こんにちは。ユーム 永野です。
今回は、
土地を探して購入してから、3階建てを建てたい方にそれぞれおすすめの【用途地域】と注意点がわかります。
もし「周囲の環境も静かで良さそうだな」と購入した土地でも、家を建てた後にすぐ隣にラブホテルが建ったとか、夜の怪しげな店ができてしまったら、後悔してしまう方も多いのではないでしょうか?
将来何があるかわかりません。
将来、施設に入るなどの事情でマイホームを売ったり、誰かに貸したりする時に、隣に風俗店やパチンコ店が来ると、資産価値が落ちる可能性もあります。
この動画を見れば、そうならないための、土地探しで失敗や後悔しないための知っておくべき用途地域がわかります。
特に設計の自由度を高めて、3,4階建てを建てたい方におすすめの地域と、閑静な住宅街で3階を建てたい方向けの地域に分けてお伝えします。
土地探し・購入3階建て向けの【用途地域と注意点】 |
これらが、人気サービスのご案内のあとスグわかります。
1.3階建てに向く用途地域とは?
まず簡単に自己紹介をします。
一分一秒を争う一流レストランなどの厨房の動線設計を経て、ハウスメーカー時代を入れると、少なくとも80億円以上の注文住宅の計画をトータルサポートしてきたユーム 永野です。
はじめに「用途地域」に関しての結論のみお伝えします。
より自由度ある設計により、3階、4階なら第一種か第二種の中高層、または第一種住居が良いです。
自由度ある3階、4階なら「第一・第二種中高層」「第一種住居」 |
より静かな環境で3階を建てたいなら「一低層」か「二低層」が良いです。
より静かな環境で3階を建てたいなら「一低層」「二低層」 |
より静かな環境で3階を建てたいなら「一低層」「二低層」
ただし、そこに住んでいる方には、大事件とも言える、静かに暮らしていたエリアの用途が変更してしまって、急に夜にネオンきらめく騒がしい土地になってしまった! という実例があるのでそれもあとで紹介します。
途中で、土地探しや購入で覚えておきたい、建蔽率(建ぺい率)、容積率、壁面後退、日影規制もわかります。
それでは、順番に解説します。
2.用途地域とは?
「用途地域」とは何でしょうか?
用途地域とは、その土地にどんな建て物を建てられるのか? どんな建物は建築できないのかを規定・制限した地域のことです。
一般的に、戸建て住宅に向いているのは8つの用途地域です。
一応お伝えしますが、これは全部を覚えなくて大丈夫です。
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
・田園住居地域
まあ、「住居」とついているから当然ですよね。
実際には、次の用途地域でも家は建てられます。
これも覚えなくて良いです。
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
次にお伝えするポイントだけおさえておけば大丈夫です。
3.自由な設計度重視の3階・4階向き用途地域
設計の自由度ある3階や4階を建てたい方におすすめの用途地域は「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」です。
自由度ある3階、4階なら「第一・第二種中高層」「第一種住居」 |
その理由は2つです。
➀比較的に自由に設計ができる
②風俗店はもちろん、大きな店舗やラブホテル、パチンコ店もできなく、暮らしやすい
この理由から「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」をおすすめします。
「一中高」「二中高」「一種住居」と覚えてもよいかもしれません。
注意点は、「一中高」「二中高」は建蔽率(建ぺい率)がMAX60%のエリアなので、思うような間取りが入らない場合があるということです。
※建ぺい率、容積率などは次の章でわかります。
敷地目いっぱいに家を建てられないので、「建物が密集している所は嫌」という方が3階4階を建てるのに向いている用途地域です。
「一種住居」は建ぺい率が80%の場所もありますので、敷地をより有効活用したい。大きな建物を建てたい方は、その80%の土地を探すと良いでしょう。
「第二種住居地域」はその次に良いと思います。
