住宅ライターRARURIと注文住宅のサポート歴20年以上のユーム永野により、家を建てる際の参考ポイントをお伝えします。
まずは自己所有の土地と家がある方の建て替えと住み替えの違いから説明します。
それぞの必要となる費用や進め方などがここでわかります。
見落としやすい注意点一覧も必見です。
■「幸せつづく家づくりの探求者」 ながけん (ユーム 永野 健一)の 簡易プロフィール
◎優秀と言われる設計士・営業担当 以上のアドバイス でなければ意味がないと思う方の相談役
・1分1秒を争う業務厨房の動線設計及びHACCP(危害要因分析必須管理点)に基づく改善提案を5年 ・大手ハウスメーカー時代を含めて、土地探し・家づくり支援を20年以上 ・相談者が提案されたプラン・見積の分析改善案の提供は1,000回以上
【幸せつづく家づくりコンサル|ながけん】 空間デザイン心理士/耐震実測マイスター/木構造マイスター準一級/整理収納アドバイザー一級/住宅収納スペシャリスト/風水片付けコンサルタント/ こんまり®︎流片づけコンサルタント養成講座修了生/住宅建築コーディネーター ※業界初の注文住宅の本格的なオンライン・セカンドオピニオンサービスを提供する会社 u-hm株式会社 CEO
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土地ありの注文住宅の流れ | 建替えと住替えの手順と注意点 |
この記事のポイント
・建て替えと住み替えの違いがわかる・建え替え・住み替えの流れと注意点がわかる・建て替えや住み替えに必要となる費用や支払い時期が参考になる |
これらが、人気サービスのご案内のあとスグわかります。
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2.建て替え住み替えはいくらかかる? まずは相場を知ろう
・建て替えの予算や価格相場(どんな費用がいる?)
・住み替えの予算や価格相場(どんな費用がいる?)
・建て替え・住み替えに使える住宅ローンがある
1)住み替えローンの優遇措置
2)住み替えの減税措置
3.注文住宅に建て替える流れ(支払い時期や所要期間)
・建て替えの流れと所要期間
1)契約後の設計打ち合わせ(3~6ヶ月)
2)仮住まい探し~引っ越し(1~6ヶ月)
3)古家の解体(2~3週間)
4)建築(3~5ヶ月)
・建て替えの支払いの流れ
1)全額自己資金(現金払い)の流れ
2)住宅ローンを利用する際の流れ
3)現マイホームのローンが残っている場合
4.建て替える際の注意点
・解体・建て替え時によくある注意点
1)地区計画などで設計に制約が生じる
2)解体費用がかさむ場合がある
3)地盤補強・セットバック・塀の撤去が必要になる
4)測量に隣地や道路所有者の立ち合いが必要になる
5)名義変更や地目変更の手続きが必要になる
・借地で建て替えをする際の注意点
・建て替えのついでに土地活用したい場合
【ユーム 永野からアドバイス:見落としがちな建て替えの注意点】
5.注文住宅に住み替える流れ(支払い時期や所要期間)
・住み替えの流れと所要期間
1)土地探し(1ヶ月~1年)
2)建築(3~5ヶ月)
3)引っ越し・古家の売却
・住み替えの支払いの流れ
1)全額自己資金(現金)払いの流れ
2)住宅ローンを利用する際の流れ
3)現マイホームのローンが残っている場合
【ユーム 永野から現場レポート:仮住まい無しの住み替え】
6.住み替える際の注意点
・現マイホームを売るのが先? 新しい土地を買うのが先?
1)売却を先行する
2)購入を先行する
・移住したい場合の注意点
まとめ
1.「建て替え」と「住み替え」の違い
何らかの理由で、現在住んでいる土地と家を手放して新しい家に移りたいと考えているあなたに、新しい家に移ること、つまり「建て替え」や「住み替え」の違いについてまずは解説します。
「住み替え」とは
いま住んでいる家から新しい住まいへ転居することを「住み替え」と言います。
「建て替え」とは
今まで住んでいた家屋を撤去して、その土地で新しい家に建て替えることを「建て替え」と言います。
前に住んでいた家を解体・撤去する費用や建て替え期間の仮住まいを用意する必要はありますが、新たに土地を購入しなくてもよいため、建築にかけられる予算は多くなります。
2.建て替え・住み替えはいくらかかる? まずは相場を知ろう
建て替えと住み替えをまずは予算や相場といった「お金」の面で比較してみます。
各過程で必要となる費用とその内容について解説します。
建て替えの予算や価格相場(どんな費用がいる?)
国土交通省の調査によると、注文住宅へ建て替えるのに要する費用は平均3,072万円(※1)です。
建て替えの平均費用相場は3,072万円 |
建て替えにかかる費用で特徴的なのは、現マイホームを取り壊す費用と建て替える費用、そして建て替え中の仮住まいにかかる費用です。
建て替えは既存の土地を活かすことができますが、地盤調査の結果によっては地盤改良を行わなければなりません。
今までのお住いの建物が沈下などしていなくても、新しい住まいの荷重も違うことや将来の沈下の可能性を考慮して、地盤補強をしておいた方が良い場合もあります。
これは調査してみないとわからない上に、高額になりやすい費用項目なので注意が必要です。
何かしらの地盤改良(補強)工事が必要な場合は、100万円前後かかることが多いですが、50万円程の表層改良で済む場合や300万円以上必要となる場合もあります。
建て替えに必要となる費用項目には以下のようなものがあります。
・建築費用
・設計費用
・解体・撤去費用
・測量・地盤調査費用
・地盤補強費用(調査結果により必要な場合あり)
・仮住まい関連費用(引っ越し費用、仮住まいの家賃など)
・新築時に必要な税金・保険
先程お伝えした注文住宅へ建て替えるのに要する費用の平均は3,072万円(※1)ですが、こちらには上記リストの仮住まい関連費用と新築時に必要な税金・保険は含まれていないと推測できます。
解体・撤去費用は、木造30~40坪規模で解体と付帯工事を含めて120~150万円が相場です。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合はより高額になります。
建て替えの平均費用から解体費用を引くと設計費と建築費で平均2,900万円程度となります。
実際に建築費は1,000万円規模から数千万円以上とかなり幅があります。これは坪数、ハウスメーカー・工務店・設計事務所のどこに頼むか、どんな設備を揃えるか…条件の組み合わによって大きく変わってきます。
仮住まい関連費用については、引っ越し費用(県内移動、4人家族で5~20万円)を2回分(古家→仮住まい→新居)と仮住まいの家賃(6ヶ月程度)が必要です。
税金は、家の完成後半年~1年半後に「不動産取得税」の徴収があります。
不動産取得税は軽減措置を受けられる場合もあります。
保険加入は本来任意ですが、住宅ローンを組む場合には火災保険がほぼ必須となってきます。
火災保険は10年分一括払いで支払う場合、20万~50万円が相場(※2)。
省令準耐震構造などにすると工務店が手掛ける一般的な木造建築よりも安くなります。
ただし、火災保険では地震などを起因とする火災は補償されない場合もあるので、地震保険への加入も検討しておくことをおすすめします。
※1…国土交通省2018年(平成30年)「住宅市場調査」による。
※2…2019年10月、主要保険会社4社で火災保険料5~9%の値上げが予定されている。
住み替えの予算や価格相場(どんな費用がいる?)
