを避ける。
・子供の入学の関係などで、3月末までなどの引き渡し期限がある場合、台風などの影響もあるので、2~1ヶ月前に、工事を焦らせることなく引渡しを受けられるように、契約日や打合せ期間を余裕を持って設定しておく。
・何かの理由で引渡し期限があり、引渡し予定日がその期限近くである場合でも、建築会社に言う必要はないが、それに引渡しが間に合わない場合の対策も考えておく。台風などの影響があり遅れる場合もあるが、工事中の建築会社とのトラブルの可能性もゼロではない。引渡し期限が施主側の都合でどうしても動かせないことにより、納得できないまま工事を進めることがないようにしておく。
・運転などの事故を起こしたり、巻き込まれないように慎重に行動する。大きな病気にならないように十分に気をつける。特に住宅ローンを利用する場合は、借入の有無や内容に影響すると知っておく。
・親や隣地の住人など、建築にかかわる人には早めに挨拶と計画の概要を説明しておく、家を建てる建築会社の引き合わせもきちんと行う。
<できれば契約前か直後>
・住宅ローンの審査と申込の案内が遅い建築会社の営業担当も少なくないので、自ら段取りをすることも必要。そのために早めに必要書類を確認して、申込を行う。
・解体が必要な場合は、解体後の地盤調査を地盤調査を早くできるように、仮住まいの段取りなどを早く行う。解体してから、住宅ローンの審査が必要額通らなったでは大問題になるので、解体前に仮審査ではなく、本審査の承認を必ず書面で取っておく。
・家相風水により、間取りや建築時期を決めるかどうかは、できれば契約前、遅くとも契約直後には決断する。特に親からの援助がある場合は、親が家相風水を気にするかどうかも早めに確認する。
・着工前に地鎮祭を行うかどうか、棟上げ(むねあげ)時に上棟式(じょうとうしき)をするかどうかは着工前の2ヶ月前には決める。暦が良い日は、神主も忙しいので、早めに予約する。建築会社に依頼する場合は、段取りが遅い営業担当もいるので、催促も必要。当日必要なものも確認しておく。※特にハウスメーカーの場合は、上棟式をしないことが多いので、希望であれば早めに伝える。
・建築会社以外の第三者機関による検査を依頼するかどうかは、工程や費用に影響するので、できれば契約前、遅くとも直後には決める。
・書類提出や検査が必要な補助金などを利用する場合は、建築会社任せにせず、関連する自治体などに自ら早めに必要書類や申請時期の確認を行う。
・土地や建物の名義人や持ち分を早めに決めておく。
<契約後の詳細打合せ時>
・次回の打合せまでの間が重要! 仕事や子育てに忙しくても、 家族間で話合いをしておく。
・建築会社との打ち合わせ回数と時間は限られている。必要であれば、その打ち合わせとは別に、自分達だけでもショールームを予約して、楽しく商品サンプルを見て選んだりしておく。そのことは担当者にもつたえておく。
・打合せ内容を自分だけメモを取る人が多いが、言った言わない論となりがちとなるので、必ず建築会社側のサインももらう。打合せ議事録を作成するハウスメーカーも多いが、書いてある内容をよく確認せずに同意のサインはしないこと。その内容や文章が適切ではない場合は、その場で訂正や追加をしてもらう。変更内容や宿題を設計士が自分用に図面に書くことが多いが、その内容も確認して、必要であれば読みやすい字に書き直してもらったり、内容を訂正してもらい、必ずそのコピーをもらう。それにも設計士や打合せに参加した担当者のサインをもらうとより良い。それらを実行するためには、打合せできる時間を毎回聞き、その15分前には打合せを切り上げるように建築会社側に依頼して、その日の打ち合わせ記録の確認の時間を確保するのがポイント。それにより、言った言わない論や、家が出来た時にイメージが違ったということを防ぎ、次回の図面修正内容が不十分で、肝心である次に決めないといけないための時間が少なくなることも防げる。
・地鎮祭や着工確認日(地縄確認)に、会社を休む場合は早めに申請を行う。台風などの影響により延期となる可能性がある場合の、代替え日もあらかじめ決めておく。
・近隣による工事の妨げなどを防ぐために、近隣挨拶や境界確認は早めにしっかりと行う。