カラオケやパチンコ店は建ちますが、クラブや風俗店は建たないからです。
その意味では「近隣商業地域」や「商業地域」よりは住環境は良いでしょう。
もちろん、とにかく駅3分とか立地優先であれば滅多に土地が売りだしにならないので「近隣商業地域」や「商業地域」も検討しても良いと思います。
因みに、大きな土地を買うのは難しいけれど、隣地境界線まで目いっぱい建てたいという方には、防火地域又は準防火地域も良いです。
その地域で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線ぎりぎりまで設けることができるという建築基準法の規定があるからです。
つまり、民法の隣地50㎝離さないといけないというものを超えて、建てることができるわけです。
賃貸や賃貸併用住宅などで、とにかく大きく建てたいと言う方であれば、防火地域内の耐火建築物は建蔽率が10%UPなので、こちらも土地探しの視野に入れておくとよいです。
次の章では、穏やかに暮らしたい方向けの用途地域と、土地探しや購入で覚えておきたい、建蔽率(建ぺい率)、容積率、壁面後退、日影規制とは何か? もわかります。
4.閑静な住宅街で3階を建てたい方向け用途地域
より静かな環境で3階を建てたいなら注意点はありますが、「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」が良いです。
静かな環境で3階を建てたいなら「一低層」「二低層」 ただし注意点あり |
一般的には平屋や2階建て向きの「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」でも、基本的に3階は建てられます。
「一低層」とか「二低層」と覚えておきましょう。
「一低層」や「二低層」は大きなお店も建たない閑静が住宅街ですので、比較的静かにくらしたいという方には向いています。
ただ、5つの注意点があります。
「一低層」「二低層」で3階を建てる時の5つの注意点
一つめの注意点は、建物の絶対高さが10mまたは12mまでの制限があるので、各階の天井高を高くできないということです。
この場合、設計士からよく一階のリビングの床を通常より下げて天井高を上げる提案が多いです。
もちろんこれは有効なのですが、その場合は床の断熱効果が通常よりも下がることが多いです。
もちろん、大手ハウスメーカーは通常の床断熱ができない場合の断熱仕様がきちんと決まっています。
ただ冬の冷たさが伝わりやすくなると何度も体感していますし、お施主さんからそういう声を聞いてきました。
二つめの注意点は、3階建ての場合、条例で指定する区域の3階建ては、日影規制の適用を受けますので、思った間取りとならないことが多いということです。
この日影規制はさきほど、お伝えした「一中高」「二中高」「一種住居」にもありますが、「一低層」「二低層」の方がより厳しい規制です。
日影規制とは文字通り隣地、特に北や北東・北西側の隣地に日陰となる時間を抑えようというものです。
それが場所によっては3時間以上日陰になったら駄目とか、4時間や5時間以上は駄目と決まっています。
その為に3階を小さくしたり、斜め状に削らないといけないことが多いです。
三つめの注意点は、建蔽率(けんぺい率)と容積率が低いと3階は難しいか、かなり小さくなるということです。
「一低層」「二低層」では建蔽率(建ぺい率)は30~60%まで地域によって指定されています。
さきほどの「一中高」「二中高」もMAX60%です。
「一種住居」は80%の場所もあります。
簡単に言うと、「建蔽率(建ぺい率)」とは敷地面積に対して建てられる面積(建築面積)の割合のことです。
「建築面積」とは、建物を真上から見たときの外壁の柱と柱の中心で囲まれた面積です。
木造で2×4とか2×6などの枠組み壁工法の場合は、その外壁の枠組み材の中心で囲まれた面積です。
つまり建ぺい率が50%の土地の場合は、1階部分はその土地面積の半分の建物までしか建てられないということです。
敷地が狭い時に一階よりも2階と3階を大きくして、張り出した2階の下に駐車場を設ける場合は、建築面積はあくまでも建物を真上から見た時の面積ですので、2階の面積となります。
バルコニーや庇を長く伸ばした場合は、付き出た部分が1m以下の場合は建築面積には含まれません。