住み替えの平均費用相場は4,867万円 |
住み替えが建て替えよりも費用がかかるのは土地を購入するためです。
また住み替えでは、今のマイホームを売却することでお金を得られる可能性が高いです。
売却金を住み替え費用の支払いに充てるという目論見を立てたいところですが、現マイホームを売却してしまったら新しい家が立つまでに住む場所を探さなければいけません。
一方で、ローンの残る現マイホームを新居完成まで維持すれば新しくローンを組むのに難航する…と、一筋縄ではいかないのが現実です。
まずは新居購入費用を整理して、予算感を把握してから住み替え計画を立てましょう。
住み替えに必要となる費用項目には一般的に以下のようなものがあります。
・土地取得費用
・建築費用
・設計費用
・引っ越し費用
・古家の売却にかかる諸費用(仲介料、税金、ローン返済費用)
・新築時に必要な税金・保険
土地購入にかかる費用の内訳は、購入物件費用と購入諸費用(印紙税・仲介手数料・登記費用・固定資産税清算金)です。
購入諸費用は土地代金の6~10%が相場です。住み替えにかかる平均費用4,867万円(※3)、これはおそらく上記リストの土地取得費用、建築費用、設計費用を合計した金額です。
引っ越し関連では、引っ越し費用(県内移動、4人家族で5~20万円)のほか、家財処分費用も考慮しておきましょう。
場合によっては仮住まいの費用も発生します。
不動産売却で必要となる費用は、不動産売却額の5~7%が相場です。
費用項目としては、仲介手数料、印紙税、抵当権抹消費用、ローン返済費用(繰り上げ返済の手数料1~3万円程度)、譲渡所得税、住民税、復興特別所得税といったものがあります。
また、建て替えの場合と同様に、新築時に不動産取得税や火災保険の支払いが必要となります。
※3…国土交通省「住宅市場動向調査」注文住宅を二次取得した人の購入資金データによる。
建て替え・住み替えに使える住宅ローンがある
建て替えや住み替えにも住宅ローンは利用できます。
さらには、建て替えや住み替えのためのローン商品もあります。
これらは「住み替えローン」や「買い替えローン」と呼ばれます。
住み替えローンは主に、古家の住宅ローンが残っている(残債がある)状況で新たにローンを組みたいときに利用します。
三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行などで取り扱いがあり、以下のような利用条件があります。
・満20~70歳で、最終返済時の年齢が満80歳未満であること。
・現マイホームの住宅ローンを仮入れてから4年以上正常に支払っていること。
上記のほかに年収制限や団体信用生命保険に加入できることを条件にしているケースもあります。
金利は固定金利か変動金利か選べることが多く、また、優遇措置のある銀行もあります。詳しくは各金融機関にお問い合わせください。
住み替えローンのほか、前の住宅ローンを残しながら別の銀行で新しく住宅ローンを組む、二重(ダブル)ローンというやり方もあります。
ただし、2本同時に住宅ローンを組むとなると年収に対する返済比率は高まるため、新しく組むローンの審査が厳しくなります。
つまり、年収が高く、物件の担保評価も高いなどの条件が必要になります。
※参考…三井住友銀行 住み替えローンhttps://www.smbc.co.jp/kojin/jutaku_loan/shinki/shouhin/sumikae/index02.html
みずほ買い替えローンhttps://www.mizuhobank.co.jp/retail/products/loan/housing/new_branch/replacement/index.html
りそな住み替えローンhttps://www.resonabank.co.jp/kojin/jutaku/sumikae/
1)住み替えローンの優遇措置
住宅ローンを扱う金融機関の多くでは、標準(店頭)金利から下げた優遇金利を導入しています。
公表されている金利は「店頭金利」と言い、これに優遇金利を適用したものを「実質金利」と言います。
ローンを組む場合は実質金利に注目してください。
住み替えローンにも優遇金利を導入している銀行はあり、その数値は銀行によってさまざまです。
複数の銀行を比較して検討されることをおすすめします。
2)住み替えの減税措置
住み替えで利用できる減税措置があることをぜひ覚えておいてください。減税措置として代表的なものには以下の3つがあります。
・譲渡所得の特別控除
・譲渡損失の損益通算および繰り越し控除
・住宅ローン控除
譲渡所得の特別控除は、土地建物を売った時の売却益から特別控除を受けられるというものです。
マイホームを売却した場合、最高3000万円の特別控除の特例を受けられます。
マイホームが売却できても住宅ローンの残高より低い値段になり、残債が残ってしまった場合にも利用できる控除があります。
これは「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と言います。
これは、そのマイホームを以前に購入した費用と売却した価格を比べて、損失(マイナス)が出た場合に、その損失をその年の給与所得や事業所得などから控除できるものです。
その年に損益通算をしても控除しきれない分の譲渡損失は翌年以後3年以内に繰り越して控除することができます。
この控除を適用するには、所有して5年以上経つマイホームであること、かつ、譲渡するまでに10年以上の住宅ローンが残っていることなどの要件があります。
注文住宅に建て替えたり住み替えたりして、住宅ローンを組む場合は「住宅ローン控除」が受けられます。
ただし、住宅ローン控除は主に居住する用の住宅一つにしか適用されません。
新築した家が「認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」とみなされれば、「認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例」に当てはまり控除比率はさらに高くなります。
いずれの控除についても詳しくは国税庁のホームページを参考にしてください。