・外構工事は建築工事の最後の方に足場が外れてから行うが、土留め工事や駐車スペースなどを基礎工事前に行い、傷がつくといけないので仕上げを引き渡し前にしたほうが良い場合もある。引渡しをより早めたい場合も、本来の建物着工予定日前に、それら先行工事を行えば、全ての外構工事を最後に行うよりも引渡しまでの工期も短縮でき有効である。そのためには、外構の打合せも後回しにせず、きちんと行う必要がある。
<工事中>
・外構やカーテンなどの決定がまだの場合は、早めに行う。
・建築会社の工事担当や営業担当によって、上棟や竣工立ち合い日や引渡し日時の連絡が遅い場合があるので、早めに予定日を聞いて段取りしておく。
・現場に何回も行く場合は、できるだけ大工さんの休憩時間に行き(あらかじめその時間を聞いておく)、作業を止めないようにする。
・基本的には信頼できる建築会社にお任せできるが、自分でも図面と現場を見て気になる点があれば、都度工事監督に確認する。現場の大工さんだけとやり取りするのは、何かとリスクがあるので、必ず監督とやり取りを行う。
・工事中何かあった場合に、スムースに連絡が取れる電話番号などや連絡手段を伝えておく。LINEなどで夫婦と工事監督が情報共有をスムースに行うことも有効。(※ただし、LINE対応をしていない建築会社もある)
・お金や工期にかかわることは工事担当だけでなく、営業担当とも共通認識をもっておく。
・工事にかかわる対応面で、気になることや納得できないことがあれば、工事担当だけではなく、営業担当にも相談する。相談だけで改善されないのであれば、会社の本社窓口に、何かしらの対応改善を依頼する。
・どうしても施工上の問題で、納得できないようであれば、それ以上に大事になる前に、工事をSTOPしてもらい、改善内容に納得してから工事を再開してもらう。
・火災・地震保険の段取りを早めにしておく。建築会社に依頼する場合も、引渡しの2ヶ月前には段取りしておく。
・引越しの段取りは引渡しの3,4ヶ月前には終わらせておく。引渡し日当日や翌日に引越しを行うのは、残工事や手直しがきちんと終わっていないのに、引き渡しを受けざる負えない状況となりがちなので、なるべく引渡し日からゆとりをもって引越し日を設定する。
・登記の必要書類を確認し、段取りしておく。
・住宅ローンは着工前に正式申込の承認をしておく必要はあるが、最終決定である金銭消費貸借契約(金消契約)は引渡しの1ヶ月前後に行うので、必要書類やその契約日程の確認を早めに行う。金融機関に出向く必要が多いが、中にはネットのLIVE動画で行う場合もある。
・現場に行った際に、近隣の方の顔を見たら、積極的にこちらから挨拶する。できれば、挨拶するだけではなく「ご迷惑をおかけしてすみません。」などの言葉を添え、もし近隣の方が工事への不満をかかえているようであれば、住んだあとに気まずくなったりしないためにも、施主自らも早めに情報を得るようにする。
<引渡し>
・竣工時に残工事や手直しが残っている場合、簡単な内容ではない場合は引渡しを受けない。とくに引越しをしてからの大幅な手直しは、家族の心理的にも負担になり、工事もやりにくいので極力避ける。
・新居に引越しをしてから近隣挨拶をすることが多いが、近隣の方が、人が良くクレームを言わなくても建築工事に関する不満をかかえている場合もあるので、まだ工事が撤収する前に挨拶に行くと何かあった時に、すぐに建築会社に対処してもらえるのでより良い。
まとめ
土地がある状態で、建築会社との請負契約から注文住宅が建つまでは、早くて3ヶ月~5ヶ月ほどがハウスメーカーの基準です。
工務店や設計事務所経由の場合は、さらに数か月や半年以上かかる場合もありますので、建てたい会社に確認しましょう。
特にその建築会社の標準的な工期より、短い場合や長い場合は注意が必要です。
建築会社の進め方に任せっきりではなく、施主として、5章の【後悔せずにスムースに引渡しを受けるための対策】を参考にしていただき、失敗なく、満足度が高い家づくりをされることを願っております。
ユーム 永野
残りの20%は個別の状況次第ですが、後悔せずに家を建てる方法の8割はこの記事にあると言えます。
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