1mから先の部分は建築面積に含まれます。
ただ、そのバルコニーや庇の両サイドに柱や壁がある場合は、その柱や壁で囲われた内側の部分は建築面積に含まれます。
話を戻しまして、
「一低層」「二低層」の用途地域では、その建ぺい率が30%、40%、50%、そして最大でも60%と決められています。
この建ぺい率には緩和できる場合もあります。
建築基準法第53条3項の規定により、「特定行政庁が指定した角地」にある建物はプラス10%建ぺい率が割り増しになります。
ちなみに、用途地域が建ぺい率80%以外で、かつ、防火地域内にある耐火建築物も建ぺい率が+10%となりますので、角地の緩和と合わせると「+20%」に割り増しを受けられます。
いずれにしても、「一低層」「二低層」は他の用途地域よりも、風とおしも良く、比較的に隣地と建物が密集していないので暮らしやすいエリアです。
「容積率」とは、各階の面積の合計です。
通常は、「延床面積」と言います。
容積率が100%ということは、単純に言うと土地の面積の50%を一階、残りの50%を二階で設計すると、それで100%の面積となるので、もう3階は建てられないということです。
ですので、閑静な住宅街である「一低層」や「二低層」で3階を建てたい場合は、大きな土地を購入するか、比較的に小さめの土地や狭小地を購入する場合は、容積率が150%か200%の土地もありますので、そういう場所であれば3階は建てやすいです。
4つめの注意点は「外壁の後退距離」です。
この「一低層」や「二低層」では、「外壁の後退距離」が定められている場合が多いです。
「壁面後退」とも言います。
建築基準法第54条により、隣地境界線より、建築物を1mか1.5m離さないといけないというもので地域によります。
民法第234条では、建物を築造する時は隣地より50㎝以上離すこととされていますので、1mの外壁の後退地域であれば、その倍は隣地や隣の建物と離れることになります。
よりプライバシーが確保でき、隣からのもらい火のリスクも多少減ります。
ただこの「壁面後退」がある土地は、納得できる間取りができるかどうか、土地を買う前に必ず確認したほうが良いです。
よくご相談があるのは、1mや1.5m境界から離すのはいいけど、収納が足りないということです。
その場合は、その外壁後退ラインの緩和規定も使えます。
例えば先日のご相談は、ハウスメーカーから提示されたプランでキッチンの収納が足りないということだったので、建物の一部を隣地境界から1mの後退ラインから突き出してパントリーを提案しました。
突き出した部分の横や縦の外壁の長さが3m以下であれば、壁面後退の規制を受けずに建てることができるわけです。
また、契約後の他の方は玄関の収納も少ないということだったので、その玄関すぐ近くに、外観デザインと合うおしゃれな断熱仕様の倉庫を提案しました。
床面積が5㎡以下で、軒の高さを2.3m以下の倉庫なども壁面後退ラインから外側に設置できます。
ただし、人が中に入れる倉庫は建築面積に入るので注意は必要です。
五つめ、最後の注意点は、近隣との関係です。
仮に「一低層」や「二低層」地域で、3階を建てられたとしても、もし周りに3階建てが無いエリアに、いわゆるよそ者が土地を購入して3階を建てると、周りの人から、(えッ何でここで3階建てる?)みたいに思われてしまうかもしれませんので、注意が必要です。
逆に周囲に3階が建っていれば「一低層」や「二低層」地域でも特に近隣との関係上は問題無いので3階向きと言えます。
特に北側に道路があるなどで北側に隣の家が建っていない場所を探すのも良いです。
先日の3階の方は、その北側道路の土地で南側に建物が建っていましたが、ハウスメーカーからのプランに、採光を工夫して、視線をさえぎるプライベートバルコニーを追加提案させていただき、満足いただいたので契約となりました。
補足ですが、3階建ては2階よりも難易度が高いので、3階の実績がある設計士と営業を担当にできるかどうかが成功の鍵となります。
以下は、穏やかに暮らしたい方向けに、この「一低層」「二低層」をおすすめする理由の補足です。
まず「第一種低層住居専用地域」「一低層」は基本的に物販のお店や飲食店も建たないです。