※参考…国税庁ホームページ「譲渡所得の特別控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3223.htm
「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3390.htm
「住宅借入金等特別控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm
3.注文住宅に「建て替え」る流れ(支払い時期や所要期間)
ここでは、最初に建替えの流れを、次に支払いの流れについてお伝えします。
建て替えは、一時的に仮住まいへ移り、新築したマイホームへまた戻ることになります。
最初にその所要期間についてです。
結論は約8ヶ月はかかります。
注文住宅を建てるには設計と建築に時間を要するので、契約から新居に移るまでにトータル8ヶ月以上かかり、その内の6ヶ月ほどは仮住まいになると見込んでおきましょう。
以下に、各工程の所要期間とポイントとなる手続きについて解説します。
建て替えの所要期間
・契約から新居に移るまでにトータル8ヶ月以上 ・その内の6ヶ月ほどは仮住まい
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※建築面積や住宅メーカーによる
建て替えの流れと所要期間
建て替えの進め方(流れ)と、各工程にかかる期間はおおよそ以下の通りです。
注文住宅を新築するのと建て替えで異なるポイントは、古家の取り壊しと建築期間中に仮住まいが必要であることです。
建て替えでは、現マイホームから仮住まいへ、そして仮住まいから新居へと2回引っ越しすることになります。
引っ越しで不用品を運ぶのも、新居へ使わないものを持ち込むのもお金の無駄になるので最初の引っ越しまでに家財整理をしておくといいでしょう。
1)契約後の設計打ち合せ(3~6ヶ月)
契約前の所要期間は、約1ヶ月~半年(2ヶ月ほどが多い)です。
建て替えの場合、すでに土地があるので土地の広さなどの情報を伝えることでより具体的な商談ができます。
とはいえ、ハウスメーカー、工務店、設計事務所、どこに建築を依頼するかによって打ち合せに要する期間は異なります。
これまでに手掛けた物件やモデルルームの様子を見て、予算や希望条件と見合う会社を決めましょう。
注文住宅の場合は、売買契約ではなく、住宅メーカーと建築工事請負(うけおい)契約を結びます。
契約を結んだら、設計の詳細打ち合せが本格的に始まります。
基本的な流れは以下のとおりです。
<契約後の設計打合せの流れ>
1.建物の配置、間取り(壁や窓、設備の位置や大きさ)、外観(がいかん)形状、基本的な外構を決定する。
2.基本的な電気系統を決定する。
3.建築確認申請を出す。
4.設備や床、壁クロスの色などの構造と関わらない基本的な内装を決定する。
5.照明器具、カーテンの順に検定する。
契約後の設計打合せに必要な期間は、ハウスメーカーなら3~5ヶ月、工務店なら3ヶ月~半年、設計会社事務所なら約4ヶ月~1年が目安です。
ハウスメーカーが打ち合せを短期間で進められる理由は、積算システムがあり取り扱える建材見本や設備見本が揃っているからです。
工務店や設計事務所では、気になる資材があればその都度メーカーから取り寄せたり、モデルルームに出向く必要があり手間のかかるケースが多いです。
新居のデザインや費用の見積がまとまってきたら、建築をスタートさせるための建築確認申請を行います。
建築確認申請の準備には1~3週間、申請してから許可が下りるまでに約2週間かかります。
3階建てや防火地域で新築する場合は許可が下りるまでに1か月ほどを要することもあります。
建て替えで注意しなければならないのは、古家を建てたときと現在で建築基準が変わっている可能性が高いことです。
詳しくは下記「建て替える際の注意点」で解説しますが、建物の高さや屋根形状・間取りに新しい制限が生じたり、地盤補強などの土地改良工事が必要になるケースも珍しくありません。
古屋の解体後の調査で、土地改良工事が必要となれば、費用が別途必要となるだけでなく、建築に着工できる時期が後ろ倒しになります。
家の完成時期に希望がある場合は、早めに打ち合わせに取り掛かることをおすすめします。
2)仮住まい探し~引っ越し(1~6ヶ月)
建て替えの計画が立ってきたら、家を取り壊すためにまずは別の場所に引っ越すことになります。
流れは以下のとおりです。
<仮住まい探し~引越しの流れ>
1.契約前か直後から仮住まい先を探し始める
2.住宅メーカーと契約後の主要な内容を決定する
3.建築確認申請が認可されたことを確認できてから、仮住まい先に引っ越す
仮住まい先に引越してから解体となるので、遅くとも着工する1ヶ月前には仮住まい先に引越しをする必要があります。
ただし、解体後に地盤調査を行うことが一般的で、それから基礎形状や地盤補強の有無が決まるので、着工する2ヶ月前には仮住まい先に引越しを終え、速やかに解体して、地盤の調査を早めにしてもらうことをおすすめします。
建て替えではこれが大きなポイントとなります。
解体後の調査により、地盤補強の有無が決まるため、着工より2ヶ月前には仮住まい先に引っ込し、速やかに解体、早めに地盤調査をしてもらうのがおすすめ |
仮住まいに関しては、戸建てにあった荷物ともども仮住まいに移るには広い物件を探す必要があり、家賃も高くなります。
仮住まいとは別にトランクルームなどに荷物を預けるという手段も考えておきましょう。
賃貸物件は、借りる期間が短いのを嫌がって貸し渋りをする大家さんもいます。
逆に、仮住まいを積極的に受け入れる大家さんもいます。
まずはハウスメーカーや工務店にそういったネットワークがないか相談してみると良いでしょう。
仮住まいは家賃を抑えるために郊外を狙うという考え方もありますが、建築工事を見学しやすいように新居からあまり離れすぎない立地にすることをおすすめします。
子供を転校させるような場合には、住民票の移動など手続きすることも増えていきます。
建て替え中に対応した方が良い手続きには以下のようなものがあります。
・電気・ガス・水道の使用停止手続き
・電話回線の移設や一時中断
・NHK受信料支払いのための住所変更
・郵便物の転送手続き
・インターネット回線・ケーブルテレビ・衛星放送など
ライフライン類は建築会社と相談して停止期間を決めましょう。
工事期間中に仮設ポストを設置すれば郵便物は工事中の住所でも受け取ることができます。
なお、免許証、携帯電話、銀行、クレジットカード類の住所変更までは必要ないでしょう。
3)古家の解体(2~3週間)
戸建てを解体するには木造で7日間くらい、鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート(RC造)で10日くらいかかります。
鉄骨やコンクリートで作られている家は頑丈なので取り壊しにも時間がかかります。
もちろん解体工事は家の取り壊しだけでは済みません。
古家にあった不用品の撤去作業や、建て替えに伴う外構の改修を含めると2週間以上になることもあります。
解体・撤去作業の後には地盤調査を行ないます。
地盤調査を行なう業者は保証が絡むので、ハウスメーカーや工務店が段取りします。
「地盤調査を行う業者を自分で探して下さい」と言うような建築会社は避けた方が良いです。
調査結果に問題がなければすぐに建築を始められますが、問題が見つかった場合は土地改良工事が必要になります。
地盤調査は半日ほど、改良工事は数日、地中にコンクリートの柱を立てるような大がかりな工事になると1週間ほどを要します。
解体が済んだら「建物滅失登記」を行ないます。
建築会社の段取りで司法書士が代行してくれる場合が多いですが、工務店や設計事務所に建て替えを依頼した場合は、建物の所有者が行うケースもあります。
解体後1か月以内に行ってください。
4)建築(3~5ヶ月)
建築にかかわる流れは以下のとおりです。
<建築の流れ>
1.地鎮祭を行う(任意)
2.地縄(じなわ)・建物の配置の確認を現地立ち合いで行う
3.基礎工事
4.上棟(じょうとう)工事床、柱や壁を建て、屋根を組み上げる(棟上げ・むねあげ)
5.現場で立ち合い、上棟確認を行う(上棟式は任意)
6.電気配線、給排水配管や防水工事(上棟前の場合も)
7.断熱工事
8.内外の造作・キッチンなど設備工事
9.竣工(しゅんこう)・完成
10.現場で竣工立ち合い確認
11.一部手直し
12.お引渡し
建築工事にかかる期間は家の規模や建築工法により変わってきますが、おおよそ3~5ヶ月です。
計画や工務店によっては6ヶ月以上かかる場合もあります。
建築工事中には施主の立ち合い確認日が設定される場合もありますが、その他に、施主の都合が良い時に現場見学を行えるというのが一般的です。
現場見学の際には、建築作業者の方へ差し入れを用意すると歓迎ムードも高まるでしょう。
基礎工事前に行う「地鎮祭(じちんさい)」、家の骨組みの最後に、一番屋根の頂点となる棟木(むなぎ)や鉄骨を組み上げた後に行う「上棟式(じょうとうしき)」(棟上げ/むねあげ、建前/たてまえとも言う)など、建築に関係するしきたりは建て替えでも行ないます。
近年は簡略化傾向ですが、どのような段取りで進めるかは建築会社と相談しながら決めていきましょう。
家が完成したら「建物表示登記」を行います。
次いで、「所有権保存登記」を行います。こちらもハウスメーカー側の司法書士が代行することが多いですが、建築会社によっては所有権保存登記は自身で行ったり、司法書士を探して委託したりする必要がある場合もあります。
建て替えの支払いの流れ
ここでは全額自己資金(現金)払いと住宅ローンを利用する場合の流れと注意点を解説します。
引っ越し費用や解体費用など、建て替えにかかる各費用はその都度現金で支払うのが基本です。
ただし、解体費用は住宅ローンに含められるケースもあります。
解体費用を住宅ローンとは別にご自身でフリーローンを利用する場合は、住宅ローンが審査どおりに融資できなくなる場合もありますので、特に注意が必要です。
住宅ローンを利用するとしても、諸費用などローンを組めない場合もありますので、現金で支払えるように準備しておきましょう。その目安は
トータル費用の10%ほどです。
1)全額自己資金(現金払い)の流れ
建て替えの建築工事費用を、全て自己資金(現金)で支払う場合は、4回くらいに分けて支払います。
<全額自己資金払いの流れ>
建築会社を決めて「工事の請負(うけおい)契約」を結んだら
①契約金(頭金とも呼ぶ/建築費用の約5~10%)
建築開始時に
②着工金(建築費用の約30%)
上棟(じょうとう)するあたりの時期に
③中間金(上棟金とも呼ぶ/建築費用の約30%)
引き渡し前に
④建築費の残金
以上の流れで支払い(振り込み)ます。
注意点としては、現金を先に多く払えば、値引がよりあると言われても、上記の流れに沿って、それ以上の割合で払わないことです。
契約後や工事中に倒産してしまった例や、大きな災害による工事に支障が出る場合もあるため、先に多く払うとリスクが生じるからです。
自己資金のみで新築する場合、長期優良住宅や低炭素住宅など「認定住宅」を建てると利用できる減税制度があります。
「認定住宅新築等特別税額控除」と言い、住宅の性能強化費用分の約1割(上限65万円)を所得税から控除できます。
詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。
住宅の性能強化費用
参考…国税庁ホームページ「認定住宅新築等特別税額控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1221.htm)
2)住宅ローンを利用する際の流れ
住宅ローンの利用を考えているなら、建築工事請負契約を結ぶ前、つまり現マイホームの解体までに候補の金融機関を絞り、仮審査を受けておきましょう。
<住宅ローンを利用する際の流れ>
建築工事請負契約を結ぶ前に
①情報収集し、金融機関の候補を絞り込み仮審査を受ける
契約を結ぶタイミングで
②融資申し込み
建築確認の許可がおりたら
③本審査~決定
着工後に
④ローン契約
新居の引き渡し後に
④融資実行
新居完成の翌年~
⑤確定申告(ローン控除の手続き)
近年、頭金が少なくて済むローン比率の高い住宅ローン商品も増えてきています。
ローンのカバー範囲も広く、解体費用を借入額に含むことができるケースもあります。
ただし借入金額が高くなれば、返済リスクが高くなることや借入額に金利が上乗せされるので合計返済額が増えることを忘れてはなりません。