ただ、将来自宅の1部で、小さなサロンやフラワーアレンジ教室とか何か手づくりした作品の店舗も開きたいなと言う方もいると思います。
50㎡約15坪までであれば店舗併用住宅も可能です。
50㎡約15坪までと言っても、30畳までなので老後に地域に貢献しながら何か収入も得たいということもできるわけです。
店舗併用に関しては、地域の協定や将来規制がかわるかもしれませんので、良く確認しましょう。
「第二種低層住居専用地域」「二低層」は「一低層」よりも、もう少し大きな150㎡約45坪ほどの店舗等は単独で建てられます。
と言っても基本的に風俗関係とか、パチンコ店は建ちません。(もちろん一低層も)
日用品とか、食堂、カフェ、パン屋さんやクリーニング店・・なんでかパン屋さんだけ「さん」づけしていまいます・・
あとは英会話教室などに限定されます。
いわゆる良好な住環境です。
周りに高い建物が無く、閑静な住宅地がお好みの方に向いています。
密集度合いも少ないということは、隣からのもらい火のリスクも比較的には少ないので、防災的にも望ましいエリアと言えます。
最後に、今までお伝えしてきたことがひっくり返るような実例があるのでお伝えします。
不動産業者から、ここは駅徒歩3分で、「第一種住居」だから、ラブホテルとか、カラオケボックスとかできないから、駅近くの中では住むのに最適ですよ。と言われても、確かにそのとおりなのですが、絶対そうとも言えないということです。
先日、妻が行ってきた京都の例でお伝えします。
2015年に京都駅の駅近くで「第一種住居地域」だったエリアが「商業地域」に用途変更となりました。
これは、いままでカラオケやパチンコ店、夜のお店、ラブホテルや性風俗関連のお店が建てられなかったエリアが急に何でもアリ的なエリアに変更となったわけです。
駅近くで資産価値も高いだろうと、将来何かあったらすぐに売れるだろうと思っていたら、ちょっと売りづらい、資産価値落ちた、みたいなこともあり得るので、特に駅すぐ近くのエリアはある程度覚悟が必要です。
今は、京都駅近くの実例をお伝えしましたが、これは特別なことなので、そんなに頻繁に用途地域が変わることはないでしょう。
今回お伝えしたように用途地域それぞれの特徴によって、3階向きの建てやすさ、暮らしやすさが変わってくるので、用途地域の区分は、必ずチェックしておきましょう。
まとめ
3階4階を設計の自由度高く建てたければ、「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」が向いています。
「一中高」「二中高」「一種住居」地域であれば、カラオケやパチンコ、夜のお店、ラブホテルや風俗店などは建たないので、一番おすすめです。
ただし、「一中高」「二中高」の建ぺい率のMAXは60%なので、思い通りの間取りが入らない場合があります。
敷地をより有効活用したい方は「一種住居」の建ぺい率80%の土地を探すとよいです。
「第二種住居地域」「二種住居」もクラブや風俗店は建ちません。
近隣商業、商業地域よりは住環境は良いでしょう。
より閑静な地域に3階を建てたいという方は、「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」も良いです。
「一低層」「二低層」で3階を建てたい場合のポイントは容積率が150や200%の土地を探すこと、できれば周囲に3階が建っているか、特に北道路などで北側に隣の家が建っていない場所を探しましょう。
とは言っても、京都駅近の実例のように用途地域が変更する場合もありますから、人気がある駅近く希望と言う場合、ある程度住環境の変化については覚悟が必要です。
ちなみにユームで紹介した大手ハウスメーカーのプランが、敷地が広くないということと、日影規制もあって、思う様な間取りができなかったというご相談を受けましたが、断熱・防水施工をした地下とロフトを有効的に組み込み、間取りを大幅に変えた提案でクリアできました。
3階は2階以上に難易度が高いので、3階建てのノウハウが豊富な設計士や営業を担当につけられるかどうかもポイントです。
ユーム 永野
〇二世帯・3階建ての注意点やコツ
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