住宅ローンを利用する場合は、契約時に印紙代(借入額が1000万~5000万円の場合は2万円)、ローンの借入開始のタイミングで事務手数料、ローン保証料、火災保険料などの支払いがあります。
実家の戸建てを2世帯住宅に建て替えたいと考えている場合、ローンの契約者をよく検討しておきましょう。
住宅ローンや建て替えローンはローン完済時の年齢を80歳未満と条件付けている銀行が多いです。
親に契約者を任せると、年齢条件が当てはまらないことがあります。
また、定年を迎えると収入が減ると予測されるため、高齢で返済期間の長いローンを組もうとすると審査の目が厳しくなります。
2世帯同居を考えている家庭向けに「親子リレー住宅ローン」や「親子ペアローン」という、親子で協力して返済していくローン商品もあります。
3)現マイホームのローンが残っている場合
古家に住宅ローンの残債が残っている場合、まずは残債をどう処理するか考える必要があります。
既存のマイホームの残債分を現金で先に支払うことができればそれで良いのですが、その残債の支払い分と新築の住宅ローンをまとめて一つの金融機関で組むことが多いです。
その流れは次のとおりです。
<建て替えローンを利用する流れ>
1.残債分を含めて新築の住宅ローンの審査
2.建て替えの資金や内容の計画を策定し、計画が成立するかどうかを判断
3.住宅メーカーと新築工事請負(うけおい)契約
4.住宅ローン契約
5.融資の分割実行で既存の残債分を支払い、抵当権を抹消
6.仮住まい先に引越し
7.解体
8.着工
9.住宅ローンを実行して引渡し
10.新居に引越し
古家のローンを契約した時に住宅が担保に入っていると要注意です。
古家を取り壊してしまうと担保が消失してしまうのでローンの契約違反になる可能性が出てきます。
まずは現マイホームの住宅ローンを組む銀行に相談してから進めるようにしましょう。
4.建て替える際の注意点
建て替えでは土地を新しく購入しなくても済みますが、土地の状態を見直す必要があります。
また、土地が借地の場合には、建て替えする前に地主の承諾が必要です。
建て替え時にトラブルになりそうな注意点をまとめました。
解体・建て替え時によくある注意点
現マイホームの築年数が数十年というお宅は、建築基準法が変わっていることにまず注意しましょう。
建築基準法は耐震強強化を目的に改正されています。災害に強い街づくりに見合う家を建てることで長く安心して暮らせるようになります。
また、隣地境界の確認や登記が最新のものに更新されていないことも多いです。
隣地境界や登記をきちんと整理しておくことで解体・建て替え時だけでなく、相続時のトラブルを回避することができます。
1)地区計画などで設計に制約が生じる
地区計画とは、地域が持つ課題や特徴をふまえて、住民と自治体が連携して進めていくまちづくりの手法です。
地域により、高さや建ぺい率を制限しているところもあります。
街の景観を整えるために外壁の色やデザインに規定が設けられているケースもあります。
地区計画による制限がある自治体へは設計図の確認申請が必要で、工事着工30日前までに提出といったルールがあります。
2)解体費用がかさむ場合がある
解体費用を安く浮かそうと個人で業者を探して作業してもらったはいいが、後々不備が見つかって二度手間になったという話は案外多いです。
こうした失敗をしないために、解体工事はハウスメーカーや工務店を通じて手配しましょう。
ネットなどを探すと相場の参考データが出回っていますが、家や外構の状態によって工事費用が高くなるケースは少なくありません。
たとえば3mを超える高さの庭木を伐採するには数万円かかります。
3)地盤補強・セットバック・塀の撤去が必要になる
2000年に行なわれた建築基準法の改正に伴い、地盤調査が事実上必須になっています。
2000年基準と呼ばれる法改正では、耐震面の強化を目的に、地盤に応じた基礎の設計が義務化されています。
調査により地盤改良工事が必要となった場合、
①表層改良工法(相場約50~80万円)
②柱状改良工法(相場約60~110万円)
➂鋼管杭工法(相場約70~120万円)
などの補強工事が調査内容や新築計画により選出され、その費用がかかります。
地盤や計画によっては300万円以上かかることもあります。
建築基準法では原則として、建物は幅員4mの道路に2m以上接していなければ建築できません。
現状で基準をクリアしていない場合は「セットバック」することになります。
セットバックは法律の基準を満たすように敷地を後退させることを言います。
セットバックを伴う場合、建て替える家の建ぺい率や容積率はセットバック後の敷地面積から算出する必要があります。
なお、接する道路が公道の場合、道路舗装費用は補助金が出たり自治体の負担になったりしますが、私道の場合などはすべて自己負担になることもあります。
また、セットバックに伴い塀の撤去も必要になることがあります。
建物だけを建て替えるつもりが塀の工事も追加となると10万円規模の費用が必要です
4)測量に隣地や道路所有者の立ち合いが必要になる
建築確認許可を申請するためには境界の確認が必要です。
境界線を確認には、隣地の所有者の立ち合いが必要で、セットバックを伴う場合には道路の所有者の立ち合いも要ります。
立ち会う人数が増えると自分の都合だけで実施するのが難しくなりますので早めに段取りをすることが重要です。
立ち合い関係者へは土地家屋調査士の事務所を通じて立ち合い依頼することができます。
ただ、お隣さんとはこれからも近所付き合いが続くので、訪問や電話で直接声掛けする方がいい関係性につながるのではないでしょうか。
5)名義変更や地目変更の手続きが必要になる
建築基準法上の土地と建物の関係は、基本的に一つの敷地(建築確認申請地)には一つの建築物しか建てられないとされています。
そのため、親の敷地に親名義の家が残っている状態で新たに新築したい場合は、土地を分ける必要があります。
土地を分けるやり方には、敷地の「分割」か「分筆」という選択肢があります。
・「分割」…建築確認申請に提出する書類上で、敷地を2つ以上にわける
・「分筆」…敷地を2つ以上に分けて、それぞれの所有者を登記する
いずれも書類による手続きとなりますが、分割の方が手間としては楽に済みます。
また、敷地は地目(土地の使用目的)によって用途が決められています。
地目は登記簿に登録されており、法務局で確認することができます。
田んぼや畑を埋め立てて宅地に転用することも可能です。
ただし、田んぼや畑を地目変更するのは農地転用と言い、農地転用は農地法と都市計画法が関わってきます。
まずは農業委員会に農地転用の許可を取り、証明書が発行されたら法務局で地目変更するという流れになります。
都市計画法で確認するポイントの一つは市街化区域内かどうかです。
市街化区域の確認は市役所や区役所で確認することができます。
各自治体の都市計画に応じて市街化区域が設定されており、区域内外で建築基準の規定があります。
【ユーム 永野からアドバイス:見落としがちな建て替えの注意点】
建て替えの流れで気をつけていただきたいのは、次の2点です。
・解体後に地中に障害物が発覚することがある
・解体後に新築する範囲の地盤調査をしたら、地盤補強が別途必要となることがある
解体後に古屋の地中に、古い木や石の杭があったり、大きな石の塊が埋まっていなり、大きな金庫などが埋まっていることがあることです。
建てた当時の方(親や祖父母)がそのことをご存じなかったり、忘れていて伝え聞いていない場合もあります。
予想をしていなかった地中に障害物があるとその撤去に費用と時間がかかります。
今までのケースでは100円以上かかったりしています。
その撤去と埋め戻しのための期間は3週間前後は余計にかかっています。
また、それらを完全に撤去できない場合や、撤去した箇所の地盤が弱くなるために、基礎形状の変更や地盤補強の追加などの費用が必要となったケースも少なくありません。
また解体前に、古屋の周囲を地盤調査ができる場合もありますが、基本的に新築する範囲での調査が必要となります。
解体後に、その調査で、さらなる地盤補強の費用が発生する場合もあります。
計画が進んで着工間際に、そうならないための対策は次の3点です。
・建築当時を知る方に、地面に何か障害となるものが埋まっていないか確認
・古い図面があれば、住宅メーカーに見せて確認してもらう
・仮住まいをなるべく早くして、解体をして確認してもらう
私がお手伝いさせていただいたなかで、まだ古屋に住んでいる段階で、畳を外して、そこの箇所の地盤調査をしたことも何回かあります。
これが可能かどうかは、建築会社に確認してください。
借地で建て替えをする際の注意点
家を建て替えたい場所が借地の場合、法律上、地主の承諾を得る必要があります。
またこういった節目に賃借条件の改定や更新を行なうことは大切です。
地主が建て替えに承諾すると、今後数十年間の自己利用の放棄(利用権利の提供)をすることになります。
そのため、承諾料(借地期間更新料)の支払いや地代等の条件の見直しや改定が行われるのが通常です。
すぐに承諾してもらえないケースもあり、そうなると建築計画も遅れてしまいます。
承諾してもらえたとして借地権の更新料(相場は更地価格の2~5%程度)と建て替え承諾料(更地価格の2~5%程度)を支払うことになりますので予算の見積も忘れてはなりません。
建て替えのついでに土地活用したい場合
家の建て替えのタイミングで「土地を分割して売却したい」「家の一部を賃貸物件にしたい」といった土地活用を考える方もいます。
まずはハウスメーカーや工務店に相談しましょう。知り合いの不動産会社を紹介してもらえる可能性もあります。
家を新築するだけでも調べたり、考えたり、手続きすることは多くあります。それに加えて慣れないことも自分だけでやろうと思うとキャパオーバーになりかねません。
専門家を上手に利用して、優先順位を整理しながら憧れのマイホームづくりに取り組むことをおすすめします。
5.注文住宅に「住み替え」る流れ(支払い時期や所要期間)
住み替えでは、現マイホームの売却と新しい家用の土地購入そして建築という2つの不動産取引が生じます。
それぞれ手掛けるだけでも正直大変です。
大きな額のお金が動くので、勢い任せにせずしっかりと段取りを確認しながら進めましょう。
住み替えの所要期間
・土地探しに要する期間は1ヶ月~1年 ・土地を取得してから新居に移るまで半年~1年以上 ・物件売却に要する期間は1ヶ月~1年
|
※エリアや住宅メーカーによる
住み替えの流れと所要期間
住み替えする場合、土地購入と建築にそれぞれ時間がかります。すべてを順番に進めていくと2年以上になるのではないでしょうか。
打ち合せや手続きを効率良く進められば工期は短縮することができます。
1)土地探し(1ヶか月~1年)
土地探しは希望条件を先に整理しておくことが成功の秘訣だと言えます。
立地、広さ、予算どれを重視するか。中には理想の土地を数年かけて探し続ける方もいます。
できるだけ早く土地を決めたい方は、複数の不動産会社に声をかけると候補を多く集めることができます。
不動産情報の集め方には以下のような選択肢があります。
・1.インターネットの土地情報サイトを見る
・2.不動産会社に出向いて探してもらう
・3.住宅展示場のモデルハウスでハウスメーカーに依頼する
・4.大規模な分譲地・宅地開発のセンターハウスに出向いて探す
土地が見つかったら購入手続きを進めます。
まずは契約書を交わし、手付金(契約金)を支払います。このとき、不動産会社に仲介手数料の一部を支払うケースもあります。
土地の引き渡しはすぐに行われることもありますが、長いと1年近く先になります。
引き渡し時に土地価格の残代金と諸費用(印紙代、仲介手数料)を支払います。
土地探しを始めるタイミングで、建築会社探しも同時に始めるといいでしょう。
土地探しに要する期間は1ヶ月~1年。同時並行で建築会社を探し、候補を絞っておきましょう |
建築会社に「土地を探している」と言えば、土地探しのアドバイスや不動産会社を紹介してもらえることもあります。
不動産会社によっては、土地を決めて手付金を収めても1ヶか月以内に建築会社を見つけられなければ契約が白紙になる条件のところもあります。
その際、違約金として手付金は没収されてしまうこともあるので注意しなければなりません。
2)建築(3~5ヶか月)
土地を購入したら、新しい家づくりの準備を始められます。
設計にかかる期間は建築会社によって異なり、約2ヶか月~1年、建築にかかる期間は3~5ヶか月です。
土地の引き渡し時に住宅建築用に更地になっていればいいですが、古家付きから建て替える場合には解体・撤去工事を行わなければなりません。
ほかにもセットバック工事や地盤改良工事が必要となる場合もあります。
<建築の流れ>
1.地鎮祭を行う(任意)
2.地縄(じなわ)・建物の配置の確認を現地立ち合いで行う
3.基礎工事
4.上棟(じょうとう)工事床、柱や壁を建て、屋根を組み上げる(棟上げ・むねあげ)
5.現場で立ち合い、上棟確認を行う(上棟式は任意)
6.電気配線、給排水配管や防水工事(上棟前の場合も)
7.断熱工事
8.内外の造作・キッチンなど設備工事
9.竣工(しゅんこう)・完成
10.現場で竣工立ち合い確認
11.一部手直し
12.お引渡し
建築工事にかかる期間は家の規模や建築工法により変わってきますが、おおよそ3~5ヶ月です。
計画や工務店によっては6ヶ月以上かかる場合もあります。
建築工事中には施主の立ち合い確認日が設定される場合もありますが、その他に、施主の都合が良い時に現場見学を行えるというのが一般的です。
現場見学の際には、建築作業者の方へ差し入れを用意すると歓迎ムードも高まるでしょう。
基礎工事前に行う「地鎮祭(じちんさい)」、家の骨組みの最後に、一番屋根の頂点となる棟木(むなぎ)や鉄骨を組み上げた後に行う「上棟式(じょうとうしき)」(棟上げ/むねあげ、建前/たてまえとも言う)など、建築に関係するしきたりは建て替えでも行ないます。
近年は簡略化傾向ですが、どのような段取りで進めるかは建築会社と相談しながら決めていきましょう。
家が完成したら「建物表示登記」を行います。
次いで、「所有権保存登記」を行います。こちらもハウスメーカー側の司法書士が代行することが多いですが、建築会社によっては所有権保存登記は自身で行ったり、司法書士を探して委託したりする必要がある場合もあります。
3)引っ越し・古家の売却
現マイホームから早めに退去することになった場合、入居までは仮住まいに住む必要があります。
古家の売却時期によっては仮住まいの期間が非常に短くなることも。賃貸物件よりもウイークリーマンションなどの方が見つけやすいかもしれません。
マイホームの売却は、土地の購入と同様に不動産仲介会社に相談しましょう。
売却の流れは以下のようになります。
<物件売却の流れ>
1.不動産仲介会社に査定を受ける
2.査定額に納得したら、媒介契約を結び売却を依頼
3.売り出し開始
4.購入希望者の見学受け入れ
5.売買契約(契約金を受け取る)
6.決済・引き渡し(残代金の受領・仲介手数料の支払い)
7.確定申告(売却した翌年の申告期間中)
不動産仲介会社との媒介契約には3種類あります。
・①一般媒介契約
・②専任媒介契約
・③専属専任媒介契約
一般媒介契約①が複数の会社と同時に結ぶことができる一方で、専属専任媒介契約③は1社のみという決まりがあり、その代わりプロのノウハウを使い手厚くフォローしてもらえます。
ご自身でも知人などに売買交渉したい場合は一般媒介契約①か専任媒介契約②の契約にしておきましょう。
専任媒介契約②と専属専任媒介契約③は加盟業者のみが閲覧できるデータベースに物件情報を登録してもらえます。
【ユーム 永野から現場レポート:仮住まい無しの住み替え】
実際に今までお手伝いを通して、新築の完成と旧マイホーム(マンションなど)の売却を同日に行ったケースも何回もあります。
この場合は仮住まいの費用や労力が不要となりますが難易度は高いです。
流れは次のとおりです。
・マイホーム査定
・上記査定額及び既存の借入残債を基に住宅ローンの審査の承認
・マイホーム売却開始
・土地購入
・建築工事請負契約
・建物引渡し時にマイホーム引渡し条件で契約
購入者の方の住宅ローン審査の承認
・着工
・マイホーム引渡し前に住めて、荷物出しと清掃完了
・マイホーム引渡しと新居引渡しを同日実施
一番大きなポイントは、上記の条件で住宅ローンが承認されるかどうかです。
今のお住いの買取保証が条件となるケースもあります。
もう一つのポイントは、マイホームが他の物件よりも魅力があり、すぐに売れるかどうかです。
仮住まいの労力やコストを考えて、相場よりも安く売ることも必要となる場合があります。
マイホームが6ヶ月などの一定期間内で売れなかった場合、買取保証の価格はかなり安くなってしまうことがほどんどですので、じっくり売って希望額で売れそうな物件であれば、損をする可能性があります。
やはり王道は先に売却して、仮住まいをしながら、土地購入と新築となります。
もし、何かの事情で仮住まいはしたくないということであれば、不動産業者と建築会社の信頼できる担当者に相談してみてください。
住み替えの支払いの流れ
住み替えを行う場合、お金の流れは古家の売却と新居の購入に大きくわけられます。
現マイホームにローンが残っている場合や新築工事にローンを組みたい場合はより複雑になってくるので注意して進めましょう。
1)全額自己資金(現金払い)の流れ
住み替える新居の建築費用を全額自己資金で支払う場合は、支払いの流れは以下のようになります。
<全額自己資金払いの流れ>
候補地を絞り、土地購入を決めたら
①手付金(土地購入費用の5~10%)
土地の引き渡し時
②土地代の残金(90~95%)
建築会社を決めて「工事の請負(うけおい)契約」を結んだら
③契約金(頭金とも呼ぶ/建築費用の約5~10%)
建築開始時に
④着工金(建築費用の約30%)
上棟(じょうとう)するあたりの時期に
⑤中間金(上棟金とも呼ぶ/建築費用の約30%)
引き渡し前に
⑥建築費の残金
以上の流れで支払い(振り込み)ます。
基本的にはこのような流れですが、2の後に土地改良費用、6の前に仮住まい費用が必要となるケースがあることに注意してください。
2)住宅ローンを利用する際の流れ
現マイホームのローンを完済していれば、新居には一般的な住宅ローンを利用することができます。
現時点でローンが残っていても、新築工事に取りかかるまでに売却してローンを完済させるという手もあります。
売却と住み替えの流れは以下のようになります。
<住み替えでローンを利用する流れ>
1.今のマイホームの売却について不動産会社に相談・査定
2.新築の住宅ローンの審査
3.建て替えの資金や内容の計画を策定し、計画が成立するかどうかを判断
4.不動産会社と媒介契約を結び、売却開始
5.仮住まい先探し
6.マイホームの売買契約
7.仮住まい先に引越し
8.マイホームの引渡し
9.建築会社と新築工事請負(うけおい)契約
10.着工
11.引渡し(融資実行)
12.新居に引越し
現マイホームの購入にローンを利用した方は、家を担保としているはずです。
家を売るにはまず、マイホームの抵当権を抹消する必要があります。抵当権を抹消するには、①住宅ローンを完済し、②抵当権抹消登記をする、という手続きを行います。
抵当権抹消登記はご自身で行うか、司法書士に依頼することができます。費用は、自分で行う場合は登録免許税2,000円、依頼する場合は手数料込みで1万円程度になります。
現マイホームの売却の目途が立ったとして、売上金が入るより先に土地購入費や建築工事の契約金・中間金などの支払いのタイミングがくる場合もあります。
こういった時には「つなぎ融資」やフリーローンを利用するという手があります。
つなぎ融資は借入期間1ヶ月~1年以内の短期で、期限が来たら一括で返済するローンです。
住宅ローンは家が完成してから融資開始となる点に注意しておきましょう。
現マイホームを売却してもローンが残る場合は、次の「残債がある場合の流れ」をご覧ください。
3)残債がある場合の流れ
残債がある場合、一般的には、現マイホームの残債を先に消すことが必要となります。
先に物件を売却しても残債が残る場合に「住み替えローン」を利用します。
<残債を住み替えローンで支払う流れ>
1.今のマイホームの売却を査定し、残債が消えるのかいくらぐらい残りそうかを把握
2.新築の住宅ローンの審査
3.建て替えの資金や内容の計画を策定し、計画が成立するかどうかを判断
4.マイホームの残債を消せる額で売却開始
5.仮住まい先探し
6.マイホームの売買契約
7.仮住まい先に引越し
8.マイホームの引渡し
9.建築会社と新築工事請負(うけおい)契約
10.着工
11.引渡し(融資実行)
12.新居に引越し
残債はできる限り無くしてから、新居の取得計画を建てるのが無難です。
住まなくなっても住宅ローンが残っていれば抵当権は抹消できず、売却することができません。
新築工事請負契約までに売却できない場合は、「住み替えローン」を利用して残債を新築用の借入額に含ませることになります。
残債を新居のローンに含ませたくない場合は、古家と新居それぞれにローンを支払う「ダブルローン」という選択肢もあります。
6.住み替える際の注意点
不動産売買は大きな額のお金が動き、手続きすることも多いです。
1年前後かかる一大プロジェクトを仕事などの日常生活と並行しながら進めなければなりません。
慣れない不動産取引や登記手続きを施主ひとりで管理するは難しいと思います。
2018年(平成30年)に国土交通省が行なった「住宅市場動向調査」によると、住み替え先に注文住宅を選んだ人の決め手でもっとも多かったのは「信頼できる住宅メーカーだった」(46.2%)ということでした。
分譲販売の物件などと比べて設計など様々な面で自由度が高いことが魅力の注文住宅ですが、知らずに進めたり見落としがあったりすると後悔だけでは済まないケースもあります。
信頼できる住宅メーカーと二人三脚で家づくりを進めることが成功の鍵といえるでしょう。
現マイホームを売るのが先?新しい土地を買うのが先?
住み替えするとなると現マイホームを処分することになります。そのタイミングはいつが良いのでしょうか?
売却を先に行うことを「売り先行」、新しい土地の購入を先にすることを「買い先行」と言います。
どちらの手法にもメリットや注意点があります。
1)売却を先行する
現マイホームの売却を先に進めるメリットは「資金面の見通しが付きやすい」ことです。
現マイホームにローンが残っている場合、売却することで完済できる可能性もあるでしょう。
まして残債よりも高く売れれば、新築工事の資金に充てたり、予算を増やして新居の内容をグレードアップさせることもできます。
新居用に住宅ローンを組む際に残債があると住み替えローンに残債を含むことになり、返済リスクが高まります。
お金以外の面では、先に現マイホームを売るとなると、まだ住んでいるところへ物件見学が入ることになります。
また、運よく売れたとして、新居入居までの期間は仮住まいで暮らすことになり、そこへの引っ越し費用や家賃が発生します。
2)購入を先行する
新居の購入を先に進めるメリットは、現マイホームからの退去という時間的制約に追われなくて済むことにあります。
しかし、購入を先にするということはお金に余裕がなければなかなか難しいと言えます。
現マイホームのローン支払いをしながら新居用の頭金を貯めるだけでも一般家庭ではやりくりが大変になるのではないでしょうか。
移住したい場合の注意点
「定年退職して通勤を考える必要がなくなった」など、ライフスタイルの変化に応じて理想の住環境を求め、移住を希望する方もいるかと思います。
遠隔地に新築する場合、工事の状況を気軽に見くのは難しくなります。
住み慣れない場所だと地区計画に疎かったり、気候に適した工法や設備にまで事前に行き届かなかったりということも考えられます。
焦って後悔しないように、設計期間に余裕を持たせて情報を収集したり検討するための時間を確保しておくと良いでしょう。
まとめ
建て替えは古家の解体や地盤調査が必要です。
住み替えは土地探しと、古家の処分に時間や労力を使うことになるでしょう。
建て替えや住み替えには新築のための住宅ローンだけでなく、現マイホームのローン残債処理を含めて利用できる建て替えや住み替え用のローンがあります。
先に支払い分を融資して、住宅完成時の住宅ローン実行(融資の振り込み)までをつなぐ、つなぎ融資などもあります。
「今の家のローンが残っているから」と諦めている方、「二世帯住宅にしたいけれどローンは組めるのか」と不安を抱えている方も注文住宅へ建て替え・住み替えできる可能性があります。
気になることがあれば注文住宅のプロへ相談してみましょう。
筆者
RARURI
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